これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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双子

 

 リンを抱えた忍と入れ替わるようにトビラの本体が飛んできて、その場には二人のトビラが。

 カカシはすぐさま事態を察知した。

 

「そうか、こっちのトビラは分身だったのかっ! リンが連れて行かれた! トビラ、すぐに飛雷神で連れて行ってくれ!」

「今は敵の殲滅が先だ。このままだと後衛部隊が全滅する。移動中であればリンへ危害が加わる可能性は低い。救出は後だ」

「っ……クソッ!」

 

 カカシは悪態をつきながらもトビラの指示に従った。

 

「お前は陣の中で重症人たちのそばにいてくれ」

「分かった」

 

 カカシがリン救出より霧隠れの忍たちの殲滅を選んだことを確認したトビラは分身へ指示を出した。

 敵はカカシたちを殺すよりも、ひたすら時間稼ぎをするような戦い方をし、トビラはそれに応えた。

 しばらくして、霧隠れの暗部たちが退いた。

 トビラはチャクラ感知をし、木ノ葉の仲間しかその場にいないことを確認した。

すると、カカシがトビラの下へ駆け寄った。

 

「トビラ! この近くに同じような後援部隊がある。俺の部下に増援を呼ばせた。ここは増援に任せて俺らはリンを……」

 

 トビラは返事せず、話している最中のカカシの肩に手を置き、マーキングしたところへ飛んだ。 

 そこには重傷者たちを守るトビラの分身体がいた。

 

「おい! ここじゃなくてリンのところに……」

「もう変化は解いて良い。連中はいなくなった」

「良かった」

 

 ボン、と音がし、リンが現れた。

 

「え?」

 

 ポカンとするカカシにトビラが説明した。

 

「安心しろ。攫わせたのはリンに変化させた俺の分身だ。頃合いを見て自爆するはずだ」

「蒸気に紛れて変化し合ったの。トビラの分身に言われてね」

 

 リンも説明に加わると、カカシは安堵と共に不満げな顔をした。

 

「なんで先に言ってくれなかったんだよ……」

「敵に囲まれているときに言ってバレたら台無しだ。カカシ、分かっているな」

「……ああ。霧隠れの暗部たちの狙いは木ノ葉の忍を一人……」

「さらに言うと、俺の分身がすり替わったということは明確にリンを狙っていたのだろう」

「リンを? なぜ?」

「それは分身が消えるまでは分からん。攫ったリンが偽物と分かればまたここに来るかもしれんが、それまでまだ時間がある」

 

 トビラたちは傷ついた仲間たちの下へ移動した。

 リンはさっそく治療を始めている。

 それを見ながらカカシとトビラは話を続けた。

 

「この戦争の最中、貴重な暗部を十人は費やして攫ったということは霧にとってこの作戦がメイン。もしかすると、ミナトが向かった前線の方が陽動かもしれん」

「なんのためにそこまでして人質を? しかもリンを……医療忍者が必要だったのか?」

「だとしたらこちらの情報が向こうに洩れているな。医療忍者のリンがここに来たタイミングを確実に狙ったことになる」

「……トビラ、さっき変なチャクラを感知したと言っていたな? 今は?」

「いない。だが、カカシの言う通り、何らかの方法でこちらの動きを見ていたと思った方がいい」

 

 トビラは話している最中にハッとした。

 

「どうした? トビラ!」

「今、俺の分身が自爆した」

 

 トビラは分身の記憶から即座に理解した。

 

――なるほど、木ノ葉の忍を三尾の人柱力にし、里で暴れさせるか。あくまで抑止力である尾獣をそんなことに使うなんて、戦争が終わった時に他里から責められるのは分かっていように……自棄になって捨て身になったか、考えなしな水影なのか、木ノ葉を無にしたいのか、それとも別の人間の策略か…………

 

 考え込むトビラをカカシが揺らした。

 

「トビラ! どうした? 向こうで何があった?」

「まず、霧隠れの暗部は俺たちを襲った以上の数、そうだな、三十人はいた。だが、俺の分身が消える前に大規模な起爆札を使ったから五人は道連れにできただろう」

「だとしても二十五人……さっきは時間稼ぎの戦い方だったからまだどうにかなったけど、ここの人員じゃキツイぞ……」

「うっ……カカシ、隊長……自分はまだ、いけます…………!」

 

 リンに治療してもらった隊員が苦し気に言った。

 

「無茶よ。この怪我、完全には治せていないんだから。トビラ、カカシ。さっきの襲撃で怪我を負った人たちは一通り治した。でも、中には私じゃ治しきれていない人もいる」

「十分だ。カカシの呼んだ増援もすぐに来る」

 

――三尾の人柱力はいたけれど、封印が緩かったな……そうしないと耐えられないのか、ここまで運ぶためにとりあえず入れた使い捨ての器か……分身の自爆で人柱力ごと死んだ可能性は高いが、確証はない。死んでいれば霧も作戦失敗で退くが、生きていれば懲りずにまたここへ来るだろう。

 

 トビラは話ながらも猛烈なスピードで頭を働かせていた。

 

――確実に連中の作戦を失敗させるとしたら、先にこちらが霧隠れの誰かに三尾を封印し、殺す。人柱力ごと死ねば次の自然発生まで時間ができる。

 

 方針を決めたトビラはカカシを向いた。

 

「カカシ、霧隠れの狙いは三尾という膨大なチャクラの塊を木ノ葉の忍に入れ、里に帰らせ暴走させることだ。俺の分身が爆破したことで、三尾ごと死んだ可能性があるが、そうでなかった場合は……」

「またここに来て誰かを攫うってことか。襲撃に備えてここで待ち伏せするしかないな」

「今なら俺が単独で向こうのアジトに乗り込むのも手だ。混乱状態だから連携を崩しやすい」

「……飛雷神で行く気?」

「あいにく、マーキングも岩の中だ。しかも、俺の分身は目隠しをされた状態で連れて行かれたから道筋も定かじゃない。匂いで辿ることになる」

「なるほどね。口寄せの術!」

 

 ポン、と音がしてパグ犬が現れた。

 

「匂いを辿るのはパックンに任せよう」

「ああ。カカシ、俺の班員はお前に任せる。それと、増援もこちらへ近づいている。ここの指揮を頼む」

 

 頷いたカカシはパグ犬にお願いをした。

 

「パックン、トビラの指示に従ってくれ」

「トビラ? そっちの黒頭巾の坊主か。何の用じゃ」

「俺の分身の匂いを辿ってほしい」

「お主の分身の匂い? 一番匂いが濃い奴がいるのに追うってのはなぁ……」

「できないか?」

「ワシを可愛いワンちゃんだとバカにすんじゃない。来い」

「可愛いワンちゃんなんて言っていない」

 

 トビラの素朴なツッコミは無視された。

 気を取り直し、トビラは駆けだすパックンの後を追いながら考えた。

 

――さっき殺した霧隠れの忍の生体情報は入手してある。木の葉の者たちの目がないから穢土転生も可能だ。生きのこった霧の忍を使って穢土転生し、更なる計画が無いか確認するか。そしてこんなことをした目的も。

 

 木々を飛び越えながらこれからの動きを考えていると、パックンが「おい!」と声をかけて来た。

 

「どうした?」

「急にお主の匂いにかなり似た何かが出て来た。じゃが、別の変な匂いもするな」

「俺の匂いにかなり似た何か? それはどちらの方向だ」

「今探っておるところだ! む……ワシらと同じ方向だぞ! こちらへ向かって来ておる!」

「ならこのまま進み、待ち伏せる。もし霧隠れの忍ならちょうどいい。捕まえる」

 

――俺を運んで匂いが移った霧隠れの忍か? だとしたらかなり似た、という表現が気になるが……

 

 トビラは困惑しながらもパックンが示したポイントに簡易的な罠を仕掛けた。

 かくして、その人物が現れた。

 

「なっ……!」

 

――どうしてここに?!

 

「止まれ!」

 

 トビラは大胆にもその人物の正面に飛び出た。

 

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