これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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マダラ死す

 

 ミナトたちから一旦離れたトビラが飛雷神で飛んだ先、そこは地下の洞窟のような場所だった。

 暗い場所だ。

 

「ワァ! 本当にマダラの言う通りに来たネ!」

「帰ってくるのがオビトではなく弟の方とはな……いや、オビトの弟ではないな」

 

 飛んだ瞬間にトビラは会話する二人から距離を取った。

 片方はオビトが「グルグル」と呼んだ白い人造体、そしてもう片方は木に繋がれて座る老人。

 

「マーキングは変えても姑息なやり口は昔のままだ。扉間」

 

 老人は写輪眼を輝かせながら言った。

 その手にはトビラがグルグルの尻に刺したマーキング付きクナイが。

 トビラは返事をせず、すかさずグルグルに新たなクナイを投げた。

 

「ウワー!」

 

 トビラのクナイがグルグルの額に命中し、クナイについていた起爆札が爆発した。

 霧散するグルグルの破片をトビラも老人も気にしなかった。

 向かい合う二人。

 片方は二つ巴の写輪眼で睨む少年、もう片方は万華鏡写輪眼で笑む老人。

 

「まさか、うちは嫌いのお前がうちはになろうとは」

「貴様こそ本当に生きておったのだな、マダラ」

 

 少年の口から出たのは老成した忍の言葉だった。

 どちらも武器を構えていないのに、チャクラの圧には殺気が籠っていた。

 

「勝者だけの世界とやらを作るつもりだったらしいな」

「フン。オビトから聞いたか……弟に貴様が入っていなければアイツもここへ帰って来たというのに……この世界の絶望に気づき、俺に感謝するはずだった」

 

 老人の言葉に少年の殺気が強まった。

 

「マダラ! そこまで堕ちたか……!」

「クックック……どの口が言う、扉間。貴様は侵してはいけない領域を踏みにじった…………柱間が作った不完全な世界を守るために……そこまで狂うなんてな……」

「世迷言を。長年の地下生活で益々狂ったのは貴様の方だ」

 

 少年がクナイを構えると、老人は笑った。

 

「俺を殺して穢土転生でもする気か? ククク……やってみるがいい。今度は止める柱間もいないのだからな」

「…………」

「貴様が俺の死体を残したおかげでここまで来れた……あと少しで俺の思い描く世界となる」

「そんな日は二度と来ない。貴様の時代はもう終わりだ、マダラ」

「さあ……それはどうかな」

 

 老人の万華鏡写輪眼が光った。

 常に写輪眼を警戒していた少年は老人と目を合わせず、幻術から逃れた。

 さらに、複数のクナイを老人に向けて殺到させた。

 

「火遁・鳳仙火の術!」

 

 加えて少年の口から複数の火の玉が老人へ飛んだ。

 最低限の動きでクナイを躱した老人は笑みを崩さずに印を組んだ。

 

「所詮は偽物のうちは……その程度か。火遁・豪火球の術!」

 

 老人から放たれた炎は、火の玉たちも一直線にマダラへ駆け寄る少年も飲み込んだ。

 瞬間、カキン! と金属音が地下に響いた。

 

「やはり姑息な手は変わっていないな、扉間」

 

 火炎に紛れて目前まで飛雷神で飛んだ少年の攻撃を老人は手にしていたクナイで受け止めた。

 老人は少年が来ることを分かっていて、元々グルグルに刺さっていたマーキング付きクナイを持ち続けていた。

 

「目くらましと共に飛雷神で肉薄する……見飽きた手だ」

「それは残念だ」

 

 クナイ同士が拮抗した状態で少年は口を膨らませた。

 

――天泣!

 

 少年の口から針が飛び出て、老人の眼前に迫った。

 当然、老人は首を傾け避けたが、少年はニヤリと笑った。

 

 バサッと物音がした。

 振り返るマダラが目にしたのは、魔像と己を繋ぐ管を断ち切る少年の姿だった。

 そしてその少年はボン、と煙と共に消えた。

 

「影分身…………そうか。鳳仙火に紛れて出していたのか」

「貴様の豪火球がちょうどよい目くらましになった」

 

 老人の背後に転がっていたのは、グルグルを爆破させる時に使ったクナイ。

 そこにもマーキングがついていたため、少年の影分身はそれに向けて飛んだようだった。

 

「魔像とやらのチャクラがなければ貴様は死ぬらしいな。これでおさらばだ」

 

 少年の言葉通り、バタリと老人が地面へと倒れた。

 ゼイゼイと吐く荒い息が、命が尽きる音となった。

 だが、マダラは決して笑みを崩そうとはしなかった。

 

「…………扉間……今のお前を柱間が見たら……どう思うんだろうなァ?」

 

 老人の呪いのような最期の言葉。

 少年は死体となったうちはマダラをただ見下ろし、聞き流した。

 三つ巴の赤い写輪眼が暗い地下で怪しく光っていた。

 

 

 

 

 

 トビラに渡しておいたクナイを元に飛雷神で飛んできたミナトが一番に見たものは燃え焼けた死体だった。

 炎よりも鮮明に輝く赤い瞳。

トビラが傍らにいた。

 

「トビラ、ここは?」

「兄さんが監禁されていた地下だ」

「この死体は……うちはマダラなのか?」

「ああ。軽い戦闘になり火遁で燃やした。こやつはこの魔像とやらが無ければ生きられない身体。チャクラはほとんど消費してしまったが、造作は無かった」

「深追いは厳禁、アジトを探るだけと言ったはずだよね?」

「失念していた」

 

 白々しく言うトビラをミナトは注意深く見つめている。

トビラは話を逸らすように尋ねた。

 

「霧の忍たちはどうなった?」

「襲撃することなく撤退したよ。三尾が人柱力ごと死んだらしい。それで慌てて撤退したとか」

「そうか……あの爆発で死んだのか」

 

――ひとまずは時間が稼げた、というところだな。霧隠れも無謀な作戦には出られないはずだ。

 

 嘆息するトビラにミナトは続けた。

 

「霧隠れは尾獣を失い、五大国のパワーバランスは崩れただろうね。強硬な雲隠れや抜け目ない岩隠れが台頭しないといいが」

「ああ。そもそも霧はリンを三尾の人柱力にして暴走させるという捨て身の作戦に出るほど切羽詰まっていた。これ以上に攻めると次は何をするか分からん」

「火影様にはその懸念も含めて報告しよう。きっと戦争を終わらせる方向で話をつけてくれるはずだ」

 

 燃え盛るマダラの死体から片時も目を離さないトビラ。

 ミナトはそんな彼から魔像の方へ目を向けた。

 

「オビトから聞いたけれど、これが魔像だね……初代火影の細胞が関わっているとか」

「そうらしいな。厳重に管理し、里で調べた方が良さそうだ」

 

 ミナトは床に落ちていたクナイに気づき、それを拾った。

 

「ん! トビラ、君のクナイかな?」

「ああ、そうだ」

「マーキングがついているね。いつの間に飛雷神を?」

「貴様が使うのを見て学んだ」

 

 それはグルグルに刺したクナイだった。

 トビラが手を出して受け取ろうとするのに、ミナトは渡さない。

 そして彼は言った。

 

「あなたは一体、何者だ?」

 

 クナイを持っていない方の手はトビラからは見えない。

 螺旋丸を用意しているのか、ミナト自身のクナイを握っているのか、トビラは複数のパターンを推測しながら答えた。

 

「うちはトビラ、貴様の班員である兄さんの弟で木ノ葉隠れの忍だ。今更なぜ尋ねる」

「…………飛雷神は見ただけで使えるほど簡単な術ではない。いや、見えていない部分にこそ極意のある術だ」

「…………」

 

 トビラは黙り、ミナトは口を開く。

 

「それに人柱力や尾獣バランスのことをどこで知った? これは里の中でも機密情報に当たる。いくら物知りな君でも知っているはずがない」

「…………」

「うちはマダラを前にして動揺していたようだな。君らしくないね、トビラ……いや。二代目火影、千手扉間様」

 

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