これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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蛇の狙い

 

「貴様……どうしてこの部屋に入っている?」

「フフフ……可愛い教え子の兄が生還したんだからお見舞いに来たっていいでしょう」

 

 部屋に入った大蛇丸は警戒するトビラをさして気にせず飄々と言った。

 

「え? わざわざ俺の見舞いに? なんだよ、大蛇丸さんも意外といいとこあるんじゃん!」

 

 素直に喜ぶオビトに大蛇丸はますます笑みを深めた。

 トビラは兄に警戒するよう言おうとしたが、それより先にオビトが「あ!」と大声を出した。

 

「そういや前に会ったとき、色々言ってくれたよなぁ! 見ろよ! 前はアカデミー卒業すらしてなかったけど、今は俺、中忍になったんだぜ! 写輪眼だって開眼したしよ!」

「兄さん!」

 

 オビトにとって大蛇丸は弟の師だ。

そのため、あっさりと警戒を解いてしまった。

 

「綱手様から何か聞いてここに来たのですか?」

 

 シズネも大蛇丸は三忍の一人という認識の為、困惑しているのみだ。

 唯一、トビラだけは警戒心をあらわに大蛇丸と対峙した。

 

「兄さんに何の用だ。今すぐここを出ていけ。すぐ綱手が来るぞ」

「久しぶりの再会だというのに、えらく冷たいのね……トビラ君。あなたのお兄さん、面白い身体になったわねぇ……いったいどこで手に入れたのかしら、それ」

「兄さん、言うなよ」

「わ、分かってるよ……」

 

 さすがにオビトも柱間細胞のことまで言おうとはしなかった。

 それに、思っていた以上に険悪な弟とその師の関係に驚いてもいた。

 

「なあトビラ……どうしたんだよ、お前。そんなにお師匠さんと仲悪くなっちまったのか?」

「ハァ……この部屋は綱手が幻術と結界で立ち入れなくしておいた特製の場だ。それを潜り抜けて来た時点で何かあると思っていい」

「トビラも勝手に入っていたじゃねーか」

「俺はあとで顔を出すと伝えてある。だが、あやつは綱手の許可を得ていない」

「フフ……綱手も迂闊ね。やり方がスリーマンセルを組んでいたころと変わっていないもの……戦線から退いて勘が鈍っているんでしょうねぇ……」

 

 大蛇丸の蛇のような目はトビラではなくオビトに向いている。

 こんなに視線を受けることが初めてなオビトはゾゾゾ、と悪寒がわいた。

 

「なに見てんだよ! 気持ち悪ぃなぁ! お前が気に入ってんのはトビラだろ! 見る方、間違ってっぞ!」

「今そそるのはむしろあなたの方よ、オビト君。まさか平凡だったあなたがここまでの逸材となるとはねぇ……」

「逸材? へへ、まあ写輪眼を開眼した俺はこれからもっと強く」

「違うわ。その半身よ。…………拒否反応もなくそこまで適合するなんて…………!」

 

 興奮を隠さない大蛇丸に益々ゾゾゾ、となるオビト。

 あまり面識のない師の同士の異様さに気づき始めたシズネ。

 オビトの半身に注目する大蛇丸に違和感を抱くトビラ。

 

――あやつ……兄者の細胞のことを知っているのか?

 

 トビラの警戒に疑念が混ざった。

 

「オビト君、確かあなたは火影になりたいなんてほざいていたわね。さらに強くなる方法を知りたいんじゃない?」

「そ、そりゃあ、里を守れるぐらいに強くはなりてーよ……」

「なら、私のところへおいでなさい。その半身を活かす方法、教えてあげるわ」

「大蛇丸さんは俺の身体がなんなのか……知ってんのか?」

 

 オビトは驚いた。

 すると、大蛇丸は舌なめずりをしながら答えた。

 

「ええ……私はあらゆる術を研究する者……医療忍者の綱手すらも知らない領域にも踏み込んでいるのよ……どうせ綱手は何も分かっちゃいないんでしょう?」

「綱手様なら調べればすぐに分かります! 勝手なこと言わないでください!」

 

 師匠のことを言われたため、シズネがすぐ反応した。

 

「血が怖くて見られないんじゃ調べることもできないでしょうに」

「なっ?! どうしてそれをっ?!」

「綱手のことはあなた以上に知っているわよ……三忍の一人である私の方がね……」

 

 蛇のように目を細めて笑う大蛇丸にシズネは悔し気だ。

 トビラは彼らの会話を聞いて確信した。

 

――大蛇丸め……兄者の細胞の研究を独自に進めているようだな。サルもあずかり知らぬ場所で。どうせロクなことをしていない。

 

 大蛇丸が印を構えた。

 

「さあ、オビト君。私と一緒にいらっしゃい」

「そういうセリフは可愛い姉ちゃんに言うもんだぞ、大蛇丸」

 

 背後から話しかけられた大蛇丸はつまらなそうに振り返りながら腕を下ろした。

 新たに扉から入って来たのは白髪のデカいおっさん。

 さらに、息を切らした綱手が駆け付けた。

 

「大蛇丸! 私の結界を破るなんて何のつもりだ?!」

「ふふ……元気そうね、綱手。引きこもるのは止めたのかしら」

「黙れ! 今すぐここから出ていけ!」

「ずいぶんと焦っているじゃない。それだけあの子は隠さなきゃいけない存在なのかしら」

「お前には関係ない! 出て行かないなら殴るぞ!」

 

 さっそく拳を作り始める綱手に大蛇丸は言った。

 

「やめておきなさい。殴った拍子に私が血を流すかもしれないわよ。ガタガタ震える情けない姿、可愛い弟子には見せたくないでしょう」

「大蛇丸!」

 

 すかさず白髪のデカいおっさんが鋭い声を出した。

 大蛇丸はなおもつまらなそうだ。

 

「アンタこそどうしてここにいるのよ、自来也」

「ワシはちょうど綱手と会って少し話をしていただけだ。そしたら急に焦り始めたから何かあると思ってな……大蛇丸。お前なら分かっておるだろう。綱手なら侵入者にすぐ気づくと。それなのに何故、わざわざこの部屋に入った?」

 

 自来也は尋ねながらもチラリとオビトの方を見、その異形さに顔をしかめた。

 大蛇丸もその様子を見てせせら笑った。

 

「才能の無いアンタじゃあ分からないわよ……彼の真価を……」

「確かにワシの知らんガキだ。けど、ありゃあ綱手の患者だろう? まさか大蛇丸、お主まで医療忍者にでもなったつもりか?」

「あの子に必要なのは医療忍者じゃないわ。研究者よ。私のように優秀なね」

「大蛇丸……貴様、何を企んでいる」

 

 自来也がギロリと大蛇丸を睨んだ。

 綱手も睨みながら吠えた。

 

「あの子供はただの患者じゃない。もし手を出す気なら三代目も敵に回すと思え!」

「猿飛先生が……? よりによってアンタに任せたって言うの? フフ……意味の無いことを」

「意味が無いかどうかはお前さんが決めることじゃねぇだろう、大蛇丸」

 

 大蛇丸は笑みを保ったまま言った。

 

「まったく、興が削がれたわ。綱手だけじゃなくてアンタまで里に帰っていたなんてねぇ」

「久しぶりの再会を喜ぶ暇もねぇのが俺たちらしいじゃねぇか」

「フン、再会を喜ぶなんて柄じゃないでしょう、私たちは。…………オビト君。私はいつでも歓迎するわよ。弟を守るために必要なのは力よ」

 

 捨て台詞と共に大蛇丸はドロン、と消えた。

 

「クソッ!」

 

 怒りのままに綱手が殴った壁にメキメキっと亀裂が走った。

 

「相変わらずのバカ力じゃのお……さぁて、ワシはまた酒を飲みにでも行こうかな。どれ、綱手。お前も来るか?」

「大蛇丸のバカが来たばっかりだっていうのに行くわけないだろう! あの野郎、何を考えていやがる……!」

「アイツの考えることなんざ昔から分かったことは無かっただろ。ただ、無駄なことをする奴じゃない。用心しておけ。じゃあの」

「なあ、待てよ! おっさん!」

 

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