これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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弟子と師たち

 まだ日が昇っていないころ、トビラはむくりと起き上がった。

 隣では祖母の寝息がスースーと聞こえる。

 暗闇の中、彼女の呼吸がまだ続いていることを確認したトビラは仕度を済ませ、家を出た。

 

「ワシも共に行こう、トビラよ」

 

 トビラに声をかけたのは三代目だ。

 暗部の気配もする。

 

「なぜここに?」

「自来也より大蛇丸が動いたことを聞いた時点でお主も動くことは予想できておった。なに、お主の祖母のことは暗部に見張らせておく。あやつが情報を求め、尋問でもしたら困るからの」

 

 申し出をありがたく受け入れたトビラは三代目と共に大蛇丸の研究室へと向かった。

 罠が仕掛けられていると想定していたトビラが拍子抜けするぐらいにあっさりと研究室へ入れた。

 

「地下に入ってすぐの空間はダミーだ。本命の実験場はこの奥にある」

 

 松明の炎がないため暗いが、トビラの写輪眼を使えばチャクラのある場所がはっきりと分かった。

 そして、そのチャクラが兄者柱間に、そしてオビトの半身に似ていることも。

 トビラが先導してたどり着いたそこは、大蛇丸に案内された研究室よりもさらにどんよりとした空気の漂う場所だった。

 

「この部屋だけ松明の要らないような作りになっているな……それだけ重要な場所ということか」

「なんと禍々しい場所じゃ……!」

 

 部屋には複数の手術台、実験体を固定する鎖、柱間細胞を厳重に保管したケース、他にも実験に必要なものが置かれていた。

 ふと、トビラは手術台の下に落ちていた物に気づき、拾った。

 それは人の腕だった。

 

「この手の大きさ……子供のものだ。切り口からしてだいぶ痛めつけられている」

「子供のっ?! まさか警務部隊より報告を受けていた孤児の行方不明事件は……」

「捨て忘れでもありましたか? お察しの通り、柱間細胞の実験に使っていたんですよ。猿飛先生」

 

 トビラと三代目が振り向くと、部屋の入り口に大蛇丸が立っていた。

 三代目が吠えた。

 

「なんということじゃ! 大蛇丸っ……お主、里の子供たちを使って実験していたのか……!」

「あなたもかつてしていたことでしょう?」

 

 大蛇丸は不吉に笑った。

 

「かつての実験のことまで知っておったかっ……じゃが、かつての実験であっても対象は大人であり、それも皆の同意を得た上じゃった! お主のように年端のゆかぬ子を攫って実験に使うなぞ、断じて許されることではない! そもそも、柱間様の細胞研究は禁術に指定してある!」

 

 三代目の言葉に大蛇丸は益々笑った。

 

「ククククク……っ! 同意を得た? 結局は実験体として犬死にしたことに変わりはありませんよ……」

「火影が命令して行ったのであれば里の意向となる。だが、火影に隠れて行った場合、それは貴様が己の欲のままに殺したようなものだ。里に所属している以上、実験の内容云々ではなく、そこに義があるかどうかが問題だろう」

「あなたには言われたくないですねぇ」

 

 大蛇丸の目がトビラに向いた。

 

「あらゆる禁術を生み出し、そして私が望んだ究極の術をすでに会得し、使っていた二代目火影様にはね」

「貴様は急に何を言う」

「オビト君を連れ帰って来たのはミナトじゃないでしょう。あなたですよね? 二代目……」

 

 トビラの言葉を封殺するように大蛇丸が畳みかけた。

 

「彼の心臓に埋め込まれた呪印札に対抗する札を貼ったのもね……元々貼られていたのは穢土転生にも使われていたもの。それを知り、打ち消す札を書けるのは開発者ぐらいしかいないでしょうねぇ……二代目火影様ぐらいしか」

「…………何を言っているのか俺には理解できないな」

「ククク……しらばっくれても無駄ですよ。秘密を守りたいのなら白眼遣いの口はきちんと封じておくべきでしたね。多少手間取ったけれど、色々と聞きだせたおかげでこの結論を導き出せたのだから……」

 

 大蛇丸の言い方に三代目が咎めた。

 

「大蛇丸! 日向の者に何をした!」

「ちょっと話を聞いただけですよ、猿飛先生。それよりもその様子だと随分前からご存知だったようですねぇ。かつての師がうちはの子供として転生を果たしていたことを」

「…………お主が何を思っておるのかは知らぬが、この子はうちはトビラじゃ」

「それと同時に千手扉間でもある。そうでしょう? 穢土転生で使う札を知っている時点で言い逃れはできませんよ」

「そもそも貴様が穢土転生の札も知っていること自体がおかしいのだがな。よほど禁術が好きなようだ」

 

 観念したトビラはしかめ面のまま言った。

 

「どうせ貴様も俺がわざとこの身体に入り込んだと思っているのだろう? だが、これは俺もあずかり知らぬことだ」

「白々しいお言葉ですこと……うちはを追い込むだけでは飽き足らず、ご自分の手で族滅させるつもりなのでしょう」

「大蛇丸。俺はうちはを追い込んだ覚えはない。貴様、なにか勘違いしておる」

「そうですか? あなたの政策がうちはを犯罪者と同じ場所に封じ込めている。そして犯罪を取り締まる者は時として嫌われ者となりやすい……さらには取り締まる側を思い上がらせることにもなる……だからこそ少しのことで信頼は揺らぐ。今も警務部に批判が集まり始めているように」

 

 笑う大蛇丸に三代目が言った。

 

「大蛇丸! それはお主がした孤児の誘拐事件が発端! なにをいけしゃあしゃあと!」

「うちはの目をかいくぐる……そう難しいことでもありませんでしたよ。連中が守りたいのは一族の誇りだけ……孤児なんてそもそも戦時じゃ犬猫と同じようなものですから本気で守ろうとは思ってないんでしょうねぇ」

「それは貴様の決めつけだ。が、どうやら俺が言葉を尽くしてもその決めつけを変える気はないようだな。なら、現時点ではそのままでいい。それよりもここでの実験について聞く必要がある」

 

 トビラは三代目に尋ねた。

 

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