これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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短編「ミナト外伝を買えるのは今だけ!」をそのままくっつけたので内容は同じです。
ミナトが下忍になってすぐぐらいの時系列です。


(番外編)ミナトと自来也と時々ガマ

 波風ミナトは待っていた。

 目を輝かせてこれから来るであろう人物を待っていた。

 

「よぉ、ミナト。待たせたな」

「自来也先生! 今日はよろしくお願いします!」

 

 今日は待ちに待った修業の日だ。

 自来也が担当上忍になったその日から毎日ひたすらに頼み続け、ようやく取り付けた特別な時間。

 やる気満々なミナトに対し、自来也は半目でダルそうだ。

 

「ハァ~……これがボインな姉ちゃんならなぁ……せめて女なら張り合いも少しはあるってーのに」

 

 そう、自来也は元々やる気なんて無かった。

 いくら担当上忍になったとは言え、時間は有限。

 何が楽しくて自由時間を男と過ごさねばならんのか。

 

「おいミナトよ。確かにお前さんの修業を見てやるとは言った。けどな、この自来也様の時間をもらうんだから当然、礼は用意しているだろうな?」

「はい! 事前に言われていたので用意してきました!」

「おお! 準備がいいのぉ! よし! 先に見せてみろ!」

 

 しつこく頼んでくるミナトの押しに負けた自来也は約束を取り付ける時に言っておいたことがあった。

 自来也のテンションが上がるような礼を用意しておけ、と。

 大きければ大きいほど良い、と。

 つまりボインな姉ちゃんが載った悩殺エロ本を貢げ、という意味だ。

 この約束を取り付けた時はたまたま綱手が近くにいたため言葉を濁して伝えるしかなかったが、どうやらミナトは理解していたらしい。

 

 ミナトは班員の中でも特に気が利く。

 そんな奴が持って来たエロ本はいかほどなものか。

 ワクワクして待つ自来也にミナトは懐からあるものを出して見せた。

 

「はい! この里で一番大きなカエルです!」

「ゲコッ」

 

 挨拶したのは両手に乗るほどのカエルだ。

 ミナトに捕まえられたのが不服なようでふてぶてしい顔で自来也を睨んでいる。

 

「なんじゃコイツはーーー!」

「ええ?! 自来也先生がお好きなものを……大きければ大きいほど良いと言っていたじゃないですか」

「だからそれがどうしてこんな可愛くないデブガエルになるんだ!」

「だって自来也先生は蝦蟇仙人とも呼ばれるほどのお人……ですから先生がお好きなカエルを……」

「ワシは蝦蟇が好きで呼んでるわけじゃねー!」

「ええーーー?!」

 

 唐突なカミングアウトに驚くミナトに自来也は目を尖らせた。

 

「エロ本がないなら修行も無しだ。ワシは忙しいんだ。帰る」

「ゲコ!」

 

 自来也に呼応したようにデブガエルもぴょんっとミナトの手から逃げて水辺へといなくなってしまった。

 

「ああ! せっかく捕まえた光輪木ノ葉巨漢蝦蟇式が!」

「お前……ネーミングセンスねーの。そもそも、あれのどこが里一番の大きなカエルだって? ガキの頃のガマブン太より小せーじゃねーか」

「ガマブン太とは先生が口寄せする蝦蟇の名前ですか?」

「ん? ああ、そういやまだ見せたことが無かったな。なるほど、なるほど……それでそこら辺に転がっているデブガエルを捕まえて一番デカいなんて言ったわけか……」

 

 自来也は気まぐれに親指を噛み、印を結んだ。

 

「いいか、ミナト。ドデカいカエルを連れて来るならこんぐれーは呼んでみやがれ!」

 

――口寄せの術!

 

 ドン、と煙を立てて現れたのは二人がいた演習場をいっぱいにしてしまうぐらいに大きな蝦蟇だ。

 

「おい自来也! 何の用だ! この俺様を呼んだんだ。まさかくだらねー用じゃねーだろうなァ?」

「ブン太……おめーさんは会うたびに態度も身体もデカくなりおって……たまには戦場以外で会うのも良いじゃないか」

「ハッ! 俺もお前もそんなガラじゃねーだろうが……ん? なんだそこのアホ面は」

 

 ブン太が見下ろしたのはポカンと大口を開けているミナトだ。

 ガマの頭の上に乗っていた自来也が答えた。

 

「ワシが担当上忍をしている下忍だ。名前はミナト」

「珍しいな。お前が男の世話を見ているなんて」

「仕方ねーだろう。三代目のジジイめ、可愛い女の子は綱手に任せてワシには男の下忍ばっかりまわしてくるんだからな」

「ガハハ! 助平にゃ任せられねーってことだ!」

 

 愉快に笑うブン太にムッとしつつも自来也は尋ねた。

 

「そういやブン太よ。大蝦蟇仙人様の様子はどうだ? なにか新しい予言をしたとかは……」

「なんもねーよ。もしお前に関わる予言が出たら爺さんたちがすぐに呼ぶ」

「まあ、それもそうか」

 

 話していた自来也達に向かってミナトが声を張り上げた。

 

「自来也先生! 今の印を結べば俺も口寄せの術ができますか?!」

「たわけぇ! そんな簡単にできてたまるかぁ!」

「その蝦蟇は……ガマブン太さんは一体どこから口寄せしたんですか? 里の中にはいませんでしたよね?」

「タダで教えるわけねーだろうがー! 今度こそエロ本を持ってこい!」

「ですが先生、僕は未成年なのでそういった本は買えませんよ」

「なら修行も無しだ!」

 

 言い合う二人にブン太は呆れ顔。

 

「くだらねーやり取りしてんなら俺ぁ帰るぞ。ああ、そうだ自来也。たまには妙木山に来いってフカサク様たちが言っていたぜ。お前、仙人モードを使いこなせてねーんだろう」

「しかしのぉ、あれをやると女の子にモテねーからなぁ……」

「妙木山ってところにいるんですかー?」

 

 しっかりブン太の言葉を聞いていたミナトが下から尋ねると、自来也はハッとした。

 

「おいバカ! もう少し勿体ぶってから言おうと思ったのに口を滑らせおって!」

「ケッ! 知るか! じゃあな!」

 

 逃げるようにドロンと姿を消した蝦蟇。

 そして残されたのは自来也とミナト。

 少年の目は先ほど以上にキラキラと輝いていた。

 

「自来也先生! あれが口寄せの術なんですね! まさかあんなに大きな蝦蟇だとは!」

「タダでここまで見せてやったのは初めてだがな」

「先生。初めに親指を噛んで血を出していましたが口寄せには血が必要なのでしょうか?」

「ほぉ、勘が良いの。お前さんの考える通り、血で契約をした者しか呼び寄せることはできん。蝦蟇たちは契約の巻物があってだな、それに名を書けば契約成立。妙木山の蝦蟇を口寄せできるってわけだ」

「先生と同じ三忍の綱手様は蛞蝓、大蛇丸様は蛇を従えていると聞いたことがあります。あの方たちも血で契約しているのでしょうか?」

「さあな。アイツらがどんな条件で口寄せ契約をしているのかは知らねーがそう違いはないだろう……ハッ! しまった! またタダで教えちまった!」

 

 一を聞いて十を知るミナトの質問についつい乗せられ答えてしまった自来也は渋い顔をした。

 が、ここで答えなければそれはそれでしつこく聞かれるのは予想が出来る。

 なんと言ったってミナトは修行の約束を取り付けるまでとにかく諦めなかったのだから。

 

「ハァ~……なんかアホらしくなってきたの。よし、ミナト。ついて来い。まずは人として大切なことを教えてやる」

「はい!」

 

 このままだとミナトのペースに乗せられてしまう。

 そう察した自来也は修行から逃げるのをやめ、ミナトを目的の場所へ連れて行くことにした。

 そう、女湯が覗ける絶好のポイントへと。

 

「自来也先生、これはなんの修行でしょうか?」

「そんなことよりも見てみろ! ここで待ってりゃあそれはもう見事な景色が見れるんだからのぉ!」

「止めておいた方がいいですよ。確か前も綱手様に殺されかけていましたよね」

「だからアイツのいない場所を狙っているんだろうが! お前、ちと面白みに欠けるぞ。好いたおなごの覗きがしたいとか思わねーのか?」

「……クシナの?! まさかこの風呂にクシナが?! 先生、見ちゃダメです!」

「うわっバカ! 騒ぐな! バレるだろうが!」

 

 自来也が慌てて注意するも遅かった。

 

「キャーーーー!!」

 

 女湯を覗く不審な人物たちに気づいた中の者が悲鳴を上げた。

 

「コラーーー! 誰だーーー!!」

 

 気づいた番台が風呂屋から飛び出てきた。

 

「こうなったらミナトを囮にして逃げるしかあるまい」

 

 自来也は瞬身の術を使ってミナトを置き去りにした。

 つもりだった。

 

「コラ! お前、ここはワシの代わりに捕まれ!」

「無理です!」

 

 元々できていたのか、それとも緊急事態になって突発的にできるようになったのか、ともかくミナトは置いて行かれることも無く、自来也とともに逃げ切った。

 本当はかなり早い段階で番台から逃げ切っていたのだが、自来也はむしろミナトを撒こうとしていた。

 だが、どこまでも諦めずに食らいつくミナトに結局根負けすることに。

 

「ミナト……オメー、優しげな顔の割にはしつこい奴だな」

「ん! それは褒め言葉ですか?」

「男を褒めてたまるかっての……ハァ~……」

 

 そうして自来也がミナトの修業を見る日は増えていった。

 どんな無理難題も諦めずに立ち向かう弟子の姿勢を自来也も嫌うはずがなく、次第にミナトが使える技はどんどん増えていき、ついにはガマブン太との再会も果たすこととなった。

 さらには妙木山に呼び寄せられ、仙人モードの訓練まですることに。

 

「ガッハッハッハッハ! さすがのお前もワシのように仙人モードを使いこなすまではいかなかったか!」

「なに言ってんだい! 自来也ちゃんだって完全にできているとは言えんでしょうに!」

「まあまあ、母ちゃん。言わせてやりなさいな。ミナトちゃんはなんでも出来る子じゃからの。少しぐらい自来也ちゃんの方が得意なことが無いと師としての面子が立たないんだから」

「フカサク様! まるでワシがなんでも出来ないみたいな言い方じゃありませんか!」

 

 仙人モードは蝦蟇のシマとフカサク夫婦の協力を得て出来るものなのだが、ミナトは自来也ほどには使いこなせなかった。

 

「自来也先生のような戦い方はできないようですから、自分なりの戦い方を模索するしかありませんね……」

 

 悔しさをにじませつつもその事実を受け入れるミナトをシマは慰めた。

 

「かなり使いこなせる自来也ちゃんですら少し蝦蟇化しちまうんだ。自来也ちゃんはともかく、そんな姿になっちまったらミナトちゃんの好きな女の子も逃げちまうからこれはこれでいいのかもしれんよ」

「おいワシはともかくってなんですか!」

「ギャーギャーうっさい!」

「ギャー!」

 

 殴る蝦蟇たちと悲鳴を上げて師匠が騒ぐ中、ミナトは照れたように頬をかいた。

 

「でも、クシナならどんな俺でも受け入れてくれそうな気がするんですよね……っていうのは自惚れ過ぎかもしれませんが……」

 

 無自覚に惚気た弟子に目を吊り上げるのは自来也。

 

「おめー! カエルになるまで修行しやがれーーー!」

「ええ?! それは困ります!」

 

 さすがにカエルにはならなかったものの、ミナトは自来也のギャーギャー騒ぎに巻き込まれながらも修行を続け、妙木山の蝦蟇たちとの絆も深めていったのだった。

 

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