サクモがマダラに肉薄し、チャクラ刀を振り下ろす。
首に迫る刃を軽々と避けたマダラだが、腕への攻撃までは避けきれず、片腕が切り落とされた。
塵芥が集まろうとするが、その前にさらなる攻撃が腕へ集中する。
「なるほど。俺の腕を再生させない気だな」
目にもとまらぬスピードで振り下ろされ続ける刃。
マダラは避けながらも自らの腕から舞う塵に気づいた。
――精度の低い転生体では避けきれんか……!
サクモは大ダメージを狙わず、小さなダメージを積み重ねる攻撃の仕方をしていた。
再生の前に攻撃を繰り返すことでマダラの腕は元に戻らない。
――これで術を封じ込めているということか……コイツめっ……!
マダラは大蛇丸の研究室から勝手に持ち出したクナイでサクモのチャクラ刀を受け流そうとした。
だが、だんだんその刃先が削れていく。
サクモはマダラの腕に加えてクナイにもダメージを与えていた。
「その動きにチャクラ刀……侍がなぜ木の葉の額当てをしている?」
「俺は侍じゃない。木の葉の忍だ」
サクモは攻撃の手を緩めず答えた。
追い詰められているはずのマダラは心底楽しそうだ。
「そういえば……里システムが成立したころ、かなりの侍が忍に鞍替えしたようだな。お前もその口か」
「…………」
「忍とは言いつつ、お前の戦い方は侍そのもの……どっちつかずの半端者だな。忠義を失った侍の多くが金になびいたとは聞いていたが、木ノ葉にもいたのか」
「……確かに俺は忍として生まれたわけじゃない。けど、俺は忍として死ぬことを選んだ。俺の信念の為に!」
とうとう、マダラが持っていたクナイの刃先が完全に砕かれ、さらに残っていた片腕も切り落とされた。
「チャクラ刀一本で俺の両腕を落とすか。大した奴だ。が、熱くなりすぎたな」
マダラが攻撃を避けながらたどり着いたそこは木々の茂った場所だった。
――火遁・灰塵隠れの術
マダラの口からでた高熱の炎が一気に周囲を巻き込み、猛烈に燃え上がった。
穢土転生体のマダラはともかく、生身のサクモはこのままでは大やけどを覆ってしまう。
だが。
「「水遁・水陣壁!」」
重なる二人の声がサクモを守る水壁を出し、炎を打ち消した。
「研究室のそばで嫌な気配がすると思ったらまさか本当に復活したなんてね……」
「お前がみすみすオビトに研究データを盗まれたからだろうが!」
駆け付けたのは大蛇丸と自来也だ。
「サクモさん! ワシらも今そっちに行く!」
周囲に立ち込める蒸気の中、サクモはマダラに斬りかかりながら答えた。
「いや、加勢はトビラ君の方へ頼む! 向こうにうちはマダラを生き返らせた術者がいる! 共に説得を!」
「それならもう適任が行っておる!」
「弟子を止めるのにうってつけな人選をね……」
蒸気の中のサクモには見えていないが、ミナト、カカシ、リン、シズネ、綱手がオビトの方へ向かっていた。
「オビト!」
息子の声、さらにミナトの声が聞こえたサクモはほっと息を吐いた。
「俺の相手をしながら余所の心配か。気苦労の多い奴だな」
蒸気で何も見られない中、サクモに斬られ続けられてもなおマダラは笑う。
劣化した穢土転生体とは言え、己に肉薄する存在を面白がっているからだ。
逃げを封じられたこともさほどダメージではなかった様子。
蒸気の中でサクモがマダラの動きを封じている間に自来也が大蛇丸に尋ねた。
「大蛇丸。あれが穢土転生とやらか。どう封じるつもりだ?」
「解術は術者にしかできないわ。」
「はあ? じゃあ、オビトをここへ連れて来なければならんのか?」
「または魂を縛る封印術を使えば止まるはずよ」
「当然その封印術、使えるだろうな?」
「バカにしないで」
自来也と大蛇丸の方針が決まったように、斬られ続けるマダラの方針も決まったようだ。
「侍の刀筋を見るなんてそうある機会じゃない……が、一辺倒な動きにも飽きて来た」
サクモにわざと迫り、心臓を貫かせたマダラは彼の横腹の辺りを思いっきり蹴った。
「ぐっ!」
本来なら守るべき心臓を囮に使う。
生者ではありえない動きにサクモは不意を突かれもろに蹴りを受け、マダラから離されてしまった。
「そろそろオビトが完全に堕ちた頃合いだ。様子を見に行くとしよう」
「待て!」
まだ晴れぬ蒸気の中、サクモが叫んだその時。
「口寄せの術!」
その時、自来也と大蛇丸が同時に術を使った。
現れたのは巨大な蛙に蛇。
「おい大蛇丸! よくも面倒そうな場所にこの俺様を呼びやがったな!」
「うちはマダラと戦う機会なんてそうそうないわよ、マンダ」
「うちはマダラ? あのうちは一族の? とっくに死んでいるだろうが」
「色々あって蘇ったのよ。不死の身体でね」
「シュー……なかなか面白そうだから今回は供え物無しで許してやるよ」
大蛇丸とマンダが話す間、巨大な蛙が自来也に尋ねた。
「自来也ぁ、カツユと綱手はどうした?」
「ブン太! 今は駄弁っている暇はない! 油だ!」
「せわしねぇな……たく!」
口寄せに気付いたサクモがさらにマダラから離れたのを確認し、自来也は術を発動した。
「火遁・蝦蟇油炎弾!」
ガマブン太の口から出る油と自来也の口から出る炎が混ざり合い、燃え続ける炎となってマダラに迫る。
「このうちはマダラに火遁で挑むか……! ならば少し相手をしてやろう! 火遁・豪火球の術!」
マダラの口からも同じ大きさの火遁が放たれた。
印を結ばねば使えない術が出て来たことにサクモは驚いた。
「そんなっ?! もう両腕が戻ったのか?! ……いや、蒸気の中ではもう俺の攻撃を見切って回復していたのかっ……クソ!」
サクモは悔しがるもすぐ切り替え、技を出しているマダラのところへ奇襲をかける隙を伺った。
その時、火遁を出しているマダラの後ろから突然、巨大な蛇が土から現れた。
(挟み撃ちか! 砂利にしてはまずまずだな)
マダラが火遁を出すのをやめ、途端に辺りが蝦蟇の火炎に包まれた。
それは大蛇丸がマダラに触れる寸前のこと。
攻撃を食らったマダラは塵と化し、大蛇丸と蛇のマンダも危うく塵となるところだった。
炎を吐ききった自来也は煙を睨みながら呟いた。
「封印は間に合わなかったか……だが、これでしばらく再生はできんはず」
「やったんかいのう」
ガマブン太がそう呟いたとき。
「カカシ!」
マダラを見張っていたサクモが突然、オビトたちのいる方へ駆けた。
その先にいるのは目を押さえ、うずくまるカカシ。
そしてカカシに向かって放たれた挿し木の術が彼を貫こうとしていた。
次回、「老人介護は得意だっただろう」デュエルスタンバイ!