これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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迎えが来る子と来ない子

 次の日、さっそく公園へ遊びに行ったオビトをトビラは迎えに行っていた。

 そろそろ日が沈むと祖母に頼まれたからだ。

 

――む、あれはサクモか。

 

 向かい側から来たサクモも気づいたのか声をかけてきた。

 

「やあ、トビラ君だったね。君も遊びに行っていたのかい?」

「俺は兄さんの迎えだ。貴様もカカシの迎えか?」

「あ、ああ。そうだよ」

 

――この子は迎えに来る側なのか。

 

 またしてもサクモは心の中でのツッコミに留めた。

 ちょうど他の親たちも迎えに来ていたのか、次々と親子が公園から出て行く。

 

「カカシ!」

 

 サクモに呼ばれたカカシも公園の出口へ駆け寄り、トビラに気づいた。

 

「来るの遅くない? 今日の遊びはもう終わっちゃったよ」

「俺は迎えだ」

「お前も子供なのに?」

「迎えに年は関係ないだろう。兄さん! そんなところで何をしている! 帰るぞ!」

 

 公園の奥で佇んでいたオビトに呼びかけると、まさか弟が来ると思っていなかったのだろう。素っ頓狂な声を出して飛んできた。

 

「トビラ! お前、もうみんな帰っちまってるよ!」

「だから俺は迎えだと言っているだろうが。おばあ様が夕飯を作って待っている。今日は焼き魚だ。冷める前に帰るぞ」

「二人とも、気をつけて帰ってね」

「あっサクモのおっちゃん! カカシ、またな!」

 

 そうして家路につく双子だが、オビトは弾むように歩いている。

 

「兄さん、そんなに楽しかったのか。やけに機嫌がいいな」

「へへっそりゃあ楽しかったけどさ! ……やっぱトビラは俺の弟で大事な家族だよ! 俺、トビラがいて良かった!」

「何だ急に」

「トビラは? 俺がいて良かったと思ってるか?」

「いなくて良いと思ってもいなくなるわけでもない」

「えっそれっていない方がいいってことか……?」

「バカなことを言うな」

 

――どちらであってもいることに変わりは無いのだからそんなこと考えた所で無駄だろうが。

 

 そう言おうとしたトビラだったが、兄の顔がやけに切実だったので夕日に目を向けた。

 

「俺だって兄さんがいて良かったと思っているよ。一人だと辛かっただろうから」

 

――もし兄さんがいなかったら、今の己をこうもすんなり受け入れられなかっただろうからな。

 

 本心をにじませ、再び兄へ顔を向けるとポロポロと涙をこぼしていた。

 トビラがぎょっとするのも構わずにオビトは抱き着いた。

 

「トビラー! 兄ちゃんがどこでも迎えに行くからな! 寂しくなんてさせねーぞ!」

「家にいることが多いのは俺の方だろうが。おい、兄さん。歩きづらいから離れてくれ」

「トビラはほんと可愛い弟だぜ!」

 

――こやつ、本当にスキンシップの激しい……これがうちはの血なのか? うちはの愛情深い部分がもう出ているのか?

 

 うちは一族になったとはいえ、警戒心は持ち続けているトビラのセンサーが警報を鳴らした。

 が、ちょうど通り過ぎた親子を見て思いとどまった。

 

――そういえばこやつは親を知らない。

 

 そして手を繋いで帰るはたけ親子も思い出した。

 

――いない親の穴を埋める存在として俺を求めている部分もあるのだろう。兄さんと言えどまだ子供だ。

 

 そこまで思い至り、トビラは無理に引きはがすのをやめ、結局家に帰るまで寄り添いながら歩いたのだった。

 扉間としては甘い判断だろうが、うちはトビラとしては嫌とは到底言えなかった。

 

 

 

 

 

 火遁・豪火球の術で散々な目に遭ったトビラだったが、実はチャクラをあまり消費しない術についてはすでに試していた。

 子供の身体では大人のころほど術は使えないがおおむね予想通りだった。

 

――うちはの身体はやはり火遁に特化している。前のような水遁を使えないのは不便だが致し方あるまい。これからは火遁と飛雷神の術を中心に戦法を組み立て直そう。

 

「オビトの言う通り、写輪眼が開眼すればさらに戦法は広がるが……」

 

――俺の調査が確かであるなら、写輪眼の開眼条件は大きな愛の喪失や自分自身の失意……それによって、脳内に特殊なチャクラが噴き出し視神経に影響を及ぼす。だが、愛を知ったうちはが愛を失えば憎しみによって人が変わる。

 

 数日前に倒れた場所に立つトビラは凪いだ池の表面を眺めた。

 

――俺にマダラほどの破滅的な愛情深さがあるとは思えんがうちはの身体をもって生まれた以上、俺も性格が変容する可能性がある。気をつけよう。

 

 ひらひらと木の葉が池に落ち、波紋が広がった。

 トビラは後ろに立った青年が先ほどからこちらを見ていたのに気付いていた。

 

「また火遁の修業をしているのか」

「ああ。兄さんが来たら一緒にするつもりだ」

 

 フガクは池を見つめながら尋ねた。

 

「待ち合わせているのか?」

「一応な。とっくに時間は過ぎているが兄さんのことだ。今頃どこかの老人の手助けでもしているのだろう」

「君の兄の名前はうちはの老人からよく聞く」

「兄さんが手を差し伸べるのはうちはに限らない。里中の老人が一度は世話になっているだろう」

「そうか。ああいう子は貴重だ」

 

 トビラはおや、と思った。

 フガクは意外とオビトを好意的に見ているようだ。

 

「トビラー! ごめんな、待たせて! って、あれ?! フガクさん?!」

 

 駆け寄るオビトが驚くも、フガクは硬い表情のまま言った。

 

「豪火球の修業をするようだな。遠くから盗み見るだけでは分からないだろう。そこで見ていなさい」

 

 これにはトビラも驚いたものの、フガクはそれ以上何も言わず、池に向かって“火遁・豪火球”を放った。

 

「す、すげぇ!」

 

――さすがにマダラほどの威力は無いが、見事なものだ。これからはフガクがうちはを束ねていくのは間違いない。

 

「よし、俺も!」

 

 オビトが印を結び、術を放った。

 

――前よりも火が大きくなっている。チャクラコントロールが上達したのか、また俺のいないところで修行していたか。

 

 トビラは兄の成長ぶりを感じていたが、本人は納得がいかないようだ。

 

「あ、はは。いや、今日はちょっと調子悪いのかなぁ……」

「君もやってみなさい」

 

 フガクに促され、トビラも印を結んだ。

 

「“火遁・豪火球の術!”」

 

 フガクと同じくらいの炎が池に映った。

 

――うむ、チャクラの枯渇はないな。

 

「やはり習得していたか」

「すげーな、トビラ……おい、また倒れたりしねーよな?」

「ああ。今回は気を付けた」

 

 トビラの言葉を聞き、フガクは踵を返して池から離れた。

 

「あれ? フガクさんもう行っちまうのかな」

「上忍だ。忙しいのだろう」

「そっか……ありがとうございましたー!」

 

 その背にオビトは大声で礼を言ったが振り返ることなく離れて行った。

 

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