これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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穢土転生・解!

 マダラが光に包まれたのはちょうど彼がもう一度スサノオを出そうとしていた時だった。

 ぺりぺりとチャクラの鎧が剥がれ落ちていくその様にミナトは気づいた。

 

――オビト! 間に合ったんだね!

 

 応戦していた自来也たちもマダラの異変に気付いていた。

 

「小僧、こりゃなんじゃ!」

「ようやく穢土転生が解かれたようですぞ」

「そうか! ようやくやったんじゃの!」

 

 マダラの身体が塵となっていく。

 その状態で火遁が放たれた。

 だが、自来也とミナトがすべて阻止し、とうとうマダラの全身が塵となった。

 これで終わりだ。

 ミナトも自来也もこの戦いの終わりを予期していた。

 だが。

 

「穢土転生・解!」

 

 新たな戦いの始まりでしかなかった。

 

 

 

 塵が再び集まり、形を取り戻したマダラに自来也たちは呆然とした。

 

――潜影蛇手!

 

 すかさず大蛇丸が死角から放った蛇がマダラに絡みつくも、

 

「遅い」

 

 マダラは腕を組んだまま指一本動かすことなく蛇を散らした。

 現れた大蛇丸に自来也が怒鳴った。

 

「大蛇丸! どういうことだ! 術は解けたんじゃないのか?!」

「最悪な形でね……まさか穢土転生の契約そのものを解除するなんて……」

「禁術は不用意に使うものじゃない。どんな術にもリスクというものがある。穢土転生の俺が術者を上回ればこういうことも可能だ」

 

 マダラは腕を組んだまま大蛇丸を見下した。

 

「だけどオビト君の呪印札は効いていたはずよ」

「確かに危ないところだった。が、死にかけの状態では呪印札の効きも弱くなるというもの。おかげで精度の低いこの身体でも縛りを完全に解くことができた」

「つまり、無限のチャクラと疲れない身体を持つマダラが完全に解放されてしまった、ということですか」

 

 ミナトの要約に大蛇丸は頷いた。

 

「こうなってしまった以上、私の封印が効くのかも怪しいところね」

「ったく……しつこいにも程がある! ご夫婦、まだお付き合い頂けますかな」

「任せんしゃい!」

「こうなりゃ夕飯の支度はあとじゃ!」

 

 諦めない彼らにマダラは蔑んだ視線を向けた。

 

「精度が低く、オビトの呪印札の縛りもあった俺と同じと思うな。力の差というものをもう一度教え込んでやる」

 

 マダラが印を結ぶ。

 さっきまでとは比べ物にならないスピードだ。

 

――火遁・豪火滅失

 

 さらにこれまでの最大規模の炎が一面を覆いつくし、自来也たちとさらにその後方にいるカカシたちも飲み込もうとしていた。

 

「帰ったらから揚げじゃ! 小僧! 油を用意しんしゃい! 父ちゃんは風遁!」

「ハイよ! ミナトは東、大蛇丸は西を頼むぞ!」

 

 迫る炎の中央に降り立った自来也が吐き出す油にシマの火遁、フカサクの風遁が混じり合う。

 

――仙法・五右衛門!!

 

 さらには自来也たちの炎が間に合わない両端にそれぞれミナトと大蛇丸も降りたち、火遁を放った。

 

「さすがに影クラスが集まっているだけはあるか……が、柱間には遠く及ばない」

 

 火遁で相殺した隙を狙ったマダラが直接向かった先。

 そこではちょうど綱手たちがオビトの治療を開始していた。

 

「今さら何をするかは知らんが、どうせ死をほんの少し長引かせるだけの医療忍術……なんの気休めにもならないことを教えてやろう」

 

 迫るマダラにトビラとカカシが左右から飛び掛かるも、あっさりと体術で二人をこてんぱんにのし、術式の中心に寝そべるオビトに殴りかかった。 

 が。

 

「治療の邪魔をするな!」

 

 綱手の怪力がさく裂し、マダラを殴り飛ばした。

 その間もリンたちは平静を保って治療を続けている。

 白毫の印を解放した綱手はマダラに向かって啖呵を切った。

 

「殺すぞ!」

「だからもう死んでいるのよ。そのせいで厄介なんだから」

「よォし! ついに木ノ葉の三忍、ここに復活だ!」

 

 追いついた大蛇丸と自来也が綱手を庇うように立ち向かった。

 

「綱手、お前は治療に専念しておれ!」

「言われなくてもそうするつもりだ!」

 

 自来也の言葉に綱手は背を向けオビトに再び向き合う。

 だが、それをマダラはあざ笑った。

 

「敵に背を向けるとは素人も同然だな」

「違う! 私たち医療忍者の使命は仲間を回復すること。この背は仲間を信じて任せているにすぎん!」

 

 治療に戻りつつも、綱手はつい振り返りマダラに怒鳴った。

 その顔つきの先に見えたのは綱手の祖父であり、マダラの宿敵でもある千手柱間。

 綱手に柱間の面影を見てしまったことはマダラにとって不快だった。

 

「さっきまで震えていただけのか弱い女が今さら何になる」

「確かに私はさっきまで諦めようとしていた。けどな、もう一度賭けることにしたのさ。あの子らに……初代から引き継いできた意志を次へ託す。そのためなら私は命も懸ける!」

 

 綱手の言葉に呼応し、オビトとサクモ、三代目の治療スピードが早くなった。

 協力しているリンたちもそのスピードについてきている。

 

「ならば俺も全力をかけて貴様らが繋ぐ意志とやらを断ち切ってやる。この完成体スサノオでな」

 

 印を結んだマダラを包むチャクラ体。

 これまでのスサノオと比べ物にならないほどの大きさ、そしてチャクラ圧だ。

 

「尾獣にも匹敵するこのスサノオは破壊そのものだ」

 

 マダラが見下す先の大蛇丸と自来也、動揺していたのは一瞬のことですぐに睨むように見上げて来た。

 生を諦めてなんかいない。

 綱手たち医療班にしても、誰も慄き逃げるなんてことはせず、ただ粛々とオビトの治療を続けている。

 

「分かっていないようだな」

 

 スサノオの一振りが里と逆方向にあった山を割った。

 これにはさすがに綱手もゾッとした表情となるが、治療の手は止めなかった。

 シズネたちも綱手のその意気につられ、誰も逃げようとはしない。

 その様子を見下ろしたマダラはふと、視線を横にずらした。

 

「このままお前らをすぐ潰しても面白くない……九尾の回収がしやすいよう、先に通り道を作っておくか」

 

 マダラの視線の先は木ノ葉隠れの里。

 このままだと里も山のように割れ、壊滅するだろう。

 スサノオの手が振り上げられた。

 その瞬間、足元に大きな黄泉沼が現れ、スサノオのバランスが崩れる。

 しかし、沈めるほどの沼ではない。

 それでも、

 

――八岐の術!

 

 スサノオの胸ほどまでの大きさはある巨大なヤマタノオロチ――頭が八つある白い蛇が大蛇丸によって呼び寄せられ、振り上げられたその手に飛び掛かる。

 加えて、

 

「超・超倍化の術!」

 

 完成体・須佐能乎の腰ぐらいまでに倍化した秋道トリフがミナトの飛雷神によって突如現れた。

 身体を巨大化させる倍化の術は秋道一族に伝わる秘伝忍術。

 

――超・超張り手!

 

 究極にまで大きくなったその手にチャクラをまとわせ掌底をかまし、スサノオの攻撃を空へと逸らした。

 

 ドォッとすさまじい音と共に雲が割れる。

 逃しきれなかった風圧が里を揺らしていることだろう。

 

「一度目は防いだか。なら二度目はどうする」

 

 マダラのスサノオがもう一度腕を振り上げようとしたその時。

 

――操具・地縛鎖災!

 

 地面に置かれた巨大な口寄せの巻物から飛び出た鎖がスサノオの腕に絡み、その動きを止めた。

 巻物のそばにいたのは上忍班長のトリフと同じ里の相談役の水戸門ホムラ。

 三代目を支える忍がこの場に二人もいることに自来也は驚いた。

 

「ホムラのおっちゃん?! それにトリフ班長まで……なんでアンタらがここに」

「自来也! 三代目はどうした?!」

「治療中だ! 綱手が診ている!」

「綱手……あの子が? いや、ならばヒルゼンが回復するまで我らで抑えるしかない! 絶対に里へ攻撃させてはならん!」

 

 ホムラは背負っていた巻物を地面に叩きつけ鎖を追加した。

 

「そんなチンケな鎖でスサノオを封じられると思っているのか?」

 

 あざ笑うマダラが言うように、ホムラが口寄せした巨大な鎖たちであっても完成体スサノオからすれば華奢なアクセサリーのようなもの。

 

「秋道一族も一度防いでもう終わりか?」

 

 ただでさえ倍化の術は体への負担が大きい。

 完成体スサノオに張り手するほどの大きさは保てず、トリフの身体がしぼんでいく。

 それでも、通常の人間の3倍ほどの大きさで留まり、彼はスサノオの腕に絡む鎖を引っ張り始めた。

 

「全く……こんなみっともない綱引きを俺にさせるな」

 

 トリフが懸命に鎖を引くものの、スサノオが力を込めて片腕を上げるせいで千切れてしまった。

 自由になった腕が再び里へ向かって一太刀を浴びせようとする。

 しかしその時。

 

「里に手出しはさせん!」

 

 復活した三代目火影が金剛如意でその一太刀を受け止めた。




これじゃもうド根性マダラ忍伝だよ
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