ホムラとトリフが三代目の元へ向かったころ、里ではコハルが上忍たちを集め指示を出していた。
忍たちを取りまとめるのが唯一里に残った相談役の彼女の役目だ。
「皆の者、非戦闘民・子供らの避難を優先させるのじゃ! 結界班は総出で里の守りを固めよ! 建物への被害は気にせず、最低限の範囲で囲み、その分結界を強固にするように。とにかく里の者たちへの被害を抑えるのじゃ!」
「コハル様! 我らも加勢を……」
「ならぬ! 我らが行ったところで足手まといにしかならない。相手は強大な力を持つ未知なる敵! 三代目火影を始めとした者どもがすでに向かっておる。我らはとにかく里の守りに集中するのだ! よいな!」
コハルは各所に指示を飛ばしながらマダラがいる方角を見た。
――本当にあのうちはマダラが穢土転生されたのであれば……なんとしてでも我らで……二代目様の教えを受けた我ら世代で食い止めねばならん。
突然の緊急態勢に里の者は戸惑うものの、今は戦時中。
三代目火影の勅命ともあり、皆が速やかに避難を始めた。
その中にはアイスを食べていたシスイとイタチの姿も。
「イタチ、お前は先に避難所へ行け」
「シスイは?」
「俺は避難活動の手伝いをする。足の悪い爺ちゃんお婆ちゃんが心配だ」
「うちはにそのような老人がいたか?」
「うちはにはいねーが里にはいる。俺はオビトに付き合ってそういう老人の手伝いをしたことがあるから覚えている。さすがに里中の老人の顔までは分からねーけどな」
「おいシスイ……」
イタチが止める間もなくシスイは瞬身で消えてしまった。
「む? 君はもしや迷子か?!」
「いや、違う」
「よし、避難所は向こうだから共に行くぞ! 大丈夫、熱き青春の力があればすぐに着く!」
「俺は迷子ではありま……」
イタチが拒む間もなくガイがイタチを背負って走り出した。
後に天才と謳われるイタチもこの時はまだ3歳。
すでに中忍として活躍する12歳のガイには抗えず負ぶわれるままに。
途中、ガイは本当の迷子も2人ほど拾い、あっという間に避難所に到着した。
が、彼にとって予想外のことが。
イタチたちを避難所に押し込め自分は出ようとしたが、それを許可してもらえなかったのだ。
同じように、ガイの同期の猿飛アスマや夕日紅も閉じ込められていた。
紅は避難所の管轄をしていた自身の父親に噛みついた。
「どうして忍の私たちまで!」
「忍であっても若者はここにいるように。それが火影様の命令だ。大方集まったらすぐに結界を張る」
「まだ避難しきれていない里の者が……」
「お前が動かんでも大人がすでに動いている」
同じころ、老人の避難の手伝いを始めていたシスイもフガクに捕まってしまっていた。
「フガクさん! 俺が足腰の悪いご老人の家を見て回らないと! オビトの代わりに!」
「それは警務部隊の仕事だ。お前は結界のある場所へ向かいなさい。それと、トビラがどこにいるか知っているか?」
「トビラさん? ちょっと前に会ったけど……すぐにどこかへ行きました」
「そうか。里にいるのであれば彼も避難所に押し込めねばならん」
シスイを抱えていたフガクの下に警務部隊の者たちが来た。
「フガク警務部隊長! い地区の避難完了!」
「ろ地区も右に同じ」
「は地区はイナビが最終確認中」
「そうか。テッカ、シスイを頼む。それと、里にはトビラもいるようだ。見つけ次第彼も避難所へ」
「フガクさん!」
同じうちは一族であるテッカにシスイを渡すフガクであるが、当人は納得できずに暴れようとした。
「それとテッカ。シスイは足腰の悪い老人の家を知っている。彼より情報を吸い上げ、い地区とろ地区の誘導に当たっていた者たちで見回りを。うちは一族の誇りにかけて里を守るぞ」
「は!」
シスイを抱えたテッカが走りだそうとしたとき。
ゴォッと轟音と共に里が揺らいだ。
上空をかすったチャクラ圧は里に直撃はしなかったものの、雲すら割る風圧に里中の建物が悲鳴を上げた。
「敵の攻撃か?!」
「警務部隊長! あれを!」
警務部隊の一人が指した先にあるもの。
それはうちはマダラの完成体スサノオ。
先ほどの風圧はまさに彼が攻撃し損ねた一太刀なのであった。
「あれが火影様の言っていた未知なる化け物の正体か!」
「警務部隊長! 俺らもあの化け物の討伐に行くべきです!」
「ダメだ。里を守る我々が里を離れてどうする。あの化け物……あれは本当に危険だ。とにかく急がねばならん。ヤシロ、ここの指揮は任せた。くれぐれも避難を最優先し、お前らも急いで結界の中に入れ」
「は!」
逸る一族の者たちを抑え、指示を飛ばしたフガクはコハルの元へ向かい、止めようとする暗部の者たちを強行に振り切り面会した。
「コハル様! あのチャクラ体は万華鏡写輪眼を持つ者にしか出せないスサノオ……おそらくうちはマダラはまだ生きている! 私はこれより里を出てマダラを止める」
「だからならぬと言っておるだろう! フガク、お主は警務部隊長! 里の守りがお主の仕事!」
「すでに一族の者に指揮は任せています。それより、写輪眼に対抗できるのは写輪眼のみ。私はマダラが開眼した万華鏡写輪眼と同じものを持っている」
コハルはフガクの言葉に絶句した。
「お主……こんな大事なことを今まで隠していたのか?! あの万華鏡写輪眼の開眼を……!」
「言わぬまま、この力を使わぬままでいることが里のためだと思っていましたが……うちはマダラはかつての族長。今の族長の私が対処するべき問題です」
「こんな時にお主まで……!」
コハルが歯噛みした時、暗部の面をつけた者が飛び込んだ。
「コハル様! 緊急事態です! 監視対象が逃げました!」
マダラの完成体スサノオが現れたことにより、里は更なる混乱に揺らぐこととなった。
その一方、三代目火影は里を守ろうと今まさに戦っていた。
「里に手出しはさせん!」
「また舞うのか、三代目火影。だが、この俺を止められるのは柱間だけだぞ!」
三代目はスサノオの刀身よりもかなり小さい。
それでもトリフの身体や大蛇丸が出したヤマタノオロチを土台に飛び回り、金剛如意で攻撃を防ぎ続けた。
「猿飛! さすがにマダラのスサノオは俺でもいてーぞ!」
「すまぬ猿魔! 我慢してくれ!」
三代目はマダラ本体に攻撃するチャンスを見計らっているのだが、巨大なスサノオの腕を止めるのに精いっぱい。
その足元では綱手が大蛇丸と自来也に呼びかけた。
「お前ら! チャクラを回復するから来い!」
「自来也、アンタだけ回復してもらいなさい。私は少し準備をしてくるから」
「準備? 大蛇丸、どこへ行く気だ」
「もうこうなったら化け物同士で戦ってもらうしかないわ。マダラ本人がご所望の初代火影にね」
「まさか穢土転生をするのか?!」
察した自来也の言葉に綱手が動揺した。
「おじい様を?! しかしおじい様は死んだ! 生き返らせるなんて……」
「そもそもお前の話じゃその術、生贄が必要なんじゃないか?」
「今はそんなことを言っている場合じゃないわよ」
大蛇丸が動き出そうとした時、マダラのスサノオの動きが止まった。
「あれは……そうか。取りに行く手間が省けた」
マダラの見下ろす先。
「九尾、勘違いしないで。私たちは一時的に手を組んでいるだけ。私は里を守るため、アンタはマダラに復讐するため。もし身体を乗っ取ろうとしたらすぐに封印するってばね!」
暗部の監視から逃れ、ここまで来たクシナがマダラを睨みつけていた。
その身は九尾のチャクラの衣で包まれていた。
~イタチやサスケのお父さんのフガクに関して~
原作だと万華鏡写輪眼を開眼した描写はありませんが、
小説やアニメの設定に則ってフガクも開眼していることにしました。
ちょっとそこら辺の記憶曖昧なんで設定もあやふやになってるかもです。