これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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お願いマダラ!いい加減終わらせてくれ!

 いち早く気づいたミナトが叫んだ。

 

「クシナ! どうして君がここに?!」

「マダラの狙いは私の中の九尾。私が里にいる限り、マダラは里を狙う。九尾がそう教えてくれた」

 

 ミナトはクシナが纏う九尾のチャクラに目を見張った。

 

――九尾が暴走している時の尾獣化とは違う……! まさかクシナ、君は九尾のチャクラを使いこなせるように?!

 

 マダラのスサノオの片手は三代目が封じているが、空いた片手がクシナに迫った。

 

「わざわざ九尾を運びに来るとは愚かな人柱力だ」

 

 巨大な手がクシナのいた場所を掴む。

 しかし、その手には何も残っていない。

 ミナトが飛雷神で彼女を移動させていたからだ。

 

「クシナ。君が纏っているこの九尾のチャクラ……封印が緩んでいるわけではないね?」

「九尾がほんの一部分だけ力をくれたの」

「気を付けて。九尾はこの機に乗じて君の封印から逃れるつもりかもしれない」

「ええ、分かっているわ。それでも九尾はマダラにいいようにされるよりは私の中にいる方がマシみたい。よっぽど嫌っているみたいね」

 

 その時、会話を聞いていたクシナの中の九尾が怒鳴った。

 

――嫌ってるなんてもんじゃねぇ! マダラ……アイツは俺の憎しみそのものだ! さあ封印を全て解放しろ! 俺の憎しみに全てを任せろ!

 

 九尾の強い憎しみにクシナは顔をしかめた。

 漏れ出る九尾のチャクラも強くなる。

 だが、彼女は隣にいるミナトの顔を見て力を鎮めた。

 

「私はアンタの憎しみに飲まれたりなんかしない……私だって失いたくないものがある!」

 

 クシナと九尾は協力関係にあるわけじゃない。

 互いに互いを利用し合う綱渡りの状態だ。

 それでもクシナは生来の封印の強さで九尾を押さえつけ、さらには漏れ出るチャクラを奪い取り、自分のものにした。

 

「ハッ!」

 

 彼女の背中から無数の鎖が放たれ、マダラのスサノオを捕らえた。

 ホムラが口寄せした鎖とはわけが違う。

 スサノオの片手を抑えていた三代目はその鎖を間近に見て気づいた。

 

「これは金剛封鎖っ?! しかも九尾のチャクラで強化されておる!」

 

 三代目だけでなく、さすがにマダラも予想外のことだったようだ。

 

「あの女、うずまき一族というだけでなくミト以上に濃い赤髪をしている……それだけ強い封印術の持ち主ということか」

 

 スサノオの身を引こうとするマダラだが、クシナの出したうずまき一族特有の鎖が邪魔をする。

 その隙に三代目がマダラの正面に飛び出た。

 本体を叩くチャンスだ。

 

――手裏剣影分身の術!

 

 三代目が投げた手裏剣が大量となりマダラに降り注ぐ。

 それだけでなく、クナイも混ぜた物理攻撃と共に三代目本人も如意棒をマダラへと伸ばした。

 

「こんなもの、写輪眼の前にはなんの目くらましにもならん!」

 

 完成体スサノオにどれだけ手裏剣やクナイが刺さろうともひび一つ入らない。

 マダラが注意すれば良いのは三代目の攻撃だけ。

 が、これまで幾千もの戦いをしてきたマダラの勘がとっさに働いた。

 

――あの扉間の弟子がこのタイミングでただの目くらましをするか?! アイツは囮だっ!

 

 マダラの勘が働いたように、三代目が投げたクナイの一本にはマーキングがついていた。

 

――螺旋丸!

 

 しかし、マダラの後ろから現れたのはトビラではなくミナト。

 

――コイツっ扉間よりも速いっ……!

 

 トビラの急襲を警戒していたマダラですら追いつけないスピードだった。

 マダラが纏うチャクラの装甲に圧縮されたミナトのチャクラがぶつかり、せめぎ合う。

 手の平サイズの螺旋丸は天を見上げるほどに大きい完成体スサノオに比べればちっぽけなんてもんじゃない。

 

 だが、その一点に集中したチャクラの固まりがとうとうスサノオにひびを入れ、追い打ちをかけるように三代目も正面からマダラを如意棒でぶん殴った。

 両方からの攻撃にスサノオのひびが広がる。

 

「ミナト! 今じゃ!」

 

 ひび割れの隙間からミナトの手がマダラ本体に触れた。

 瞬間、ミナトはマダラをスサノオから引きはがすように飛雷神で移動した。

 すかさず、マダラがミナトに殴りかかるがそのままやられるミナトではない。

 

「柱間以外の忍が俺のスサノオをやるとはさすがに思わなかったぞ」

「光輪封鎖火影殴打飛雷神弐之段ですよ。あなたにどんな目的があろうと、俺らは里を失うわけにはいきませんからね」

 

 マダラのスサノオが消えていく。

 三代目にミナト、ホムラ、トリフ、自来也たち三忍、トビラにカカシ、そしてクシナ。

 それだけの忍に囲まれているがマダラは余裕の表情だ。

 それもそうだろう。

 彼のチャクラは無限大。

 ミナト達が力を合わせて防いだスサノオも出そうと思えばいつでも出せる。

 

「一度引っ込めてしまった以上、同じものをもう一度出すのも醜いか……」

 

 そうしないのはマダラの美学がその気にさせないだけ。

 だからこそ、ミナトは彼がなりふり構わず攻撃してくる前に封じたかった。

 

――大蛇丸さんの封印は自由になったマダラには効かないかもしれないが……クシナの金剛封鎖ならもしかしたら……!

 

 だが、そのクシナの様子がおかしい。

 

「ヴヴヴ……マダラァ……!」

 

 漏れ出る九尾の力を使ったせいで彼女の中の封印のバランスが崩れてしまっていた。

 そのせいで九尾が彼女の意志を奪い取ろうとしている。

 マダラと交戦しているミナトはつい叫んだ。

 

「クシナ!」

「あれならこちらで九尾を引き抜く必要もなさそうだな」

 

 九尾の赤いチャクラの衣がクシナを包み、その赤髪をさらに濃くさせる。

 

「グァアアア!!!」

 

 九尾の咆哮が辺りを揺るがす。

 

「ダメだクシナ!」

 

 ミナトがそちらに気をやってしまった時、マダラが不意をついてミナトを背後から蹴り飛ばした。

 そこへクナイが飛ぶが、

 

「やはりお前はそう来ると思っていたぞ、扉間」

 

 マダラはミナトを蹴り飛ばした勢いでくるりと回転し、背後に飛んできたトビラをも蹴り飛ばした。

 さらに回転と同時にキャッチしておいたトビラのクナイは牽制代わりにミナトに向かって投げておいた。

 完全に邪魔がいなくなった中でマダラが印を組む。

 

――口寄せの……

 

 しかし、その途中で彼の腕は切られてしまった。

 

「まだ舞うのか」

 

 興味を無くしたマダラの冷たい声。

 その相手は、片腕を無くしたサクモだった。

 

「息子にまだいいところを見せていないからね」

 

 彼はカカシから返してもらったチャクラ刀を握っていた。

 

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