ミナトが不意をついたこともあり、マダラをスサノオから引き剥がすことができた。
しかし、クシナが九尾の力を抑えられなくなっていた。
「ミナト! お主はクシナの方に行くのじゃ!」
スサノオとの戦いで飛び上がって空中にいた三代目は指示を出しつつトリフに合図した。
「トリフ!」
「おう! 行けっヒルゼン!」
3倍の姿を保っていたトリフが振りかざした手を蹴り、マダラの元へ飛ぶ。
三代目は空中にいる状態で印を結んだ。
――土遁・土流壁!
ちょうど彼の口から出た土の壁がマダラとサクモの間に立った。
その時マダラは片腕の無いサクモを難なくいなし、とどめを刺そうとしていたため危機一髪の状態。
マダラの攻撃を受けた土の壁は壊れてしまったものの、体勢を直したサクモは後ろに下がり、代わりに三代目がマダラに対峙した。
その間にミナトはクシナの元へ。
「周囲のサポートをしつつ俺の相手をするか……さすがに戦闘経験の差が如実に現れ始めているようだな」
「お褒めに預かり光栄ですな! ハァッ!」
三代目は如意を使ってマダラの身体を力づくで押した。
マダラがある地点に入った途端、結界が発動した。
「トラップ式の結界法陣か……」
気づいたマダラの視線の先には印を構えたホムラの姿が。
「爆!」
狭い結界の中で地面に仕込んであった起爆札が次々に爆発した。
が、
「こんなチンケなもんでこの俺が止められるとでも思ったか」
ところどころ身体を塵にしてはいるものの、マダラは結界も壊して出て来た。
すかさず三代目が塵の部分を重点的に攻めていく。
クシナの元へ向かったミナトはすぐさま指にチャクラを込め、四象封印をクシナの腹に施し直した。
暴走寸前だった九尾が悔しげに唸る。
――またこの封印か……! ミナトめェ……! 邪魔をするな!
「それはこっちのセリフだってばね!」
想像以上に強い九尾の力に飲み込まれかけたクシナはミナトのおかげもあり、すぐさま意識を戻し、封印の力を強めた。
クシナから漏れていた九尾のチャクラが収束し、彼女の中へ。
「ミナト、あのうちはマダラ……普通の身体じゃないみたいね」
塵芥が舞うマダラの身体を見てクシナは尋ねた。
ミナトもすぐ頷く。
「あれは穢土転生と言って死者を蘇らせる術らしい。今の彼は無限のチャクラと疲れない身体を持つ不死身の死体だ。生半可な結界や封印では効き目がない」
「なら、私の……うずまき一族の封印術が必要ってわけね」
「大丈夫なのかい? 君は九尾を抑えるだけでも力を使っているのに……」
「そんなこと言っている場合じゃないってばね。確かにもう一度金剛封鎖を使うためにも少し集中する時間が欲しいけど……私にはあなたがいるから」
見上げたクシナの視線にミナトはドキッと見惚れ、キリっとした表情で頷いた。
「ん! その間は俺がクシナを守るよ」
一方、オビトの治療をしていた綱手は想像以上の治癒スピードに驚愕していた。
――三日三晩は続けないと塞がらないはずの穴だが……ある程度までいったところでコイツ本人の治癒能力で急速に塞がり始めている! おじい様の……柱間細胞とはここまでの力があるのか?!
人知を超えた細胞の力に恐怖すら感じるものの、傷が塞がるのは悪いことじゃない。
「お前たち! これならオビトはもうすぐ目を覚ます! 気を抜くな!」
「はい!」
クシナの暴走が落ち着き、オビト復活の兆しが見えて来た。
それらの状況から判断し、トビラは大蛇丸に待ったをかけた。
「初代火影を穢土転生するつもりか? やめておけ」
「あら、あなたなら賛成かと思ったのに」
「今から生贄を探し出す時間はないし、死者の人格を信用しすぎるのは危険だ。生きているこちらの思い通りに動くと限らないのはマダラを見ればわかるだろう」
「ご自分のお兄様を信用していないの? まさか初代がマダラに味方するとでも?」
「死んだ時点で人格が変わる可能性は多大にある。もしも初代まで手を付けられなくなったら本当にこの世界は終わるぞ」
「その前にマダラが世界を終わらせようとしていますよ」
「いや、そうはさせん。そのためにも貴様には別にやるべきことがある」
「別に?」
ちょうどその時、ホムラも声をかけて来た。
「うちはトビラ! ミナトへの伝令を頼む! それと大蛇丸と自来也! こちらへ来い!」
トビラたちが話している間、三代目はマダラの相手を引き受けていた。
ホムラが起爆札で作ったマダラの傷を中心に叩いていたのだが、
「クッ!」
治療中の綱手たちやクシナ、戦いに追いつけないサクモやトリフを狙うマダラの攻撃を防ぐうちに塵も集まってしまった。
「柱間以下の忍をいくら集めようと所詮は烏合の衆。お前にとっては鬱陶しい足枷だな、三代目火影」
「足枷なんぞではない! 守るべきワシの大切な家族じゃ!」
「ならお前は今日、その家族をすべて失う。ほれ、防いでみせろ」
フェイントをかけ三代目から上手いこと距離を取ったマダラが印を結び、火遁を出した。
三代目の背には綱手たちがいる。
――火遁・火龍炎弾!
当然、三代目も火遁で打ち消す。
「まだ踊れるか?」
さらに火遁を重ねて出すマダラ。
その威力はどんどん増すばかり。
それでも三代目は防ぎ続けた。
なぜなら彼が諦めてしまえば綱手たちにぶつかるからだ。
マダラのいたぶりを止めたのはホムラの号令だった。
「自来也、大蛇丸、ミナト! 四方につけ!」
「フン、また俺を結界の中にでも封じる気か? そんなもの、この俺には効かん!」
火遁を止めたマダラは別の術に移行した。
――影分身の術!
四体のマダラが現れ、何かしようとするホムラ達に向かう。
結界は術者を攻撃すれば壊れるからだ。
――間に合うかっ!
三代目も負けじと影分身の印を結んだ時、ホムラたち四人が同時に唱えた。
「忍法・四赤陽陣!」
強力な赤い結界が現れた。
だが、封じ込めたのはマダラではない。
オビトと彼を治療する綱手たち、身体に合わない万華鏡写輪眼でダウンしたカカシとそれを支えるサクモ、過度な倍化の術で消耗したトリフ、封印のため力を溜めているクシナ、そしてトビラだ。
ホムラの指示の下、トビラとミナトが手分けして皆を一か所に集めていた。
さらにホムラは三代目に叫んだ。
「これでどんな攻撃も我々には当たらない! ヒルゼン! こちらは気にせずやれ!」
ちょうど三代目もマダラに見合う影分身を出し終えていた。
分身同士、本体同士がそれぞれ向き合う。
「な……なんだこの結界は……?」
結界の中で驚くサクモにトビラが説明した。
「四赤陽陣……火影クラスが四人集まって出せる結界術だ」
「火影クラス……ミナト先生だけじゃなく他の三人も……?!」
思わず呟いたカカシにトビラは至極当然とばかりに言った。
「全員、火影候補になりうる者たちだ。つまり力量も火影クラスということ」
トビラは己たちを囲む四人のうちの一人、記憶よりも老けた男を見た。
――ホムラ、貴様がくれた時間……有用に使おう。
「カカシ、サクモ。貴様らの力もこのあと必要になる。まだ動けるか?」
トビラの問いに二人は頷いた。
すでにクシナは封印術を使うため力を貯め直している。
結界の外では三代目が分身と声を揃えて気合を入れた。
「「「「「さあ、行きますぞ!」」」」」
三代目の戦い方はこれまでと変わらない。
金剛如意でひたすらにマダラを殴っていき、術を出して来れば相殺するだけだ。
だが、そのスピードと力は先ほどよりも上がっていた。
「面白い! まだここまで舞うか! よし! お前の体力尽きるまでこのうちはマダラが相手してやろう!」
本当はクシナの準備が終わる前に九尾を取りにいくべきだとマダラも分かってはいる。
だが、彼にはまだ余裕があった。
三代目の体力が尽きる時はそう遠くない。
そして、彼さえ殺してしまえばあとはどうとでもなる。
ならば、この一時の戦いに身を任せる方が面白い。
柱間がいない今、これだけ楽しめる戦いは貴重だ。
マダラのボルテージは最高潮に上がっていた。
ホムラは火影に並ぶ実力、という風の噂をもとに書いてます。
まあ、火影並みの忍なんてなんぼいたっていいですからね。