これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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カミングアウトするなら早めにしてほしかったですね

 

 トビラを拘束した術がさらにオビトへと伸びる。

 

「どういうおつもりですか」

 

 さっと現れたサクモが蹴散らし、トビラの救出にも向かった。

 しかし。

 

「サクモ、このままで構わない」

 

 拘束されているトビラ本人が静止した。

 しかし、当然周りは黙っちゃいない。

 

「おい爺さん! トビラを離せ!」

「ヒルゼン! うちはの双子を今すぐ拘束しろ!」

 

 ダンゾウはオビトを無視して三代目に呼びかけた。

 

「穢土転生を使える忍はただ一人! マダラを蘇らせたことについて審問せねばならん!」

「待つのじゃ、ダンゾウ。話を聞くにしてもこんなやり方をしなくても」

「お前は甘い! 死んだ人間が生きた頃と同じだと思うな! 現にこうして里に害をなしている!」

 

 ダンゾウとヒルゼンが言い争う間に、ホムラは自来也と綱手を留めた。

 

「二人とも待つのだ!」

「なぜトビラが拘束されにゃならん!」

「そこをどけジジイ!」

「こちらにも事情がある。とにかく待て!」

 

 トリフの方もフガクを抑えている。

 

「さっきのことと言い、里はうちはを弾圧するつもりか?!」

「フガク、落ち着いてくれ。確認が取れればすぐに二人も解放する」

 

 さっきまで協力し合っていた忍たちが一触即発に。

 ダンゾウが再び拘束の術を使おうとしたとき、ミナトがその正面に立った。

 

「お待ちください。オビトもトビラも里に敵意はありません。私が保証します」

「何も分かっていないお前の保証では信用できん」

「いえ、私はトビラのことも以前より知っていました。マダラ復活が起きた理由についても説明できます」

「なに?」

「今はそれよりも里へ戻るべきです。ここにいる皆は仲間です。疑心暗鬼になっている場合ではありません」

「貴様、その子供の正体を知りながらこれまで黙っていたのか?」

「ミナトはすでにワシに報告していた。お前たち上役に黙っていたのはワシの判断じゃ」

「ヒルゼン、貴様……!」

 

 ダンゾウは一瞬だけ怒りを見せたが、

 

「ダンゾウ。ミナトの言う通り今は早く里へ戻らねばならん。混乱に乗じて周辺国が攻めてきたらそれこそマダラの思うつぼじゃ」

 

 と三代目が押し切ったのでぐっと抑えた。

 

「ならばせめて兄の方も……うちはオビトも拘束する。こやつは先ほどの様子からしてマダラと繋がっている可能性があり、危険だ。異論ないな」

 

 代わりに出したダンゾウの提案にオビトが口を挟んだ。

 

「爺さん、俺を拘束するのはいいけどトビラは何も悪くない。マダラを穢土転生したのは俺だ」

「お前が穢土転生を……? しかし、その術を教えたのはお前の弟だな?」

「いえ、私ですよ」

 

 にゅっとオビトの隣に現れた大蛇丸の言葉にダンゾウだけでなく、三代目とホムラ、トリフも驚愕した。

 

「大蛇丸、お主まさかそんなことまで研究しておったのか?!」

「あら猿飛先生もご存じじゃない状態で来ていたんですか。随分と中途半端な情報が届いていたみたいですねぇ」

 

 大蛇丸はチラリと事態を静観するノノウ、そしてダンゾウに目を向けた。

 トリフが答えた。

 

「我々が得た情報は『うちはマダラと思しき人物が塵芥舞う身体ではたけサクモと交戦中』、これだけだ。術者が誰かまでは聞いていない」

「まったく……また大蛇丸が絡むのか。こうなると我々の推測とはことが違いそうだ。しかしヒルゼン、こやつらの拘束に関してはワシもダンゾウに賛成じゃ。特にうちはトビラは指一本も動かせない状態にした方が良い」

「しかし……ならばオビトと大蛇丸はせめて腕だけの封印に留めよ。印を結べぬよう封じるだけで良い」

 

 三代目も了承したことにより、自来也と綱手は引き下がることにしたが、カカシとリン、フガクはまだ納得できていなかった。

 

「なんでオビトもトビラもこんな扱いを……」

「カカシ、俺は平気だ。大丈夫、トビラは悪くねーってちゃんと証明すっからよ」

 

 不満を漏らすカカシをオビトがたしなめた。

 フガクはミナトに厳しい語調で迫った。

 

「これはうちは一族に深く関わる問題だ。これ以上の隠し立てをするのであればこちらとしても考えがある」

「ええ、あなたたち一族を蔑ろになんてしません。トビラたちのことだけでなく……九尾のこともあなたの協力がこれから必要になるでしょうから」

 

 フガクはリンたちのそばに佇むクシナを一瞥し、ため息をついてマダラが残した団扇を拾った。

 ちなみに、マダラの持っていた死神のような鎌は一緒に封印されてしまっている。

 

「この団扇は我が一族の族長に代々受け継がれたとされる神器。マダラが持ち出したことで行方が分からなくなっていたが、こうして戻ってきた以上、これはうちはで保管する。よろしいですな?」

「うむ。それが良かろう。さて皆の者、里に戻るぞ。オビト、トビラ。窮屈で済まぬが里に戻り、ワシが皆に説明するまで辛抱してくれるか」

「あら猿飛先生、私も拘束を受けるんですけど」

「大蛇丸、お主は自業自得じゃ」

 

 こうして大蛇丸とオビトは大人しく腕のみの封印に応じ、厳重な全身の拘束術を受けているトビラはトリフに抱えられた。

 ようやく一行は里へと戻った。

 

 

 突然の緊急事態に騒然としていた里ではあるが、三代目が戻ってすぐに火影塔のてっぺんで危機が去ったことを宣言したおかげで避難所にいた者たちも解放された。

 里が態勢を戻す中、トビラとオビト、大蛇丸は拘束を受けた状態で結界の中に閉じ込められていた。

 その部屋には三代目、ホムラ、トリフ、ダンゾウに加え、ミナトとフガクの姿も。

 さらに里で指揮を執っていたコハルが入室し、彼女は部屋に入ってすぐフガクの姿を見つけ、詰め寄った。

 

「フガク! 行ってはならぬと言ったのにお主、勝手に里を出たのだな!」

「コハル、今はそれどころではない」

「そうじゃ。マダラ封印はフガクの尽力もあり成せたこと」

 

 ホムラ、三代目に言われ、憤っていたコハルもフガクへの糾弾をやめ、トビラたちに目を向けた。

 

「うちはの双子はともかく、なぜ大蛇丸まで?」

 

 彼女の問いにダンゾウが冷たく言った。

 

「それを今から確認するのだ。三代目、さっさと始めるぞ」

「うむ。別室で待機しておる者たちのためにも疑念を解消しよう」

 

 マダラの現場にいたカカシ、リン、シズネ、ノノウ、自来也、綱手、クシナは別室で待機している。

 三代目がまず説明を始めた。

 

「まず初めに、フガクには謝らなければならぬことがある。うちはオビトが生きていたことをお主に黙していたことをの。ミナト、オビトを見つけた状況について今一度、説明してくれぬか」

「はい。私は半年前、任務先にて班員のトビラ、カカシ、リンと共に彼を発見し、保護しました。元々、別の任務で身体を潰されたはずのオビトは柱間細胞という、初代火影の細胞を半身にくっつけられたことによって生き延びていました。そしてそれをオビトにつけたのはその時はまだ生きていたうちはマダラです」

「マダラ?! そんな前からマダラが絡んでいたのか?!」

「ええ。マダラは生かしたオビトを洞窟に閉じ込めていました。その洞窟は私とトビラで場所を確認しています。そして老いたマダラを殺したのはトビラです」

 

 ミナトの告白にフガクだけでなく上役たちも驚愕した。

 ホムラが尋ねた。

 

「ミナト、我らはマダラの死体を確認したとしか聞いていない。マダラのトドメを刺したのはうちはトビラなのか?」

「はい。死体は徹底的に焼かれていました。恐らく死体を利用されるのを警戒していたようですが……」

「マダラはそれすらも見越して自身のDNAを別に残しておいたということじゃの。それと、ミナトにそれも口止めしたのはワシじゃ」

 

 ホムラたち上役の非難の目が三代目に向いた。

 特にダンゾウはチクチクと言葉を投げかけてくる。

 

「ずいぶんと秘密ごとを抱えていたようだな。そのせいで里がこのような事態に陥ったと分かっているのか?」

「ああ、すべてはワシの責任じゃ。フガクへの説明に戻るが、オビトはマダラの下にいたこともあり、まずはその身体の安全を確認する必要があった。そして、柱間細胞に関しては大蛇丸がすでに研究していたこともあり、医療忍者の綱手を加えてオビトの治療を施している最中だったのだ」

「……オビトの生存を隠していた理由については分かりました。そうせざるを得なかった事情も」

 

 しぶしぶ納得したフガクに三代目は礼をし、結界の中のオビトに優しく声をかけた。

 

「そんな中でオビトが行方不明になったと聞いたが……オビト、お主がマダラの穢土転生をした事情について教えてくれるかの」

「大蛇丸さんの研究所に忍び込んで、術について書かれた巻物を見つけた。ゼツっていうマダラの手下に色々言われて……確かめたくなったんだ。弟のトビラのことや里とうちはのことを」

「ゼツ……あの地面に潜む者か。どさくさに紛れて姿を消したからあの者も探さねばならんな。オビトよ、お主がマダラを穢土転生したのはあくまで話を聞くためだったのだな?」

「そうです」

 

 オビトが頷いたが、ダンゾウは納得できていなかった。

 

「本当に話を聞くだけなら本来の使い方の通り、意志を縛った状態で穢土転生するべきだった。なのにあれだけ自由に動ける状態にしたのだから、里への害意は否定できん」

「それに関しては私の研究の賜物ですねぇ。私は二代目火影が成しえなかったことを……精度の高い状態での死者の蘇りを再現していたところだったんですよ。オビト君はその研究結果をもとに術を使った」

 

 なぜか自慢げに口を挟んだ大蛇丸にもの言いたげに視線を送る開発者。

 しかし、彼だけは全身を拘束されていて、口も動かせない。

 仕方なくトビラは心の中だけで否定した。

 

――成しえなかったのではなくて成さなかっただけだ! 俺の穢土転生に見合った戦術も知らずに大蛇丸め!

 

 大蛇丸の物言いにコハルが怒った。

 

「死者を愚弄しおって! なんたる危険な思想じゃ! 二代目様が術を開発したのとはわけが違う! お主は何も分かっとらん!」

「そりゃあ、あなた方が術のすべてを隠匿しましたからねぇ。どういった意図で開発したかなんてご本人も教えてはくれなさそうですし」

 

 大蛇丸がチラリとトビラを見たことにより、皆の注目が彼に集まった。

 

「本題に入ろう。オビト、大蛇丸。今回のマダラの復活にトビラは絡んでおらんのだな?」

「ああ、そうだ。トビラはカカシやミナト先生と一緒に俺を止めてくれた。コイツは何も悪くないんだよ」

「それが分かればよい。ダンゾウ、トビラの拘束を解くのじゃ。せめて話せるように」

「そいつらが嘘を言っている場合は……」

 

 渋るダンゾウをホムラがたしなめた。

 

「ダンゾウ。トビラはマダラ封印のためワシらと力を合わせ動いていた。マダラ復活の原因が分かった以上、本人の口から聞いた方がいい」

「…………」

 

 拘束が緩まり、トビラは口を動かすことが出来るようになった。

 そんな彼に三代目が頼んだ。

 

「お主の口から説明いただけるな、トビラよ」

「ああ。ホムラ達が勘づいている通り、俺はうちはトビラであると同時に二代目火影千手扉間の意識を持っている」

 

 彼がそう宣言すると、薄々気づいていたはずの上役たちがハッと息を飲んだ。

 震える声でコハルが問う。

 

「本当に二代目様……扉間先生なのですか」

「ああ。サルとミナトが黙っていたのは俺の意志を尊重してのことだ。あまり責めないでくれ」

 

 その語り方はコハルたちの記憶にある二代目火影そのまま。

 トリフが息を吐いた。

 

「その様子だと我々の知る二代目様のようですね。安心しましたよ。あなたほどの忍が敵になると里にとってはマダラに次ぐ脅威なのですから」

「大方、俺が乱心してマダラを穢土転生し、逆に制御できなくなって封印しようとしていたとでも思ったのだろう」

「ええ。それか兄のオビトがあなたすらも利用した可能性も考えていました」

 

 トリフとトビラの話にミナトが乱入した。

 

「二代目様、あなたはうちはの子供の身体を乗っ取った状態です。それについて弁明しておかないと、後々の遺恨になります」

 

 ミナトの視線の先には、あまりの事態に言葉を失うフガクが。

 トビラも頷き、彼に語り掛けた。

 

「うちはフガク。信じてもらえるかは知らんが、俺は気が付いたらこの姿になっていた。決して、うちはの子供の身体を狙って行ったことではない」

「そんなことを言われて信じろと……? よりによってその子供の身体で…………」

 

 フガクは混乱しながらもトビラに厳しい目を向けた。

 

「あなたは我々一族を警戒していたと聞く。まさかうちは一族を内側から監視するためにこんなことをしたのか?」

「違う。そもそも俺が警戒していたのはうちはに限らない」

「フガクさん! 信じらんねー気持ちは分かりますよ! 俺だってそうだったからあんな馬鹿なことをしちまったわけだし、マダラだって二代目火影ががうちはを潰すって思い込んでいた」

 

 オビトが割って入ってフガクに訴えた。

 

「でも、コイツはトビラ、俺の弟です」

「オビト、お前の弟がこんな得体の知れないものに乗っ取られているのに受け入れるのか?」

「トビラはトビラだ。二代目火影の意識っていうのも……ほら、俺もよく分かんねーけどクシナさんの中に封印? されているっぽい九尾ってのみたいなもんじゃねーかな」

「九尾?」

「そんな感じで二代目火影もトビラの中に封印されてるようなもんなんですよ、きっと」

「俺は尾獣と同じか」

 

 トビラは顔をしかめたものの、兄の言葉を否定はしなかった。

 そしてフガクにもう一度根気強く言った。

 

「フガク。俺はうちはの監視のために子供の身体を乗っ取ったわけではない。不本意にこの身体になってしまった」

 

 フガクは複雑な面持ちとなり、三代目へ顔を向けた。

 

「…………火影様、本当にこの子供……二代目火影は信用してよいのですね」

「うむ。どうかワシの顔に免じてはくれぬか」

「……他でもないあなたがそうおっしゃるのであれば……信じましょう」

「ありがとう、フガクよ」

 

 一旦は納得してくれたフガクに三代目は心から感謝した。

 落ち着いたかのように思えた室内ではあったが。

 

「どうして蘇るつもりがあったのなら先に言ってくれなかったのですか! その気がなかったとしてもせめて気づいた時点でもっと早く我々に言ってくれれば……もっとやりようはあったというのに!」

 

 なじるダンゾウの表情は老獪な里の上役としてではなく、二代目火影の護衛部隊だった若いころにそっくりだった。

 




誰が何を知っていて誰が知らないかわけわかんねーよな。
書いてるこっちもウグァー!ってなってる。
フィーリングでうまいこと読んでくれ! 頼むよ!

多分本文に入れられないので情報整理

大蛇丸→研究所誰か入ったみたいだから自来也たちと見に行こう
   →うわっマダラ穢土転生されてるじゃんヤバーい!
自来也→穢土転生?よく知らんけどまた大蛇丸が原因かよ
カカシ、リン、シズネ、綱手、ミナト
   →大蛇丸に付いていったらオビトが大変そうじゃん
ノノウ→なんか身体が塵で出来たマダラを名乗る人いるんですけど
三代目→塵で出来たマダラって穢土転生じゃん。先に行ってるね
   →穢土転生ってトビラが関わってるだろうけど先にマダラ殴ろうドゥクシドゥクシ
トリフ、ホムラ
   →三代目だけじゃ心配だしコハルに里は任せた俺らも行くぞ
   →トビラって扉間じゃね?え?まさか穢土転生も扉間繋がり?とりまマダラ倒すか
フガク→スサノオはマダラ!なんかオビトっぽい子がいるけどまずはマダラ!
サクモ→任務帰りになんかヤバそうな人いたから戦ってみた
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