これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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里の狂気、その同志たち

 うちは一族が住む地区にある南賀ノ神社の本堂、その右奥から七枚目の畳の下にトビラたちはいた。

 フガクはそこにある石碑の前で説明を始めた。

 

「これはうちは一族に伝わる重要な石碑だ。しかし、読める者は長らくいなかった」

 

 トビラに連れてこられたオビトはソワソワしている。

 オビトたち双子はうちはの集会に参加したことが無いため、集会所の存在も知らなかったからだ。

 初めて来る秘密の場所で見せられた謎の石碑。

 

「オビト、万華鏡写輪眼を開眼したお前なら見えるはずだ」

「俺が? …………これは……『万華鏡はいずれ光を失う』……これってフガクさんが言っていた使えば使うほど失明するってことか?」

「兄さん、文字が見えるのか?」

 

 トビラも写輪眼で石碑を読もうとするが、何も見えてこない。

 焦れる弟にオビトは読み上げてあげた。

 彼曰く、石碑には万華鏡写輪眼による九尾の操り方とその代償に失明することが書かれているらしい。

 さらに。

 

「えーっと……『相反する二つは作用しあい森羅万象の道を得る。その道は輪廻へ通ずる』?」

「まさか輪廻眼か?!」

 

 ハッとするトビラ。

 フガクの顔を見上げると頷きが返って来た。

 

「俺もすべては読めないがそう解釈している」

「ぐぁー! ところどころ読めねーのムカつくな! 中途半端に文字が見えるなら全部読ませろよ!」

「確かに意地の悪い造りであることに違いはない。兄さん、他に読めるところは?」

「いや、今読み上げので全部だ。フガクさん、その輪廻眼ってのはいったいなんだ?」

 

 その問いにはトビラが答えた。

 

「かつてこの世界に安寧をもたらしたとされる六道仙人が持っていた目だ。六道仙人はその圧倒的な力で十尾の化け物を封印し、今の忍術の祖となる忍宗を組織した」

「十尾の化け物って……それってクシナさんに封印されている九尾とも関係が?」

 

 マダラ封印の場にいた者たちにはクシナの九尾についても説明されていた。

 そのため、オビトも「十尾」と聞いてすぐに「九尾」の妖狐を思い出した。

 兄の問いにトビラは頷いた。

 

「九尾は十尾の幼体か、または分裂した姿だろう。かつてうちはマダラと対峙し、口寄せされた九尾を見た初代火影は再びこの世に十尾が現れることを危惧した。当時の俺も同様にな。だから人柱力に封印することに決めた」

「初代火影の妻はうずまき一族の者と聞いたことがあるがまさか彼女が最初の人柱力だったのか?」

「そういうことだ。九尾は特に強力な封印が必要で、うずまき一族ぐらいしか為せる者がいなかった。まさか渦の国が滅ぼされるとは思わなかったが……もしかするとそれもマダラの策略かもしれん。今となってはもう分からないがな」

 

 トビラの話にフガクはいつも以上に顔をしかめている。

 

「マダラは永遠の万華鏡写輪眼を持つ者だ。恐らくこの石碑も全て読めるだろう。もしかすると十尾の復活についても書かれているのかもしれん」

「恐らくそうだろうな。それと輪廻眼の詳しい開眼の仕方も……相反する二つが作用しあう、だけではあまりに抽象的すぎる」

「てっきりうちはの写輪眼と千手の細胞を持つオビトのことかとも思ったが……輪廻眼ではなさそうだな」

 

 フガクがオビトの目を確認して言う。

 オビトも自分の目を抑えて頷いた。

 

「輪廻眼がどれだけすげーのかは分からないけど、さすがにそんな伝説の仙人みたいな力があるとは思えねーな」

「そもそも実在するかも定かじゃなかった目だ。しかし、自来也のあの様子だと暁という組織の長門に輪廻眼が宿っているのだな?」

「ああ。きっとマダラが開眼した輪廻眼がはめられているのだろう」

「はあ?! マダラの輪廻眼が他の奴のところにあるのかよ?!」

 

 自来也の話を知らないオビトが素っ頓狂な声を上げた。

 そんな彼にトビラが雨隠れの暁のこと、自来也がこれからそこへ行くことを説明した。

 

「おいおい、そんな危険な場所にあの自来也のおっさん一人で行かせるつもりか?!」

「雨隠れを抑えめている半蔵を刺激しすぎないためにもそうするほかないだろう。が、おそらくダンゾウは暗部を派遣するはずだ」

「まさか暁を潰すために?」

「場合によってはな。どっちみち、長門が死んだ場合に輪廻眼の回収をせねばならん。そして、派遣される忍は俺になるだろう」

 

 トビラはフガクに言った。

 

「貴様も輪廻眼の行方が気になるから万華鏡写輪眼を開眼していない俺までこの石碑の前に呼んだのだろう」

「ああ。輪廻眼に関わるなら知っておいた方が良い」

「それにしてもこの石碑、いったい誰が記したんだ?」

「うちは一族は六道仙人の末裔と言われている。輪廻眼の開眼について語っているのだから六道仙人が残した物だろう」

 

 フガクの言葉にトビラは思案しながら言った。

 

「ならば千手側にもこの石碑は残っているべきだ。千手もまた六道仙人の末裔なのだから。俺はこんなもの千手の家で見たことが無い」

「写輪眼を持つのはうちはだけに伝えたかったと言うことだろうか」

「しかし何のために……六道仙人は世の安寧を望んだはずだ。なのにこの石碑は見た者を破滅へ向かわせようとしている。石碑のすべてを見たマダラが良い例だ」

 

 トビラは穢土転生されたマダラを思い出した。

 

――十尾を復活させ、この世で暴れさせることがこの石碑の目的か? しかしマダラはただの破壊主義者ではないはずだ。兄さんに語っていた愛だけの世界の創設とやらとも繋がらない……十尾もまた何かをなすための道具でしかないのか? 十尾を復活させたその先にこそマダラの目的が?

 

 トビラはこの時初めて自身が万華鏡写輪眼を開眼していないことを歯がゆく思った。

 無駄だと分かっているのに写輪眼をこらして石碑を見ようとしたとき。

 

「うぐっ!」

「トビラ?! おい、どうしたんだ! トビラ! おい!」

 

 頭を焼く感覚に崩れ落ちるトビラ。

 その様子をオビトは知っていた。

 

「やっぱりお前、すげー熱出してる! ガキの頃と一緒だ!」

「俺は……平気だ」

「んなわけねーだろ! 待ってろ! すぐに綱手のおばさんのところに連れて行くからな!」

 

 オビトはすぐさま弟を背負う。

 しかしトビラは身をよじった。

 

「輪廻眼の行方を見届けないと……」

「バカ! こんな熱で動けるわけねーだろ! そんなに気になるなら俺が代わりに行く!」

「ダメだ兄さん……」

 

 その際、トビラのかすむ視界にうちはの石碑が映る。

 

――相反する二つは作用しあい森羅万象の道を得る……

 

 さっき兄が読み上げた文言がトビラの頭に浮かぶと同時にさらなる熱が彼を支配する。

 

「う……」

「トビラ、しっかりしろ! 俺がそばにいるからな! 熱なんかに負けるんじゃねーぞ!」

 

 オビトは幼いころと同じように弟を励ました。

 そんな彼にフガクが尋ねる。

 

「オビト、本当にトビラの代わりに行くつもりか? 今のお前が里を出られるわけがない」

「甘く見てもらっちゃあ困るな、フガクさん。俺はトビラの兄貴だぜ。この写輪眼、空間を移動できるんだ」

「お前の万華鏡写輪眼にそんな力が?」

 

 フガクが驚いたと同時に神威が発動し、オビトとトビラの姿が消えた。

 彼らが次に現れた場所はオビトの病室。

 さっきまでベッドを占領していたカカシはサクモが連れ帰り、代わりにオビトの分身が眠っていた。

 

「なんだ?! ……オビト?! お前は何度抜け出せば気が済むんだ!」

「綱手のおばさん! トビラを診てくれ!」

「なに?!」

 

 オビトを殴ろうとしていた綱手の拳が解かれ、すぐさまトビラの診療に移った。

 

「急に熱が出ちまったんだ。ガキの頃はよくあったけど最近は無かったのに……」

「マダラとの戦いで疲れが出たか。……チャクラが目に集中していて乱れがひどい。膨大なチャクラを処理できずに暴走し、発熱しているようだな」

「そういやコイツ、集中して写輪眼を使おうとしていたからそのせいかもしれないな」

「戦闘に巻き込まれたのか?」

「いや、ちょっとそれとは別のことで……」

 

 双子が抜け出し向かった先を知らない綱手は呆れ顔をし、同じ部屋にいたシズネに指示を飛ばした。

 

「シズネ! コイツの身体を冷やす準備をしろ」

「はい!」

 

 氷の準備のため部屋を出るシズネ。

 綱手はトビラの診療を続ける。

 

「熱を抑えつつ、チャクラの乱れを戻す手伝いをすればそのうち目覚めるだろう」

「本当か?! さすが綱手のおばさんだ!」

 

 幼いトビラが発熱で死にかけた時、医者は匙を投げていた。

 それを知るオビトは綱手の心強さに喜んだ。

 

「トビラ、あとは兄ちゃんに任せてお前は寝てろ」

 

 オビトはトビラの頭に巻かれた黒い頭巾をとった。

 すると、兄とそっくりの黒い髪が現れた。

 

「こうして見るとお前ら双子はそっくりだな。それでオビト、お前どこに行くつもりだ?」

「兄としての務めを果たしてくる。里のためにもうちはのためにもトビラのためにも俺が行かなきゃいけねーんだ」

「…………ちゃんと戻って来いよ。二人揃ってな」

 

 綱手はトビラを見下ろし、オビトの行く先を見ようとしなかった。

 黒頭巾を頭に巻きながら病室を出たオビトに声をかける人物が。

 

「オビト君、こっちよ」

「大蛇丸さん?! いや、大蛇丸か。何の用だ」

「いくら双子でもその顔の皴でバレるわよ」

 

 大蛇丸が暗部の面を差し出した。

 夕焼けが里の端をかろうじて染めているが、空のほとんどが星ばかり。

 もうすぐ夜になる。

 大蛇丸はそんな夜の闇よりも深い地下へ繋がる道にオビトを案内した。

 

「自来也も水臭いもんよ。半蔵が名付けた三忍の私たちを置いて行くんだから」

「え?」

「何でもない。さっさと行きなさい」

 

 オビトが振り向くと大蛇丸はもういない。

 仕方なくオビトは受け取った面を顔に付け、地下へと潜った。

 そこで待つ一人の老人。

 

「遅かったな」

「…………兄さんを誤魔化すのに手間取っただけだ」

「ふん。すでに面も調達してきたか。相変わらずの周到さだ」

 

 暗部の面と暗闇がオビトの姿を隠している。

 今ばかりはその闇がオビトを味方した。

 

「……自来也の姿を東門で確認した。お前はあやつに気取られぬよう追い、雨隠れに入れ。いいか。お前の任務は輪廻眼の回収だ。くれぐれも自来也の支援をしようなんて考えるな」

「心配せずとも俺は里のために動く」

「いいだろう。行け」

 

 ダンゾウの前から退散したオビトはそのまま東門へと向かった。




フガクがどれだけうちはの石碑を知っているか、おそらく小説版の設定とは異なる部分があります。
そこら辺は独自設定満載ってことでよろしく。
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