これは二代目火影の卑劣な転生だ   作:駅員A

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馬鹿

 すっかり熱の引いたトビラは里に戻って来たオビトを出迎えた。

 

「あれ? トビラ! 身体はもう平気なのか?」

「子供のころと違って綱手が処置してくれたからな。それよりも兄さん、随分と思い切ったことをしたようだが当然、成果はあるのだろうな?」

「そりゃあもちろん! 雨隠れの半蔵と暁のリーダー弥彦から連盟の書状を持って来たぜ!」

 

 ドーンと胸を張るオビトに自来也が怒鳴った。

 

「おいこらガキ! お前はこっそり里を出た身だと分かっとるのか! もう少し忍べ!」

「言っておくが自来也。今回のことは全て三代目にバレている。綱手と大蛇丸が噛んでいることもな。怪我がないなら火影室へ行くぞ」

「げっ! あやつら、下手を打ったか!」

 

 トビラは逃げ出そうとする自来也をしっかり捕まえ、オビトともども火影室へと引きずった。

 そこにはすでに綱手と大蛇丸も集められていた。

 

「無事に帰って来たようじゃの。まずはそれが何よりだ。しかしだなお前たち、どれほど大変なことをしたのか分かっておるのか……」

 

 三代目は元気そうなオビトたちの姿に目を細めるも、自来也たち三忍には厳しい視線を向けた。

 自来也はとりあえず隣にいた大蛇丸に囁いた。

 

「おい大蛇丸! なんでバレとるんだ! というかワシも一緒に怒られる道理はないだろうが!」

「うるさいわね。そもそもアンタが何も言わずに里を出ようとしたからこうなったんでしょ」

「はあ?! オビトを寄越したのはお前と綱手がやったことなんだろうが!」

 

 言い合う彼らに三代目はため息を吐いた。

 

「まったく……てんでバラバラなお前たちだが、数年に一度だけ揃って悪だくみをすることがあったのを思い出す。ああいう時の結束力をもっと普段から見せてほしいものだ」

「なら良かったじゃないか、ジジイ。今回は私ら3人の結束力ってやつが見れたのだからな」

「だから綱手! まるでワシも一緒にオビトを連れ出したみたいな言い方をやめろ!」

 

 知らないうちに巻き込まれた自来也が言うも、綱手にギロリと睨まれるだけ。

 その迫力に、(あ、こりゃ逆らっちゃいかん)とあっさり諦めた。

 

「そもそも私たちはオビト君を里から出しちゃいないわよ。双子の見分けもつけられない耄碌ジジイが任務を与えたからオビト君も堂々と里から出られたわけなんだし」

 

 大蛇丸の指摘は痛いところを突いたのか、三代目もそれ以上の説教はできなかった。

 代わりに、自来也に雨の国で起きたことを聞くことに。

 

「…………とまあ、長門は輪廻眼を使いこなしている。変な輩に渡るよりはそのままにしておいた方がいいだろう」

「うむ。雨の国は小国で尾獣もない。半蔵だけでもっていた国ではあるが、輪廻眼が新たな力となるであろう」

「三代目、その半蔵と弥彦たちから書状を受け取ったから読んでほしい」

 

 オビトから渡された書状に目を通した三代目はうんうんと頷いた。

 

「雨の国と火の国、そして土の国での交渉の場を取り付けたいとのことだな。ちょうどいい。岩隠れには賠償なしでの休戦協定を受け入れる代わりにこの和平交渉の場に来ることを条件にしよう」

 

 雨の国からの申し出をあっさりと受け入れた三代目は書状をしまい、オビトに話しかけた。

 

「さてオビト。遅くなってしまったがお主が生きていることを里の忍たちに知らせよう。今日から隠れる必要はない」

「え? いいの?!」

「うむ。もうすぐあるミナトの就任式は特等席で見たいであろう」

「ミナト先生の就任式……それって四代目火影の?!」

 

 さっそくオビトは弟を誘ってクシナにお祝いを言いに行くことにした。

 ミナトは里を離れているらしいが、彼女ならどこにいるか分かる。

 火影室はアカデミーと同じ建物の中にある。

 だからかオビトはちょうどある人とその入り口で会った。

 

「あれ? サクモさん?」

「オビト君。もう外を出歩けるようになったのかい?」

「そうなんだよ! さっき三代目の爺ちゃんにオッケーもらってさ!」

「そうか、良かったよ」

 

 ニコニコするサクモはいつもの任務服ではない。

 休みの日まで火影室に用があるのだろうか、オビトがそう思った時。

 

「サクモ校長! さっそく保護者の方が校長とお話をしたいと言って来ているのですがその方、ちょっと問題ありな方でして……」

「も、モンスターペアレント?!」

 

 アカデミーの教員らしい忍のヒソヒソ話にビクビクするサクモ。

 

「え?! サクモ校長ってまさかサクモさん、アカデミーの校長になったの?!」

 

 驚くオビトにサクモは頷いた。

 

「火影様に『引退はまだ早い』って言われてしまったからね」

「それってやっぱりその腕が……」

 

 サクモの利き腕を奪った張本人であるオビトがモゴモゴ言うと、サクモは首を振った。

 

「それはきっかけに過ぎない。この道を選んだのは俺だ。それに、火影様たちは戦争をやめるための交渉を始めている。そうなると俺みたいな存在はむしろ邪魔になるんだよ」

「サクモさんは木ノ葉の英雄だろ? 何が邪魔になるんだよ」

 

 サクモは微笑みながら言った。

 

「俺を憎む忍は他の里に多い。特に砂隠れは俺を許しはしないだろう。けど、俺がもう任務に出られない身体だと分かれば少しは話を通しやすくなるかもしれない」

「そんなこと……サクモさんは里のために戦っただけなのに……」

「兄さん。サクモは今も里のために戦っている。その場が変わっただけのことだ」

 

 諭すトビラにサクモ自身も同調した。

 

「俺は戦争以外で生きる場所が無いと思っていたけど、意外と性に合っていそうなんだ。新しい世代を見守れるなんて光栄に思うよ」

「…………俺もサクモさんが校長ならもっといいアカデミーになると思う! 校長就任おめでとう、サクモさん!」

 

 オビトのお祝いにサクモは「ありがとう」とほほ笑む。

 その時。

 

「ああ! いた! あなたが新しい校長ざんすね! 話したいことがたくさんあるから逃がさないざんす!」

「えっ?! やはりモンスターペアレントか!?」

 

 迫る保護者にビクビクしながらもサクモは校長室へと案内する。

 そんな後ろ姿にオビトはポツリと呟いた。

 

「なあトビラ、あれって大丈夫なのかな」

「…………誰かサクモの補佐につけるよう三代目に言っておくか」

 

 建物から出ると、外はちょうど晴れていた。

 

「そうだ、トビラ。遅くなったけど返すぜ」

 

 オビトが外した黒頭巾の中から弟そっくりの黒髪が現れた。

 優しい陽光がキラキラと照らす。

 兄から受け取った頭巾をトビラが巻きなおした時、オビトの足が止まった。

 そして、光の当たらない建物の陰を振り返る。

 

「なあ、ダンゾウの爺さん。アンタからしてみりゃ俺は夢見がちな若者にしか見えないかもしれない。それでも俺はこの世界を救いたいと本気で思ってる」

 

 そこにはダンゾウがいた。

 

「甘いな。お前は何も分かってはいない。お前が垣間見た闇はこの忍の世に比べればたいしたものじゃない。それでよくそんな大きな口を利ける」

「ああ。そうだな。でも俺が闇を知らずに済んでいるのはアンタたち上の世代が守ってくれたからだ。だから俺も同じように次の世代を守り、繋げたいんだ」

 

 光差す場所に立ったまま、オビトはグッと拳をダンゾウに向けた。

 

「俺は仲間を守りたい木ノ葉の忍、うちはオビトだ。この里のために、この世界のためにもうゼッテー諦めはしない。だから見ててくれよ」

 

 ダンゾウは双子を凝視するだけで動こうとはしない。

 そんな彼にトビラが歩み寄った。

 

「貴様がこれまで見て来た闇の深さは俺にも計り知れないものなのだろう。けど、お前までその闇に飲まれなくてもいいじゃないか、ダンゾウ」

「……結局はあなたにも染みついているようだ。初代火影の甘い考えがね」

 

 怯むダンゾウは結局捨て台詞を吐き、トビラたちから逃げるように踵を返して姿を消した。

 トビラも追いかけることはなく、行き場のなくなったオビトの拳。

 ぴゅうっと風が吹き、木の葉が舞い、その拳の上に乗った。

 オビトはその葉を手に取り、そして太陽に透かしてみる。

 その姿にふと、トビラは思い出した。

 

「そういえば兄さん。木ノ葉隠れの名前を付けたのは初代火影ではなく……」

 

 語り合う双子のそばを里の子供たちが無邪気に走り過ぎる。

 まだ平和への道は遠いかもしれない。

 それでも大戦の終わりはすぐそこまで来ていて、新たな時代が始まろうとしていた。

 

 

 

 

???「マダラも死んで輪廻眼への手出しも難しくなったカ……まあいいサ……また1000年待つぐらいどうってことナイ……」




これにて一旦完結です。
ご愛読ありがとうございました。

一番書きたかったほのぼのした話は番外編として追加します。
本編はまた書き溜めて二部を始める予定ですがいつになるのかは私もよく分かっていません。
その時はまたお付き合いいただければと思います。
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