裏方先生の裏方業務 課外授業『テーマ:宝探し』   作:虎神 圭

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プロローグ「それでは、宝探し開始!行ってらっしゃい!」

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 創立805年。

 パルデア地方で最も古く、世界基準でも有数の歴史がある私立、オレンジアカデミー。

 

 この物語はそんな学園に在職している、1人の教師の物語。

 

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「本日はお集まりいただきありがとうございます」

 

 職員室に集まった我々を前に、オレンジアカデミー責任者、クラベル校長は口を開いた。

 今日は月に一度の職員会議。例月(れいげつ)通りならば各学年ごとに実施される、この会議だが今回はひと味違った。全教職員が一堂に会しているのだ。

 重大な発表がある筈。皆一応に感じていた。

 

「本年度も昨年同様に課外授業"宝探し"を実施致します。実施期間中、教職員の皆様にはご無理をお願いすることとなりますが、生徒達の成長の為、よろしくお願いいたします」

 

 もうそんな時期かぁ、、、。

 

 クラベル校長から告げられた言葉を聞き、皆それぞれの思いを口にする。

 

 課外授業"宝探し"

 

 これはオレンジアカデミー独自の課外授業であった。期間中、生徒達は自分の思うがままにパルデア地方を旅する。道中彼らは、パルデアの豊かな自然、豊かな文化、そこで暮らすポケモン、そこで暮らす人々を見て、触れ、感じ、自分だけの宝物を見つけて帰ってくるのだ。

 

 毎年課外授業を通じて、生徒達は大きく成長して帰ってくることから、お預かりさせていただいている親御さんからの評判が良く、今では課外授業を目当てに入学を決める親御さんも跡をたたない。

 

裏方(うらかた)先生」

 

 呼ばれた。

 

「裏方先生には今年度も安全管理長の担当をお願いできますか?」

「承知いたしました」

「助かります。期待していますね」

「はい!」

 

 名前を呼ばれた時点で、次に続く言葉は予想の内だった。

 生徒達は自分の思うがままに旅をする。きっとそれは学園では味わうことの出来ない宝を見つける一方で、当然、何かしらの事故や事件に巻き込まれる可能性もゼロではない。

 

 そこで我々安全管理担当者の出番だ。

 生徒の所有するロトムフォンには、どこに居ようと緊急で繋がる専用ダイヤルが連絡先に登録されている。生徒からの連絡を受信した場合、又は学校への定期連絡が途絶えた場合、我々安全管理担当者は、すぐさま持てうる限りのあらゆる力を持ってして問題の解決を図るのだ。

 必然的に本メンバーには武闘派の先生方が多く担当することとなる。担当長を任されるだけあって、ポケモンを使うことには自信があった。クラベル校長の期待に応えるためにも、私は内心張り切っていた。

 

 その後、課外授業"宝探し"に向けて、各担当の振り分け、連絡事項、情報共有は滞りなく終了した。

 

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 数日後。課外授業"宝探し"当日

 

 「それでは、宝探し開始!行ってらっしゃい!」

 

 クラベル校長の見送りの挨拶を聞き、生徒は個々の旅を始めた。ある者は我先にとアカデミーから飛び出して行き、又ある者は旅立つのを躊躇っていた。それぞれの旅だ。教職員は急かすこともしない。それは彼らの選択なのだから。なるべく干渉しないようにするのだ。

 

 生徒がグラウンドを後にしたことを確認後、教職員達は動き始めた。この課外授業には学校関係者だけではなく、ポケモンセンター、フレンドリィショップ、各地のジムリーダーのほか、さまざまな人達の協力が必要不可欠だった。

 皆の思いは一つ。生徒が良き宝を見つけて無事帰ってくること。

 

「さて、私も行きましょうか」

 

 モンスターボールを投げると南国の巨大な木を彷彿とさせる四つ足ポケモンが現れた。背中に生えた大きな2対の葉っぱを羽ばたかせ、辺りに砂煙を巻き起こした。やる気十分。彼もまた、さまざまな地域をこうして飛び回れるのを楽しみにしていたのだろう。

 

「トロピウス、今回もよろしく」

 

 私はトロピウスの背に跨った。

 

「裏方先生。一つお願いが」

 

「はい、なんでしょうか?クラベル校長」

 

「アオイさんには目をかけておいていただけますか?」

 

「アオイさん、アオイさん、ああ、コライドンをオーリム博士から託された子ですね。承知いたしました。お任せください」

 

 私はそう言い残し、トロピウスと学園を去った。

 

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 ロトムフォンが鳴る。

 緊急の専用ダイヤルではなく、私の個人ダイヤルだった。

 

「もしもし」

 

「先生!今いいですか?」

 

「大丈夫だよ、ネモさん」

 

「あの!バトルしましょう!」

 

「・・・・・へ?」

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