裏方先生の裏方業務 課外授業『テーマ:宝探し』   作:虎神 圭

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主人公の口調が安定しません、、、


SOS? ネモ「ポケモンバトルしてください!」

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 ロトムフォンが鳴る。

 

 緊急の専用ダイヤルではない。私個人の教職員用ダイヤルへの着信のようだ。画面には、ネモのふた文字が表示された。

 

 ネモ。

 オレンジアカデミーで、その名を知らぬ者はいない有名人だ。パルデア地方最年少のチャンピオンランク保持者であり、一年生ながらオレンジアカデミー生徒会長をも兼任する、まさに文武両道を兼ね備えた女子生徒。

 人当たりの良さから学友も多く、教職員の評判は良い。学内では天才と称する声も耳にする。一方で『バトルジャンキー』と言った、あまりよろしくない話も耳にするが根も葉もない噂だろう。

 

「トロピウス、そこへ降りてくれ」

 

 トロピウスは私が指し示した岩肌の露出した崖上へと降り立つ。巨体に括り付けたポーチから、地図とメモ書きを取り出して、彼の背に広げた。

 

 アカデミーでは生徒の安全を第一に考え、課外授業期間中、生徒達には毎日どこにいるのかを連絡するよう指導していた。時刻は昼時。定時連絡にしては、早すぎる時間帯。緊急の専用ダイヤルではないが、何かあったのではないかと気が気でない。

 ペンを握る手に力が入る。ペン先が滲む。大丈夫。そう自分に言い聞かせ、鳴り響く応答待ちのコールを取る。

 

「もしもし。ネモです。裏方先生、、、今よろしいでしょうか!」

 

 私の緊張に反して、ネモからは、元気はつらつな声が返ってきた。

 

「大丈夫だよ、ネモさん。どうしたんだい?」

「あの!バトルしてください!」

「・・・・・へ?」

「ポケモンバトルしてください!」

「はい?」

 

 思わず出た、素っ頓狂な声。ネモは言葉を続けた。

 

「クラベル校長が裏方先生のことをポケモンバトルが物凄くお強い方と仰ってました。クラベル校長だけではありません。ハッサク先生やジニア先生、キハダ先生も!、、、皆が認める実力者。私はそんな裏方先生とポケモンバトルがしたいんです!ポケモンバトルしてください!」

 

 ひとまず何事もないようで安心する。ホッと胸を撫で下ろす。

 

「うーん、、、今はちょっと難しいかなー、、、」

「どうしてですか!?」

「交代の先生が来るまでには、まだ時間があるしね。仮に休憩時間でもネモさんのところに行って、ポケモンバトルするのは厳しいかもしれない」

「私が先生のところに行きます!」

「連絡が来たら途中でも中断するかもしれないよ?」

「構いません!」

 

 一向に食い下がらないネモ。私もすぐには首を縦には触れなかった。どうするべきかと唸る。

 

「そうだ、宝探しです!裏方先生とのポケモンバトルが私にとって探し求めていた『宝』かもしれないんです!!!宝探しのためならご協力いただけますよね?裏方先生!」

 

 ゔっ。痛いところをつかれた。

 

 宝探しのために生徒をサポートするのは教師としての務め。

 私には了承する以外の選択肢は残されていなかった。彼女の言い分を頭ごなしに出任せだと、否定するのは簡単だった。しかし、本当に彼女にとっては、宝なのかも知れない。

 宝は人それぞれ違うのだ。

 

 付近にいる先生方に断りのメッセージを入れると快く承諾して頂いた。

 先に折れたのは私だった。

 

「分かりました。近くのセルクルタウンで合流しよう。詳しいルールは現地にて」

「やった!やった!先生大好き♡」

「軽々しく大好きとか言わない」

「はーい。早く来てくださいね!」

 

 すぐさま電話は切られた。

 

 トロピウスは心配そうに私の顔を覗き込んできた。私は彼の頭を撫で、大丈夫だよと聞かせるとセルクルタウンへと手綱を取った。

 

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 セルクルタウン。

 パルデア地方最大の都市テーブルシティを西へ進んだ先、南2番エリアにある町。オリーブの名産地で、収穫の時期には収穫祭を毎年開催している。その歴史は古く、伝統のあるお祭りとして、島の内外から多くの観光客が訪れる。

 町にはパティスリー「ムクロジ」の店長、カエデがジムリーダーを務めるセルクルジムがある。

 セルクルタウンへ足を運ぶ目的となった人物、ネモの影響が色濃く、課外授業期間中にポケモンジム制覇、更に先にあるチャンピオンランクへの挑戦を目標にしている子も少なくない。そんな彼ら彼女らの第一の関門となるのが、ここセルクルジムだ。

 

 セルクルジムに併設された専用ジムコートを借りるためにも、ジムリーダーカエデに話をつけるべく、ジム玄関に降り立った。ガラス越しにジムリーダーカエデとネモが話しているのが目に止まった。相手もこちらを視認した。

 

「裏方先生。カエデさんにジムコート借りる許可取りました!さぁ、ポケモンバトルしましょう」

 

 なんと既に話をつけていたらしい。

 彼女の行動力にはひどく感心する。

 

「カエデさん。無理言って申し訳ありません」

「いえいえー。ネモちゃんの頼みですしー。話を聞いてたら私も気になっちゃいました」

「お恥ずかしい限りです」

「先生、早く早く!」

 

 私はネモに腕を引かれて、ジムコートへと急かされるのだった。

 

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 ジムコートに向かい合う2人。

 どこからか騒ぎを聞きつけて、ギャラリーも集まっていた。

 

「チャンピオンネモちゃん。対するはアカデミー最強と噂される実力者、裏方先生。2人のエキシビジョンマッチ。2人とも準備はいいー?」

「はい!」

「はい」

「ルールを説明しますねー。使用できるポケモンは3匹まで。相手のポケモンを3匹とも戦闘不能にした方が勝者ですー。ジャッジは私、セルクルジム、ジムリーダーカエデが行いますー。ではバトル開始」

 

 合図と共にモンスターボールを投げる。

 

「いけ、コータス」

「行くよ、ルガルガン」

 

 日差しが降り注ぐ。

 

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