裏方先生の裏方業務 課外授業『テーマ:宝探し』 作:虎神 圭
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「く………」
「く?」
「悔しいっ!!私、本気で戦ったのに、、、負けちゃった!くぅーーーっ!」
ネモはコートに尻餅をついて悔しさを
大の字に寝転がるネモ。言葉に反して、満足げな顔を浮かべて、口元からは笑みがこぼれ落ちていた。
「んー、、、アマージョが出てきたタイミングで突っ張らずに、パーモットを交代させるべきだったかな?でもなぁ、、、。そもそもテラスタルのことを、、、。今日はなんか頭が回らなかったなぁ」
チャンピオンと呼ばれるようになってから今日まで、長らく味わうことのなかったであろう、全力を出した上での敗北。
負けず嫌いな彼女のことだ。その悔しさは計り知れない。そんな周囲の心配をよそに、ネモは試合運びの良し悪しに頭を
「ネモさん、お疲れ様」
私はネモに手を差し伸べた。小さい手のひらをがっしりと握りしめて引っ張り上げると、勢い余ってネモが胸元に飛び込んできた。
わわわっと声を漏らす。顔がほのかに赤く染まるネモ。
「あーごめん、強く引きすぎた。大丈夫?」
「………」
「ネモさん?」
「裏方先生、、、私、先生のこと、、、好きなのかも?」
「はい?」
あの元気はつらつな彼女は一体全体どこへやら。目の前にいる少女は、どこかしおらしい態度で照れくさそうに前髪を弄る。気恥ずかしそうにへへへと笑う。耳が赤い。真っ赤になった顔の火照りを手で仰いで冷ます素ぶりを見せる。
「最近は寝ても覚めても、ずっと先生のことが頭から離れなくて。胸がこう、、、ぎゅーって締め付けられるような感覚で。近くにいるだけで体も熱くなって。私、先生に恋してるかも!」
「いや、そんな、まさか、待って、えぇ、、、」
突然のカミングアウトに私は言葉を詰まらせた。
教師と生徒の関係。両手で足りるかどうかの歳の差。こうした色恋は、教員人生のうち一度や二度は珍しくないと話半分に聞かされていた。しかしこうして自分が当事者になるとは考えもしなかった。
「あらあらー、いいわねぇ。青春ねぇ。甘酸っぱい、、、恋の味。甘さのあるマゴの実に、、、酸味のあるイアの実を合わせたタルトケーキ。これなら今年のコンクールで優勝も狙えるわぁ」
ジムリーダーカエデに目線を合わせて助けを求めるも、彼女は新作洋菓子のことで頭が一杯のようだ。
「こんなにもドキドキしてるんですよ!?」
ネモは私の腕をガシっと掴むと、自らの胸元へと押しつけた。
柔らかな胸の感触と脈打つ心臓の鼓動が手のひらを介して伝わってくる。私は慌てて手を引っ込めた。
「私じゃ、ダメですか???」
「い、いや、ダ、ダメというか、ダメではないけど、ダメだけど、その、、、」
歯切れの悪い返答しか出来ない私。オレンジアカデミーでの教職人生を、ネモとの関係を大きく左右しかねない、この案件。一度持ち帰りたい。一度持ち帰るべきだ。そうと決まれば、自ずと答えは導き出された。うやむやにして、一旦返答を先延ばしにする。これしか道は残されていない。
「ネモさん。君ならわかると思うけど、ちょっと考えさせてほしい。大人にはいろいろあるんだ。それでも好きって言ってくれるなら、こっちもちゃんと答え出すから。ち、因みに、いつから、、、?」
「んーーー、クラベル校長にお話を伺ってからですかね」
「………ん?」
何故ここでクラベル校長の名が???
「どれほど強いのか、どんな戦い方をするのか、ポケモンの傾向は?相手のペースに合わせた立ち回りをすべきなのか、逆に自分のペースに巻き込むのか、ずっと考えてました」
おっと、、、?これはまさか???
徐々に落ち着きを取り戻した。すると、先ほどまでは見えていなかったものが見えてきた。ネモの目の焦点が合わないのだ。呂律のまわりが悪い。体も時折ふらつかせる。不思議に思った私はネモのおでこに手を当てた。
「、、、熱い。ネモくん、熱あるじゃないか」
「、、、ふぇ???」
「しかもかなりの高熱だ
「、、、気づかなかったです」
ネモは身体を大きくふらつかせた。私は彼女の体を支えた。
「裏方先生、トレーナージムの医務室を使ってください」
「ありがとうございます、カエデさん」
朦朧とする意識の中、ネモは先生とか細い声で呼ぶ。私は彼女に大丈夫と声を掛けた。彼女は安心したかのように眠りについた。
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(これは熱のせいだったんだ。胸も苦しみも勘違いだったんだ。余計な心配もかけちゃったなぁ。元気になったら謝らないと、、、。今感じてるこの気持ちもきっと、間違い。そう、きっと、きっと、、、)
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