文字数下限に引っかかったので初大幅加筆です。
その為作風や文体がチグハグかもしれませんがご了承下さい。
百合ヶ丘に入学してから、一週間ほど経ちました。
講義や訓練が本格的に始まりつつあり、流石に入学式の話も風化しつつある今日この頃。私こと鷹菜詩真乃はというと―――
「―――七発中七発、全てが的に掠りすらしない。……ある意味天才的ね」
「ま、全く仰る通りです……」
美鈴様が生きているという噂を教えてくれた件の上級生のもと、射撃訓練に勤しんでいました。
最初は自主的な訓練だったのですが、偶然にもたまたま通りがかった所に『少し見てあげる』とご指導を受けていたのですが……しかしその成果は芽すら出ず、優しかった上級生の方―――そう言えば名前聞いてませんでした。二水さんなら知ってるかな―――も次第に呆れ、諦めの境地に至ってしまいました。
「フォームは教えた、知識も理屈も理解もしている、矯正の為に密着して後は引き金を引く所までお膳立てだってした。
と、いうのに……鷹菜詩さん、あなたこの状態でヒュージとどう戦うおつもり?」
「それはもう接近戦で頑張るしかないかと……」
「ノータイムで返したわねあなた……」
私の返しに呆れたと言わんばかりに、上級生の方はオーバーに溜め息を吐きました。
「簡単に仰るようだけど、あなたそれがどれほど困難で時代錯誤か分かった上での言葉かしら?
ヒュージの攻撃をいなし、掻い潜り、流し、懐に潜り込んで斬る……言葉で言うのは簡単でも、実戦では結構難しい事なのよ?
ヒュージの方も触手やマギの光弾と、飛び道具がないわけでもないし……それに対して近接一辺倒じゃリスクがありすぎでしょうに。
それでもあなた、これから戦う全てのヒュージを近接戦だけで仕留めるつもり?」
「別に、私が仕留めなくても他の方が仕留めたりとかすればそれでいいのでは……。デュエル重視の戦い方って、廃れてきてるって聞きますし……」
「その一人の時をどうするのかって言ってるのだけれど!?」
「だったら、まぁそうするしかないかなと……」
上級生の方は先程以上の溜め息を吐き、これ以上は暖簾に腕押しと思ったのかやれやれと首を振ります。流石に申し訳なくも、自分が情けなくも思い、私はぎゅっと口をつぐんだまま俯いて微動もできませんでした。確かに、リスクや常にそれができるとも限らないのは仰る通りなのですが……自覚はありますし、当てることが叶わない以上は仕方ない、やるしかないと思う次第でして。いや、ある程度射撃ができて当たり前なのは分かるのです、分かるのですが……。
「接近戦と言えば、一柳さん……だったかしら。夢結さんのシルト希望の。
彼女も、訓練から一週間になりますわね」
「あ、言われてみれば……」
上級生の方の言葉に、ふと先週の事を思い出します。
グングニルでの構えや型に慣れようと訓練場に足を運ぶと、たまたま一柳さんと夢結様がCHARMにマギを通す訓練として構えていた所でした。後学になるかもと勝手ながら見学させてもらいましたが、初心者に対してあまりの苛烈な訓練……いや、訓練とは呼べない、八つ当たりや拒絶、あるいはまさに"突き""放す"ような一方的な剣戟だったのを覚えています。……見かねて止めようとしたものの、夢結様のその剣戟に気圧されて動けなかった事も、よく覚えています。
「あ。あなた、流石にCHARMの起動やマギを通すぐらいは多少なりともできるわよね?」
「まぁ、そのぐらいは。受験に向けて体力走力に剣のイロハ、それと第一世代ですけどCHARMの起動は両親に叩き込まれたので」
「……ちょっとおかしい言葉が聞こえたような気がするけど聞かなかった事にするわ。
それはそうと、鷹菜詩さんの実家はどちらに? あとご両親は何を?」
「え、岡山ですけれど。両親はラボで働いてまして……」
「疑惑が確信に変わったのだけれど──────────────!?」
上級生の方が何故か悲痛な叫びを上げたと同時に、続けて重く響く鐘の音が学院中に響き渡ります。入学式の時と同じ、ヒュージの出現……!
「すみません、私当番なのでこれで」
「いや当番ってあなた! 実戦経験は!?」
「ないので見学です!」
失礼ながら上級生の方に程々の会釈で失礼し、私は戦場……の見学場所へと向かいます。
岡山と聞いて、なんとなくあの方が言わんとする事は分かりますけれど……それについては、また別の機会に説明させてもらえれば幸いです。
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それは、まるでお伽噺のような光景でした。
一人ヒュージに突出するルナティックトランサー状態の夢結様に、助けようと跳んで向かう一柳さん。
暴走状態の夢結様は一柳さんをも迎撃しようとブリューナクを突きつけるも、一柳さんはグングニルを返し、二人のCHARMが衝突します。すると二人のマギが反応を起こし、二振りのCHARMの間にはマギスフィアが生まれました。
その影響か生まれたマギの本流に乗って、二人は飛んでいって、そして……マギスフィアと共にCHARMを叩きつけ、レストアされたヒュージの硬かった外骨格をいとも簡単に砕き、ヒュージを跡形もなく消滅させてしまいました。
「す、凄い……」
私は、その光景のあまりの凄さに、ただ立ち尽くすことしかできませんでした。
「ふわぁ……! 夢結様と梨璃さん、凄すぎます……!!」
隣にはレアスキル『鷹の目』を発動している二水さんが、とても興奮した様子でこの光景を見ていました。
今日の当番はレギオンに所属していないフリーのリリィが集められたのですが、先程も言ったように実戦経験のないリリィは後方で見学という事になってたんです。……あ、二水さん鼻血出てる。ティッシュティッシュ。
「二水さん」
「ああっごめんなさい! つい……」
程よく丸めて鼻栓にしたティッシュを受け取り、二水さんはせっせと鼻に詰めました。
それにしても……一柳さんは、凄いな。入学式の時も、初陣でCHARMと契約した上でヒュージを倒したってリリィ新聞でも書いてあったし。
それに、あの訓練場の時だって。
『いいんです、私……』
『私、みんなより遅れてるから……』
『やらなくちゃいけないんです……!』
『だから、続けさせて下さい……!!』
諦めてなかった。きっと、気持ちが一歩も後ろに引いてなかった。
傍観してただけの私が、後ずさっていたぐらいなのに。
一途なだけじゃない、心に一つの強さも感じる。私なんかよりも、ずっと立派なんだ……!
……私も、もう少し射撃訓練頑張ってみよう。もしかしたら、ほんの少しでも改善するかもしれないし。
公式では岡山県は陥落指定地域としか明言されていませんが、
本作ことHawk世界ではオリジナル設定でガーデンと小規模ながら研究所が存在します。
本格的に触れるかちょっと怪しいので、『教えて真乃ちゃん(仮)』と言う名の設定解説を出すかもしれません。
あと1~3話までの初期稿執筆時と現在執筆中の話とで設定の練り込み等が違うため、
作風や文体、設定の齟齬や真乃のキャラ変等があるかと思われます。ご了承下さい。