てかまだ新人戦の一日目なんすね。
九校戦だけでめっちゃ話数使うやん。
感想と評価ありがとうございます。モチベーション上がりまくってます。
そして誤字脱字報告本当に申し訳ないです。
今回はほのかが活躍かな?
そして八幡がやべー奴扱いされてます
それではどうぞ!
第一高校スピード・シューティングの結果は他校でも波乱を呼んでおり、特に一校に対して「覇権奪還」を掲げていた他校と共に本戦「バトルボード」にて思いもよらないハプニングで「気の毒ではあるがこれはチャンス」と意気込んでいた第三高校は思わぬ波紋を呼ぶことになっていた。
「じゃあ将輝、あれは一校選手の個人の魔法技能に依るものじゃないって言うのか?」
三校新人戦に参加する選手一同から視線を向けられているのはこの会議の中心人物である一条家の御曹司である一条将輝が頷き返していた。
「確かに北山って選手は他よりも卓越した魔法技術を持っていて実際にウチの優勝候補だった十七夜を打ち破って優勝してはいるが、それに続いて2位3位の選手はそれほど魔法力が卓越した様子見られない。それなら独占される結果にはならなかった筈だ」
「それにバトル・ボードはいまはウチが優勢だし、一校のレベルが今年の一年が特に高いとは思えないよ」
「ジョージの言う通りだ。現に男子は三名、女子は一名とバトルボードの予選を通過している…。それ以外の要因があると考えて良いだろう」
「一条君、それってどんな要因?」
スピードシューティングの女子新人戦3位決定戦で惜しくも敗れてしまった三校の選手が将輝に問いかけると将輝は隣にいた吉祥寺とアイコンタクトをして互いに同じ思っていたことを全員に告げた。
「エンジニアだと思う」
「ああ。僕も将輝と同意見だ」
「一校の勝利はまぐれではない。CADの性能を2~3世代引き伸ばすことが出来る化け物じみた技術者が向こうには居るってことだ」
それを聞いた三校選手陣は動揺しているが気を引き締めさせるために将輝は合えて真実を告げた。
「今後奴らが試合をする選手の担当となった場合相当な苦戦をするのは間違い無いだろう」
「将輝、お前がそこまで言う相手なのかよ…」
「一人のエンジニアが複数競技の人を担当するのは物理的に不可能だけど…」
「ああ。だが一校には今年「七草家」長男が入学して今回の大会では選手兼任エンジニアを担当している。スピード・シューティングで北山選手が使用していた魔法もそいつが作成したって噂だ。七草の長男ともう一人のエンジニアが一校の新人戦のレベルを引き上げているのかも知れない。デバイス面ではハンデを負っていると考えた方が良いな」
重苦しい雰囲気のなか新人戦の女子リーダーのような存在である愛梨は別の事を考えていた。
(先程の試合で見せていたCADと選手の魔法はやはり八幡様が調整されていたのですね…。あの栞が打ち負かされるのは納得ですわ…。八幡様が褒められるのは嬉しいのですけれど…複雑ですわね…)
他校生徒の八幡が褒められて嬉しいのだが自身の所属する第三高校が苦境に立たさせれ微妙な心境の愛梨であった。
◆
一方その頃八幡と達也(主に八幡)は三校から人外扱いを受けているとは露知らず、昼食を仲間達ととった後分かれてバトルボードの会場へと急いだ。
午後から予定されているのは第四レースから第六レース。
ほのかが参加するのは第六レースになるので急ぎ会場へ来たのだ。
「あっ、七草くんどうしたんですか?」
八幡は会場へ到着すると中条先輩の木の実を咥えた小動物のようなキョトンと首を傾げる姿を見て思わず頬が緩みそうになるが八幡は「俺のにやけ顔見たら通報されるな…」と思い力をいれていつものような表情をとった。
しかし、
「八幡くん今バカにしませんでした?」
口元がだらしなく緩んでいたようで指摘されてしまった。
「んなわけないっすよ。ただ中条先輩が小動物みたいで可愛いなって思っただけっすから」
そう言われたあずさは顔を真っ赤にして八幡に反論する。
「か、かわっ…!八幡くん?思ったことをすぐ口に出すのはいけないことなんですよ!」
抗議し半目で睨み付ける様子も子供が拗ねているように見えて微笑ましく思ってしまう。
思わず頭を撫でたい衝動に駆られそうになるが、そんなことをしてしまえば俺が警察のお世話になってしまうので自重した。
「すみませんでした」
「ホントに思ってます?」
「思ってますって」
「…分かりました。信じてあげます」
ふーっとあずさが息を吹いて「しょうがないですね…」と言っているように聞こえたが気のせいだろう。
八幡とあずさが問答をしているとあずさの背後からほのかが現れ八幡を見るやいなや
「八幡さん!」
その姿はまるで犬が尻尾を振り回しているような姿であっただろうがそれを指摘できる人間がいるだろうか。
「来てくれたんですね!」
隣に立つあずさはほのかのサイドテールが揺れて喜びを表しているように見えて気を利かせたのか八幡に
「ごめんなさい二人とも。他の子達を見ておきたいので此処を離れますね?しばらく二人でお願いしますね。八幡くんと光井さんは調整を進めていてね」
そう言ってあずさは八幡とほのかの場所から離れて他の選手陣へと向かっていった。
「はい!(中条先輩ありがとうございます~!八幡さんと二人っきり♪)」
(こういうときは中条先輩お姉さんになるよな…)
ふと俺はほのかの衣装に目をやる。
スイムスーツのような競技衣装は体のラインが強く出るものでほのか『アレ』がより強調されて目を引いてしまう。ほのかって小動物みたいな大人しい性格してるのに持ってるブツは狂暴だよな…ほのかはニュートンだった?
「八幡さん?」
…いやホントにほのかの『アレ』すげぇな…目で追っちゃうもんな夢たくさん詰め込めそうだもん。
「な、なに言ってるですか!…///八幡さんのエッチ!…んもう、いくら私でも怒っちゃいますよ?」
両腕をクロスし「アレ」を隠しいつの間にかズイッと近づいたほのかに怒られてしまった。
「本当にごめん…」
「もうっダメですからね!」
プイッとそっぽを向いてしまったほのか。
不味い怒らせてしまった…なにか機嫌をとるものはないのか…
仕方ないもうこうなったらひとつしかない。奥の手だ。
「ほのか…。許してくれ」
「(ぷいっ)八幡さんがわ、わたしの言うことを聞いてくれたら許してあげます」
ん?なんでもって言ったよねのパターンかこれ。要求を飲まなければ俺が警察に突きだされてしまうそれは非常に不味い、不味いが命をとられることだけは阻止しなくてはならない。
「すみません命だけは…」
「へ…?い、命なんてとりませんよ!何を想像していたんですか八幡さんっ」
「え?違うの」
「違いますよ…その…わたしと九校戦が終わったらデートを…」
もじもじと俺に要求してきたのはデートのお願いだった。
は?俺とデート?何かの罰ゲームなのだろうか。
どっかにカメラでも仕掛けられているのだろうか、だとしたら先程の行動も全部録画されているかもしれないな…くっ、ほのかがまさか策士だったとは…この八幡の目を持ってしても見抜けなかったとは…
此処でほのかの提案を飲まなければ俺は警察に突きだされてしまうだろう。
…仕方がないその要求を飲むことにした。
「わーったよ。俺とデートなんかして楽しいとは思えないが…」
「絶対ですよ!(やった!八幡さんとのデートだぁ!頑張れほのか。おー!)」
何故だがるんるん気分のほのかに俺は
「そんなに俺が笑われる姿をみたいのかよ…意外と鬼だなほのか」
俺の独り言は聞こえていないらしい。
まぁさっきまで緊張していたようだし解れたのなら良いとするか…
「さぁ調整を済ませちまおう」
「はい!」
ほのかと共に選手控え室に向かいCADの調整を進めた。
◆
ほのかとCADの調整が終了し試合まで何だかんだで一時間以上余ってしまった。
俺は今回のほのかの一番の敵になるであろうある人物の敵情視察をする事にした。
もちろん一人で行こうとしたが、ほのかが寂しそうな表情をしたので一緒に見に行くことにした。
その際にめちゃくちゃ笑顔になっていたのが分からなかったが…
なるほどほのかも敵情視察したかったのか。
「決勝は明後日だけど…決勝で当たるかも知れない相手を知っておくのは戦術の基本だからな」
「その八幡さんが注目の相手って言うのは?」
会場に到着し俺が注目していた選手がそこにいた。
「第三高校の四十九院沓子だな」
「あれ?あの子さっきの…?」
「ん?知ってるのか?」
「いえ、さっき会場に向かう際にすれ違っただけなんですけど…そんなに手強いんですか?」
「いや、ちょっと気になることがあってな」
試合が開始されて進行していくと突如四十九院以外の選手が波に足を取られて転倒してしまいさらに魔法によって波を作られ最大加速で進む他選手が全く前に進めずに圧倒的な大差をつけられ予選を通過したのだった。
(こんな魔法って…)
アナウンサーが四十九院の予選通過を高らかにアナウンスした。
『水面を自在に操りあえなく轟沈!逃れようにも凄まじい水流でシャットアウト!『水の申し子』四十九院沓子選手圧倒的な力で予選突破です!』
観客席に向かって笑顔で手を振る四十九院に観客席も湧いていた。
その実力にびくついているほのかに俺は声を掛ける。
「ほのか」
はっとしたほのかはこちらを不安そうにみている。
「大丈夫だって、ほのかビクつく必要ねぇから」
「八幡さん」
「確かに噂通りの強力な選手だがほのかがビクつく程の選手じゃない。
ほのかだって引けを取らない選手だ。
特訓でしたことを思い出して予選通過に集中しようぜ」
慰めに取られるかも知れなかったが今のほのかには十分な言葉だったらしく
「はい、八幡さん!」
◆
時間は九校戦開始前の準備期間まで遡る。
第一高校では九校戦に向けての特訓が繰り広げられていた。
その特訓には雫やほのかも混じり競技へ向けた特訓を繰り広げていた。
「燃えてるね雫」
柔軟運動をしているほのかのとなりでは雫がスピードシューティングの特訓をしている様子が見られていた。
「うん九校戦まで後二週間もないしテスト期間に練習できなかったから遅れを取り戻さないとね」
(そう言えば八幡さんは何をしているんだろう…?やっぱり会長のお仕事と九校戦に向けての練習のお手伝いをしてるのかな?)
深雪達から聞いた話で八幡と真由美が義姉弟であることを知らされているので、なかなか会えないのはその為のかなーと思ったがその距離の近さ故にほのかの妄想力が爆発してしまった。
『やっぱり八くんじゃなきゃ身体の調整はまかせられない…』
『ああ、俺が姉さんの身体の事を隅々まで知っているから…』
真由美が生まれたままの姿でベットの上でうつ伏せになりただ一枚のバスタオルを掛けられたその上から八幡が身体を整体しているのを妄想してしまっていた。
『ダメよ八くん。私たち義姉弟なのよ…?』
妄想の八幡が七草会長の施術する必要の無い場所へ触れており耳元で
『例え義姉弟であっても今は男と女さ…『真由美』』
(今の無し!今の無しぃ!!)
バランスボールにのって柔軟をしていたほのかは思わず自分がした妄想にうおぉぉ…となっているときに妄想に出てきた人物が現れてほのかは動揺してしまった。
「よっ、練習頑張ってんな」
「ふぇ…?は、八幡さんっ!?」
身体を反らせた柔軟運動をしていたほのかだったが突如現れた八幡に驚いて体勢を崩した
(わ、わわっ…!ちょっ…待って!!)
「ふぎゃっ!」
「おい、大丈夫か?…っ!」
俺は思わずほのかの体勢を一瞬だが脳内に焼き付けた。
ほのかの体操着がめくり上がり胸部分のオレンジ色の布地が見えさらに健康的な太股に体操着、いわゆるスパッツが食い込みさらにそのスパッツのしたにある下着のラインがうっすらと浮かび上がり非常に素晴らしい光景が広がっていたのだ。
これは彼女の名誉のためにもすぐさま視線を反らす。
「は、はい大丈夫です。でもどうして此処に?」
「いや、十文字先輩にって言うか姉さんの使いで部活連に向かっていたんだが、ほのか達の姿が見えたんで差し入れでもって思ってな。悪い、なんか邪魔しちまったな」
そう言う八幡の左手にはスポーツ飲料のボトルが2本手にあった。
しかし今のほのかはそんなことを気にしていられるほどではない程に恥ずかしがっていた。
(うぅ…八幡さんにみっともない姿見られちゃった…恥ずかしいぃ~)
大股を開き八幡にみっともない姿を見せてしまったほのかは顔を真っ赤にしてしている。
「い、いえ来てくれて嬉しいですぅ~…」
両手で顔を覆ったほのかを見た雫が近寄り宥めようとするが俺をジト目でみている。
何だ一体…
「八幡は責任と取るべきだと思う」
「えっ?」
「は?責任?」
「そう、例えばほのかの言うことをなんでも聞くとか」
「ちょっと待て。なんでそうなるんだよ?」
「八幡、ほのかのあられもない姿見たでしょ?目がエッチだった…」
「いや冤罪だろそれ…」
「むぅ…」
雫は抗議の視線でほのかは訳がわからないといった表情だ。
俺は非常に迷った。
確かにほのかに対し此処で俺が「見たくて見た訳じゃない」と「良いもの見せてもらった」とどちらに転んでも俺が社会的に死ぬのは必然なのでそれで許されるのならば甘んじようじゃないか。
これは敗北ではない未来へ活きるための…!
「…まぁ俺が急に話しかけたのが悪いし。ほのか俺に何かして欲しいことあるか?あ、ヤバイのはやめろよ…?」
「へっ?」
(そ、そんな急に…!)
先程の妄想が炸裂しそうになったが頭を振って妄想を掻き消し八幡にお願いしたいことを思い出しその事を告げた。
「その、バトルボードの練習に付き合って欲しいです」
◆
バトルボードの練習場にてウェットスーツに着替えたほのかは波乗りをして八幡にその姿を見せていた。
普段のおどおどした様子は鳴りを潜め集中していた。
「どうですか?」
「いいんじゃねーの?俺は競技にでないから分からんけど身体のバランスもしっかり取れてるし加速減速のタイミングも良くできてるしな」
「ありがとうございます!」
「このままで十分だと思うんだけど不安なのか?」
「え?どうして分かったんですか?」
「ほのかのことだから分かるよ(ほのかは分かりやすいって位表情に出てるからな)」
「(八幡さん私をちゃんと見てくれてるんだ…!何だか嬉しくなっちゃった♪…ダメダメ浮かれてちゃ!)私は雫ほど魔法が得意じゃないし運動も同じくなんですけど…他校の代表選手は優秀な人ばかりだろうし。私が選ばれて良かったのかなって…そう思うと夜眠れなかったりして…」
「(まぁ、ほのかのような性格だとそう思ってしまうのは無理もないか…)」
ほのかの問題として挙げるとすれば必要以上に自信が無い事だ。
逆にほのかが自信過剰だとしたらそれもそれで問題…というかキャラ違うだろおい、となるがそのせいでほのか自身実力が出し切れないという可能性も出てくるな。
ほのかのCADを調整する立場にある俺はすぐさまに解決策を出さないと行けない最優先事項になった。
「よし、ほのか作戦会議だ。女の子が眠れないのは問題だしな」
「はいっ!ありがとうございます」
「(しかし、なんでか嬉しそうなのは何でなんだろうか…?)」
ほのかをベンチに座らせる前にハンカチを敷いてその上に座ってもらい俺は立ったまま魔法式を作成しようとしたのだがほのかの「座ってください」と促され隣に座ることになったのだがやけに俺と近い…俺は雑念を振り払いほのか用の新魔法を作成し提示した。
「これ見てくれる?」
「はい」
「これはスタート時に使用する」
「最初に光魔法!?うーん…」
「スタートと同時に波を起こしたり光を使用するのはバトルボードにおいて様々な戦法が使われているのは知ってるよな?」
「は、はい。でも雫が成功した例はないから本人の能力を引き上げた練習をした方が良いって…」
「確かに妨害に使えるほどの魔法を使用した場合レースの際の移動時の魔法へ移行しにくいからな…だからといって低出力の魔法では意味がない」
しかし、八幡がほのかに提示した魔法は最初の閃光魔法と移動用の魔法を組み合わせた移行の際にラグがない魔法を作成していたのだ。
「そんなことが出来るなんて…。八幡さんやっぱりスゴいです!」
「いや、ほのかの光魔法に対する特性がなかったら使えない魔法だ。だからスゴいのはほのかだ」
(八幡さんが私の為だけに作ってくれた魔法…!)
「…私頑張ります!」
「よし、新人戦優勝目指して頑張ろうぜ(本当は俺が楽したいだけだけどほのかも熱心に取り組んでいるからな…俺がこんなことを思うのは失礼だし。俺も少しは真面目に取り組むか…ありがとなほのか)」
八幡は最初はいやいや参加することになった九校戦だったがほのかの真面目さに感化されてちょっとは真面目にやろうと決意した。
ほのかがその気にさせたのは知らないが…
「はい!」
◆ ◆ ◆
(よし…大丈夫!)
場面は戻り九校戦女子バトル・ボード第六試合。
ほのかの順番が回ってきた。
手首・手足を覆うウエットスーツと厚手のスイムシューズは競技中の落下や激突など怪我を防ぐために選手の身体を守るために圧迫気味に張り付くユニフォームは高校一年生とは思えぬ刺激的なプロポーションを持つほのかの身体を必要以上にメリハリあるものに見せてしまっている。
試合が開始される前に達也に伝えていたことで『ゴーグルを着けておけ』という連絡があったので八幡の知り合い達は色の濃いゴーグルを着用しておりその集団だけが異彩を放っていたことに八幡は「失敗したな…」と。
八幡も今掛けている伊達メガネをサングラスに変更しほのかに伝えた「策」に備えた。
(特訓した内容を、今は出しきるだけ!)
アナウンスが流れほのかの名前が告げられる。
競技参加者の名前が全て告げられて開始の準備を行う。
『セットオンユアマーク…』
女子新人戦バトルボードの予選第六レースの幕が切って落とされた。
瞬間。
会場は強烈な閃光に包まれた。
選手一人が落水し、ほのかを除く選手が閃光から逃れるために手で目を覆った。
そんな中加速すらままならない選手から飛び出し一人スタートダッシュを決めたほのかの姿があった。
「計算通りだな」
八幡がしてやったりと思うなか、一方で八幡から「ゴーグルを掛けておけ」と指示をされていた達也達は八幡が用意した秘策に対してそれぞれに呆れていた。
「秘策を用意している…とは言っていたがまさか閃光魔法を水面に発生させていたとは…」
達也が八幡の秘策に呆れながらも確かに効果的な戦術だと関心していたが
「これが八幡さんの用意した秘策ですか?」
「八幡らしい秘策だったね…」
「なるほど…お兄様がゴーグルを着けておけと言うのはこういうことだったのですね」
「ゴーグル着けてててもチカチカしそうな閃光魔法だったよ、光魔法の系統が強い人なんだねほのかさんって」
「うわぁ…お兄ちゃんらしい戦法」
ゴーグルを外した深雪と雫が達也に問いかけるが呆れ声で小町も同じくで泉美と香澄は感心している様子であった。
◆
『大きな閃光が会場を包み込みました!光井選手の魔法です!猛スピードのスタートダッシュが成功し先頭を突き進む!!』
コースを疾走するほのかを見て俺は言葉には出さなかったが作戦が成功したようでひと安心していた
『他の選手はまだスタートが切れていません!完全に出遅れてしまっています!』
九校戦のアナウンサーが熱烈な解説を行う。
実際にほのかの使用した閃光魔法《ルクスフェイク》は成功し後続の選手はほのかの後を追いかけられずにいる。
「思ったよりもスピードが出ている…。ほのか自身のポテンシャルが高いからこれなら小細工は使う必要はなかったかもな…」
『前評判と違い光井選手、トリッキーな戦い方に切り替えてきたか?』
アナウンサーの解説をBGMにほのかはレーンを疾走する。
(《ルクスフェイク》成功できた!移動の推移もすんなり上手く行ってる…)
ほのかは後方をチラリ見ると閃光魔法から復活した選手がほのかを追いかけるように進撃する。
しかし後続との距離は十分だ。
(このままスピードを落とさず逃げ切る!)
後続で追い付こうとする選手がほのかを視界に捉えようとした。
「くっ…!一校の選手、舐めた真似を…」
後続の選手が左手に着けたCADを操作する。
「妨害魔法を準備しているのはあんただけじゃないって思い知らせてあげる!」
魔法の起動式が走る。
瞬間コース上の水面が大きく波打ちほのかを巻き込もうとしていた。
その波がほのかに迫る。
(くっ…!スゴい波!此処で転覆したら後続に追い付かれちゃう…!)
此処でほのかは波から逃げるのではなく乗る方を選択した。
(バランスを取って波に乗る…!)
最初の波を捕まえてほのかは波に逆らわずに乗りこなす。
(相手が妨害魔法を使ってくるのは八幡さんとの特訓で想定済み…今日まで沢山こなしてきた…!)
相手が引き起こした大波小波を全て乗りこなし妨害魔法はほのかの乗るボードの点火燃料と化して加速し後続との距離を更に伸ばす。
逆に妨害魔法を仕掛けた選手達がその波に飲み込まれ水没してしまった。
「しまった…!波が跳ね返って…ぎゃーー!!」
その光景を見たアナウンサーが実況する。
『おおっと!!妨害しようと放たれた波が自分に返ってしまい転覆!!やはり競技中の妨害魔法は諸刃の剣!』
その実況を聞いた深雪と雫は同じことを思った。
(八幡さんの真似なんて簡単にできるはずありませんもの)
(八幡の真似なんて簡単に出来るわけない)
自分の事ではないのだが八幡が褒められているようで誇らしげになっている二人で有った。
試合は進行しほのかは他選手に更なる差をつける。
『光井選手、他選手スロープ一周分も引き離し独走しているぞー!』
ほのかの目の前に目標地点が視界に入る。
その勢いのままゴールに到達した。
『ゴール!!言葉を失う圧勝劇!予選通過は第一高校光井ほのか選手だー!!』
(やったー!!)
観客席からの歓声が鳴り響く。
◆
「勝ちました!勝っちゃいましたよ!!八幡さーん!!」
「おめでとうほの…ってちょっ!離れろって!!」
「やりましたよ八幡さ~ん!!」
予選が終了し本戦に勝ち進んだのはほのかであり俺は労いの言葉でも掛けようかと思いタオルと飲み物をもって水路から上がったほのかを待っていたのだがウエットスーツのまま予選通過を出来たことに嬉しさのあまり俺に駆け寄った勢いで抱きついてきたのだ。
チームメイト(特に女子生徒)と他校の生徒から生暖かい目で俺に抱きついてきたほのかに目線をくれており俺は急いで引き剥がそうとするが今のほのかに触れてしまえばなにか大変なことが起こるのではないかとびくびくし…あ、もう手遅れでした。
「八幡さん?何をしていらっしゃるのですか?」
「八幡?妹ちゃん達に言いつけるよ?」
俺の後方から身も凍る(比喩なし)ほどの冷気と圧倒的な不機嫌なオーラが俺を襲った。
いや弁明させて欲しい。
俺が好き好んでこんなことをする人間に思うのだろうか。
え?ほのかみたいな女の子に抱きつかれたらいやとは言えないでしょって?
それはそうだ。男の子だもの。
あ、ちょっと待ってください深雪さんに雫さん!
というかほのかいい加減に離れてくれ…!
そんな光景を見ていたクラスメイトと他校の生徒は「ヤバイ」と思ったのかそそくさといなくなってしまった。
マトモなのは俺だけか!
「あの…ほのかそろそろ離れてくれないと俺が命の危機に…」
「やりましたよ八幡さ~ん!」
「聞いてくれないんですけど…お願い深雪さん、雫さん。ほのかに離れるように言ってくれ…」
「もう、しょうがないですね…。ほのか、八幡さんか困っているから嬉しいのは分かるけど離れなさい?」
「ほのか。それは(八幡恋愛規定)条約違反だから八幡から離れて」
「えへへ…へ?あれ深雪に雫どうして…?うええええぇ?ご、ごめんなさい八幡さ~ん!」
しかし嬉しそうに俺に抱きつくほのかを無理矢理に剥がすというのは俺の良心が痛みまくったので雫と深雪に頼んで離れてもらうようにお願いすると、自分がどれだけ大胆なことをしていたのか自覚したのか顔を真っ赤にして数分フリーズしてしまっていたのだった。
…しかしほのかに抱きつかれたときに当たったスーツ越しにあの感触、ほのかは本当に夢がいっぱい詰め込めるんだなと思いました(小並)
「妹ちゃん達には連絡したから」
雫さんそれはガチで死刑宣告なんよ…
俺がほのかに抱きつかれ、しどろもどろになり深雪が凍りつかせようとし雫が俺の脇腹を摘まむその光景を見ていた達也は頭を抱えていたという。
◆ ◆ ◆
第一高校の会議室では生徒会と真由美と摩利、克人が現状の男女新人戦の結果を確認していたのだがその結果は本戦の男女での結果が逆転してしまっていた。
「森崎君がスピード・シューティングで準優勝したけど…」
失望を真由美がオブラートに包んだのだが…
「後の二人は予選落ちか…」
失望を隠しきれない摩利の発言が続く。
新人戦一日目が終了し男子スピードシューティングの順位表にため息をついていた。
「男子と女子で逆の成績になっちゃったわね…」
「そうとも言えません。三校は一位と四位ですから、女子で稼いだ貯金が未だ効いています。あまり悲観しすぎるのもよくないかと」
真由美の弱気な発言を鈴音が打ち消すが意気消沈のムードをぬぐい去る事は出来なかった。
「元々女子の成績が良すぎたんだ。今日のところはリードを奪ったと考えたら」
「しかし男子の『早撃ち』の不振だけではない。女子が『波乗り』で二名予選通過しているのに関わらず男子は予選通過は一名だけだ」
摩利の発言に対し厳しい言葉を投げ掛ける克人に苦笑いするしかなかった。
「このままズルズルと不振が続くようであれば今年は良くとも来年も引き摺るような結果を残しかねん」
「つまりは『負け癖』が付くってことか?」
「その恐れもあるだろう」
克人の指摘に摩利は苦い顔をして黙り込んでしまう。
第一高校のリーダーを自他共に認識し常勝を自らに課している第一高校幹部は「今年が良ければ来年はどうでも良い」という状態に甘んじることは出来なかった。
しかし、そんな幹部のなかでも生徒会長である真由美はそんなことを感じてはいなかった。
「大丈夫よ皆、そんなに悲観することではないわ。私たちが卒業した後もしっかり成績をだしてくれるわ。そして今年の残った競技全て優勝してしまえば問題ないもの」
真由美のその発言にこの場にいた全員が真由美に振り向いた。
強者が放つ傲慢なまでに自分勝手な言い分であったがその自身はなぜか信じても良いのではと言う勢いを感じさせた。
克人が自信満々な真由美へとその根拠を問いかける。
「七草はどうしてそう思う?」
その問いに真由美は自信をもって答えた。
「今年の男子一年生にはうちの八くんがいるから負けないわ。そしてエンジニアには達也くんもいる。あの二人がいればきっとなんとかなる…ってそう思っちゃうのよ、不思議よね~」
八幡を信じきっている真由美。
実際に八幡は義姉のためであれば動く事に躊躇いを覚えることはないだろう。
ある種の根性論を提示しているだけに過ぎない真由美に呆れるしかなかったが、会議室にいた幹部達はなぜか自分達もあの二人ならやりかねないと感じてしまっていた。
◆
一方、新人戦一日目が終了し『早撃ち』では雫が優勝し『波乗り』ではほのかが圧倒的な実力で予選を通過しホテルでは少し気の早い第一高校の女子グループで祝勝会が開催されていた。
夜も少し更けた時間に頂くのは背徳的なお菓子の数々がティーンエイジャー達の前に広がりほのかが感想を述べる。
「ひえぇぇ~こんな時間に罪深いよぉ~」
「わっ!深雪これめちゃくちゃ良い茶葉じゃない!ありがと~。皆今淹れるね~」
英美が深雪が持ってきた紅茶の茶葉を受けとり人数分のティーカップ…ではなく紙コップを用意し淹れる。
室内に紅茶の良い香りが広がる。
英美の紅茶の入れ方は一流だった。
人数分の紅茶が入った紙コップを回し渡すと英美が音頭を取った。
「皆行き渡ったかな?では雫の『早撃ち』優勝とほのかの『波乗り』の予選通過をちょっと気が早いけど祝して」
「「「「「かんぱーい!」」」」」
それぞれに持ちよったお菓子に手を付けて感想を言い合う。
「雫、ほのかおめでとう」
試合の結果を深雪に褒められて返答するほのかと雫。
「ありがとう!これからが本番だけどね…」
「ありがとう。私も気を抜かないようにしないと」
労いの言葉を深雪に掛けられ感謝した後に明日の日程を確認するほのか。
「私は明日休みだけど皆は試合があるものね」
「ええ」
「ん」
「うん」
「深雪と雫とエイミィはアイス・ピラーズ・ブレイクに出場…」
深雪達から視線を外しスバルと菜々美へと向ける。
「スバルと菜々美がクラウドボールだよね」
「ああ」
「うん」
「そういえば三校の一色選手もクラウドボールに出場するんだよね…?」
不安そうにその事を告げるがスバルはいつものように役者じみた台詞回しで回答すると一瞬重くなりそうな雰囲気もけしとんでしまいこういうところは非常に助かるなとほのかは思った。
「あっ、そういえば」
チームメイトである菜々美が気づいたことがあったらしいので雫に問いかける。
「ピラーズはメインが司波くんでサブが七草くんだっけ?」
その事に八幡片想い勢である深雪、雫が気がついてしまう。
「明日は男子のアイス・ピラーズ・ブレイクもあるんでした…私と雫は試合で見に行けないのが悔しい…!」
「深雪の意見に同意…。なんで開始時刻ずらしてくれないんだろ」
不満を露にする二人にほのかは
「二人は試合に専念しなきゃダメだよ!それこそ八幡さんの試合に気を取られてさんざんな結果になっちゃったら八幡さんが悲しんじゃうよ?」
その言葉に深雪と雫が
「そうですね…!八幡さんを落胆させるような事があってはいけません。雫、頑張りましょうね!」
「同意。深雪全力で頑張ろう」
他校がかわいそうになるレベルでやる気になってしまった二人に他三人は憐れ…と思うしかなかった。
「でも男子ピラーズはあの『クリムゾン・プリンス』が出てくるんでしょ?大丈夫かな」
そういったのは菜々美であった。
そう思うのも無理はない、相手は何せ『十師族』の一条家の息子なのだから。
菜々美のその発言に英美とスバルは不安そうな表情を浮かべていた。
しかし八幡を想うこの三人の少女達はそんな彼を信じてやまない。
「大丈夫よ菜々美、八幡さんなら必ず勝てるわ。「めんどくさっ」って悪態を付きながらね」
「八幡は面倒くさがり屋だけどやる時はやる人だから」
「八幡さんはどんな相手だって蹴散らしちゃいますから」
自信満々に自分の事のようにいう少女達にスバル達は茶々をいれる。
「いやはや、七草くんは彼女ら3名にこんなに想われているとは…幸せ者だな」
そう言われた深雪は顔を赤くし雫も珍しく顔を赤していた。ほのかは顔を真っ赤にしわたわたしている。
ほんわか空間に耐えきれなかった菜々美が雫に質問する。
「そういえば、いいよね~雫の『早撃ち』で使用した魔法『アクティブ・ブラスト・オービット』って七草くんが開発した魔法なんでしょ」
「うん、そうだよ」
「私の閃光魔法『ルクスフェイク』もね!」
その話に乗っかってほのかも八幡に開発してもらった魔法を自慢げに話す。
「うっそ!あれもなの?」
「いいなぁ~七草くん競技に参加してなきゃ私のも調整して欲しかった~」
駄々をこねる振りをしていた様子を見た深雪がたしなめるように菜々美に指摘する。
「八幡さんの体は一つなのだから同時に調整と試合には望めないわよ菜々美」
「菜々美のいいたいこともわかるよ。
そういえば七草くんと達也さんが担当したのって負け無しだもんね。なんかあの二人って良いコンビだよね」
皆がうんうんと頷き達也の実妹である深雪もチームメイトからの評価に表情を綻ばせていた。
◆
深雪達が気の早い祝勝会をしている別の時間帯では俺は部屋で一人思案していた。
達也は明日の試合に向けてエンジニアとの会議に出席しているため今はいない。
(明日は深雪、雫、明智のピラーズ…調整については達也がメインエンジニアで担当するとして…愛梨のクラウド応援に行けっかな…いかないと怒られそうだし。
俺の試合に関してはすぐに終わるだろうし終わったら適宜見に行こう。
深雪達の応援にも行かなきゃな…ええい!やることが多いな!愛梨の試合は…良かった開始は被ってないな)
予定表を確認し重複していないことにホッとした。
これなら約束を破らずに済むだろう。
(しかし…)
机の上を一別するとそこには革製の古めかしい見た目だが最新技術が使われているスーツケースが置かれておりそこには明日のピラーズで使用する衣装が入っていた。
しかも整髪料とサングラスも入っていた。
(父さん…俺にこれをマジで着せるのかよ?いくらなんでもこれはちょっと…)
男女アイス・ピラーズ・ブレイクではユニフォームではなく各選手が自分の気合いが入る衣装で競技に望むのが特徴である、つまりは学校の制服でもよいはずなのだが…
そのケースのなかには弘一が懇意にしている呉服屋で仕立て上げさせた高級さがありながらもファッション性の高い黒いジャケットとスラックス(耐熱冷感仕様)にジャケットの中に着用する黒と青のストライプのワイシャツにベストといった衣装が格納されていた。
(俺が着ない選択肢を取っても父さんは泉美と香澄と小町を使って着させてくるよな…父さんは『本気をだしてきなさい』と言っていたし『あの技』を使うか…あれ使うとめっちゃ目立つけど氷柱を一気に破壊するならあの技しかないわな…。目立ちたくねぇけど家族の期待には答えますか…!)
俺は明日への試合へ決意を決めてCADの調整を始める。
未だ寝るには早い時間だったからな。
さて、明日はやること一杯だな…