俺が七草の養子なのは間違っている   作:萩月輝夜

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まだまだ終わらない九校戦…文字数がえらい事になったので分割して投稿します。

コメント高評価お気に入り登録有り難うございます。

誤字脱字報告も有り難うございます。

八幡と義妹たちのイチャイチャがかけてればいいなぁ…。

そしてまだモノリスまで行かないと言う…。

それでは最新話どうぞ!


妹たちは兄が心配

九校戦七日目で新人戦三日目の夜。

 

本日の九校戦の試合が終了し熱気も収まった頃、高校生数名が一同に会しホテルの一室にて話し合いをしていた。

ただ決して明るい話と言うわけではなく…

 

「なぁ、達也に八幡。マジ?」

 

訝しげ、と言うよりも途方に暮れた顔で問いかけてくるレオに対し

 

「七草会長はともかく、十文字会頭がこんな手の込んだ嘘を付くと思うか?」

 

達也の回答は突き放した様なものだが。

 

「いや、会長さんならともかく、ってのも俺にはよく分からんのだけどもよ…はぁやっぱりマジか」

 

今にも自分の頬をつねり出しそうな勢いでレオが深い溜め息をついたのを見て俺が茶化す。

 

「レオって意外にも繊細なのな」

 

「お前ほど強心臓じゃないんだよ…マジか」

 

俺との会話で少しは落ち着いたのかベットに腰を下ろしていた。

あの、それ俺の使ってるベットなんだけど…って頭乗っける部分に尻を乗せるな尻を!

 

ミーティングルームでの一連の流れの後にモノリスコードに選出(達也が有無を言わさず選んだ)したレオを選手達のいるホテルとは別の宿泊先から引っ張ってきて幹部総出で一人に代役を引き受けさせた後…

というかあれは俺も見ていたが本当にひど…もとい戦慄を覚えるような強制の仕方だった。

今目の前にいるレオは何時ものようにエリカとの漫才もする気力がないほどと疲弊しているということなのだろう。

 

此処は俺と達也が使っているホテルの一室で今後の段取りをするために達也が顔合わせ(という名の指名)後に引っ張って来ていたのだ。

 

此処にエリカと美月、幹比古がいるのはある種の「お約束」になるだろうが。

ちなみにだが深雪と雫そしてほのかは同学年の里美や明智に捕まって狂騒と言う名のメビウスの輪の中から抜け出せずにおりモノリスで代役を立てることをまだ知らされていない。

 

「達也が推薦して俺が受領してんだから逃げ場はないぞ?何だったら俺と幹比古交換して欲しいぐらいだ」

 

「いや流石にそれは…」

 

幹比古が反論する。

 

「でもよぉ…俺なんにも用意してないぜ?」

 

「なんだそんなことか…それなら心配要らないぞ?それをいうなら達也も無理矢理決めさせられたからな、準備すらしてねぇぞ?」

 

「ああ」

 

達也が俺の返答に頷く。

その反応にレオが不安げな様子を見せる。

 

「いや、それ不安しかないんだが…」

 

「安心しろって。それが無理なら心配無用だ」

 

「やっ、それ同じ意味だから」

 

突っ込みを入れてきたのはエリカだった。

いい突っ込みだなM-○グランプリも夢じゃないぞエリカ、とまぁそろそろふざけるのもいい加減にしようかと言ったところで達也が喋る。

 

「八幡がこう言っているが大丈夫だ。防護服とアンダーウェアは中条先輩に頼んである。

ああ見えて中条先輩は段取りのいい先輩だからな。

抜かり無くジャストサイズの物を揃えてくれるさ」

 

ああ見えて…って意外にも辛辣なコメントに俺は苦笑いを浮かべるしかなかったが《外見に反してしっかり者》と言う評価なのは全員が一致しているようだった。

 

「CADは八幡が準備する。

今回はレオだけにフォーカスを当てればいいから調整に関しては俺が行う。

時間はあるが一時間でバッチリ調整してやる。

八幡にはレオが使用できる新魔法を作成して貰うぞ。手数は多い方がいいからな」

 

「俺もやんのか…りょーかい。

レオにあの《魔法》を使わせてみるのも一興かもな…だとしたら試作してた《アレ》が使えるな…」

 

「おい、八幡お前のトンデモ魔法の実験体にしないでくれよ」

 

八幡がぶつぶつと呟き不安なことを色々と発言しているのを聞いたレオが「うへぇ…」と言った表情を浮かべている。

 

CADを白紙の状態から魔法師個人に合わせて使用可能にするのは至難の技で通常であればその3倍の時間、つまりは三時間掛かってしまうと言われている。

さらに新しい魔法をその個人用に作成するのはさらに難易度が跳ね上がってしまうのだが…

レオそしてエリカと美月達はあまり驚いた様子は見られなかった。

 

一つ目に「一時間」と言うのがスゴいのかよく分かっていない点と八幡と達也両名のこの4日間での活躍…「ビックリ箱」を散々見せつけられたことで「この人達ならなんでもありなのでは?」という思いが出てきているのだった。

 

「大丈夫?もう21時だよ?自分のもあるでしょう?いくら達也くんと八幡が早いからといっても…」

 

この四人のなかでは比較的CADの調整の手間を知っているエリカが唯一、心配そうに問いかけてきたが…

 

「大丈夫だ。自分のは十分で終わる」

 

「マジか達也。俺は30分ぐらい掛かるんだが…?」

 

目の前にいる規格外の友人達を見て杞憂だったことが判明しエリカは盛大に溜め息を付いた。

 

「30分以内に終わる…そう30分以内ね。何だか心配するのも馬鹿馬鹿しいと思ってきたわ」

 

こうしてはじめて参加するレオと達也。そしてエリカ達にモノリスコードのルール説明を行い選手であるレオから質問が投げ掛けられる。

 

「…ってことはディフェンスの役目は敵のチームをモノリスから十メートル以内に近づけないこと、鍵の魔法式を打ち込まれてもモノリスが開かないように押さえていくこと、モノリスを割られてもコードを読み取られないように敵の邪魔をすること、の三つでいいのか?」

 

「今年のベストアンサーだぞレオ」

 

レオの的確な問いかけに満点を出した。

 

「普通は対抗魔法で《鍵》の発動を阻止するんだがレオの硬化魔法でもモノリスの分割は阻止できる。

『割れたままの状態を維持するから』モノリスを『再びくっつけることには』ならないしな」

 

「いいたかないが八幡、それって立派な『悪知恵』だぜ…?」

 

「俺は悪巧みの達人なんでね…いっちゃなんだがもっとルールすれすれなものもあるが…聞くか?」

 

「いや、やめとくぜ…」

 

苦笑いで俺の提案を聞くのを断ったレオだった。

 

「『鍵』の方は理解できたけどよ。敵を撃退するのはどうしたらいいんだ?」

 

気を取り直したレオが質問を続行する。

 

「殴る蹴るはダメなんだろ?自慢じゃないけど遠距離攻撃は苦手だぞ?」

 

「ああ、それについては解決策はあるっと…。ちょっと待ってろ」

 

俺は立ち上がり荷物を置いている部屋内の通路へ向かう。

一つのキャリーケースを引っ張り出して来ると室内にいた全員が此方に注目した。

…やりずらいんですけどね。

 

キャリーケースを開くと、拳大のものと縦幅ギリギリなサイズの長物をいれるための2つのアタッシュケースがあり、それらを取り出してセキュリティーを解除する。

 

「これを使う」

 

開かれたケースの中にはブレスレット…というよりもスタイリッシュなガントレットと特撮番組で光の巨人が武器として使っているような直剣型のデバイスが入っていた。

 

「だからよ…打撃攻撃は禁止…」

 

「その前にこれを読んでみ」

 

そう言って俺はレオに九校戦のパンフレットを手渡す。

 

「モノリスコードのルール…?」

 

「ああ、そこにも書いてあると思うが魔法で質量体を飛ばして相手にぶつけてもルール違反にはならない」

 

「質量体を魔法で飛ばし…ってこのCADって刃先が飛ぶのか?」

 

手渡した武装デバイスを訝しむように見るレオに補足説明してやる。

 

「そいつは俺が暇潰しに作った武装デバイス『フォトンアース』。達也からの話だけしか聞いて無いからレオが得意とする『硬化魔法』に特化したCADになってるんだが、調整までは済んでないからそれは達也に任せるとして…そしてもう一つのこいつだ」

 

「うぉっと…投げるなよ。これは?」

 

もう一つのブレスレット型のCADを投げ渡すとレオが慌てて受けとる。

 

「そいつは武装一体型デバイス『レグルスパーク』だ。

でそっちには俺が開発してた新魔法の起動式が入ってるからそれも達也に威力調整と魔法式の文法チェックをして貰ってくれ」

 

「威力調整しないといけない程なのか?」

 

「…ちょっと興が乗ってな。やりすぎた」

 

「お前な…」

 

視線を逸らすと達也が呆れている。

仕方ないじゃんよ…興が乗っちゃったんだから。

 

「それはいいとして…うへぇ~ブッツケ本番かよ」

 

「明日は全部ぶっつけ本番みたいなものだ。全員な」

 

レオに不適な笑みを俺は向ける。

 

「安心しろそのCADに関しては市販品よりも高性能で使いやすくしてるからな」

 

「まっ、だったら大丈夫かね」

 

俺の笑みに答えてレオも不敵な笑みで答え二つのCADを改めて受け取った。

 

その後そろそろ時間も夜遅くになってきたのと女子達がこの部屋にいることが知られると面倒になるので解散することになった。

 

時間は少し遡る。

 

「あーちゃん、それじゃこの身体データに合わせて防護服の調達をお願いね」

 

「わかりました」

 

先のモノリスの件で参戦するメンバーが確定したため防護服を準備するためだ。

更に参加するメンバーで選手として大会に観戦で来ていたレオと技師の達也のためのアンダーウェアの準備をしなくてはならないのだ。

 

真由美に手渡されたデータを片手に運営委員会へ赴き参加選手分(八幡の分は破損していたので此方も)を調達しあずさはその小さな体で大きめのバック三つ分を背負い手に持ちその足で八幡達の部屋へ向かった。

 

(仕事とはいえこんな夜更けに男子の部屋に行くのは緊張するなあ)

 

八幡達の部屋に到着しドアの前で声を掛ける。

 

(ふう…)

 

「司波くん、中条です」

 

1拍遅れて返事が返ってきた。

 

「うっす、今開けます」

 

ガチャリと開けられると部屋内にはレオと達也がいた。

 

「会長に頼まれたものを持ってきましたよ」

 

「すみません中条先輩重いのにわざわざ…あ、持ちます」

 

「ありがとうございます」

 

レオがあずさが持つ防護服が入ったバックを手に持ち、あずさは背負ったバックを下ろすために室内へ入る。

そのなかには同室である達也の姿もありパソコンに向かい合っている姿が見えた。

あずさが室内に入ってきたことに気がつきあずさに近寄る。

 

「たぶん全員体型にフィットするはずなんですけど。あれ?ところで七草くんは…」

 

「ああ、八幡なら用事があって外出しましたよ…。ありがとうございます、遅くにすみません」

 

荷物を受け取り邪魔にならないところに達也が置いている。

ふと達也の背後にあるパソコンに映るものが気になったあずさは達也へ質問する。

 

「あれは何をやっているんですか?」

 

「ああ、起動式の書き換えですよ」

 

「ええっ!?今からですか?明日の試合前にはちゃんと寝ておいたほうがいいんじゃ…」

 

「大丈夫ですよ。調整するのはレオの分のCADと魔法式だけなのであと数十分で終わりますし」

 

「数十分!?」

 

「あ、いえ先輩が来る前からやってるのでデバイス一つで1時間ですね」

 

「はい?」

 

もうあずさは疑問符を浮かべるしかできなかった。

達也は思い出したかのように目の前にいるあずさに協力を要請した。

 

「ああそうだ、もしお時間大丈夫でしたら文法チェックをしていただきたいのですが?」

 

咄嗟の協力に面食らったがあずさは好奇心のほうが勝ったので達也が調整している魔法式のチェックを引き受けた。

するとそこにはあずさが見たこともない魔法式が羅列されていた。

 

(!?なに、これ…これを一時間で調整…?これは複合魔法の起動式…かな。複雑過ぎて簡易チェックしかできない『放出』と『収束』?何の魔法なのこれ?)

 

思わず聞いてしまったあずさ。

 

「この魔法式は?」

 

「ああそれですか?八幡が作成した魔法ですよ。相変わらずおかしいですよね」

 

「す、スゴいですね…」

 

思わず作り笑いで達也の返答を受け取り、その後達也はレオと共に会話を繰り広げていたが先ほどの魔法式を見たあずさは考え込んだ。

 

(複合魔法の起動式をいとも簡単に作成する七草くんにそれを調整できてしまう司波くん。やはり彼らこそが…!!)

 

(なぜだろう…視線を感じる)

 

視線を感じ振り返る達也に気がつきあずさは急ぎ視線をそらした。

 

 

達也達が何時ものメンバーと解散しあずさが明日の試合のための用品を持ってくる前の時間。

八幡は義妹達から呼び出されていた。

 

八幡は何故か双子の義妹達の前で正座をさせられており場所は八幡達選手が使用しているホテルではなく泉美と香澄が宿泊しているホテルの一室であった。

 

(何で俺正座させられてるんだ…?)

 

その八幡の心の声が聞こえたのだろうか泉美と香澄が八幡の頭上から見下すように言葉を掛ける。

その言葉は普段の義妹達からは想像できないほど刺々しいものだった。

 

「今「何で正座させられてるんだ?」とお思いになられていますか?普段よろしく本当に鈍感ですわねお兄様?」

 

「今僕たちが何で正座させているのかわからないのかな?本当に鈍感だね兄ちゃん?」

 

「いや、マジでなんで俺が正座させられてるのかわかんないんだけど」

 

その言葉に泉美と香澄が顔を見合わせてたあと八幡の顔を見て溜め息をついていた。

その反応に訳もわからない八幡。

その答えを言う泉美と香澄は八幡に近づく。

 

「お兄様…」

 

「兄ちゃん…」

 

(え、俺もしかしてビンタされちゃう?何で俺に対して怒ってるのかてんでわからんのだが…まぁそれで泉美と香澄の怒りが収まるなら許容範囲内だな。

受け止めるぐらいの度胸がなければ七草の兄は務まらないからな…。さぁどんと来い!)

 

なにかを勘違いした八幡は立ち上がり両手を広げる。

近づく義妹達は一瞬戸惑っていたが八幡に触れ合いそうになるまで近づき受け入れるために八幡は見据えるがそれは予想とは異なっていた。

 

「は…?」

 

彼が間の抜けた声が出たのは義妹達から抱き付かれていたことだった。

義妹達のすすり泣く声が聞こえる。

 

「お、おいどうしたんだよ?何処か痛いのか?」

 

八幡が聞くと首を振って否定する。

 

「どうしたんだよ急に泣いたりして」

 

困ってしまう八幡を他所に抱き付いたまま離れない泉美と香澄。

暫くすると八幡に顔を見せぬままその答えを言う。

 

「ぐすっ…本当にあの時の崩落の際に心配したんですからねお兄様…」

 

「ひっぐ…兄ちゃん大ケガしちゃったんじゃないかって…」

 

先程の怒りはどうやら泉美と香澄を心配させたことによるモノだったらしいことを認識した八幡は、泣く程に心配してくれた義妹達をあやすために両手の行き場が無くなったためその手を頭に乗せて撫でた。

 

「そっか…心配してくれてたのか」

 

「…」

 

「…」

 

暫く無言で頭を撫でる行為が続く。

すると泉美と香澄が顔をあげ瞳を赤くして視線を向けてくるが、目を逸らさず八幡は交互に見つめる。

 

「ごめんな泉美、香澄」

 

「ぐすっ…許してあげません…」

 

「ひっぐ…許してあげない…」

 

「…どうやったら許してくれるんだ?」

 

まさかの「許さない宣言に」驚く八幡。

 

泉美と香澄二人は瞳を紅く…ではなく顔を紅くして八幡が許しを獲る方法を教えた。

 

「今日は私達と一緒に居てくださいましたら許してあげます…」

 

「泉美の言う通り僕たちと…一緒に居てくれたら許してあげる」

 

「は?いや…それはダメだろ」

 

「でしたら許してあげません」

 

「だったら許してあげない」

 

「ええ…?」

 

つん、と八幡からそっぽを向いた義妹達に頭を抱えるしかなかったがこの状態でも可愛い義妹達め、と思える程度にはやはりシスコンだった。

前門の泉美に後門の香澄という逃げられない袋小路に追い詰められた八幡は妥協案を出すが…

 

「ダメです」

 

「ダメだよ」

 

「だよな。はぁ…わかったよ。だけど此処には小町がいるんだから止められると思うんだが…」

 

小町がいるから追い出されるだろうなと期待したがそれは泉美から伝えられた。

 

「大丈夫です。小町なら今日はお姉様のところにいますので」

 

「おう…小町ちゃんなんでこのタイミングで姉さんのところ行っちゃったの?」

 

もはや最後のストッパーさえいなくなり覚悟を決めるしかなかった八幡であった。

 

 

場面は切り替わり真由美と摩利がいる部屋には小町がいた。

 

既に寝る準備をしていた真由美が入っているベットに寝巻きで潜り込んでいた小町はすり寄っていた。

その光景を摩利は微笑ましいモノを見るように

 

「嬉しそうね?小町ちゃん」

 

「お姉ちゃんと一緒に寝れるのが楽しみなんですよ~(泉美と香澄からお兄ちゃんのことで追い出されちゃったからお姉ちゃんのところに避難するしかなかったんだよね…)」

 

「そう?泉美ちゃんも香澄ちゃんも来ればよかったのに」

 

「いや此処選手のホテルだからな真由美…」

 

そのコメントに呆れている摩利。

 

「たまには小町が真由美お姉ちゃんを独り占めしてもいいでしょ?(まぁ、たまには真由美お姉ちゃんに甘える日があってもいいよね?それよか泉美達がお兄ちゃんと『一線越えちゃうか』心配だよ…大丈夫だよね?)」

 

「そうね…たまには小町ちゃんをぎゅっとして寝るのもいいかもね」

 

同じベットにいる真由美が小町を優しく抱き締めると小町は何だか睡魔に襲われた。

 

「ふぁあ~眠たくなっちゃったよ(まぁ、大丈夫か…って段々眠たくなってきた…)」

 

「おやすみ小町ちゃん…」

 

「…おやすみなさいお姉ちゃん、摩利さん」

 

「おやすみ小町くん…」

 

電気を消して小町達は眠りについた。

既に小町の頭の中からは泉美と香澄の事など睡魔によって追い出されてしまった。

 

◆ ◆ ◆

 

小町達が眠りに落ちる前の時間。

 

(これどういう状態なんだ…?)

 

泉美達が使用している客室は最高級のスイートルームであり置かれているベットはキングサイズのものが一つだけ。

俺は地面にでも寝ようとしたが泉美達からの必死の抵抗があったため香澄達が使用しているベットに横になっているのだが…

 

(なんで俺は義妹達のお風呂を上がり終わるまで待ってなきゃいけないんだ…?)

 

隣の浴室から壁が薄いのか水の流れる音が聞こえる。

時間潰しをしようにも道具は俺が使っている部屋に置きっぱになっているので取りに戻ることができない。

 

(文庫本でも持ってくるんだったな…)

 

そんなことを思案していると段々頭が重くなってきたな…

目蓋が落ちそうになった瞬間ガラりと浴室の扉が開く音が聞こえる。

俺はそちらに目を向けると意識が覚醒した。

 

そこには湯上がりでしっとりした様子で何時もの雰囲気とは違う色っぽさを漂わせる義妹達がそこにはいた。

何故だか妙に緊張してしまう俺がいて必死に心の中で頭を振る。

 

(なに考えてんだ俺は…相手は泉美と香澄だぞ?)

 

動揺するのを隠すために泉美と香澄に話しかける。

 

「もうお風呂上がったのか?」

 

「は、はいお風呂をいただきました」

 

「う、うん。兄ちゃんは入らないの?」

 

「俺は向こうで入ってきたから寝るだけだな」

 

俺がそういうと残念そうな表情を浮かべており更に顔が赤らんでいるようだったので湯中りでもしたのだろうかと想像し寝るための準備をするために上着を脱ぐ。

 

「そうですか…(お兄様のお背中流して差し上げようと思いましたのに…///)」

 

「そうなんだ…(兄ちゃんと一緒のお風呂に入って…うわわわっ///)」

 

「泉美と香澄、顔紅いけど大丈夫か?」

 

「い、いえなんでもありませんわお兄様。もう夜も更けてきていますし床に就きましょう」

 

「な、なんでもないよ兄ちゃん。そろそろ寝ようよ」

 

「そうだな明日も早いし寝ようか」

 

そういってベットに入ると早速問題が発生した。

 

「お兄様は真ん中です」

 

「兄ちゃんは真ん中だよ?」

 

「え、お兄ちゃん端っこでいいんだけど?」

 

「ダメです!」

 

「ダメだよ!」

 

またもや強い圧によってキングサイズのベットの真ん中にポジショニングすることになりその左右に顔の紅い泉美と香澄が陣取ることになり川の字になった。

 

ベットに入り数刻経ち八幡は眠ろうと目を閉じるが左右の泉美と香澄の体温を感じてがなかなか眠れない。

それは左右にいる泉美と香澄も同じようで声を掛けられる。

 

「お兄様起きていますか?」

 

「兄ちゃん寝た?」

 

「…起きてるよ」

 

結局眠りにつけずに駄弁ることになるわけだが。

泉美と香澄が俺が何故今日の試合で無事だったのかを確認したかったらしい。

 

「お兄様は今日の試合で何故無傷だったのでしょうか…」

 

「それは僕も気になった」

 

「ああ、それか…。俺が特殊な拳法を使用できるのは知ってるだろ?」

 

俺がそういうと泉美と香澄が頷いた。

 

「《四獣拳》…でしたかお兄様?」

 

「ああ、モノリスの試合で崩落に巻き込まれたときに咄嗟に防御の型を発動させていたんだよ。

あの型は使用者のサイオン量で戦闘機の機銃ぐらいなら防げるからな…ただそれだけだと大ケガは免れなかったからギリギリまで魔法を使わなかった、いや使えなかったんだ。

まだあのタイミングだとカウントが数え終わってなかったし、

フライング…って可能性もあったからな」

 

「…そうだったんだ」

 

四獣拳の一つ。難攻不落、戦闘機程度の機銃なら受けてもびくともしない防御の型《玄武》を使用したことで俺はあの崩落に巻き込まれずに済んだのだ。

 

…まぁそれでも怪我は免れなかったため『初期化』を使う羽目になってしまったが此処では明かさない。

姉さんや泉美に香澄、そして小町にも教えていないのだから。

 

その事を聞いた泉美と香澄は安心したのか俺に更に密着して腕に抱き付くような形となる。

風呂上がりのボディーソープの合成された花の匂いと泉美と香澄自体の女の子特有のいい匂いが俺の鼻につく。

それと同時に俺の鼓動も不意に早くなったがそれを表に出さないようにする。

 

「どうしたんだ二人とも?」

 

「お兄様のご自慢の技があるのはわかりましたが無茶はしないでくださいね?もしお兄様が傷つかれたら私は悲しくなってしまいますから…だから今日はお兄様が何処かにいかないようにくっついておきます」

 

「僕も兄ちゃんが怪我したら嫌だから無茶しないでね?今日は兄ちゃんが僕たちに心配させたので罰として起きるまで離れちゃ嫌だよ?」

 

身動きが義妹達によって封じられてしまったので逃げ場はなく俺は仕方なくその提案を受け入れるしかなかった。

 

「はいはい。それじゃ寝るぞ」

 

「はい、おやすみなさいお兄様…」

 

「うん、おやすみなさい兄ちゃん…」

 

二人の声を聞いて俺は疲労がピークに達していたのだろう直ぐ様眠りに落ちてしまった。

 

 

八幡が就寝したときに左右の双子はまだ起きていた。

小声で兄を挟んで会話をする。

 

「香澄ちゃん起きてます?」

 

「…うん起きてるよ泉美」

 

少し体を起こし寝ている兄を見る。

寝顔は穏やかで寝息をたてており多少の物音では起きなさそうだった。

 

二人は言葉を交わすわけではなく打ち合わせをしたように八幡の頬に近づいた。

 

泉美と香澄の心臓の鼓動が早くなるがそんなものお構いなしと覚悟を決めた。

 

(お兄様…こんなことは卑怯だとは思いますがこれは罰なのです。心配させたりいつのまにか可愛い女の子に好意を寄せられてしまうお兄様への私からの…)

 

(本当はダメだけど…兄ちゃんが僕たちを心配させたり女の子といちゃついてるのがいけないんだからこれは罰なんだよ?)

 

泉美と香澄は八幡の頬にキスをして再びベットに潜り込み密着した。

 

「愛していますお兄様…」

 

「大好きだよ兄ちゃん…」

 

満足げな表情を浮かべて眠りについたのだった。

 




レオに変更したのはこれがやりたかっただけです…幹比古すまない。
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