投稿したあとに「これ達也と八幡やってること一緒やん」となりレオの活躍をいれましたが納得がいかず変更したという流れになります。
しおりやお気に入り登録コメントしていただいた読者様には感謝です。
今回の魔法理論も割りとガバガバですが生暖かい目で見てください!
気に入ってくれましたらコメントと高評価いただけると嬉しい…。
再編集版それではどうぞ!
朝になり九校戦八日目にして新人戦最終日は困惑の空気と共に幕を開けた。
いや、俺が朝起きたら泉美と香澄に抱きつかれていたのは困惑したんだけど。
俺はいつから泉美と香澄の抱き枕になったんでしょうか?
と言うよりもそろそろ高校生にもなるのに義兄である俺と寝ようとするのはそろそろ止めてほしい。
八幡は妹達の将来の行く末が心配…という冗談は置いておくことにしてだな…。
前日のモノリスコードで、前例の無い悪質なルール違反がありその為試合続行不能になった第一高校チームは通常であれば残り二試合が不戦勝のところを大会運営の裁量により代理チームの出場によって続行が認められたそうだ。
天幕にて姉さんと生徒会の面々が一同に介しており試合に出る俺と達也、レオは防護服とCADを装備して集合していた。
「三校と八校は決勝トーナメント進出確実。一校の二勝には四校の不戦勝が含んでいるからもう一勝必要…しかしその一勝で本来不戦勝で進出できた二校と九校のどちらかが落ちることになるから不満を訴えているみたいね。」
「そりゃそうだろ姉さん。本来戦わなくていいのならそれが一番楽な筈だからな。」
「うちが二試合とも負ければ丸く収まるけど…そうはいかないわ。」
姉さんの強い意気込みが感じられた。
それには同意だ。
「まぁ出るからには勝つけどね。」
「当然出るからには勝ちにいきますよ。」
俺と達也が自信満々に宣言すると姉さんはそんな様子を見て笑みを浮かべていた。
「余計な心配だったようね…。頑張ってね皆!」
「ああ。」
「はい。」
「うっす。」
三人とも違う返事をしていたが覚悟は一緒だったようだ。
『九校戦も八日目となりました。本日は新人戦モノリスコードを決勝戦まで行います。』
アナウンスが要項を説明する。
『第一高校は昨日の不幸な事故により次の選手にメンバー交代を致しました。
第一高校司波達也くん、西城レオンハルトくんそして七草八幡くんは不幸な事故に巻き込まれはしましたが無事が確認されましたので本日のモノリスコードに引き続き参加となります。』
第一高校のメンバーの交代にざわつく観客関係席。
「あの崩落で怪我なしって…。七草は異能生存体かなにかか?」
「司波と七草はわかるが…もう一人は誰だ?」
「おい、二科生らしいぞ。」
「嘘だろ…」
「首脳陣は何を考えているんだ?」
場面は切り替わりフィールドに移る。
「なんか目立ってる気がするんだけど…。」
「フィールドにたつ選手が目立つのは当たり前だ。」
「レオはそういうことを言いたいんじゃないんだよなぁ…。」
レオの言葉に達也が「当たり前だろ」と言葉を掛けるが俺はそれに反応して答える。
「やっぱりこれが目立ってるんだろうなぁ…。」
レオの腰には俺が手渡した武装一体型のCAD『フォトン・アース』が提げられており俺の視線に気がついたレオは自分の腰に手をかけて目をおとした。
しかし注目されているのはレオだけではない、というよりも俺と達也は要注意人物としてマークされていた。
第三高校の関係者席でも第一高校の選手に視線を向けているものがいた。
「出てきたね彼が。七草くんはあれで無事なのは異常だよ。」
「本当に七草は人間なのか疑いたくなってきたな…まぁ、七草が出てくるのは想定内だが司波が選手として出てくるとは思わなかった。」
モノリスコードに参加する一条将輝と吉祥寺真紅郎が会話をしていた。
「司波くんは2丁拳銃スタイルに加えて右腕にブレスレット…同時に三つのデバイスなんて使いこなせるのかな?」
「あいつがやることだ、伊達やハッタリではないだろう。特化型CADを左右のレッグホルスターにロングタイプか」
「七草くんも特化型一丁持ちにブレスレット装備か…彼らはどうやら複数のデバイスを使用するスタイルみたいだね。
…しかし司波くんも出来るのに何故二科生なのだろう。」
「それは分からないが複数デバイス同時操作…通常ではあり得ないが七草が技術サポートした女子選手が二つを使いこなしていたからな…同時操作はお手の物なんだろう。」
この将輝と吉祥寺の会話を具現化したような視線が各校の選手スタッフから八幡と達也に視線が注がれる。
担当競技で悉く上位を独占した忌々しいスーパーエンジニア達。
そしてピラーズ・ブレイクで優勝最有力候補であった一条将輝を倒した七草八幡。
達也に関しては彼が二科生であることを知らない各校のメンバーはその彼がたまたま披露したイレギュラースタイルは驚きと警戒はされども嘲笑するものはいなかった。
唯一の例外は他ならぬ第一高校選手団が観戦している関係者席の一角で女子選手達の熱狂的な声援が届いていた。
◆ ◆ ◆
『モノリスコード新人戦第一高校対第八高校森林ステージにて試合開始です!』
「八校相手に森林ステージか…」
「不利…よね普通は」
真由美と摩利が呟く。
第八高校は野外実習に重きを置いており森林ステージは彼らのホームグラウンドだ。
ステージ選択に関してはコンピューターでの自動選択になっている筈だが、本来不戦勝で勝ち上がれた高校に有利になっていると言う大会運営の忖度が見られた。しかし幹部達は特に気にした様子は無かった。
「忍術使い」の達也と「拳法使い」?の八幡がおり今回は前者の達也の「忍術」が遮蔽物が多い有利なステージであることは幹部達は認知していた。
一方真由美は八幡が特殊な拳法を使いこなし此方も達也と同じような周囲と同化するような《無窮・麒麟の型》が有ることを知っているので非常に有利なステージだと思った。
早速第八高校のモノリスの付近にて戦端が開かれていた。
選手の姿はルール違反監視用のカメラが追いかけておりその映像は客席前の大型ディスプレイに投射される。
今、大型ディスプレイに映されているのは八校ディフェンダーの前に躍り出た達也の背中だ。
『なんと!早くも八校ディフェンダーに一校選手が接近!第一高校司波選手です!』
「速い…!」
「自己加速か?」
吉祥寺の呟きに将輝が画面への視線をずらさず肯定する。
片ひざをつきディフェンダーの側面に回り込んだ達也がモノリスに疾走する姿が映し出される。
「いや、移動に魔法を使っている様子は見られないけど…あっ!」
ディフェンダーが達也にCADの銃口を向けた。
先ほど片ひざをついていた選手は体勢を崩されていただけに留まっていたようだった。
拳銃形態のCADが起動式を展開する。
しかし、その直後に起動式がサイオンの爆発によって消し飛ばされたその光景は視覚化処理が施された大型ディスプレイに映し出されておりその画面には達也の先ほどまで空いていた右手には既にCADが握られていた。
達也は先程までは左手にCADを握っていた筈なのだ。
「いつの間に?」
将輝の問いかけに吉祥寺が答えるがそれは「CADをいつ抜いたんだ?」への回答ではなく
「今のは、まさか『
「『
ステージでは唖然とし棒立ちになる八校の選手を尻目に達也はモノリスの手前で引き金を引く。
達也が打ち込んだ《鍵》が作動し敵チームのモノリスが割れたのを見て観客席にいるほのか達も喜んでいた。
「やった!達也さんがモノリスを開いた!ってあれ?」
そのままコードを打ち込むかと思いきや達也は樹々の影へ飛び込むコース取りをしておりそれを八校選手も追撃しようとしている。
「入力しないんだ?この展開は初めて見る珍しい。」
雫が反応し深雪が理由を述べる。
「あら、いくらお兄様でもこの場で使い慣れていないウェアラブルキーボードで512文字のコードを打ち込むのには無理よ。」
「なるほど、敵を無効化させてからゆっくり打ち込む戦法…流石達也さん。」
「なるほど…堅実的だね。」
一方で第一高校のモノリスにも第八高校のオフェンスが迫ってきていた。
『一校のモノリスにも第八高校の選手が迫っています!』
「ああん!達也くん早くしないと!ほらレオ、ガンバんなさい!」
「レオ君頑張って!」
第一高校のモノリスが置かれている場所は観客席から一望できる場所にあった。
エリカと美月がレオの応援をする。
(未だコード入力されていないってことはうちも第一高校も一緒の状況だ…ここで決めてやる!)
第八高校の選手が達也と八幡と同じく拳銃形態の特化型CADを構えレオに照準を向けて《エア・ブリット》を発動する。
モノリスよりも先にレオを倒すという算段なのは一目瞭然であった。
(モノリスよりも先に俺を倒すつもりか…)
木の影から飛び出してきた姿をレオは視認してモノリスの前に陣取るのはレオは腰に提げている《フォトンアース》に手に掛けた。
「させるかよ!!」
それと同時に《フォトンアース》の刃先が分離飛翔して背面に回り込み八校選手の後頭部に当たり転倒させる。
たまらず第八高校の選手は体勢を崩してしまう。
その隙を逃さずレオは剣を手放し右手に着けた《レグルスパーク》を構える。
オフェンス選手が倒れながらもレオに照準を向けるがレオの気合いの入った音声入力のCADの起動の方が先だった。
「ブラスター!!」
レオが《レグルスパーク》を着けた右手を軸に左手を重ねTの字を作り出すと光線が発射され、CADごと選手が弾き飛ばされて気絶して試合続行は不能となった。
その光景と見たことの無い魔法に観客席が沸き立つ。
特にその光景に子供達がはしゃいでいた。
「うわぁ…かっこいい!!」
「お父さん僕もあれほしい!」
「うおっ!まさかの一撃かよ!」
「なんだ今の魔法!?」
「音声入力とは…ずいぶんと珍しいモノを。」
八幡がレオに渡したCADは音声コマンド型で魔法式の発動スピードを引き上げるために敢えてその形で作成したのだった。
決して八幡が特撮番組を観ながら暇潰しで作成したCADではない。
このCADの特徴としては汎用型にはなるのだがあらかじめ決められた音声を入力することで発動することが出来るようになっており「ブラスター」と叫べば威力の高い光線のような放出系統の魔法『Sブラスター』、「ショット」と叫べば三角推のような光線が発動する速度に優れる誘導性能がある放出系統の魔法『Sショット』、「シールド」と叫べば《レグルスパーク》を中心としたレオが得意とする《硬化魔法》を活用できる小型の盾『Sシールド』を張ることも出来る。
そしてかなり丈夫に作られてるので乱暴に扱っても問題ない。
サイオンの消費量も抑えられるように作られておりそれに比例して今回は試合であるので攻撃技に関しては十分に威力が抑えられており直撃しても気絶してチョッと痺れる程度で済んでいる。
暇つぶ…もとい片手間で作成したには十分すぎるほどの性能を秘めていた。
「おっしゃ!」
『第八高校オフェンス第一高校モノリス付近にまで接近しましたがディフェンスにより阻止され行動不能に!』
勝利し手を挙げるレオの姿にエリカと美月はホッと胸を撫で下ろした。
一方で八幡は樹々の中を疾走しており第八高校の三人目の選手は八幡という理不尽として対峙していた。
モノリスを目指し生い茂る樹々の隙間を移動している際に敵オフェンスと会敵し先に向こうが気がつき魔法による攻撃を仕掛けてきたが八幡は正確に魔法を『グラビティ・バレット』による重力弾で打ち落としていく。
数発八幡へ魔法による攻撃を仕掛けるが全て叩き落とされ不利だと判断したのか樹々の隙間へと撤退していくが逃げていく選手を確認し悪態をつく。
(ちっ…接近戦が出来れば一発なんだが…それだとルール違反になっちまう。威力を殺して攻撃しないといけないのは面倒だな…。姉さんのように上手くはいかないな。
てか木が邪魔…伐採するか。)
その背を向けて逃げ出すのは八幡の前では悪手であった。
汎用型を発動させ威力を抑えた『フラッシュエッジ』二重展開し『瞳』の力を使い居場所を把握して光輪を敵オフェンスの潜む樹木付近を円で囲むように伐採する。
「此処まで来れば…な、なんだ!?」
八幡から逃れた八校選手が一息ついて作戦を考案しようとしていたのだが…。
「みーっけた…。」
「へ?うわぁぁぁぁぁぁ!?!?」
敵オフェンスは突如景色が拓かれたので驚愕の表情と悲鳴を浮かべているが戦場で気を取られるのはよろしくない。
それを身をもって体験させるべく特化型を向けて加重魔法を発動し重力波で意識を刈り取ると堪らず相手選手はダウンした。
本当は目立ちたくないという理由で《無窮・麒麟の型》を使用し樹々の間で『瞳』の力を使用し狙い撃とうと思ったがこの試合父親である弘一も見ている筈なので流石に引き撃ちばかりするのも…と八幡は思ったのでわりと派手目の攻撃を心がけるようにしたがいたってエコに環境を利用し、動作は最小にを心掛けた。
逆に其が強者感が出ているのは八幡本人は気がついていないのだが…。
(こんな威力で大丈夫か…。)
「かはっ!」
「相手が悪かったな。」
『第八高校のオフェンスが第一高校のオフェンスにより行動不能です!まさか樹木を伐採して隠れていた敵オフェンスの姿を丸裸にしてしまった!そして的確な加重魔法で意識を刈り取った!これにより第八高校は残り一人となってしまいました!』
そのアナウンスを聞きながらモノリスを目指す八幡。
加重魔法を使用し反重力を発動させ10m近い樹木の先端まで飛び上がり木々を蹴ってモノリスまで跳躍する。
(…そこか。)
数度跳躍すると敵モノリスと敵ディフェンダーの姿、そして達也の姿を確認。汎用型CADを敵ディフェンダー(その衣服部分)とその足下の地面に向けて魔法を発動すると、魔法によって発生した磁力に、大量の砂鉄が這うように敵ディフェンダーに纏わりついて跪かせる形で身動きをとれなくした。
「うわぁ!な、なんだ!み、身動きが…」
「達也。」
「ああ。」
突如として動きがとれなくなった敵ディフェンダーは混乱するがその隙をつきが達也が選手の隣を抜けてモノリスにコードを打ち込み解錠させた。
試合終了のブザーが鳴り響く。
第八高校のディフェンスを跪かせその隙にモノリスにコードを打ち込み解放した。
『ただいま第八高校のモノリスが開かれました。第一高校勝利です!』
これにより第一高校は決勝トーナメントに進出が決定した。
その瞬間第一高校の応援席は大騒ぎだった。
「勝った勝った!!」
「すごいすごい!完勝だよぉ!!」
「おめでとう深雪!」
「お兄さんすごいじゃない!」
「七草くんすごーい!!」
「西城くーん!!!」
まるでもう優勝したかのような騒ぎだった。
◆
「市街地ステージよ。」
「はぁ?」
「…昨日あんなことがあったばかりなのにですか?」
第二試合である一校対二校の試合はなんと『市街地ステージ』に決定した。
その報告を控え室にやってきた姉さんから受けた俺と達也は絶句していた。
自分達の過失を認めない強情さはどこぞのお偉いさん達の仕事振りを見ているようでなんとも言えない気分になったが仕方がないことだろう。
運営本部もまさか犯罪シンジゲート『無頭竜』が関わっているとは夢にも思わないだろうしな。
「……。」
俺がそう思っていると姉さんが不安そうな表情を浮かべている。
「姉さん?」
「あ、ごめんなさい…一番不安なのは八くん達なのに。」
「あんなことはもう起こらないから大丈夫だよ。」
そういって姉さんに近づき何時ものように頭を撫でると恥ずかしそうに「もう…」と言って不安そうな表情はなくなっていた。
(八幡…本当にいつか刺されるぞ?)
(居ずれぇ…)
そんなことをしていると背後から達也とレオの視線が突き刺さり居心地が悪かったが問題はない。
◆
まぁ、結果から話すと第二高校との試合も危なげなく…というよりも俺たち即席のチームワークで圧勝した。
今回もレオをディフェンダーとして配置して俺と達也で攻め込み俺が威力を抑えた《グラビティ・バレット》と《瞳》の力で物陰から狙撃…《ファントム・バレット》で意識外からの魔法でオフェンスを全滅させモノリス付近まで近づくとディフェンスが反応するが《グラビティ・バインド》でディフェンスを抑え込みその隙に達也がモノリスを打ち込んで終了。
え?全部一人でやれば良いだろって?
それもそうなんだが俺一人でやってしまうと意味がなくなってしまう。
特に達也とレオに関しては舐め腐っている一科が居るのでそいつらに実力を目の当たりにさせてやろうという俺の魂胆があったからだ。
決して俺が楽をしたいわけではない。
というわけでこれにより準決勝に進むことになった。
達也達が第三高校の試合を見るというので俺もそれについていくことにした。
その為に少し早めに昼食をとることになり達也とレオ達はエリカ達と取ることになり俺も昼食を天幕で取ろうとしたのだがどうも視線(主に女子選手達)が気になる為それぞれ制服に着替えて外で取ることになった。
九校戦では出店を出しているのでそちらで購入して食事を取ろうと考えた。
俺が天幕から出ようとすると深雪と雫、ほのかが一緒に食事を取ろうと提案してきた。
それにプラスして他の女子達もいたので流石に一人で食事を取りたかったのでやんわりと断りを入れた。
その際に深雪と女子達から残念そうな表情を浮かべられたが雫が耳打ちしてなんとか収まった。
祭りとか縁日で買って食べる焼きそばとかなんであんな上手いんだろうな?これを解明できたらノーベル賞だと八幡は思います。
出店のブースへ向かうと本格的な昼時では無いが多数の観客や生徒がいた。
焼きそばを買いに出店へ向かうと聞き覚えの有る声を掛けられた。
「八幡様?」
振り返るとそこには赤い制服を着用した美少女達がいた。
「ん?ああ、愛梨か。それと…」
「久しぶりじゃな八幡殿。」
「こんばんわ八幡さん。」
「あれ?ヒキオじゃん。何でここに?」
「三浦とええと…四十九院と十七夜だったか。飯買いに来たんだよ。お前らも早めの昼食か?」
「ええ、三校の試合前にと思いまして。八幡様もですか?」
「まぁな…ってどうした?」
俺がそういうと愛梨を三人が取り囲むように作戦会議?らしきものを始めていた。
(愛梨…チャンスじゃぞワシらは三人で食事を取るから愛梨は八幡殿と取るのじゃ。)
(愛梨今は司波さん達がいないからチャンスよ。)
(よし、愛梨。ヒキオとご飯食べてきな。)
(ちょ、チョッとお待ちになって!そ、そんな八幡様と二人っきりで食事だなんて…!)
何故かあわてふためく愛梨を置き去りにして俺に振り返る三人は何故かめっちゃ言い笑顔なのはどうしてだ。
「八幡殿ワシと栞は用事をおもいだしてしもうたので済まぬが愛梨と一緒に昼食を取ってくれんかのう?」
「は?いや愛梨もつれてけよ。」
「愛梨は関係ない用事だから私たちが離れると一人になるのよね愛梨が。」
「あーしら忙しいからさ。愛梨は今丁度空いてんだよね。今のうちにご飯食べないとジカンナクナッチャウナー。」
「というわけなのじゃ!でわなっ!」
「三浦はカタコトじゃねーか…っておい!!行っちまったし。」
「ち、チョッとお持ちなさい栞!」
三浦と十七夜と四十九院がこちらをチラチラと見ておりこれは断れないと踏んだ俺を見た三浦達は俺と愛梨の返答を待たずに風のように俺たちの前から消え去った。
この場に残ったのは俺と愛梨の二人となり愛梨に至っては俺を顔を赤くしてチラチラと見ている。
このまま愛梨を一人で放っておくわけに行かないので仕方ないと思うが表情には出さず愛梨の手を取る。
時間は限られているしな…。
「は、八幡様!?」
「俺と一緒で悪いが昼飯食いに行こうぜ。時間も限られているし。」
「わ、分かりましたわ!」
声が上ずっている愛梨。
「落ち着けよ…。」
こうして二人で出店へむかうが会話がないのが辛すぎる。
(八幡様に手を握られていますわ…!手を…!)
(…って俺いつまで愛梨の手を握ってるんだよ!)
その事に気がついた俺は急ぎ愛梨の手を放すと「あっ…」と声をあげて残念そうな声を出した。
残念そうな声をあげた理由は俺には分からなかった。
「何か食べたいものとかあるか?」
「へ?え、ええ。そうですわね…実は私こういった出店を利用したことがなくて…。」
意外というかイメージそのままのお嬢様ということが再認識できた。
「そっか…愛梨はお嬢様だからな。買い食いとかしたこと無さそうだし…いろはとは大違いだな。」
「いろはのことですか?あの子八幡様にご迷惑をお掛けして…。」
申し訳そうな表情をするが全然そんなんじゃないことを伝える。
…まぁ、鬱陶しいと思ったのは否定しないけど。
「あ、そういうんじゃないって…中学の時部活の皆で買い食い一度だけしたことあったなって思い出したってだけで迷惑とかそんなんじゃねーから。」
「なるほど…そんなことが。」
俺はふと気になり愛梨と共に移動しながら質問する。
「そういや疑問だったんだ一色家って第三高校に通えるところに有るんだよな?」
「ええそうですけれど…それが?」
「いや、何でいろはは千葉になんて居たんだ?実家から中学に通った方が絶対に良いだろ。総武中なんて特段珍しいのがあるって訳じゃないし…。」
「いろはから聞いていませんか?それに関してはあの子が私の父にわがままを言って転校したいと言ったんですよ。当時は総武中学は魔法科のある進学校でしたしそれに…制服がかわいいという理由と私…が原因ですけれど。」
「原因?どう言うことだ?」
そのコメントが気になり立ち止まる。
愛梨は俺を見て話し始めた。
「いろはは結構プライド高くてあの子が負けず嫌いなのはご存じですか?
今まででも仲は良いのですが、中学に私が上がるといろはも私と同じように期待の目で「一色家の娘」として見られるような事があって、いろはも私もその期待は苦痛では無く互いに魔法の腕を伸ばすために鍛練を続けていまして…。いろはは気がついたんでしょうね…、私といると実力を伸ばせないということに。それで父に言って、当時魔法実技に力を入れていた千葉の総武中に転校を願い出たんです。「お姉ちゃんと居ると自分を甘やかしちゃうから、実家から出て一人暮らししまーす!」と言って、千葉で一人暮らしを始めたんです。」
今めっちゃいろはだったな愛梨…。
似すぎじゃね?ってそんなことはどうでも良いがいろはが千葉にいたのはそういった理由だったのね。
「そうだったんだな…確かにプライド高いところ有るからなあいつ…てかいろはが妙なところで全力出して相手を叩きのめしてたのそれが理由か…。」
正直いろはは総武中学で生徒会長に勝手に推薦されたときに「辞めたい」とは言わず俺たち奉仕部に「ギャフンと言わせたいので手伝ってください」といって徹底抗戦を明らかにして依頼してきていた。
その件に関して葉山や三浦も巻き込んで最終的に中一にして生徒会長に登り詰める事になった。
やはり『一色家』の師補十八家の人間であるので舐め腐らないように実力を示すのが一番だということを分かっているようだった。
推薦した奴らに「ねぇ?あなた達が嫌がらせで推薦した奴が惨めに敗選する様が見たかったけどみんなの投票をもらって私、中学一年生で生徒会長になったんだけどどんな気分?ねぇどんな気分ですかぁ?」と言わんばかりの女子グループにめっちゃ煽ってたのを見て「コイツ怖…」となったのを思い出した。
持上げた奴ら逆に孤立してて可哀想だったもん。
自業自得だが。
「それにあの子…男の子相手に対してからかう素振りを見せることがあるのでそのせいで勘違いさせておおごとにさせちゃいましたし…その件でも八幡様に…。」
「いや、だから謝んなって。あー…あの件か…。あれは俺が居たからよかったけどな…。」
いろはは愛梨と同じく可愛らしい見た目とあざとさ(いろはのあざとさは養殖物)であいつと同じクラスの男子生徒を勘違いさせて危うく傷害事件にまで発展しそうになったがなぜか毎回帰り道を俺と一緒に帰る(というか勝手についてくる)ので俺が彼氏と間違えられたのだ。
何時もと同じように途中で分かれ、人気の無い道でいろはに勘違いさせられたストーカー男が襲いかかり高周波ブレードの魔法を発動して襲われた。そこはやはり女の子、少し動揺し防御魔法を発動が遅れて制服の一部が切り裂かれたいろはが腰を抜かし動けないところを、道を分かれたあとに俺が落とし物をしたのを気がつきいろはのところへ戻る最中に、その光景を見て俺は直ぐ様駆け寄って《不落・玄武の型》を使用。高周波ブレードを素手で受け止められた襲ってきた男子生徒が困惑している隙に掌底を叩き込み、無力化して警察へ突き出したのを思い出した。
それからだったか、やたらと部活以外でもいろは俺にやたらと絡み、あざとい仕草を俺に仕掛けてくるようになり、たまに褒めると顔を赤くして早口言葉と言わんばかり速度での罵倒が返ってくるというのがお約束になっていた。
俺やっぱり嫌われてたよな?
「あの一件で、父に千葉から実家に戻らされたいろはったら、八幡様のお話しかしなくて困ったものですわ。本当にありがとうございました八幡様。(これ考えると、やっぱりいろはも八幡様の事好きよね…?まさか姉妹揃って同じ人を好きになるなんて…。)」
再び頭を下げそうな勢いだったので
「お礼はもう大丈夫だって言ったろ?はぁ…なんかしんみりしたら腹減ったな…さぁ、行こうぜ!」
「は、八幡様!?(こう言うところが凄く良いのよね…。)」
しんみりしてしまいそうだったので強引に手を再び取って出店にむかう。愛梨の表情は嬉しそうな顔になっていた。
フードコートの空いている座席に座る俺と愛梨。
テーブルの上には出店で買った料理(焼きそば)大盛りを何故か一つだけ購入しそれぞれに飲み物が置かれている。
俺が焼きそばに手をつけようとすると愛梨が顔を赤くしながら思案していた。
心配になったので声を掛ける。
「大丈夫か愛梨?」
「へっ?だ、大丈夫ですわ!」
「そうか…冷める前に食べちまおうぜ。冷めると美味しくなくなるし。」
俺は焼きそばが乗ったプラスチックの皿から出店でもらった小皿に取り分け愛梨に渡すが一瞬考えたあとに愛梨が切り出した内容に一瞬フリーズした
「その八幡様…食べさせてもらえませんか?」
「は?」
「その…お礼です!いろはと私の仲を取り持っていただいたので!」
「チョッと何を言っているのか分からないんですが愛梨さん?」
愛梨さんや…それは俺がお礼される方や。
「こ、細かいことはいいのです!さぁ!あ、あ~ん…」
「は、はいあ~ん…」
そう言ってお行儀よく席について俺が食べさせるのを待っている愛梨を見た俺は腹を括った。
焼きそばを食べやすいように麺を切って一口サイズにして愛梨の口元に運んだ。
愛梨は瞳を閉じて長い睫毛が見え顔は若干上向きになり雛鳥のように口を少し空けておりその姿に俺は若干ドキッとした。
箸で持ち上げた焼きそばが愛梨の口の中に入りモグモグと上品に咀嚼する様はなんだが妙に愛らしかった。
飲み込み感想を述べる。
「…初めて戴きましたが美味しいですわね。」
「そりゃよかったよ。それじゃ…」
「今度は私が八幡様に「あ~ん」して差し上げる番ですわ。はい!」
そう言って焼きそばを俺とは違って少量を切らずに俺に食べさせようとしてきた。
流石に恥ずかしいのだが…?
俺が渋っていると愛梨が
「じ、時間がなくなってしまいますから。それとも私から食べさせられるのはイヤ…でしょうか?」
少し悲しそうな表情を浮かべる愛梨に俺は罪悪感を覚える。
めっちゃ卑怯じゃんそれ…。
いやしかし考えてほしいここ公共の場だからね愛梨さん?
そんなことを思っているとその光景を見た一般人や観客がこちらを見て会話しているのが聞こえる。
「おい見ろよ食べさせ合いっこしてるぜ。」
「すごい美男美女…第一高校の男子生徒と第三高校の生徒だね…。」
「おいあれって一校の七草選手と三校の一色選手じゃね?」
「え、あの二人って付き合ってるの!?ショック~!」
といった声が届き愛梨もハッとなりその顔を紅くしている。
しかし、その手に持った箸を下ろすことはしなかった。
俺がそれを受け取らなければそのままになってしまう事は間違い無いだろうし愛梨もその体勢のままになってしまうので
「は、八幡さんはい!あ~ん。」
「あ、あ~ん…。」
「お、美味しいですか?」
「んぐ…お、おう。」
正直緊張してなんかを食ったとしか記憶に残らなかった昼食となった。
◆ ◆ ◆
「どうした八幡?ずいぶん疲労してるみたいだが…?」
「…いや、精神的に疲労しただけだ。」
「???」
観客席側で落ち合ったレオと達也達と集まって三校の試合を観戦する。
観客席は超満員であった。
「すげえ超満員だな。」
「そりゃ一条の御曹司が出るからな。」
「さぁ、敵情視察と行こう。」
いつもと同じメンバーも一同に介し着席する。
視線はフィールドにいる一条達が映し出される大型ディスプレイに向けられる。
試合が始まってみれば予想以上に一方的な展開になっていた。
自分達を見ている筈の第一高校の選手に見せつけるように将輝はその力を発揮する。
(見るがいい司波、七草。これが小細工なしの圧倒的な力だ!)
障害物が少ないフィールドに三校陣地から悠々と歩いて敵陣地に向かう将輝は敵に姿をさらしている。
それは相手校も当然無視するわけがなく魔法を次々と向けるが彼の体から1メートルの範囲を領域干渉で全て無効にされていた。
その光景に観客席から反応が帰ってくる。
「八校選手が仕掛けている移動魔法も悉く打ち落とされているぞ!」
「加重魔法や振動魔法も無効化されているぞ!」
レオと雫が突然反応する。
「すげぇ…!」
「やはり一条選手は強敵…。」
(やっぱり俺相手にしないといかんよな…。)
八幡は少々うんざりしていた。
フィールドでは着実に将輝が八校のモノリスに近づいてきており此方からの抵抗を受け付けないことを悟った八校選手は三校のモノリスへ走ろうとするが将輝が発動した魔法で戦闘不能にしてしまう。
「《変倚解放》か…よくもまぁ《圧縮解放》を使えばいいものを。完璧に俺たちを意識してんな。」
「《変倚解放》ってなんですか?」
ほのかが俺の呟きを拾ったらしく質問してくる。
「ああ、結構マイナーな技でな円筒の一方から空気を集めてもう一方を目標に向けて蓋を外すって言った方が分かりやすい…○ラえもんの空気砲って言った方がわかりやすいかもな。」
「空気砲…そうですねでもなんでそんなことをわざわざ…。」
例えでわかったようだったがその理由は何なのかを聞いてきた。
「さぁな。いや、でももしかしたら殺傷力を下げるためにワザとそれを使ったのかも知れないな。」
「なるほど…。」
大型ディスプレイには一条が八校モノリスが目前にまで近づいている様子が映し出されている。
観客席のボルテージも上がっていく。
「見ろ!八校モノリスは目前だ!行けー!」
「一条くーん!」
現場では八校選手の抵抗が開始されている。
「くっ!」
「「これ以上は行かせるか!!」」
特化型CADの照準を向けて魔法を発動させる。
いずれも上級魔法といっても差し支えないものであったが将輝は真っ正面から無効化してしまった。
逆に将輝に空気塊の槌が八校選手に叩き込まれ身動きが取れなくなる。
試合終了のブザーが鳴り響く。
吉祥寺ももう一人の選手も試合開始から試合終了まで陣地から一歩も動かずに将輝の行動だけで遂ぞなにもすることはなかった。
いや、する必要が無かったという方が正しかった。
その後俺たちの試合の順番が回ってきて第一高校対第九高校との試合の順番になり当然だが俺たち第一高校が勝利しモノリスコード決勝戦は第一高校対第三高校のカードとなった。
正直に一条と正面切って戦えるのは俺だけだろうと確信した。
達也の実力があれば正直一条に膝をつかせることは可能だと思うがそれと達也なんか隠してる気がするんだよなぁ…まぁ、それと準備の不十分な競技用CADでは十分な威力の魔法を発揮できないのは先の試合で実証済みだ。
レオも持ち前のポテンシャルとフィジカルはあるが俺のように様々な魔法を使用できると言う訳でもなしに咄嗟の応用が効くか…と言われれば流石に力量差が有りすぎてキツいだろう。
そうなると消去法で俺が正面切って一条を抑えてやる必要が有る訳だ。
正直吉祥寺も十分な実力者だがレオと達也の二人掛かりなら倒せるだろう。
『
失敗すると俺に攻撃が集中するんだが…。
先にも先述の通り実践を想定した戦闘なら未だしもこれは試合であるので相手を手加減無く仕留めるのなら『あの魔法』を使用すれば良いだけだがそうはいかない。
手加減するのって大変なんだなと再認識した。
レオと達也に準備と作戦については既に相談済みだ。
レオがディフェンス達也は俺と共オフェンスで攻勢に出ることになる。
目標は第三高校選手の全滅だ。
◆
決勝戦のステージが「草原ステージ」に決定されたことを知った両校の反応はそれぞれだった。
三校の天幕では歓喜を上げる者さえいた。
「お前の言うとおりになったなジョージ。」
「ついてるね将輝」
「ああ。」
「強運だな一条」
仲間達が一条と吉祥寺達を取り囲む中愛梨達がその光景を見ていた。
「おお、草原ステージかこれは勝利間違い無しじゃな。」
「そうね。」
「しっかし将輝とヒキオが戦うとはおもわないっしょ。」
「…。」
「愛梨?」
沓子が発言し栞が肯定。優美子が感想を述べる。が愛梨は浮かない顔をしていた。
「愛しの彼の事想うと複雑?」
「ち、違うわよ…!」
愛梨が咄嗟に否定するが否定しきれていない。
その光景に優美子と栞と沓子は笑みを浮かべていた。
将輝と吉祥寺が会話する。
「あとは七草が誘いに乗ってくるかどうかだ…。」
「彼は間違いなく誘いに乗ってくると思うよ。
遮蔽物の少ない草原だから正面切っての一対一の撃ち合いに持ち込まなきゃ勝負はつかない。」
「だろうな…」
将輝は吉祥寺の言葉に頷く。
「僕が言うのもの違うと思うけど他者からの視点で言わせてもらうね将輝。正直…彼の魔法力は君と互角だ。
搦め手を使われれば僕たちの勝ち目は薄くなるだろうね。
それならば正面から打ち込んで勝負の場に引きずり出すしかない。」
「かもしれないな…だが、ピラーズでの借りは返させてもらうぞ七草…!」
先の試合で敗北を喫した将輝は決意する。
しかし、将輝と吉祥寺は八幡に対する評価が誤っていたことに試合開始直後に気づくことになる。
「司波くんと西城くんの相手は僕がするよ。」
「司波も十分な強敵だが…西城も七草の用意した魔法とCADありきとは言えあの爆発力は侮れないから気をつけろよジョージ。とはいえお前は「基本コード」が使用できるアドバンテージがあるからな。」
その発言に肩をすくめるようなポーズを取る。
「残念だけど新人戦の優勝は向こうで確定しちゃってるからね…せめてモノリスコードの優勝は此方がいただかないと。」
「ああ、やってやるさ」
吉祥寺の言葉に将輝は力強く頷いた。
◆
所は変わって一校天幕内には「優勝はいただく!」と自信満々で胸を張るような活気は無かった。
「草原ステージか。三校に有利だな。」
克人が感想を述べる。
その感想に同意するように悩ましげな声を上げる真由美。
「うーん…なんだか意図を感じるわね。気のせいかしら?」
「無いとは言いきれんがあまり考えすぎるのもな…。八幡達の気勢が削がれなければよいのだが。」
ステージが確定してから俺たちは天幕へと向かった。
天幕内部へ入るがしかし、いつものような活気がなくなっていた。
「八くん」
「姉さん」
「次のステージは『草原ステージ』だわ…。厳しい戦いになるわね。」
姉さんが心配そうな表情を浮かべるが問題はない。
ここで一つ姉さん達の緊張を解すために冗談の一つでも言ってやることにしよう。
「俺的には大会運営が対戦相手が有利になるようなステージを選んでるんじゃないかと踏んでるんだけど?」
「八くん…」
「八幡お前な…。」
「お前強心臓過ぎるだろ…」
姉さんが頭を抱え達也とレオが若干引いており全員が微妙な笑顔を浮かべている。
どうやらあまりお気に召さなかったらしい。
「まぁ、『渓谷ステージ』じゃないだけ未だましだと思えば救いはあるな。拓けた場所ならやりようはいくらでもあるし。遮蔽物がないステージじゃ《無窮・麒麟の型》も効果半減だしなあの技は一度認識されちまうと見破られるからな…正面切ってぶつかり合うしかないけど問題ねえよ。」
出来れば遮蔽物と水気がないところがよかったが贅沢は言えない。
『一条』の爆裂は液体があるところで発揮される秘技だからな。砲撃戦でやり合うから未だマシといえよう。
姉さんを安心させるためにらしくないことを告げる。
「八くん大丈夫なの?いくら八くんが強くても…。」
「大丈夫さ姉さん。それに…」
「それに?」
その言葉に疑問符を浮かべる姉さんの姿自信をもって答えた。
「誰の弟だと思ってんだよ…俺は姉さんの弟だぜ?このくらい片手間でかたつけてやるよ。」
自信満々に普段は絶対に言わないような台詞をあえて投げ掛けるといつもの表情を浮かべ小さく吹き出した姉さんの笑顔が見えた。
「ふふっ…八くんがそういうなら安心ね。…皆頑張って!」
控え室から出て草原ステージに準備が完了し配置につく俺たち。
姉さんの先ほどの表情を思い出す。
(心配いらねぇよ姉さん。俺は家族が見てくれてる間は絶対に倒れないし負けたりもしないよ…。)
静かなる想いをを大切な家族へと決意した。
◆
新人戦、モノリスコード決勝第一高校対第三高校
選手の登場に、客席と関係者席がが大きく沸いた。
無理もないだろう今回の九校戦においてその名前を各高校に知らしめたスーパーエンジニアの達也と八幡の二名。
その内の一人である八幡は「七草家」の御曹司で競技においても度肝を抜かれるような戦法を繰り出してきた。
達也も担当した競技全てが上位独占という恐ろしい結果とモノリスにおいてまるで兵士のように的確な試合を行っており目立つのに事欠かさない。
レオに関しても特撮ヒーローのようなアクロバティックな動きと使用している道具のお陰で子供達(男児達)からの人気が高かった。
更に対戦相手は此方も「一条家」の御曹司である将輝は圧倒的なその力でモノリス予選を蹂躙してきた実力者であり八幡に負けず劣らずの力を示してきた。
その参謀である「カーディナル・ジョージ」こと吉祥寺も実力も知名度は将輝に引けを取らない。
そんな実力者達が一同に介する新人戦モノリスコードで盛り上がらないわけがなかった。
そんな盛り上がっている中スタンドが違う意味でざわついていた。
それは思いがけない来賓達にあった。
「九島先生!このようなところへ如何なさいましたか!?」
いつもであれば、大会本部のVIPルームにてモニター観戦している九島老師が突如来賓席に姿を見せたのだ。
「たまには此方で見せてもらおうと思ってな?それともう一人この試合を観戦したいものがおってな。構わないかね?」
九島老師にこう言われてしまえば断ることなど出来る筈もなく大会関係者が頷くとその人物が入ってくるのだがそれもまたとてつもない大物であった。
「突然お邪魔してしまい申し訳ない。私も此方で観戦させてもらってもよろしいですかね?」
「七草先生もこのようなところへ!?」
本部席に現れたのはまさかの「七草家」当主の七草弘一。
まさかの人物達の登場に騒然となる本部席で直立不動だったスタッフ達は急ぎ革張りの椅子を二つ用意して九島老師と弘一は腰を下ろした。
「それは勿論、光栄な事だとは存じますが…」
何故…こんな急に?という問いに九島は気さくに返答し弘一は少し気まずそうに答えた。
「なに、一人面白そうな若者を見つけたのでな。」
「私は申し訳ないが息子を応援しに来たのですよ。恥ずかしい話ですが…。」
「いえ、ご立派なことだと思いますぞ七草先生。」
意外なコメントだったが咄嗟に反応するスタッフ達。
弘一は少し苦笑いを浮かべ息子が出る試合会場へ目線を向けた。
その表情は普段他人に見せるようなものとは違い家族にだけ見せる優しげ表情だった。
(八幡…お前なら必ず勝つことが出来る筈だ。私は信じているよ。)
一方で烈もモニターに映る八幡を此方は興味深そうに見ていた。
(さて…八幡くん君の戦いかたを拝見させてもらうとしよう。)
『間も無く新人戦モノリスコード優勝決定戦開始です!』
◆ ◆ ◆
『モノリスコード新人戦決勝スタート!』
開始のブザーが鳴り響き戦端が拓かれた瞬間、お互いに想定していた通り陣営の選手である八幡が左手に装備した汎用型CADと将輝は特化型CADを構え魔法による遠距離砲撃戦が開始された。
瞬間
魔法によるぶつかり合い衝撃が広がる。
両者拮抗した魔法のぶつかり合いを繰り広げていたが次第に八幡が優勢になっていく。
八幡は加重魔法を展開し重力による断層を作り出し襲いかかる魔法を打ち落としていく。
将輝は空気圧縮弾を放ちながら突き進むが全て八幡に叩き落とされていき更に同時に重力弾による砲撃を将輝は受けている。
(くっ…!これだけの重力操作をしながら魔法による攻撃を…!?)
手数は将輝の方が多いが重力による断層が発生し攻撃が八幡にダメージを与えられずにおり逆に詠唱破棄により重力弾の展開速度が上がった攻撃で将輝が処理しきれず防御に回らなければならないと言う事態に陥っていた。
(威力を上げすぎて失格になりたくねえし…こんなもんでいいか。)
派手さを演出するために途中で重力爆散(威力縮小版)を盛り込み地面へ叩き込みその際に一瞬だが重力制御を解除し一条を仲間と分断させるために魔法を発動し仕込みを始める。
重力爆散で地面が捲られた衝撃と爆発で将輝が後ろへ押し込まれた時に八幡が仕掛けた魔法が発動し将輝が踏み込んだ瞬間足元が爆発する。
土煙が舞い上がり将輝は思わずCADを握っていない手で顔を覆ってしまう。
(なにっ!?明らかにさっきの加重魔法じゃない…!?)
決して威力は大きくなく戦闘不能に至るまでの性能はない。
しかしそれは的確に将輝の足元で爆発し仲間との距離を開いていく。
その光景に八幡はニヤリと口元を歪める。
(悪いが分断させてもらうぞ一条…)
先ほどの将輝の足元で爆発した魔法を見て観客席で見ていたほのかが反応した。
「なんか小さい玉みたいのが浮いてる…?」
「え?何処に有るの?」
その言葉に雫が反応し映像処理された画面を見るがなにも映っておらず爆発してるだけだ。
「一条選手の足元にノイズが走ったような光の玉が…。」
「八幡の新しい魔法かな。むぅ、気になるけど…あれ陣地から一条選手が離れていくような?」
「あ、また爆発した!」
八幡が分断させるために使用した魔法。それは地中に磁力を流して砂鉄を集め、小さな球体として肉眼では見えないように光系統の魔法で擬似的なステルス外装を作り出し、将輝が接近したらオートで着火、足をとられる程度の小さな爆発が起こる魔法の地雷を作り出すものだった。
爆竹の少し威力があるようなものだと思えばよいだろうか。
ほのかが反応できたのは外装のステルス部分に光魔法を使用してたことだろう。
一方観客達はそのステージでの光景を大喜びで迎えていた。
『開始早々激しい砲撃戦です!お互いに陣地から歩き出し魔法による撃ち合いが行われております!』
魔法同士がぶつかり合い砕けて散りステージでは爆発が鳴り響く。
さながら特撮番組のような演出の爆発が発生する。
『想子可視化処理が施されたディスプレイには激しく輝くサイオンの砲弾が空中に顕現した魔法式を打ち砕く様と爆発の様子が映し出されています!火が出ていますがルール的な違反は無いことが確認されていますので試合続行です!』
観客席の子供がその光景に目を奪われていた。
「すっげぇ…。」
「きれい…。」
『なんと幻想的でダイナミックなスペクタクルなのでしょうか!?』
鳴り止むことがなさそうな両者よるな砲撃が続いていた。
分断されていく将輝の姿を見て八幡の狙いを感じ取った吉祥寺は行動を起こす。
「はっ…!七草くんの狙いは将輝を孤立させることか…!」
遠距離からの砲撃を仕掛けようとするが八幡の加重魔法により叩き落とされてしまう。
その光景を見た吉祥寺は仲間共に将輝の援護に向かい反重力を起動させて八幡が仕掛けた重力魔法を無効にしようとするが強度が強すぎて歯が立たなかった。
「くそっ!なんて強度なんだ打ち破れない…!」
将輝の援護をしつつ一校のモノリスを開ける為に砲撃戦を行っている将輝の背後を迂回して目指す。
吉祥寺が動いたのを八幡は視界に捉えていた。
将輝の背後から一校のモノリスを開ける為に行動を起こすのは想定内であった。
しかし想定外だったのは将輝が八幡の砲撃魔法が想定以上に食らいついてきていたので八幡は空いている右手をレッグホルスターに手を掛けて特化型CADを引き抜き出来るように準備をする。
その動作を見た将輝は魔法を使いながら疑問を覚えていた。
(攻撃に七草は試合が始まっても特化型を抜いていない…一体何が狙いなんだ!?)
(まだだ…まだ抜くのは早い…。)
一方でその動き始めた吉祥寺と三校選手が打ち合わせ通り丁度レオが接敵しており戦闘を開始していた。
その進行方向にレオが立ちふさがる。
「やっぱり吉祥寺が動き出したか…八幡の読み通りだな。」
「一校のディフェンダーが此処で出てくるのか…。だが此処で!」
実力は吉祥寺の方が優勢であったがレオの持ち前のポテンシャルとフィジカル、そして《フォトンアース》を左手に《レグルスパーク》を右手に装備し《シールド》の掛け声と共に『Sシールド』を発動させて食らいつく。吉祥寺の『
対策をまさかされているとは思わなかった吉祥寺は心の中で悪態をつく。
(まさか音声入力のCADに『
「うぉぉぉぉ!!」
「っ!しまった!」
《フォトンアース》の先端が当たり体勢を崩す吉祥寺にすかさず気合いの一撃と共に武装一体型のCADをぶち当てようとしたが流石にそれだけでは吉祥寺を倒すことはできず魔法による威力の相殺が行われ逆にレオが魔法による攻撃でダウンと取られてしまう。
「がぁっ!!」
「胆が冷えたけど大振りな攻撃に当たるほど鈍重では無いよ?」
その攻撃にレオはたまらずダウンするが、意識が多少飛んでいるだけと八幡は確認する。
「レオ!」
「将輝!」
「すまないジョージ!」
レオをダウンさせて吉祥寺の攻撃が将輝と共に此方に集中する瞬間の光景に心の中で八幡は自分の不甲斐なさに若干の舌打ちをを打つ。
抜いていない方のホルスターからCADを引き抜き《瞳》で状態を確認する。
意識はあるがまだ立てないレオに作戦通りに《あの魔法》を発動し、俺に殺到する圧縮空気弾と『
(なっ!!? 『
(このタイミングで司波くんと同じく『
地に伏しているレオが復活して指が動いているのを、吉祥寺は八幡の『
(そろそろ決めるとするか)
その隙をつき八幡は自己加速術式を二重詠唱し数百メートルを一気に詰める。
一方で将輝も八幡がすさまじい数の魔法式を撃ち落としたことに気を取られてしまい加速術式を使わずに接近してきていることに気がついたのは間合い5メートルに入ってきているときだった。
(今の一瞬で距離を詰められた!あと5メートルもない…こいつの実力なら一投足で詰められる…!)
将輝の顔には動揺が走っていた。
そして八幡という脅威が接近してきたことにより恐怖が発生し、レギュレーションを越えた威力の空気圧縮弾十六連発を八幡に殺到させてしまった。
(しまった…!)
(おい、洒落になんねーぞ…!?)
観客席にいた真由美が真っ先にその事に気がついてしまった。
「八くんっ!!(あれはレギュレーションを逸脱した出力の魔法…!!)」
思わず義弟の名前を叫んでしまう。
十六連発の高威力の空気圧縮弾が八幡に襲いかかる一つでも当たれば大ケガは免れない。
八幡は回避を選択しなかった。
八幡の実力であれば直ぐ様回避できる距離であったが将輝が放った魔法を弾き飛ばした方が早かった。
立ち止まり汎用型で加重魔法と四獣拳《乱舞・朱雀乃型》と《不落・玄武乃型》を同時起動させて全身に赤と黄色のサイオンオーラを滾らせそれぞれの型を構え内心で舌打ちする。
(ちっ…近寄られたぐらいでこれほどまでの高威力の魔法を16連発もビビって撃ちやがって…!!)
左手に加重魔法を纏わせた拳と脚、右手に特化型の魔法を『
(1.2.3.4.5.6.7.8.9.10.11.12.13.14.15…!)
荒々しく襲いかかる空気圧縮弾をアクロバティックな動きを交え拳と脚で弾き飛ばし魔法で撃ち落としていく八幡。
その姿に天幕いた生徒会の面々達は驚いていた。
「本当に八幡は魔法師なのか?まるで格闘家のようだな。」
腕を組んで冷静に見守る克人。
はっ、と安心して一息つく真由美が補足をいれる。
「ほっ…。実際にはあれが八くんの戦闘スタイルなのよ十文字くん。
でもこの試合では直接攻撃が許されていないから結構ストレスだったのかも…。」
「なるほどな…搦め手も使える接近型の魔法師とは恐れ入るな。」
やはり底がしれないと…十文字は思ったが此処では口にしなかった。
画面の向こうでは八幡が15発目まで迎撃していた。
しかし、最後の一発がレオ付近に着弾しようとしていたので急ぎ迎撃するが魔法は間に合わず体を動かして正面に立ち八幡が使用できる最大の防御技で対応した。
「(『
その結果、必然であるが八幡は一発の空気圧縮弾を受けて吹き飛ばされ爆発は周辺に広がる。
その光景に天幕に居る真由美が煙に覆われた画面を見て青ざめ口で手を抑えながら最愛の義弟の名を叫ぶ。
「八くん!」
その行動は観客席で見ていた泉美、香澄、小町も兄を呼んだ。
「お兄様っ!!」兄ちゃん!」お兄ちゃん!」
ほのか達は悲鳴をあげて目を背ける仕草を取る。
吹き飛ばされた光景を本部席で座ってみていたは弘一も思わず立ち上がる。
ステージには土煙が舞い上がり八幡は吹っ飛ばされて将輝の足元まで転がっていった。
足元に転がる八幡がいるその光景に将輝は「しまった」と自分が衝動的にルールを逸脱した威力で魔法を放ってしまったことを放ったあとに自覚してしまったのだ。
(戦場ではなくこんな高校生の試合でルールを逸脱した威力で魔法を放ってしまうなんて明らかなルール違反だ…。)
足元に八幡がいるがピクリとも動かない。
(審判はまだ気付いていないのかも知れないがだがこれは…!)
レッドフラッグは挙がっていないが自身が反則に該当する反則を犯してしまったと後悔する。
しかし。
突っ伏していた八幡がただの土塊であったのは背後から攻撃を受けるまで気がつけなかった。
将輝が突っ伏して倒れている八幡の形を取った何かがノイズが走ったように迷彩が取れていく。
背後から特化型を突きつけられて突然の事に脳の処理が追い付いていないようで静止してしまっている。
「は…?」
「戦場で呆けるのはよくないぞ一条。」
「なっ…!?」
八幡の声に反応し振り返ろうとするが既に遅く構えた特化型をシングルアクションで発動して重力波動をぶち当てて意識を刈り取りそれを受けた将輝は膝から崩れ落ちた。
離れていた吉祥寺は思わず目を疑った。
地面に倒れている将輝を見た吉祥寺は共に八幡を攻撃していた手を止めてしまう。
「将輝…?」
しかし、流石の八幡も消費量の多い『
ここで一条を仕留めておけたのは僥倖と言えるだろう。
(やっべ…咄嗟にサイオン使いすぎてちょい怠い……レオ、達也頼むぜ…。)
倒れているレオの意識が完全に覚醒する。
(…っく…八幡の奴一条を倒したのか…)
目線の先には倒れた一条と八幡がおりその付近には呆然とした吉祥寺がいた。
(お膳立てはしてくれたんだ…やって見せろよ俺!)
「バカな将輝がやられるなんて…。」
レオは素早く立ち上がり攻撃をするために近くに放っぽった《フォトンアース》を握り刃先を分離させて攻撃する。
しかし寸出の所で吉祥寺が気がつき移動魔法で回避しその直後に魔法で攻撃する。
『
魔法の弾丸がレオの体に着弾した瞬間に破裂するように砕かれ無効化されてしまったのだ。
「なっ…!?」
「『ショット!!』」
「うわっ!」
思わず足を止めてしまいその隙を逃がさないレオは《レグルスパーク》からコマンドを入力し『Sショット』が発動。
吉祥寺に追尾して着弾し動きを阻害しトドメを刺すため必殺の音声コマンドを入力する
「『ブラスター』!!」
右手を起点に左手を拳に置いてT字にして光線が発射されて吉祥寺に直撃し戦闘不能になった。
「よっしゃ!!」
瞬間試合終了のブザーが鳴り響きアナウンスが入る。
『第一高校の司波選手がディフェンダーを無効化しモノリスを解錠、及び対戦相手のリタイアを確認いたしました!何と言うことでしょうか!?九校戦始まって以来の勝利条件を二つ満たしました!よって新人戦モノリスコードは第一高校の優勝です!』
同時に別行動をしていた達也は三校モノリスのディフェンダーを戦闘不能にし万が一の事を考え八幡の作戦通りモノリスへコードを打ち込んでおり打ち込みが終了すると同時にレオが吉祥寺を戦闘不能にしたためであった。
勝利宣言がされたが呆然とする観客席でほのかと雫が呟く。
「えっ…勝った?」
「勝ったの…?」
それが合図になったのかもしれない。
誰かが完成をあげてそれが伝播していき大きなうねりへと変化して歓声の大瀑布が形成された。
第一高校の生徒達の無邪気な喜びの叫び声が観客席を埋め尽くす。
次第に拍手の輪が広がっていき互いの高校の健闘を讃える暖かい拍手になっていた。
一方で天幕でもその光景を見ていた生徒会役員と他多数も喜んでいた。
一番声が大きいのは真由美だったが。
「いやったぁ!八くーん!!」
その光景に暖かい笑みを浮かべる面々であった。
◆
「一応は父さんとの約束は果たせたか…。」
思いがけない拍手のシャワーに俺たちは照れ臭くてしょうがなかった。
俺のもとにチームメンバーが集合する。
吉祥寺を倒したレオ、モノリス解錠のために裏方に回りつつ俺が渡した光学迷彩の魔法でモノリスに近づき敵を排除した達也が近づいてきた。
正直この三人でなければ優勝は出来なかっただろう。
「美味しいところ持っていきやがったなレオ?」
俺が恥ずかしさを紛らわすためにレオに皮肉めいた言葉を投げ掛ける
「そりゃねーだろよ八幡!…しっかし作戦がうまく行って助かったぜ。「吉祥寺の攻撃を受けても立ち上がるな」ってなかなか無茶な作戦を立ててくれたもんだ。本当に気絶してたし…八幡の掛けてくれた魔法がなけりゃ吉祥寺に負けてたぜ。」
「レオだから出来た作戦だったな。」
それに達也が同意する。
レオにかけた魔法は俺がピラーズで使用した『
「んなことよりよ八幡大丈夫なのかよ!?」
「そうだなレオの言うとおりだ。大丈夫なのか八幡?それにさっきの圧縮弾の魔法の時に使用した魔法は…」
「ああ、大丈夫だ。俺が使う《四獣拳》には肉体そのものの強度を高める技があるからな…それで何とかなった。それにさっき一条の目を欺くために使用したのは砂鉄と土を磁力でくっつけて即席の身代わり人形を作成してそっちに気を取らせるためな。」
「なるほど…なんでもアリだな八幡…。」
レオが信じられねぇといった表情に複雑な表情をしている達也。
達也に至っては深雪から俺の『初期化』について色々聞いているんだろうがまぁ達也の事だ言いふらしはせんだろ。
まぁ、実際に「初期化」は使用してないんだがな。
「それより優勝したんだ喜ぼうぜ。」
俺がそういうが達也は言いづらそうな表情をしているが意を決して俺に話しかける。
それは俺にとってのある種の敗北宣言であった。
「八幡お前さっきの試合の件で恐らく…というか確実に会長ともかく妹さん達に問い質されるぞ…?」
「あ、やべぇ…。」
俺は勝った筈なのに敗北した雰囲気を味わっていたのだった。
察した達也とレオが苦笑いしてこっちを見ていた。
とりあえず今だ衰えない拍手に俺たち三人は肩を組んで照れながら腕を振った。
本当にどうすっかなぁ…。
因みにだが、試合終了後救護詰所へ姉さん達からつれていかれ検査されたが、異常無しということでそのままホテルに戻ったのだが、俺の部屋に集合し大説教された。
元はと言えばレギュレーション違反の魔法を使った一条に一言もの申したいが面倒ごとになりそうなのでやめた。
ホントあいつ今度会ったら一発殴るわ…。
こうして九校戦における新人戦最終日は幕を閉じた。
まぁ本戦のミラージとモノリスが残っているが心配要らないだろう。
疲れ果てた俺は、レオ達の所に行ってもらっていた達也の帰りを確認しないまま、制服のまま眠りに落ちた。