一話投稿だといったな?あれは嘘だ。
感想とコメントありがとうございます。
遂に九校戦編最終話となります。
ほぼ消化試合みたいなものだと思いますがよろしければご覧ください。
つぎの投稿は…不明です。
今回2話(一話は設定だけれども)投稿したので許して…!
それでは最新話をどうぞ!!
最終日を待たずに総合優勝を決めてしまった第一高校だったが、祝賀パーティーは明日以降に持ち越された。
明日は九校戦を締め括るモノリス・コード本戦決勝戦が開催されるが優勝は間違いなしといってもいいだろう。
…何故なら、服部先輩と桐原先輩そして十文字先輩という学内でも屈指の実力者がいるのだから。
第一高校チームは順当に決勝リーグに進出しておりチームメンバーとエンジニア達は大忙しであった。
とは言っても残りの競技は一競技であり、半数以上が手が空いているのでプレ祝賀会の意味合いも込めてミラージ・バット優勝を決めた一年生の深雪を中心としてミーティングルームを貸しきって行われた。
仕切り役は生徒会長の真由美と鈴音、参加者は女子選手・スタッフがメインとなっていたが男子が全くいないというわけではなかった。
男子は2年3年の選手とエンジニアを除いた新人戦に出ていた人物達が中心ではなく片隅で居心地が悪そうに飲み物を注がれた紙コップを持っている。
「まだ明日のモノリスコード決勝が残してはいますが、一先ずは我が校の九校戦総合優勝を祝しまして…」
「「「「カンパーイ!!」」」」
紙コップの乾いたぶつかる音が鳴り響きそれぞれが話し始めることで一気にミーティングルームは喧騒に包まれた。
「おめでとう深雪!」
「ありがとう、エリカも来てくれて。」
「…会長や深雪にあんだけ懇願されたらね…来ないわけにはいかないし。」
「ふふっ、有り難うエリカ。」
この場に選手以外の人物達(レオ、幹比古、美月、エリカ)が参加していたのは真由美の単なるお祝いだけの意図ではないのは確実だろう。
(エリカは頑なにこの場に来るのを拒んでいたが深雪と雫達によって強制的につれてこられたがその拒む原因となっている人物がこの場に居ないので拍子抜けしてしまった。)
しかし、この場には新人戦の優勝の立役者である八幡が居なかった。
「…と、いうわけで八幡さんは疲れて寝てしまったわ。」
「それで『朝まで起こさないでやってくれ、死ぬほど疲れてる』って?」
「ああ…。ん?何故最後にネットミームが…」
「無理もないだろうね。」
「ずっと大活躍でしたものね…。」
「ここんところずっと働きづめだったし休ませてやろうぜ。」
深雪が一人の男子生徒の噂話をしているところへ(エリカ、達也、幹比古、美月、レオ)二名の女子生徒が近づいてきた。
「おめでとう、深雪。」
「とっても、素敵だった!」
雫とほのかの二人である。
「有り難う、二人とも。」
ほのかがこの場にいなければいけない人物がいないことに気がつき辺りをキョロキョロと見渡す。
「あれ?八幡さんは?」
「ええ『疲れたから寝させてくれ』と申していまして…。お祝いしたかったのですが。」
「ずっと大活躍だったもんね…。」
深雪が少ししょげた表情をしていたが達也がフォローに入り、雑談しつつプレ祝賀会はつつがなく進行していた。
◆
第一高校がプレ祝賀会を行ってる時間の裏側では、各校が第一高校の総合優勝が確定したことにより落胆の色を浮かべていた。
それは第三高校も例外ではなく首脳陣達、特に新人戦のメインメンバー達は落ち込んでいた。
しかし、ミラージ・バット本戦で深雪と戦った愛梨は違っていた。
試合が終わり数時間、自身のサイオンが一定まで回復した愛梨は『跳躍・飛行魔法』のチューンナップした魔法の練習を行おうとしていた。
「愛梨!まだ休んでいなくて平気なの?」
「大丈夫よ優美子、私を誰だと思っているの?十分休んだわ。」
そういって起動式が入ったホウキを手に取る。
「其よりも今はもっと試してみたくてしょうがないの。」
「分かるぞその気持ち、折角の面白い魔法じゃからな。」
沓子がその事に同意して自分もやってみたそうな表情を優美子に向ける。
「なぁ、儂もやってみたいのじゃが…。」
「ダメだし、これは愛梨の為にチューンナップしたものだし。」
「えー!ちょっとくらい大丈夫じゃろ?」
「ダメ、危ないし。」
優美子が強く否定すると口を尖らせて拗ねてしまったのを見て栞が沓子に笑みを浮かべていた。
「ごめんね、付き合わせちゃって。」
「いやいや、こんな面白い遊びを儂に秘密でやってたら許さんからなー?」
「ふふっ」
愛梨は手足にLEDの目印バングルをつけて魔法式が封入されたCADを起動させて飛翔する。
「目印が良い感じに光っておるのう。」
「綺麗ね。」
「ホント、楽しそうに飛ぶし…。」
LEDの目印バングルが光の軌跡を描く。
縦横無尽に軽やかに、優麗に愛梨は宙を舞っていた。
(あの試合の中で自分の限界を超えられることが分かった…)
愛梨は宙に舞いながら自分に合わせた魔法を渡してくれた好意を寄せる人物に想いを馳せていた。
(ありがとう…八幡様。)
その飛行はある人物から声を掛けられるまで続いた。
◆
疲れがピークに達していた俺はプレ祝賀会には出ずにホテルの一室で仮眠をとっていると目が覚めた。
隣にある時計に目をやると食事の時間はとっくに過ぎており俺は「しまった…」と後悔した。
「めっちゃ腹減ったな…外に買いにいくか…。」
早速俺は起き上がり《次元解放》起動させゲートを潜り、食い損ねた夕飯を食いにわざわざ魔法を使い外の飲食店に食べに向かった。
美味しいラーメン屋でもあっただろうか…?食べ○グで検索して店を見つけ夕飯にラーメンを戴いた。
濃厚な豚骨醤油は食べ盛りな男子高校生にとっては全てが血肉へと変換されることだろう。
要約すると久々に食ったのでとっても旨かったです。
「久々に食ったけど旨かったな…そういやウチの近くに結構ラーメン屋あったな…今度行ってみる…あ、食後のマッ缶買ってなかったな…買いにいくか。」
夕飯を食った後に食後のマッ缶を買い忘れたので宿泊のホテルの外にあった自販機に歩きで向かうと森の上空に光の軌跡が目に入った。
「ん…愛梨か?」
俺は《瞳》を凝らして上空に浮かぶ人影を見てみる。
其処には森の上空を優麗に舞い踊る愛梨の姿が見えた。
俺は先ほどの試合の健闘を称えるために声を掛けようとしたのだが、その前に自販機でスポーツ飲料を購入し、森の方に歩くと愛梨はまだ宙に舞っているので、やめておけば良いのに俺は何故か愛梨を驚かせてやろうと思い、加重魔法を使い反重力を発生し弾くように飛び上がり宙に佇む愛梨に声を掛けた。
よくよく考えれば分かることだったのだが突然背後からしかも浮いている人間に声を掛けられたらそれはビックリするだろう。
もちろん俺もやられたらビックリするだろう。
満腹だった俺はその事を考慮せずに話しかけてしまった。
「愛梨。」
「ひゃっ!!だ、誰?」
地上からではなく同じく『宙に浮いている人間』から声を掛けられてビックリした愛梨は普段の落ち着き払った様子ではなく本当にビックリしているようだった。
「そこまで驚くとは思わなかった…悪かったな。」
「え、は、八幡様?って、きゃっ!!」
「うぉっ!危ねっ!!」
急に話しかけられたことで魔法の行使が途切れてしまい墜落しそうになる愛梨を俺がお姫様抱っこするような形になり地面へ降下していった。
俺は自らの軽率な行動に猛省した。
「あ、ありがとうございます…。」
「いや、突然話しかけちまって悪かったな。ごめん。」
俺の腕にすっぽりと埋もれている愛梨は顔を紅くして黙ってしまった。
「い、いえお気になさらないでください…(ふぁっ!?は、八幡様にお姫様抱っこされている!?)」
「すまん、すぐ降ろす。」
「あっ…」
そういって俺は愛梨を地面に降ろすと残念そうな表情をしていたが分からなかった。
「どうしてここに八幡様が?」
「ああ、自販機で飲み物を買ってるときに光の軌跡が見えてな…」
「そ、そうだったんですね…。」
「まぁ、でも丁度よかった。」
「え?」
「試合、よかったよ。宙に舞ってる愛梨はすっげぇ綺麗だった。」
八幡が無意識に微笑を浮かべるとその表情を見た愛梨の動悸が早くなり顔を紅くしていた。
「……」
その事に気がつかず八幡は言葉を紡ぐ。
「ただそれだけ伝えたくてここに来ただけだ。ほい。」
「わわっ!?これって…。」
八幡が手に持ったスポーツ飲料のペットボトルを投げ渡すと愛梨は驚いていたが、流石に落とすことはせずに綺麗にキャッチしていた。
「水分補給しっかりしとけよ。」
「ありがとうございます…///」
何気ない気遣いに愛梨は八幡への想いを再確認してボーッとしていたがハッとする。
今は八幡を慕う一校女子が居ないし優美子達も今はいない。
ならば今がチャンスなのでは?と愛梨は思ったが遅かった。
「じゃあ、俺そろそろ行くから、体冷やすなよ?お休み。」
クルリと踵を返して宿泊先のホテルへ戻った。
「お、お休みなさい…。」
背後から愛梨の言葉を聞いてそのまま帰路についた。
愛梨は其処で八幡に声を掛ければよいのに一瞬躊躇いを示すが愛梨は普通の返事を返してしまった。
「やってしまった…折角のチャンスだったのに…ダメね、私…。」
「愛梨~!!」
愛梨はしょげていたがそのタイミングで遠くから愛梨を呼ぶ声が聞こえる。
どうやら栞達が何時たっても戻ってこない愛梨を心配して探しに来たようだ。
◆
「八幡様…。」
「…梨…、愛梨!」
「ど、どうしたの?」
栞達が自分を呼んでいることに始めて気がついた愛梨はハッとした。
「優美子が「愛梨ってば何時までも戻ってこないし!」ってぼやいてたから…」
「今すれ違ったのは八幡殿か…なにを話しておったのじゃ愛梨?」
森の中で一校生徒である八幡がいることが気になった沓子が質問するとそれを端に質問責めに愛梨はあった。
「た、ただ試合の結果を話していただけよ。」
「怪しいわね…」
「愛梨と八幡殿の逢瀬を邪魔してしまったかのう。」
「も、もう!からわかないでちょうだい!」
愛梨が恥ずかしそうにしていると迎えに来た栞と沓子は笑っていた。
栞達と共に宿泊先へ戻る愛梨だったが一瞬立ち止まり八幡に告げようと思った言葉が自身の中で反響していた。
(八幡様…私は貴方の事が好きになってしまいました…。必ず貴方に伝えて見せます。)
愛梨の独白は当然ながら八幡に届くことはなく彼女の中で留まり続けていたのだった。
◆ ◆ ◆
真由美に誘われてプレ祝賀会に参加していた達也であったが自身が所属する陸軍101旅団・独立魔装大隊の上官である風間に呼び出されていた為途中で退出したのだった。
「失礼します。」
達也がノックをすると室内にいる風間から「入れ」といわれ入室すると、其処にはいつものメンバー(風間、藤林、柳、山内)が勢揃いしておりその姿を視認した達也は敬礼を行うと風間達はぞんざいな敬礼を返し達也に座るように促した。
「先の試合ご苦労だったな達也。」
労いの言葉を風間より承る。
「いえ、ほとんどが八幡のお陰ですが…最終戦で八幡が一条の御曹司とぶつかってくれて助かりました。」
「確かに特尉の魔法は競技で使用するには些か威力がありすぎるからな。」
「一条選手の最後の攻撃を達也君が受けていたら大ケガは免れなかったですね…。」
「最後の攻撃を受けた七草選手は何故無事だったんだ?まさか…」
「いえ八幡は最後に『空蝉の術』のような魔法を使っていましたからほぼダメージはないですよ。」
同じ部隊に所属する柳が八幡が達也と同じく《再成》と似たような魔法を使ったのではと思われていたが達也は八幡が《再成》に似た魔法を使用できることを敢えて伝えなかった。
苦笑いしながら達也はモノリスの試合について話していた。
達也が本来使用する魔法は殺傷能力が高すぎて軍指定されているA級魔法『分解』を所持しており尚且つ達也が軍属であることをしられてはならないため、今回の八幡からのモノリスに参加するようにいわれたのは予想外だったことだろう。
そして最後に一条が放ったレギュレーション違反の魔法を受けていたら流石の達也でさえも、『再成』を使わざるを得なかっただろうが結果としては八幡が将輝を押さえる形となったのでその結末は訪れなかった…。
達也はわざわざ雑談するために呼ばれたのか?と思ったが会話の途切れ目になったときに部屋の雰囲気が変わり達也は姿勢を正した。
「さて…大黒特尉。」
風間が達也の呼び方を任務時の呼び方に変えた。
「貴君をここに呼んだのは労いの言葉を掛けるのと伝えておかねばならぬ事例が発生したからだ。」
「その呼び方で呼ばれるとは何か問題があったのですか?」
風間は発生した事例を説明する。
「先程、この基地の詰め所に四肢が欠損又は潰されたり全身が凍り付けになった中年の男四人が何もないところから突如として出現…いや送り込まれたようにな。それも丁寧にその者の身分が分かる証拠品まで一緒になってな。」
「送られた…?この基地のセキュリティーは其処まで脆弱ではなかった筈では?それで、その送られて来た人物とは?」
九校戦でいくら関連施設が解放されているとはいえ警備は厳重になっている筈の基地の尚且つ憲兵の詰め所に大人四人が誰にも気がつかれずに投げ込まれるとは思えなかった達也だったがその四人の身元が気になった達也は風間に質問する。
「送られてきた人物は『無頭竜』…しかも東日本支部のリーダー『ダグラス=黄』とそれに準じる幹部達だ。」
「なっ…!」
九校戦で深雪のCADに細工を仕掛けようとした男の背後にいた組織が壊滅させられたことに驚いたのだ。
九校戦でうっすらと『無頭竜』が背後で暗躍していることをしっているのは達也を除き目の前にいる上官達しかいない筈だからだ。
表情には出ていなく驚く達也を尻目に風間は続ける。
「他の幹部連中は生命活動はしているが意識が戻らなくてな…唯一意識が戻ったダグラス=黄は現在軍の病院に入院している、奴は上の空のように「黒衣の男が…」と呟いているようだ。」
隣に座る響子が端末を達也に手渡す。
「これは?」
「無頭竜の幹部達がいた横浜中華街にあるビルの一室…最上階に設置された監視カメラの映像よ。」
其処には大慌てで高級スーツを着た中年の男達が荷造りをし始めている様子が写し出されておりしばらくすると壁が突如として消え去りその後惨劇が始まった。
男達を守っていた生体兵器が一瞬にして惨殺されていく。
「…」
耐性の無い者が見れば嘔吐してしまうような凄惨な場面であるが達也はこの惨状を作り出したこの黒衣の男の素性が気になった。
「この男は一体…。」
一時停止した動画の男にはモザイクが掛かっており表情はよく見えない。
響子に達也は問いかけるが首を横に振った。
「それが映像を解析したのだけれど魔法的な阻害が掛かっていて取り除くことが出来なかったのよ…悔しいわ。」
「響子さんを持ってしてもですか。」
『電子の魔女《エレクトロン・ソーサレス》』と呼ばれる響子の実力を持ってしてでもこの魔法的な阻害は取り除くことは出来ず身元は判別できていない。
再び動画を再生すると達也は思わず目を見張ってしまった。
その先には黒衣の男の背後の空間がひび割れその中から『生体兵器がその一室に投げ込まれた』という現象と近くにいた生体兵器を黒い球体が現れ吸い込まれた。
文字通り『無』へと還してしまったのだった。
「これは一体…!?」
驚く達也に声を掛ける風間。
「特尉も驚いただろうがその魔法は『消滅』ではない。」
「ではこれは一体…?」
「不明だ。『魔法大典』にも記載されていない魔法であることだけは分かっている。」
「これほどの威力を誇っているのでは使用者は分かるのでは?」
「ああ、現在調べているがその魔法を使用できる魔法師は国内には存在していない。」
「では、この黒衣の男は『無頭竜』の失敗を処罰しに来たと…まるで『《執行者》エクスキューショナー』のようですね。」
「『執行者《エクスキューショナー》』か…言い得て妙だな。ふむ、藤林、以降からこの黒衣の男を《エクスキューショナー》と呼称する。」
「分かりました。」
風間は達也が呼んだその呼び名を件の男の名称にしようと決めた。達也はそれを採用するのかと思った。
「まだ動画の続きがある。再生してくれ。」
再び動画を再生させると近寄ってきた生体兵器を黒衣の男が迎撃すると赤熱色の光線が飲み込み下半身だけになっており更にもう一体が襲いかかるが手に持ったCADが変形し剣の柄のようなものに変わり銃口に当たる部分から先程の赤熱色の光線がSFアニメのロボットが持つブレードに形成され切り裂かれその命を散らした。
その後、男達の処断が終わった『執行者』は1ヵ所に男達を集め手を上げると空間に歪みが現れ、砕け散り男達をその歪みの中へと投げ入れると一仕事終えたかのように《執行者》は別の場所に歪みを開き中へと飛び込むのだった。
今まで争いが起こっていた一室には不気味な静寂だけが広がっているのだった。
動画が終了し達也は風間を見るとそれに答えるように達也に話しかける。
「これは軍でも研究が進められている『フォノンメーザー』に類似した振動系魔法であることが分かった。更にだ、この男が使った魔法は軍のモノよりも威力の高い。出力をこれより上げられる場合は戦略級にも匹敵するだろう。」
「…つまりは身元が分かっていないこの男が戦略級魔法師になり得ると?」
「我々の見解はそうだ。更に『執行官』が最後に使用した魔法は恐らくだが一種の移動魔法だろう。」
「そんなこれ程までの移動魔法があるなんて…。」
「戦場では反則レベルだな。…出来れば戦場で会いたくないタイプだ。」
「特尉はこの魔法がなんなのか分かるかい?」
余りの突拍子もない事に言葉を失ってしまう響子と苦笑いする柳を尻目に山内が達也に問いかける。
「この魔法は自分も見たことはないですね…。」
「そうか…特尉でも分からないのなら本当にあるかも怪しいですね。」
「しかしだ、現にこの《執行者》は使用できてしまっている。威力は皆無ではあるがその利便性から特級…S級の指定されてもおかしくないレベルだ。」
「…」
「…」
「…」
「(戦略級に匹敵する魔法を三つも持つ男…一体何者なのだろうか…?しかし、この男どこかでみたこと…いやどこかで会ったような気がするのだが…俺の《精霊の瞳》でも解読できない程に高度な魔法阻害が掛けられている…。)」
部隊の面々が黙ってしまうが達也は《執行者》について考えていた。
端末に写るこの男の雰囲気を達也は見たことがあったがどうやっても答えが出てこなかった。
風間が面々を見渡して方針を告げる。
「我が隊はこの男の足取りを追うことになった。しかし、現在奴の行方は不明であり存在も未確認だ。出来ることならば捕縛したいところだが抵抗が予想されるだろう。戦略級魔法を三つも扱えるような人物だ。そうなった場合は排除するのもやむを得ないであろう。大黒特尉。」
「はい。」
「もしも接敵するような場面がある場合は意思の疎通を図れ。抵抗に会い捕縛が無理な場合は『分解』の使用を許可する。」
「はっ!」
達也は立ち上がり風間達に敬礼をする。
こうして『執行者』は思わぬところでマークされたのだった。
◆ ◆ ◆
「ねぇこの後大浴場にいかない?」
「いいね。」
場面は移りプレ祝賀会を行っているミーティングルームではそろそろお開きの時間となりほのかと雫が提案していた。
「深雪もどう?」
本日の主役でもある深雪にほのかが声を掛けると頷いた。
「そうね、行きましょう。」
「決まりだね!」
「うん」
そういって三人は初日に行った大浴場へと足を向けた。
「ええっ!!」
大浴場へ到着した三名だったが思わぬ利用者とかち合った。
「おー!奇遇じゃな!!お主らも風呂か?」
ブンブンと手を振る沓子にそれを驚愕の表情を浮かべる栞、更に若干の気まずさを表情を孕む愛梨に若干の敵対心を見せる優美子が其処にいた。
「さ、三校の…!」
(((な、何てタイミング…!?)))
(((な、なんで今日に限っているの?)))
(?)
それぞれの陣営がお互いに思うところがあったが時間は有限なので更衣室に入り着替え始める。
誰も喋らず衣擦れだけの音が更衣室に響く。
(うう…気まずい…さっき対戦したばかりだものね)
衣服を脱いで下着だけの姿になり手際よくそれも脱いでいきミニ甚平の姿になったほのかは急ぎ浴室へと向かった。
(早めに済ませちゃおう…。)
誘った手前申し訳ないと思いつつも空気の重さに耐えきれなくなったほのかはシャワーブースへ向かう。
「あーっ!大変じゃ~!」
「?」
シャワーブースに到着すると大仰な声が聞こえてきてそちらの方に顔を見せると沓子が叫んでいた。
「手が届かんくて髪が洗えんのじゃ~、うちでは侍女にやってもらっておったからの~ん?」
髪を洗っていた沓子に見つかったほのかが沓子に捕まった。
「おお!そうじゃおぬし手伝ってはくれんかのう?」
「えっ!?」
「頼むのじゃ~。」
「それなら今までどうやって…もごっ!」
最後まで言わせてもらえず沓子に手で口を塞がれてしまったほのかにひっそりと話しかけられた。
「おぬしもみたじゃろう?先ほどの試合を終えたあの二人の気まずさ…というよりも八幡殿の事もあるじゃろうが…。」
「モガッ(え?)」
「ここは儂らが交流を深め会って交流するのじゃ。」
「モガガッ(え、ええ?)」
沓子にシャワールームに連れ込まれてしまったほのかだったが言われたことを思いだしなるほどな、と
(確かに一理あるような…無邪気に見えてそんなことを考えていたんだ。)
気を取り直し沓子の提案を受け入れる。
「わかったわ、手伝ってあげる。」
「やったなのじゃ~。」
ほのかは自分に妹がいたのならばこんな気持ちなのだろうかと思い少し笑みが溢れた。
「おお気持ちがよいぞ~」
「それはどうも」
沓子の青みが掛かった綺麗な長髪を洗髪していると声を掛けられる。
「おぬしが口で伝えずとも色々と聞いておるよ。」
「え?」
「例えば…お主この九校戦で心当たりがあるのではないか?」
「実は先ほどまで愛梨が飛行魔法で遊んでおってのう?」
「!?試合が終わったばかりなのに?」
「試合上だけでなくもっとあの魔法を知りたいと思ったんじゃろうな…それは気持ちよく飛んでおったぞ。」
「おぬし、新人戦での勝利を考えて敢えて飛行魔法を出さなかったのではないか?」
「!…それは。」
ほのかの脳裏に先の情景が思い浮かぶ
(きっと驚くわ)
(ほのか?)
きれい…
でも、私には出来なかった…。
『ほのかは実力者だ。俺が保証する。』
八幡に言われたことで救われたその言葉はほのかのなかで反響していた。
「…」
「実は儂もやってみたかったが止められてしまってな…でも諦めんぞ?そのうちやってみるつもりじゃ。」
洗髪した泡をシャワーで洗い流した水音でハッと我に返ったほのかに沓子は告げる。
「おぬしが全体のことを考えてリスクを取らなかったのは偉かったがやってみたい気持ちを押さえる必要はないじゃろ?」
その次に告げられた言葉にほのかはドキッとしてしまうのだった。
「自分用のアレンジを頼んでみてはどうじゃ?おぬしが恋慕しておる大事な八幡殿に。」
「……!!」
ほのかは思わず自分が慕っている八幡の名前が出てしまったことに思わず赤面せざるを得なかった。
「…!!」
「…w」
シャワーブースのところでほのかと沓子が表情をコロコロと変えながら話しているのを浴槽に浸かりながら雫が見ていると浴槽の縁に腰掛け足を浸ける栞と優美子が話しかけてきた。
「ごめんなさい沓子がお世話になって…私言ってこようかしら?」
「あーしも言ってこようか?」
その申し出に雫は首を振る。
「ううん、ほのかは流されやすいけど嫌だったら本当に断るから大丈夫。だからたぶん大丈夫だとおもう。」
(寂しそう?)
(なんかこの子…雪ノ下さんに似てる気がする。)
「もしかして光井さんとは長いお友達?」
「ん、小学校の頃からずっと競い合ってきた仲間だったから。」
「なーるほど…」
「そ、そんなに私ほのかのこと見てたのかな…。」
顔を赤くする雫。
「わりとね。特別な友達なんだっておもったわ。」
「特別…そう。」
顔を真っ赤にする雫を見た優美子は脳裏に浮かぶ人物と合致して一人納得してしまった。
同じく栞もその姿に珍しいものを見たような感想を覚えた。
(あ、この子結衣に対しての雪ノ下さんだわ。)
(あのクールで強そうな子が意外な一面ね。)
親友達が其々打ち解けているのを見て愛梨は驚いていた。
(ずいぶんと打ち解けているようね…私は…。)
横をチラリと見やると深雪がおり愛梨は意を決して話しかける。
「(気まずいかもしれないけどどうしても伝えなくちゃ…。)いいかしら?」
「(一色さんが話しかけて来た…)もちろん。」
二人は浴槽には入らず共に縁に腰掛け足湯のような状態で会話する。
(…さぁ、伝えるのよ愛梨。)
スウッと息を吸い隣に座る深雪へ話しかける。
「実はさっきまた飛行魔法の練習をしていたの。」
「え?…どうして?」
「あなたと戦って自分がもっと成長できると思えてきて…そしたらもっと練習したくて堪らなくなったの」
「そうなの」
深雪は普段通りに愛梨のその言葉を聞いている。
「ええ。正直あなたに負けたときは打ちひしがれそうになると自分で思ったのだけれど…不思議なぐらい自分の中の世界の視野が広がったような感じがしてもっと次の次元を見てみたいって、そう思えたの。」
深雪はその言葉をただ黙って聞いている。
愛梨は言葉を続ける。
「だから、どうしてもあなたにお礼を伝えたくて…ありがとう。」
その言葉を告げられた深雪は戸惑っていた。
(私はこの瞬間が少し苦手だ。)
(お兄様や八幡様の目の前で恥ずかしい戦いをしないために、試合中は勝つことしか考えていなかったけれど、試合が終わってから他人と再会は自分の言葉と態度が相手を侮辱していないか、相手を傷つけていないかわからなくて戸惑ってしまう。)
深雪が愛梨に話しかけられた時に微かにこわばるのが見て取れた。
『いいかしら』
『もちろん』
(微笑んでいるけど微かにこわばっている表情…拒絶じゃなくて戸惑い。)
(司波さんはきっと敗者の立場になったことがない圧倒的な才能の持ち主、でも勝ち誇らない高潔さゆえに気まずい思いをすることも多いのでしょうね。)
愛梨は今一度決意する。これははっきりと告げねばならないと。
(あなたに負けたものは決して落胆しているだけじゃない、素晴らしい経験を得られたってことを。)
『だからどうしても貴女に伝えたくて…ありがとう』
「どういたしまして。そんな風に思えるなんて…やっぱり貴女尋常じゃないわねすごいわ。」
「すごいのは貴女よ。貴女みたいな人と同世代で」
それは心からのコメントだったのだろう。
嘘偽りの無い愛梨の本心だった。
「一緒に戦える機会があってラッキーだった」
「私もよ貴女が本当に強くて必死だったわ。お陰で私もあの試合で成長できたの」
「本当に?だったらとっても光栄だわ…。それにもう一つ貴女に伝えておかなければならないことがあるわ。」
にこやかな笑みは一旦鳴りを潜め真面目な表情になる愛梨に深雪も真面目な表情になる。
「私は…八幡様を愛しているわ。この想いは司波さん、貴女にも負けないわ。」
愛梨の強固な意思に深雪以外では萎縮してしまうだろうがそうはいかない。
「(やっぱり一色さんも八幡さんを…)」
やはりだろうとは思っていたが一色も八幡に好意をよせている事が分かり深雪はその態度を崩さずに対応する。
「ええ、『愛梨』私も八幡さんをお慕いしているわ…負けないわよ。」
「名前を…!…ええ、私も成長して貴女をもっと焦らせて見せるわ…『深雪』。」
「!あら、負けないわよ?」
その発言を聞いていた雫とほのかは八幡に対して煮えきらない想いが募っていった。
(やっぱり八幡…三校の一色さんを落としちゃってる…うーんこれはギルティ…)
(ううっ…!やっぱり一色さんも八幡さんの事が好き…ライバルが増えちゃってるよ~!)
こうして乙女達の会合は苛烈にしかしながら穏やかに過ぎていった。
◆ ◆ ◆
乙女達の喧騒が終了し、九校戦は遂に最終日を向かえた。
早朝、宿泊のホテルにて。
「どう思う!」
「どう…って言われても…誘うしかないんじゃない?」
朝の身支度をしているときほのかは雫に相談していた。
「それが出来れば苦労しないよ!」
「でもやるしかないよ…私も八幡にはダンスの誘いをするつもりだし。だって…」
そう言ってほのかの手をとる雫。
「だってパーティーは一度切りだし。」
「おおっ!?(妙に雫がやる気満々だな…)」
昨夜のお風呂の会話により奮起した雫。
「でも、何か出来ることがあるかな…」
「今日の観戦の時がチャンスだよ。もう今大会の八幡の仕事は終了しているから一緒に行動できる時間もある筈…」
「確かに何度も話しかければ流石の八幡さんも気づいてくれるかな…。」
「但し気になるのは…。」
「え…?」
◆
「八くんはこの試合どう見る?」
「そうだな…十文字先輩の《ファランクス》の防御に桐原先輩の攻撃力に服部先輩の奇襲力…付け入る隙がなくて相手が可哀想になるレベルだな。」
「うーんこれじゃ一方的ね…かといって手加減する必要もないし。」
「だね。」
(ううっ…雫が言っていた一番の障害ってやっぱり生徒会長…!)
本戦決勝モノリスコードの試合を観戦を八幡と共に観戦をしていたのだがやはりと言うかそのとなりには義姉である真由美が隣にいて話しかけることが出来なかったのだ。
試合が終了し、軽食をとることになりこれはチャンスとほのか達も付いていくが八幡と真由美の会話に割り込むことが出来ず右往左往しているのを見た真由美が気がつき八幡に話題を掛ける。
「そう言えば八くんは九校戦の後夜祭誰か誘うの?」
(会長…!貴女は神ですか?!ライバルだけれども!!)
「後夜祭か…昔運動会の最後に男女でマイムマイムを踊るときに女子にスッゲー嫌な顔されて屋上でマッ缶あおってたの思い出すから好きじゃないんだよな…。」
八幡の目がどんどんと濁っていくのか分かり思わずほのかは立ち上がりその言葉の先を切り裂いた。
「そんなこと無いです!八幡さんを袖にするような人は八幡さんの良さが分かっていないんです!!」
「ほのか…?」
八幡が困惑の表情を浮かべるとほのかは回りの視線を受けてハッとした。
「あっ…」
「…」
「ご、ごめんなさい!急に…!」
「いや…ありがとうほのか、…そう言ってくれる奴がいるのが驚いただけだから。…嬉しかったよ。」
「…///」
八幡の隣にいた真由美はその光景を見て言い知れぬ胸のモヤモヤを抱えることになった。
(何故かしら…八くんが他の女の子と話していて嬉しそうな表情を見るのは何故かイライラしちゃうのよね…分からない…あ~もう!!)
この気持ちが何なのか真由美は分からなかった。
◆ ◆ ◆
全ての試合が終了し2095年8月12日全国魔法科高校親善魔法競技大会こと『九校戦』は全日程を終了し各部門の優秀選手が表彰された。
第一高校からは深雪と八幡が選出された。
各部門で表彰されたのち、「無事」に閉会した。
そして日没後、ホテルでは華々しく後夜祭が行われた。
会場には音楽と学生達の喧騒が響き渡るが決して雑音ではない。
この会場には当然ながら第一高校の面々が訪れておりほのかは後悔していた。
(あれから結局恥ずかしくて言い出せないまま夜になっちゃったー!!)
頭を抱えるほのかの隣に雫が隣にいた。
「見て」
「え?」
その視線の先には八幡の隣にいる真由美にダンスの誘いをしている同校と他校の生徒が見受けられ若干の殺気をぶつけて話しかけられずにいる生徒が見受けられた
「会長がめっちゃ話し掛けられてる。」
「流石だね~」
「今のうちかもしれない…会長が囲まれている今がチャンス…。」
「え…!?そんな騙し討ちみたいな…。」
「会長は強敵…戦いに遠慮無用だよ。」
雫とほのかが会話をしていると他校の生徒から声が掛けられた。
「あのよろしければ…」
「え、ええ?」
誘われているほのかを見た真由美が目の前にいる八幡に耳打ちする。
「八くん…。」
「あ、ちょっと待って姉さん。今こいつらの排除に忙しいから。」
「光井さん、誘って欲しそうに八くん見てるわよ?」
「あ?何で?」
「ここは男らしく誘ってきたら?」
「姉さんがそう言うなら…。」
八幡は真由美に促されその場から離れほのかへと近づくと話しかけていた男子はビビって散ってしまった。
「あー…ほのか、一曲お相手願いますか?俺で良ければだが。」
八幡がそう言うとほのかの表情がパアッと明るくなった。
「……っ!!喜んで!!」
「…しまった、先にほのかに取られてしまった…八幡つぎは私もエスコートお願い。」
「はぁ?…俺と踊りたいとか物好きだな…分かったよ。」
そう言って八幡はほのかの手を取り曲に合わせ優雅に踊り始める。
その姿を踊りながら見ている真由美は複雑だった。
(八くんが他の女の子と楽しそうに踊っているのを見るのは何か嫌だな…。)
八幡がほのかと雫、深雪と踊った後に疲れた八幡は椅子に座り込んでいた。
その後に何故だか声を掛けられ数名と踊る羽目になったのだ。
「何で俺踊っているんだろうか…」
「あの…八幡様?」
「あ?」
俺が顔をあげると其処には愛梨がいた。
「お疲れですわね…」
「あ、ああまさか数十名を踊ることになるとは思わなくてな…一体なんで俺と踊りたがるのか…分からん」
「八幡は本当にご自身の魅力を分かっていらっしゃらないですわね…。」
「魅力ねぇ…こんな変な目をした野郎のどこが良いのか…あ、家柄か。」
「そ、そうではないと思いますのに…んんっ!それより八幡様、私と一曲お願いできませんか?」
「女の子に言わせるのは情けなくなってくるな…こちらこそお願いできますか?一色さん?」
そう言って愛梨は俺の手を取って引き上げ音楽の満ちたステージへと誘った。
八幡と愛梨のデュエットは見るものを魅了していた。
◆
「お疲れさま八くん。」
「姉さん」
後夜祭も終盤に差し掛かりダンスも一段落したところで休憩をしているところに姉さんが声を掛けてきた。
流石に姉さんも慣れていると言っても数名とダンスをするのは精神的に疲弊するものだろう。
若干笑顔も疲れているのは気のせいではない。
「大人気だったわね?」
「なんか言い方に棘無いか?」
「…別に?何かお姉ちゃんに掛ける言葉があるんじゃないの?」
何故だろうスッゴク不機嫌な感じがするのは何故なのだろうか…
ここで選択肢をミスるとNiceboatされそう…ヤダ八幡悲しみの向こう側に行っちゃいそう。
わーったよたくっ…!!
俺は真面目モードになり立ち上がり少々格好を付けて姉さんに手を差し出す。
「俺と一曲踊っていただけませんか?『真由美』。」
姉さん呼びではなく名前呼びにしたのは俺の一種の決意の現れだ。
そう言うと姉さんは顔を紅くして何かを呟きながらいつも通りの笑みを浮かべ俺の手を取ってくれた。
「…もうそう言うところがずるいわよね…。ええ、一曲お相手おねがいするわ。」
曲に合わせ踊り始める。
「本当に八くんには感謝しているの。」
「あ?なんだよいきなり…。」
「八くんのサポートと力が無かったら今回の優勝はなかったわ…本当に八くんがうちの高校…いや私の家族になってくれてほんとに良かった。ありがとう何度も助けてくれて。」
「姉さんのために力を出すのは…当然だろう…。」
「ふふっ…八くんってば顔真っ赤よ?」
「うるさいな…」
「ねぇ、八くん?私達って恋人みたいに見えるのかな…?」
「な、なんだよ急に…。」
唐突に姉さんが雰囲気が変わったことに驚き更にその言葉の意味を読み取れなくて俺は立ち止まってしまった。
数秒だっただろうか?数時間にも感じられた静寂を打ち破ったのは姉さんのおどけた言葉だった。
「…な~んてね。冗談よ冗談。」
「やめてくれよ…。七草の長女としてその発言はどうなのよ。」
「ごめんごめん。」
「(姉さんと俺が恋人か…想像したこともないが姉さんの隣にいる男が…なんかムカついてきたな。だったら弟の俺がいた方が余計な虫は寄り付かなくてすむかもな。)そうだな…恋人に見えた方が(悪い虫が近寄らなくて)良いかもね。」
「…///」
「姉さん?」
「もう少し踊ってくれる?八くん?」
「はいはい…。」
何故だか上機嫌になった姉さんの手を取って後夜祭が終わるまでそれは続いた。
(八くんとこうしてずっと一緒に居たいと思うのはダメかしら…。)
こうして全国から集った魔法科高校生が凌ぎを削って戦い抜いた『九校戦』は総合優勝第一高校をもって終了したのだった。