俺が七草の養子なのは間違っている   作:萩月輝夜

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次元転移(ディメンジョン・シフト)

深夜、といっても言い時間帯に男は一人宿泊先のホテルに備え付けられていた鏡台と兼用の机の上に荷物を置いて椅子を引いて一仕事終えた体を休ませていた。

一息吐くとその客室に備え付けられていた電話が着信を告げる。

男はここに来ることを”表向き”の仕事をする相手に伝えていないし連絡をするならば仕事用の通信端末に連絡をすればよいのにと思ったがフロント経由で”裏の仕事”の話が自分に届けられるはずもない、が出ないという選択肢は男にとって躊躇われた。

 

「はい。もしもし。」

 

名のならずに着信を取る。

 

「貢さん。今お時間よろしいですか?」

 

その声を聞いた途端に四葉家分家黒羽貢の背筋は顔が見えていなくとも本能的に背筋を正しピンとした。

 

「真夜さんですか?ええ構いませんとも。」

 

彼は情報収集を司る四葉の分家…黒羽の現当主であるからこそ四葉家当主である真夜の恐ろしさをよく知っていた。

 

「貢さん…その芝居掛かった言い回しなんとかなりませんの?」

 

「おお、麗しの従姉殿。芝居掛かったとは心外ですな。私は常に大真面目ですぞ?」

 

これに関しては本心だったが電話越しの真夜は疲れたような溜め息を吐いた。

夜の女王、と恐れられているがそれは身内以外にたいしての物であり貢や親族にたいしては突っ込みをいれる、といった一般人のような感性を持っている。

しかもこのやり取りは今に始まった話でなく電話が掛かるといつもこんな感じになるので平常運行、ということで貢は完全に自分のペースを取り戻していた。

 

「さて、本題に入りましょうか貢さん。お疲れかと思いますが一仕事していただきたいのです。」

 

真面目な冷たい声色が貢の耳に入ってくる。

貢は先程までパラサイトの宿主特定、並びに暗殺をしていたが見つかっていない物が数体あった。

その見付かっていない数体というのは先程貢の子供達が奪取に失敗した《吸血鬼》に関してだった。

それも貢の子供達が関わっている任務だった。

 

「この度の失態…申し訳ございませぬ真夜殿。」

 

口調を正しそう告げると真夜の声色は笑っているように聞こえた。

 

「気にしないでくださいな貢さん。その場に達也さんと深雪さんがいらっしゃったのですからあの二人が動揺するのも無理はありませんわ。そもそも達也さんが本気を出してしまえば深雪さんへの被害が出ますし仕方がない、といっても差し支えないでしょう?それにあの場には七草の分家もいたようです。」

 

その声色は「仕方がないですし?」といった穏やかな感情を含んだ慰めの言葉だった。

 

「それは…まぁしかしですな、」

 

「奪うのには失敗しましたが”保管”されている場所は突き止めましたので”処理”をお願いしたいのです。…忌々しいことに七草の養子が活躍しているのが気にくわないですが…横からかっさらってしまえば良いのです。」

 

真夜の声はあっさりしていた。

まるで『月曜日にはごみを出しておいてくださいね』と言わんばかりの声色。

その内容は日常的に聞くものではなく”殺害”を意味している言葉ということに貢以外の人間が聞いたら不気味に思えてしまうだろうがこれが四葉の日常なのだ。

 

「畏まりました。」

 

頷き仕事を承諾したことを伝えると真夜が追加のオーダーを示した。

それはあまりにも過重労働であった。

 

暗殺に関しては了承したが七草、という単語が出来たことに貢は「いつものか…」と内心で若干の呆れを見せていた。

真夜は七草を嫌い特にその養子に対して異常なほどの嫌悪感を抱いている。

その理由を聞かせてもらおうとは微塵も思わなかった。

パンドラの箱…虎の尾を踏むに近しい行為だと本能的に悟ったからだ。

承った任務を心の中で復唱し貢は告げた。

 

「仰せのままに。」

 

そう告げて貢は命じられた任務を果たすために部下を動かした。

しかし、それよりも先に保管されていた《吸血鬼》達は何者かによって抹殺され体は灰になっていた。

 

◆ ◆ ◆

 

翌日。

 

俺は屋上にてマッ缶を煽りつつ昨晩の”後始末”を任せていた佐織からの報告に「不味かったか」と早朝から陰鬱な気分にさせられていた。

 

事態が事態だったとは言え俺が責任をもって対処すべきだったと思う。

しかし、その件に関しては佐織達が悪いわけではく相手が悪かったのだ。

不幸中の幸い、といえるだろう。

 

『突如として現れた魔法師部隊によって七草で運び込む検体を奪いに襲撃された』という報告だ。

 

結果としては奪われずに防諜第三課が所有する保冷庫に低温冷凍並びに睡眠薬で眠らせている。

 

「まぁ、奪われなかったのは佐織達もいたしな。」

 

俺は溜め息を吐いて黒と黄色のスチール缶に残った糖質たっぷりの乳飲料を流し込み握りつぶし【虚無】で塵に返した。

屋上の吹きさらしで風を凌ぐ場所もないこの場所に長居をしたい訳じゃなかった。

俺は人を待っていたのだから。

飲み終わったタイミングで校舎から屋上へ続く扉が開いた音が俺の元へ届いたのでそちらへ視線を向けると達也達E組の連中が非常に言いづらそうな顔を浮かべこちらに近づいてきているのに気がついた。

 

「なんか話があんだろ?早くしてくれねぇか?」

 

俺も無意識だったが若干苛立っている語気で話してしまっていてエリカ達が申し訳なさそうな表情を浮かべているのを見てハッとした。

 

「すまん。」

 

「八幡、その、ね…スッゴく言いづらいんだけど…。」

 

メンバーで誰が言うのか押し付け有っていたが最終的にエリカが説明することになった。が歯切れの悪い回答に痺れを切らした俺は誘導した。

 

「確保してたパラサイトが強奪され掛けただろ?」

 

その事を告げると達也を除く全員が驚いていることに気がついた。

 

「なんで知って…ってもしかして佐織ちゃんから?」

 

「ああ。なんでも魔法師の集団が突然現れて、とかな。」

 

そう告げるとエリカと幹比古は俺のさらに機嫌の悪く鋭い眼光を見てしまっていたのか”怒られる!”とでも思ったのだろう顔を強張らせていた。

それよりもその情報が外に漏れていた、ということが問題だった。

 

「いや、これに関しては怒ってねえよ…俺の部下と国防軍の一部隊に協力してもらったり動かしたってのにこの様だからな…相手の方が一枚上手だったか。どんなやつだったんだ?」

 

俺は其処が気になった。

幹比古達は俺の知り合いの魔法師で言えば遠距離戦はともかく近接に至っては第一線で活躍している魔法師に引けを取らない実力だしそもそも俺と同格、それ以上だと思っている深雪と達也がいたのに奪われていた、ということが気になった。

 

幹比古が口を開く。

 

「かなり手強かったんだ…特に二人の女の子が。」

 

「女の子?」

 

そうと聞き返すとレオが肩を透かして説明した。

 

「ああ。何つー服装…ゴシックロリータって言うのか?黒髪のお嬢様ーって感じの縦ロールの子が瞬間移動してその隣にいるいた筈の同じ背格好の女に攻撃を食らった瞬間にたっていられなくてよ。」

 

「レオが攻撃を喰らってか?かなりの馬鹿力だな。」

 

「いやそれがそうでもないのよね。こいつ(レオ)が吹き飛ばされた、って訳じゃなくその場で苦しそうに踞ったの。」

 

「ありゃ俺じゃなきゃ気絶してたね。」

 

「それに連中見たこともない装備をしてたのよね。斬ったらアーマー表層が爆発して無力化されちゃうんだもん…リーチの有る長物持っていけばよかったかしら…。」

 

「………。」

 

レオを吹き飛ばしたほどの威力はないがフィジカルに自信の有るレオを戦闘不能にした魔法の使い手…系統魔法じゃなくて無系統魔法…精神干渉系統か?

それにエリカの剣術を弾き返す装備…一体なんだろうか。

一先ず襲ってきた魔法師の事は一旦置いておいて達也に質問してみた。そうしなければ、と思ったからだ。

 

「達也は相手がどんな奴だったか見ていたか?」

 

「…ああ。俺は俺で黒尽くめの魔法師の集団から検体を守るのに深雪と一緒に戦っていたからな。」

 

一瞬間があったような感じがしたがそれを問い詰めるには証拠が不十分すぎるが…俺の中でなにかが引っ掛かっていたが今はその回答は見つからない。

 

「そうだったのか…まぁ悪かったな皆。後始末をさせるようなことをしてさ。」

 

「え、怒って…無いの?」

 

エリカが恐る恐る聞き返す。

俺はその行動に首を振って否定を示した。

 

「誉めはすれど責めることなんかするかよ。お前らが五体満足で戻ってきたことが一番大事だしな。それに逃げられたとしても直ぐに見つけられる。(まぁ…俺がUSNAと協力してるってのは秘密にしとかなきゃだがな。)」

 

俺が知らないところである種エリカ達と敵対している?部隊と手を組んでいる事が知れればグーパンだけじゃ済まなさそうだがバレなきゃ犯罪じゃない。

 

そう告げるとエリカ達の表情がいつものように戻ってきたのを確認し暖房で暖まっている教室へ戻ることにした。

その際に達也の表情が普段より申し訳なさそうにしていたのは気のせいだったのだろうか。

 

その日は通常通りの授業を行って昼食を取りながらとりとめの無い会話をしてその日は終わった。

自宅に戻り対抗術式作成のために机に向き合っていた。

そんなところに姉さんがお邪魔し雑談をしながら作業をしていると俺は佐織からの情報に目を疑った。

 

『防諜第三課のスパイ収容施設が襲撃されて捕獲していたパラサイトが三体が死亡。』

 

その一文だけならば俺は怒りを抑えられていたかもしれないが次の添付ファイルを見て俺は自室のロッカーを大きく凹ませるほどだった。

 

その画像添付ファイルにはリーナがシリウスとなって暴れだしているマルテを部隊員が拘束魔法を使用し身動きを取れないところを武装一体型で拳銃にて心臓を撃ち抜いた後にその体が発火していた。

その動画に姉さんは絶句し俺は怒りに満ち溢れていた。

 

「何てことを…!」

 

「くそっ…!」

 

その映像を見て俺はリーナになんてことをさせんだよ…!と久々に頭に血が登った。

送られた情報を確認していたところ突如として大型モニターが暗くなり暗転したかと思えばそこには金髪碧眼…北米人種ではあるが幼く見え俺と近い年頃の少年が映っていた。

突然の事に姉さんは驚いて声を抑えていたが視線で促すと口元に運んだ手を着席している俺の肩へ置いた。

俺は俺で画面に映る軽薄そうな笑みを浮かべる少年を見据える。

 

『ハロー。聞こえているかな?聞こえている前提で話させてもらうけど。』

 

そもそも俺の部屋の通信機器はシステムと切り離されているしこちらを伺い知る術はない。

案の定こちらの返答を待たずに(知る術もないので返答も声も聞こえない為)話を進めていた

 

『まずは自己紹介といこう。僕はレイモンド・セイジ・クラーク「七賢人」の一人だよ。』

 

こいつがリーナが言っていた「七賢人」とやらの一人なのだろうか、と画面に映る陽キャに険しい視線を投げる。

 

そもそもに置いてこいつが俺のワークステーションに割り込んできていることに不快感を覚えた。

 

『君はティア…じゃなかった雫から話を聞いてるよ。宜しくねハチマン。』

 

雫の名前が出たことでこいつが雫にアメリカのパラサイト事件のことを教えてくれた人物らしい。

この陽キャが「七賢人」であるならば詳細な情報提供者であることも頷けるがそんな人物が俺に何のようなのだろうか。

あと凄い馴れ馴れしい、こいつは葉山のような男だと俺の感性がそう告げて仲良くはなれなさそうだ、とそして雫に馴れ馴れしいのがなんかムカついた。

 

『単刀直入に言うよ…うん良い言葉だね。』

 

英語ではなく流暢な日本語で喋っている。

次の言葉でもし会うことが会ったらその端正な顔を吹っ飛ばしてやろうか?と青筋を立てた。

 

『アンジー・シリウスにパラサイトの居場所を教えたのはこの僕だ。』

 

お前の仕業か…。

 

『なぜかこの情報を教える前に”ここ”の場所を知っていたみたいだけど』

 

リーナに防諜第三課の情報は知らせていたが保管していた場所は教えていない。

それは目の前の男だった。

 

その後にレイモンドから”特ダネ”をお近づきの印として目の前の男に嫌悪感を覚えるのが吹き飛んでしまうほどの”特ダネ”であった。

 

『現在ステイツで猛威を振るい日本にも飛び火仕掛けている魔法師排斥運動は七賢人の一人であるジード・セイジ・ヘイグによるものだ。』

 

本当に唐突だったため俺と姉さんは虚を突かれてしまった。

 

『ジード・ヘイグ。またの名を顧傑。国際テロ組織『ブランシュ』総帥。君が捕縛し壊滅させたブランシュ日本支部の司一の親分だよ。』

 

矢継ぎ早に驚くべき情報が振り込まれる。

 

『国際シンジゲート「ノー・ヘッド・ドラゴン」の前首領であるリチャード=孫の兄貴分でもある。』

 

どちらも間接的ではあるが俺がぶっ潰した組織だ。

 

『あ、因にだけど僕と彼は共謀関係にある訳じゃないからね?七賢人というのはフリズスキャルブのアクセス権を手に入れた七人のオペレーターの事だからね。』

 

そんなこと別に聞いちゃおらんのだが…。

それにしてもフリズスキャルブか…なんでも世界中の情報網を全て支配する最強の傍受システム、という眉唾な話だが今この状況を見るとあながち間違いではないのかもしれない。

 

レイモンドがフリズスキャルブや「エシュロンⅢ」の追加拡張パッケージの話をされたがそれよりも次の話が気になった。

 

『ブランシュ日本支部の壊滅とノー・ヘッド・ドラゴンの日本拠点喪失によってヘイグは日本での活動拠点を失っていた…それにかこつけてステイツでのパラサイトを日本へ渡るように仕向けたのもヘイグだ。彼は日本での工作拠点を作ること、そして君を殺すためだ。』

 

俺を殺すときたか。

まぁ自分の庭を勝手に荒らした上に豪邸を燃やしたんだから恨まれるのは当然か。

 

「八くん…?」

 

「大丈夫だよ。」

 

不安そうにしていた姉さんの肩に置いた手に俺の手を重ねて安心させる。

姉さんを一瞥した後に画面を再び見つめると図ったかのように会話を進める。

 

『彼の目的は魔法師を社会的に抹殺すること。そうなれば魔法師の育成に後進的ではあるが軍事的には他国より進んでいる大亜連合は一夜にして軍事バランスの逆転を遂げることになる。魔法師のいない世界で覇権を取りたいヘイグ、それにその背後にいる者達の目的だと、僕は分析している。』

 

それを聞いて俺は失笑した。

魔法は既にこの世界の根幹に関わる”技術”と化しているのでそれを抹殺、排除することは人類終焉の可能性すらあり得る。

 

『それは僕の望むところじゃない。ロマンチストと笑ってくれても良いけど魔法は人類の革新に繋がっている、そう僕は思っているんだ。』

 

「人類の革新ね…まるで旧人類と新人類を見つめる調停者(コーディネーター)のような物言いだな。」

 

間違いない。

俺とこいつは絶対に感性が合わない。

 

『ちょっとばかり長話になってしまったね。要するに今回のパラサイト駆逐に一手手助けしようって訳なんだ。』

 

レイモンドは一旦言葉を切った。

勿体ぶったわけではなく緊張している、というのは画面越しに分かった。

 

『明日の夜。第一高校裏手の野外演習場に全活動中のパラサイトを誘導するから君の仲間と共に殲滅をしてもらいたい。これに関してはタツヤ=シバ、USNAスターズ総隊長アンジー・シリウスにも伝えているよ。』

 

その事を聞いて「余計なことを…」とぼそり呟いた。

 

『協力するも競合するも君達の自由だ。』

 

そう最後に告げて画面が真っ黒になった。

となりで姉さんがふーっ、と大きく息を吐き出していたのを聞いて俺も息を肩の力を抜いて息を吐き出した。

 

「今度が最終決戦…って訳だな。」

 

◆ ◆ ◆

 

「リーナ。」

 

数日振りにあった協力関係に有る美少女留学生の美貌は見る影もないほど窶れていた…いや華やかさがない、と言った方が良い。

 

「八幡…」

 

しおらしいリーナも儚げで美しい雰囲気を醸し出していて新鮮だな、と思い見とれていたのはここだけの話だが彼女がこのような状態になっているのも俺は知っている。

名前を呼ばれて俺はリーナに近づいてそのサファイアブルーの美しい瞳に視線を合わせる。

今にも崩れそうな脆さがあった。

 

「サオリから聞いたわよね?」

 

「ああ。」

 

「匿名で軍への通報があったのよ。『某所へ脱走兵が潜んでいる』ってね。」

 

つまりは命じられて脱走兵を処断させられた、ということだ。

 

「分からないわ…軍の秘匿回線に割り込んで告げ口するなんて。また…一人…。ワタシ…。」

 

「…ほれ。」

 

俺はなにも言えずにリーナの揺れる青い瞳を見ながらいつも通りの俺たちの栄養源ドリンクの缶を投げるしか出来なかった。

リーナがこれ以上人殺しをしなくともすむように最善を尽くそうとしたが一手足りなかった。

危なげなく受け取って先程のしみったれた表情はなくなって呆れるような笑みを浮かべていた。

 

「本当に…ワンパターンなんだから。」

 

「これしか知らねぇし。」

 

少し元気が戻ったのか真面目な顔になった。

 

「…軍の回線に告げ口をしてきた謎の人物から今日の午後、『第一高校裏手の野外演習場に全活動中のパラサイトを誘導するから君の仲間と共に殲滅をしてもらいたい』って貴方のところへも来たわよね?」

 

「ああ。丁寧に地図と日時も添付してきてな。…リーナ」

 

「なに?」

 

「恐らく今回が最後日本でのパラサイト駆逐任務になると思う。俺も出来るだけお前が脱走兵を手に掛けないように心掛けるが無理な場合は諦めてくれ。」

 

「ずいぶんと優しいじゃない…悪いものでも食べた?」

 

不思議そうに疑うような表情を俺へ浮かべた。

俺はくるりと踵を返してその場を立ち去る。

 

泣きそうな女子を放っておく程男子やめちゃいない」

 

「え……へっ???ちょ、ちょっと…!」

 

後ろで息を飲むような音が聞こえたが俺はその場から立ち去った。

これ以上は俺の精神衛生上非常に宜しくない。

 

◆ ◆ ◆

 

レイモンド・クラークによってもたらさせた「パラサイトを今夜第一高校裏手、野外演習場に誘き出す。」という情報を信じたわけじゃなかったが信じる情報がこれ以外、有益な情報がこれしかなかったからである。

それにその情報を信じたのは俺だけではなく達也と深雪率いるいつものメンバーに俺はほのか、ピクシー、リーナを引き連れて校舎裏へ集合していた。

全員は俺が正規の手続きを踏んで夜の学校へ入校し野外演習場へと足を踏み入れた。

 

広い人工の密林を俺達は達也と共に疾走していた。

ほのか、美月は二人をナビゲーターとして配置しその護衛に幹比古を配置している。

 

『八幡さん達止まってください。』

 

片耳に嵌めたフリーハンドの通信機から美月の声が聞こえる。

リンクしている端末に美月の声が全員に届いているはずだ。

 

『現在進行方向の右手三十度の方向にパラサイトのオーラ光が見えます。』

 

『私も確認しました!男性二人に女性二人の四人組です!』

 

美月が捉えたオーラ光をほのかの魔法を使って映像をカメラに取り込み、光学魔法の要領によって得られた映像は真昼間に取られた写真と同じように鮮明な姿をカメラのレンズに送り俺たちの端末に届けてくれる。

この技を使えるのはこの二人がいてくれるからこそだろうと感心するしかなかった。

俺と達也はアイコンタクトをして頷き夜の森を駆ける。

俺にはリーナとピクシーが随伴し達也のところには深雪、エリカ、レオが随伴した。

 

◆ ◆ ◆

 

スターズの総隊長として任務を果たす。

その為に日本に来て様々な出来事…それはステイツに居ては味わうことの出来ない挫折と経験値を得ることになるとは思わなかった。

日本に来るまでリーナは挫折を知らなかったわけではない。

年少士官向けの教育プログラムでは勉学はいまいち、生身の格闘訓練ではどうやっても化け物じみた身体能力を持った少女兵がいたし機械操作は苦手だった。

 

しかし、魔法で負けたことが無かった。

USNA最強の魔法師部隊の総隊長アンジー・シリウス。

世界で最強の魔法師であり皆が私の事を褒め称え自分でも魔法技能において絶対の自信を持っていた。

しかし、ここ日本においてリーナは、七草の養子に敗北した。

学校の授業ではあったもものの二度挑んで敗北した。

一戦目は数で囲い圧倒的な数の差があったのに関わらず特殊な拳法によって組み伏された。

二度目の戦闘は完敗だった。

直接的な戦闘ではなく精神干渉系統の魔法を用いられ”負けた”というヴィジョンを見せられれ拘束、あまつさえ専用装備である【ブリオネイク】を奪われあまつさえそれを自身の上官であるバランス大佐の交渉材料に使われてしまった。

本来であれば殺されていても可笑しくない状態だったのに関わらず紳士な対応をしてくれた。

リーナは初めてだった。

自分を襲った相手を辱しめることもなくあまつさえ私を庇い立てる様なことをバランス大佐と相談し始めたのだから。

敗北は勿論だったけどそれ以前に八幡に言われたことに対して存在意義を揺らがせその地位を崩すには十分すぎる猛毒だった。

 

『お前。軍人向いてねーよ。優しすぎるんだお前は。』

 

その場限りの上っ面の言葉ではなく本心からの言葉。

その言葉がリーナの言葉にスーっと効いていく。

あの日の敗北を八幡が外部に漏らすことはないだろうと、妙な安心感があった。

そして情報部から知らされていない本人から知らされた情報を知ったリーナは絶句し他人に感心を持たない素振りを見せているのに妙なところで気に掛ける好敵手…本人は気がついていないがそれ以上の感情を向けている疾走する八幡の背中を見つめながらそう思った。

 

◆ ◆ ◆

 

「早速かよっ!?」

 

パラサイト達がいると誘導された場所には情報通りにパラサイトの集団がいた。

それは向こうも同じでこちらを視認すると攻撃を仕掛けてくる。

相手は起動式を必要とせず念じるだけで攻撃を行うことが出来るパラサイトに対して多少の劣勢…防戦一方となっていた。

 

特に達也達のグループは面倒な敵と接敵していた。

その能力は疑似瞬間移動。

俺の【次元解放(ディメンジョン・オーバー)】と比べれば随分と遅い移動だが俺以外には突如として死角から現れて攻撃を受ける、という大変に対処が面倒くさい攻撃だった。

助太刀しようとしたが達也が銀色の拳銃型…特化型の銃口を煌めかせると術式が霧散した。

その隙を突いてエリカが打刀ほどの大きさの武装デバイスで動きの止まった吸血鬼の胴を薙いだ。

パラサイトは抵抗を見せてエリカに念動力をぶつけようとしたが達也の魔法によって四肢を撃ち抜かれ地面に伏せる。

その亡骸に対して達也は右手を突きだし心臓部分に想子の塊が到達し身悶える吸血鬼を身やると耳に付けたフリーハンドの通信機で幹比古に指示を出した。

次の瞬間にその亡骸目掛け稲妻が降り注ぎ皮膚と衣服を燃やし尽くし肌に残された焼け跡は規則性のある幾何学模様が浮かんでいた。

 

「これが封印か…うおっ!?」

 

「八幡。ごめん!一人抜けられた!」

 

達也達と対峙していたパラサイトの一人が俺にターゲットを定めて俺は襲いかかる。

パラサイトからの落雷を【解体反応装甲(グラムリアクションアーマー)】で吹き飛ばすと同時に自己加速術式を発動し腰に(今回は帯刀した状態)差した《漆喰丸》を抜刀し四肢を穿つ。

人の技を借りるのは正直申し訳ないと感じたが今回は非常事態だと心の中で謝罪し同じチームだった男の技を借りる。

 

「五臓を裂きて、四肢を断つ!…なんつってな。《九牙太刀》!」

 

再び迫る稲妻を裂いて一刀がパラサイトの四肢を穿ち吹き飛ばし達磨にする。

 

吹き飛ばされたパラサイトを加重系統で地面に縫い付けた後に俺も幹比古に連絡すると先程の稲妻が降り注ぎパラサイトを封印状態にする。

 

「一丁上がり…って本当にエグいわねその剣術…ってさっきの何よ!一度に4ヵ所攻撃する技なんて聞いたことないわ!」

 

エリカが興奮気味に俺に問い詰める。

いや、実際には俺の技じゃないしオリジナルはもっとエグいからな?

そう説明すると「今度聞かせてもらうからね!」と興味津々だった。

 

「ごめん八幡そっちに行った!」

 

俺とエリカが話していると視界の端で雷光がスパークした。

どうやらリーナが殺さないように手加減してパラサイトを倒していたらしいが残っていた仲間に回収されてその場を撤退したらしい。

 

「仕方がない。それにしても随分と集団的に行動を行うようになってきたな。ちっ…面倒くさい。」

 

パラサイトの動きを見てみると最初の頃は統率が取れていないように思えたが今はかなり洗練された集団と化しているのがみて取れた。

さっきの負傷したパラサイトを回収し追撃を受けないように攻撃しながら撤退するのは軍隊じみていた動きをしていたと。

それには達也も同意のようで頷いている。

 

「ほのか。連中の行き先はわかるか?」

 

『はい、そこから北西に向かったところに…あ、他のパラサイトも向かっているみたいです。』

 

「わかった、ありがとうなほのか。」

 

『…っはい!』

 

非常に嬉しそうな声色が通信機越しに伝わりエリカと深雪が俺にジト目と冷たい微笑を向けてくる。

いや普通に褒めただけじゃん…と思ったがその中にリーナのジト目も含まれていた、なんでやねん。

 

「達也行くぞ。乱戦になったら少々面倒だ。」

 

「それには同意だ、合流される前に撃破しよう。」

 

「別れて挟み撃ちにした方がいいかもな。リーナとピクシーを連れて向こうから回る。」

 

「俺は深雪達と共に向こうから回る。」

 

俺たちは頷いて集団となって夜の森を駆けていく。

加速術式を使わなくとも身体技能を用いれば荒れて整地されていない屋外演習場も苦ではない。

が、この場に俺たちとパラサイト以外の”招かれざる客人”が姿を現す。

 

「なんだこいつら…国防軍の連中か?」

 

「敵意は…ないみたいね。でも素直に通してくれそうにないわ。」

 

達也達と別れて夜の森を暫く駆けると茂みの向こうからこちらに対する戦意が襲いかかる。

それらを確認し足を止めると古木の影から、茂みの中から数十人のコンバットナイフと野戦服を着用した男達が次々と姿を現した。

 

俺とリーナはピクシーを囲うように背中合わせで守るように構えると野戦服の男達にいつのまにか囲まれてしまっていた。

これはかなりの時間ロス、だと内心苛立つ。

 

「どうする?」

 

「どうする…って勿論。」

 

俺はお馴染みの”型”を構える。

 

「ぶっ潰して進むだけだ。こいつらが何者なのか聞く必要があるしな。」

 

拳を握りしめた瞬間開戦の狼煙となったのか先鋒の男がコンバットナイフを構えて突っ込んできた。

 

(遅い…!)

 

突き出されるナイフを無造作に右手で払い受け流す。

兵士はこんなにも軽々しく刺突を受け流されるとは思わず顔に驚愕が浮かんでいた。

それは学生にこうも容易く受け流されると思ってもみなかったからだろうかわからないが実戦でそんな隙を一瞬でも見せた場合それは死に繋がるということを理解していない訳ではないだろうが…遅すぎた。

驚愕する兵士の顔目掛け膝が入り吹き飛ばされる。

その兵士を起点として俺は”跳躍”を開始する。

吹き飛ばされた兵士を見て驚いていたようだったが”次も自分がこうなる”と理解したのかナイフを持って四方から襲いかかるのが見て取れた。

気配を探り後ろを探るとリーナはリーナで魔法を用いて敵兵士とやりあっているのが感じ取れたので問題ないだろうと判断し”四方から襲いかかる敵”に対して迎撃を進めた。

そもそもに置いてこの兵士達が俺に対し”複数人で襲いかかる”ということが一番致命的だということを理解していない。

…いや知る筈もないな。

 

「…っ!」

 

敵兵士の一人が息を飲む音が聞こえた。

 

跳躍し着地の隙を突こうとした斜め右の兵士が俺の胴体目掛けナイフを突き込むがそのナイフを握った手の甲を足場にして後ろに回り込み延髄蹴りを喰らわせて無力化して吹っ飛んだその体を足場にしてすぐさまその反対方向にいる兵士の顎を膝で砕き地面へ叩きつけバウンドした。

その場を狙った残る二人の兵士は挟み撃ちの要領で俺へナイフを突き刺すが地面へ叩き伏せバウンドしている兵士を踏みつけ足場にして跳躍するとそれを目で追う二人の兵士。

その隙を俺は見逃さずにその場で宙返りをして後方へ着地し【縮地】を用いて衝突した兵士二名諸とも強化された掌底を背中から叩き込むと喀血するようなくぐもった音を発しながら吹き飛ばされた。

 

「まだやるか?俺、これでも呂剛虎この手でぶっ殺したことあんだけど?」

 

掌底を食らわせた後に面をゆらり、と威圧感を出して視線を野戦服の男達に向けると俺に対して畏怖するような雰囲気を感じ取る。

しかし相手もプロの兵士であるのでこの程度では退いてくれないんだろう。

残る兵士数名が再び襲いかかる。

 

「……。」

 

飛び掛かって来た兵士達を迎え撃つために構えるとそれらの兵士は衝撃と閃光によって吹き飛ばされる。

 

「八幡大丈夫?」

 

その攻撃はリーナの魔法だった。

 

「ああ。そっちはもう終わったのか。」

 

辺りには兵士の死屍累々(死んじゃいない。)が横たわってた。

取り囲んでいた驚異がなくなったことで本来の目的を達成することができそうだ。

 

「リーナ。」

 

「なに?」

 

「日本へ逃げ込んだ脱走兵は後何人だ?」

 

「把握している限りだと後二人よ、誘い込みでこの場所に来ている筈。」

 

「分かった。ピクシー。」

 

『はい。』

 

ピクシーに声を掛けると頷いた。

 

「お前はリーナの援護のためにサイキックの使用を許可する。」

 

『畏まりました。』

 

そうして俺達は集合地点へ向けて駆け出した。

 

◆ ◆ ◆

 

俺が達也の元、即ち集合地点へ到達したときには乱戦、といっても差し支えなかった。

稲妻に突風、氷結に火炎…四属性の魔法が飛び交っていた。

そして地面には先程俺たちが倒した野戦服を着た兵士が事切れていたり重症を負ったりと十名の兵士は全滅していた。

達也に深雪、各々がパラサイト達と戦闘を行っている。

遠くでエリカとレオが先程俺たちが戦っていた野戦服の兵士と戦闘を繰り広げているのが遠くで聞こえる。

どうやら達也達と分断させられたらしい。

 

達也と深雪が相対するパラサイトのその数は”八”。

既に片付けた頭数を入れたとしても先程よりも増えている。

たった”八”人ならば達也達の敵ではない、そう”普通の敵ならば”という枕詞がつくが。

 

単純に殺傷するならばこのメンバーならそう時間は掛からないし容易いだろうが今回はそうは行かない。

殺さずに無力化することと抵抗してきてきているパラサイトが補助道具無しに人間の知覚以上の魔法を展開し攻撃してきているからだ。

 

現にエリカとレオがパラサイトの猛攻に晒されて防戦一方になっておりその援護に達也と深雪が駆り出されていた。その光景を見た俺は《瞳》を黄金色に輝かせ領域干渉を達也達の戦闘空間にのみ絞って発動する。

重く沈み込むような加重系統の領域が発動している超能力へ悉く干渉した。

 

それに続けと達也と俺が魔法と剣術を発動する。

四体のパラサイトは達也の魔法によって貫かれ自爆し、残る四体は俺の雷撃と銀閃によって絶命した。

 

「やべっ!」

 

時は既に遅し。

封印する筈だった憑依された肉体を文字通り殺害してしまったので器より寄生体が溢れ落ちる。

溢れだしたパラサイトは集まり結合し一つの生物となろうとしていた。

 

「なんじゃありゃ…!?」

 

その姿は一つの胴体に九つある蛇を模した頭部を持つ巨大な合成獣。

いやこの日本に生まれたものならば必ず触れるであろう日本神話に登場する有名な大蛇…八又大蛇、に首を一本追加した化け物が俺たちの前へ現れる。

 

俺とリーナ、達也と深雪に襲いかかるが俺たちではなくピクシーに狙いを定め鎌首をもたげ次々と食らいつくそうとしていた。

障壁を展開することを許可していたのは不幸中の幸いか。

 

「八幡、ナニあれ!?」

 

「八幡はあれが見えるのか?」

 

「八幡さんあれは…?」

 

俺の元へリーナと達也、深雪が近づく。

達也の言い方ではなにかが見えているように聞こえる。

 

「ああ。恐らく達也と同じものが見えてると思う…蛇だろ?」

 

「ああ。ピクシーに襲いかかっているのは彼女のなかに眠るピクシーを奪い取るためか?」

 

「その通り…本来なら肉体を封印してこんな化け物がでないようにしてたんだが…作戦が狂った。」

 

「作戦通りに行くことなんか殆どない。柔軟に対応するしかない。」

 

軍属のお前がそう言うと説得力があるな…と思っているとリーナと深雪がパラサイトの化け物に対して魔法を発動し雷撃や加重系統、放出系統魔法を使って攻撃を仕掛けるが決定打を与えられない。

当然だ。

俺たちが使用している魔法は物理的に事象改変をしているので精神的な事象に触れられる魔法は持っていない。

しかし、精神干渉系統魔法…『ルナ・ストライク』ならば或いは…だがそんなものリーナは持っていない…深雪分からないがこの場面で使っていないところを見ると出し惜しみ…していると言うわけでないだろう。

攻撃を続けるリーナと深雪に対して”ソレ”は牙を向いた。

 

「リーナ!」

 

「深雪!」

 

二人を狙うように撒き散らされる魔法の大嵐。

俺と達也は対抗魔法を使用して霧散させる、が如何せん数があまりにも多すぎる。

現に俺と達也だけでは捌ききれずに背後に回ったリーナと深雪も援護に回る羽目になっている。

俺はかなり余裕があるが《瞳》で対象各員のステータスを確認すると深雪や達也、リーナに至っては保有想子量がかなり低下している。

この九頭竜の猛攻がいつまで続くか分からない状況でこれでは精神的にも参ってしまう。

この状況を打開する方法…精神体に直接ダメージを負わせる魔法を使うことだ。

 

(正直…このメンツがいる場所で手の内を明かすのはあんまりやりたくないが…というか正直ぶっつけ本番…)

 

「皆!この状況を俺が打開するから十秒でいい、時間を稼いでくれ。」

 

「八幡?」

 

「策があるんですか?」

 

「八幡!?」

 

達也が迫り来る攻撃を深雪と共に捌きながら驚いたような表情で問いかける。

 

「ああ。だがぶっつけ本番の一発勝負…失敗したら死ぬ。」

 

「なっ!?」「えっ!?」

 

達也と深雪は絶句していたがリーナだけは違っていた。

 

「ワタシは八幡を信じて持たせてあげる…だから必ず成功させて!」

 

そうリーナが告げると達也と深雪もそっと微笑んで時間稼ぎの準備をする。

九頭竜の攻撃が熾烈になる最中俺は状況の打開策の為に【賢者の瞳(ワイズマンサイト)】のもう一つの能力である【未来予知】を発動させる。

打開策が見つからないのなら無数ある選択肢から選び取れば良い。

 

(…視えたっ!!)

 

その未来の選択肢のなかに俺が持つ手札で用いる魔法でパラサイトの化け物を撃退する未来視が現れる。

 

その情報から得られた情報を元に俺は素早く腕部に取り付けたウェアラブルコンピューターと投影式のスクリーンに起動式起こし再構築し葬り去るだけの威力の魔法と組み合わせていく。

凄まじいスピードでキーボードを叩き込むので壊れてしまうのでは?と思ったほどだがそんなことはどうでもいい。

準備が完了し俺は手に持った超特化型CADを起動させ魔法式を展開させる持ちこたえてくれている達也達に声を掛けた。ジャスト十秒、完璧だ。

 

「準備完了…!、いいぞ皆!」

 

その言葉を合図に俺から全員が離れる。

その瞬間に魔法が発動した。

 

次元解放(ディメンジョンオーバー)】が次元の壁を越えられる移動魔法ならば”自分とは異なる場所、異次元にいるパラサイトに対しての”攻撃魔法に転換(オーバーライド)させれば良い、と判断した。

 

その未来視の空想が現実となり俺が再構成し直した対次元干渉魔法【次元転移(ディメンジョンシフト)】は魔法として成立しそして完成した起動式を別の魔法式に組み合わせられるのは世界でも俺しかない。

複雑すぎるその魔法と加重複合系統魔法【結合崩壊(ネクサス・コラプス)】の重粒子ビームと組み合わせる。

 

俺の視線の先には怪しげな光を放つ異世界の魔物。

領域干渉が聞いているため魔法は俺には届かない。

その体を、存在を構成する情報体で構成された魔獣を滅ぼさんとする必殺の一撃が心臓部分に吸い込まれる。

 

系統外・対次元干渉魔法【次元崩壊(ディメンジョン・コラプス・ライザー)】。

 

発動すればその空間ごとを螺を回すように抉り切り取られ原子崩壊させ無に還す技を情報生命体を滅ぼす一撃と成す。

 

その一撃が胴体へ吸い込まれると異次元からの来訪者を絶叫のようなものを上げながら虚空へと還した。

 

「きっつ…。」

 

そう呟くと目の前の物の怪は消え去り崩壊と共に撒き散らされた大量のサイオンその場に広がり少し都心では少し時期外れ”雪”が舞っていた。




補足…封印したパラサイトを持っていったのは原作通り四葉と九島です。
まぁ烈のおじいちゃんは悪用はしないでしょう。

パラサイトの四肢を抉った技は八幡が別世界に飛ばされたときに見て見よう見まねで再現した技なので威力は抑え目です。

あともう一話で来訪者編が終了すると思いますのでよろしくお願いします。
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