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入学式
入学式数時間前の七草家にて
「八くん?手抜いた?」
「ごみいちゃん?」
「お兄様?」
「兄さん?」
「いきなりなんだよ…びびっちゃうでしょ?抜いたって何を?」
入学式当日に俺は姉妹達に囲まれ問い詰められていた。どうやら俺が入試で手を抜いたと思われたらしい。まぁ実際そうなんだが、トップになると全校生徒の前で答辞を読ませられることになるの嫌じゃん?
それが嫌だったので手を抜いたのだ。おや?姉さん?その結果って本人しか知らされないはずじゃ?
「姉さん?」
「私、生徒会長だから」
職権濫用だぞ姉さん…!姉さんがどやぁ…と言わんばかりのドヤ顔を俺に向けている。
なんかムカついたので姉さんの前に立ち、頭に手を置き撫で回す。
「ふえぇ?!八くん?!」
姉さんは俺と結構な身長差があるので姉さんが俺を見上げる形になる。
「そっかー姉さん、仕事で疲れてたんだな。ごめんな姉さんーごめんなー姉さん」ワシャワシャワシャワシャ
姉さんが得意気にしているときに頭を撫で回すと顔を真っ赤にして途端に弱くなるのだ。そういう所は可愛いと思う。どや顔はうざいけど。
存分に撫で回すと姉さんはこちらを顔を真っ赤にして恥ずかしがって涙目になりながらこっちを睨んでいる。
「八くん~」
「俺をあんまり弄らんようにな」
「お姉さまばっかりズルいですわ!お兄様私も!」
「あ!ズルいお姉ちゃんばっかり。僕も!僕も!」
「…小町はいいかな~なんて」
泉美と香澄は姉さんが俺になでまわされているのをみて撫でろと催促し小町は物欲しそうな顔をしていたので髪型が崩れないように撫でてやった。
泉美は満足そうな笑みを浮かべ香澄は「えへへっ」とにこやかな笑みを浮かべており小町は「…もうごみぃちゃんなんだから」と恥ずかしそうに悪態をついていた。
特に泉美、香澄。年齢考えな?君たちもう高校生になる時期でしょ?お兄ちゃんは心配です。
それはさておき俺の妹達が可愛すぎる。
◆
入学式まで時間があったはずなのだが姉さんの付き添いで家を早くに出ることになった。なぜ?学校に着いて姉さんと別れる。姉さんは後ろを振り向き俺に
「八くん?サボっちゃ駄目だからね?おねえちゃんの答辞も見ててね!」
「サボらねぇよ。いってらっしゃい」
「ふふ。いってきまーす」
姉さんは上機嫌で会場の講堂へむかって歩いていった。
◆
入学式まであと数時間
「はぁ…憂鬱だ…」
真由美の付き添いで何故か二時間も早く学校に到着したその少年はベンチに腰掛けそう呟き右手に特徴的な色のコーヒー缶をもち、特徴的なアホ毛をぴょんとはねらせた。顔立ちは非常にととのっていて、特徴的な瞳は伊達メガネをかけているせいか普通に見える。
「ふけっかな…あ、でも姉さんにバレるとやっかいだな…ICカードもらいにいかなきゃならんのよな、受付の人の前で噛んだら黒歴史確定だわ。それにしらんやつと入学式の席が隣になんだよな、ボッチに優しくない。話し掛けられて噛んで「うわなにこいつかんでやんのw」って言われて高校デビュー真っ暗だわ。マッカン飲むか…ん?なんだ?」
現実逃避しようと手にもったマッカンのプルタップを開けて口をつけて飲もうとしたとき少年の耳に男女の言い争う声が入ってくる。
「納得できません!」
「まだ言っているのか?」
二人の男女が講堂の前で言い争っていた。
同じ新入生だろうか?しかしその制服のデザインは微妙だが異なっている。スラックスやスカートの男女の機能性の違いではない。八幡が見てみるとそこには女子生徒の胸には第一高校の八枚の花弁が用いられた校章がついており、男子生徒のにはその校章が付いていなかった。
「何故お兄様が補欠なのですか?入試の成績はお兄様がトップだったではありませんか!本来でしたらわたくしではなくお兄様が新入生総代をお務めになるはずですのに!」
「お前がどこからその結果を入手したのかは置いておいて…魔法科高校なのだからペーパーではなく実技が優先されるのは当然じゃないか。俺の魔法実技はよく知っているだろう?自分じゃ二科生でも、よく合格できたものだと驚いているよ」
「(兄妹、か…?にしては全然似てないな…?妹の方は十師族にも負けずとも劣らないサイオン量だな。にしてもスゲーきれいな顔してんな…兄の方は、二科か。魔法演算領域内にばかでかいのが二つ占めてるな…分からん。一体なんだ?俺の《瞳》でも調べきれないとは)」
八幡の自身の特殊な《瞳》が二人を捉えていた。
しかし、視られていることに気がつかない兄妹は会話を続けていた。
少女が自信のない兄へ叱咤の言葉を投げ掛けていた。
「そんな覇気のないことでどうするのですか!勉強も体術もお兄様に敵うものなどいないと言うのに!本来でしたら魔法も…」
「深雪っ!」
強い言葉でみずからの名前を呼ばれた少女ははっとして口を閉じた。
「…申し訳ございません」
「深雪」
「お兄様…」
「お前が俺のために怒ってくれるのはすごく嬉しいんだ。俺を思って言ってくれたんだろう?」
「お兄様…そんな想っているだなんて…///」
深雪と呼ばれた少女は顔を赤く染めて恥ずかしがっていた。それを見ていた兄と八幡は
「((あれっ?ニュアンスちがくね?)ないか?)」
と思ったそうだ。
深雪と呼ばれた少女はどうやら新入生総代だったらしく答辞のリハーサルのために早く会場に入っていたらしい。ご苦労なこって。あの兄貴はあと2時間も待たせられるのか。まぁ、俺も妹のためなら時間なんぞ惜しくはないな、但し大志、おめーはダメだ。小町達に近づくなよ。なんて妄想に耽っていたら声をかけられた。
「隣いいか?」
「どうぞ」
「俺は司波達也だ。よろしく」
「俺は八幡だ。さっきまで言い合ってたのは恋人か?」
「違う、あれは妹だ。俺と深雪は兄妹だぞ。しかしなぜこんな早い時間に?」
深雪…?どっかで聞いたことあるな。
「あぁ、目が覚めちまってな、マッカン飲みながらボーッとしてただけさ。お前も大変だな。妹の付き添いか?」
「ああ、なぜそれを?」
「さっきのやり取りを見てりゃあな。恋人かよ」
「違う。妹だ」
「分かってるって」
二人は短いやり取りをして喋ることも失くなったのか達也はスクリーン型の端末を出し、八幡は文庫本を取り出し時間を潰した。
八幡が文庫本に目を落としていると目の前を通りすぎていく在校生の声が聞こえてきた。明らかにこちら、いや、八幡の隣にいる生徒に向けて無邪気な悪意が届いた。
「ねぇ、見てあの男の子《ウィード》よ」
「補欠の癖に張り切っちゃって」
「所詮スペアなのにな」
ウィードとは2科生徒を指す言葉だ。
国立魔法大学の付属教育機関である第一高校は魔法技能士育成機関の場だ。
国からの予算が与えられる代わりに一定の成果を出さなければならない。
この学校のノルマは卒業生を100人出すこと。しかし、魔法科高校では事故が付き物だ。実習で、実験で、魔法の使用で「チョッと」だけでは済まない事故へと直結する。
俺らのような年頃や、材…なんだっけいまだに中2病を患っている奴ならさながらアニメのような超人的な力を再現したい、そして自らの才能、可能性にかけて魔法師への道へと突き進む。
しかし、心理的な要因により魔法はすぐさま使えなくなるリスクも孕んでいる。事故のショックで魔法が使用できなくなり少なからず毎年自主退学していく生徒も少なくない。
その穴埋めのための生徒が二科生「ウィード」だ。
一科生との違いは先生が付かない。個別授業ができない。つまりは国の機関で有りながら独学で魔法を学びな!と言われているのが公然の事実で俺的にそれはあまりにもお粗末なのでは?と思う。しかし、実際二科生も自らが代替品《スペア》であると自ら差別していることも問題なのだろうが。制服の校章も学校の発注ミスであることもこの学校に強制的に入学させられたときに調べたのだ。いや、それでいいのか国立高校。仮にも未来の魔法師を育てる高等学校だろうに…。
「…くっだらな」
俺が一言隣にいる司波にも聴こえない音量でボソッと呟くと反応した。
「どうしてそう思う?」
司波は単純に疑問に思い聞き返してきた。
「…?なんだ聴こえてたのか。言葉の通りだよ、この高校に入ってることが既に『優秀』ってことだ、差別することがおかしいんだよ。
他の高校よりどんだけ競争率高いと思ってるんだよ。『魔法』という特殊な力を科学的に解析し起動式を理解し行使する人間が一般的だとでも?違うな。『魔法』を使える人間は一握りなんだよなぁ。まぁ、一科生の俺が言っても説得力はないと思うが、二科生の中にも合格の判定基準が合わなくて仕方なく二科生になったやつもいるだろうし学校という狭い世界なら劣等生として扱われるかも知れんが、実地、実践なら特出してる技能があれば立場が逆転する可能性だって有るわけだ。
まぁ、社会に出たら皆等しく社畜。馬車馬のごとく使われるのが落ちだろ。しかし、魔法師になってまで働かなきゃならんのか…あぁやだやだ」
八幡は心底嫌そうにさらに目を濁らせながら達也へ説明をした。
「お前魔法師ぽくないな。」
達也は仏頂面で変わらない表情であったが俺に対して「面白いなこいつ」と言うような表情を向けられているような感じがして俺は
「やめろよ…気にしてるんだから…」
「改めてよろしくな八幡」
「お、おう?」
司波に差し出され手を握り握手している八幡がいたが彼自身は「俺こんなキャラじゃなかった気がする…」と思いながら目の前にいる少年を見ていた。
◆ ◆ ◆
「よし」「…」
達也は開いていた端末を閉じた。八幡は読んでいた単行本を閉じて懐に仕舞い込む。端末には時刻が表示される。
入学式まではあと三十分。
「新入生ですね?まもなく開場の時間ですよ」
話しかけてきた女子生徒はCADを所持していた。CADを常時所持することができるのは生徒会役員並びに風紀委員だけだ。
達也は二科生ということもあり生徒会等に所属する人間とはあまりお近づきになりたくはなかった。隣にいる八幡も若干ではあるが面倒くさそうにしていた。八幡の場合は人の優劣に関わらず接するのが面倒だと思っていそうであるが。
「関心ですね。スクリーン型と君は…って八くん?お隣にいるのはお友達?おねえちゃん嬉しいわ…」
何故かよよよとポーズをとった姉がいた。達也は訳がわからないといった表情だろうか。姉と名乗った美少女…先輩は持ち直して笑顔で達也を見ている。
その表情には一切の差別がなく、ただ無邪気に好奇心で達也に声をかけてきたのだろう。
「あ、申し遅れました。私は第一高校の生徒会長を務めています、七草真由美です。ななくさ、と書いてさえぐさと読みます。そこにいる弟がお世話になっています。よろしくね」
「俺、いや、自分は司波達也です。ん?七草?弟?八幡お前…」
達也はその言葉に思わず頭をかしげた。
七草家は三姉妹…長女と双子の妹しかいなかった筈だと。
”弟”といわれた隣の少年を思わず見てしまう。
「あぁ…そういや名乗ってなかったか?俺の名字は七草だ。七草八幡」
「そうだったのか…」
驚いているようだ。姉さんも司波の名前を聞いて
「司波達也君。そうあなたが…司波君」
嫌みでも言われるのだろうかと思いきやそれは裏切られた。
「先生方の間であなたたちの噂で持ちきりよ。司波君、君は入学試験、7教科平均、百点満点中九十六点。特に圧巻だったのが魔法理論と魔法工学。当校始まって以来の満点よ?…それに八くんに至っては総代の司波さんとの点数はたった1点差の次席で先生たちからはわざと手を抜いたんじゃないかって疑われていたぐらいなんだから」
そう生徒会長に手放しで称賛され達也は意外だなと思いつつ、八幡はその言葉を聞いて今よりもさらに目を濁らせながら答えた。
「いや、別に手を抜いた訳じゃ…てかそれ部外者に教えるのどうなんだよ生徒会長」
「そんな八くんひどいわ!生徒会長だなんて他人行儀な…お姉ちゃん悲しいわ…」
「今言うのかよ。姉さんめんどくさっ」
「ひどい!」
慣れ親しんだような夫婦漫才を聞きながらすかさず達也が八幡に質問する。
「さては八幡、お前答辞を読みたくなくて…」
「ん、んなわきゃあるか」
「…(深雪に匹敵する魔法力とサイオン量。七草八幡…調べる必要があるな。)」
呆れる表情を浮かべる振りをしている突如として七草家の関係者である少年を見ながら自分達兄妹の敵になるやも知れない男に視線を向ける達也と動揺する八幡の光景を見るなにも知らない真由美は微笑ましいやり取りだと思いクスり、と笑った。
◆ ◆ ◆
生徒会長の微笑ましいものを見る笑顔と達也の無言の圧力から解放され講堂に入ると席はもう既に半数がうまっていた。しかし、前と後ろで《ブルーム》と《ウィード》エンブレムの有無で席はきれいに別れてしまっていた。
「ここもか…」
「仕方がないだろう」
「最も差別意識が強いのは差別を受けている者、か…」
俺的に後ろに座りたかったが目立つのもやだしな。しゃーなし、前に座るとしよう。俺はここで達也と別れ座席へと向かうと座席がちょうど3つ空いているところがあったので真ん中へ座り込むことにした。式が始まるまであと30分。俺は文庫本を出すことができなかったので、睡魔に逆らわずそのまま瞼を閉じ式をキングクリムゾン!することにしようとしたがーーー。
「隣いい?」
していたが一人の少女によってそれは防がれた。よかったなジョルノ。じゃなかったな、俺は声をかけてきた少女に顔を向けた。流石は魔法科、背は女子の平均より少し低く感情が少し乏しそうではあるがミステリアスな雰囲気で身体の一部が
昔の俺なら美少女、女の子に声を掛けられたらキョドってキモい声が出るかもしれんが自分でも驚くぐらい平坦な声が出た。
「…どうぞ」
「ありがとう」
「ありがとうございます」
俺は座っていた席を二人に譲り隣にずれる。美少女二人が連なって着席した。
「私は北山雫。よろしく」
「私は光井ほのかです。よろしくおねがいします」
「比企…いや、七草八幡だ。」
思わず前の名字と「宜しくしなくていい」といいかけたが自重し自己紹介すると雫が八幡に話しかける。
「あなたが七草八幡…入試で次席。私は3位だった」
「なんだいきなり…偶々だよ、偶々」
急に入試の結果を言われたもんだからこいつも選民思想に染まった奴なのかと思ったが光井?だっけがアシストしてきた。
「雫、八幡さんがびっくりしちゃうでしょ?ごめんなさい八幡さん。雫、今までの成績で上に人がいたことがなくて悔しいんですよ。抜かれた人がどんな人なのか気になったみたいで、他意はないんですよ」
なるほど。表情が読み取れないもんだから深読みしちまったな。
「ああ、きにしてねぇよ。たぶん首席様の方がすごいと思うが…上には上がいるもんだぞ北山」
「雫って呼んで」
何故?ホワイ?名前呼び?ボッチにハードル高いことさせないでもらっていいですかね?
「いや、何故に名前呼び?」
「もう知り合いだから」
「いやいや、北山」「雫」
「だから北や」「雫」
「…北y」「雫」
このやり取りついこないだやったな…
どうしちゃったの北山さん。壊れちゃったの?壊れかけのレディオなの?俺が名前を呼ばないとリピートし続けちゃうなこの娘。バイツァダスト使えちゃうの?いつから魔法科高校はスタンド使い育成高校になったの。おれは観念して。
「わかった…雫」
「(o^-^o)」
どうやらご満悦のようだ。
「わ、私もほのかって呼んでください」
ホノータスお前もか…君もちゃっかりしてるね…
「わかった、ほのか」
そう言い終わると雫が俺の脇腹をつねってきた、いたいからやめてね…
寝ようと思ったのに雫たちに起こされ式の前半までは覚えているが後半からは夢の中へと旅立って…という訳にはいかなかった。総代の司波深雪と呼ばれる人物は10人中10人が美人だと答えるぐらいには美少女だった。皆容姿に見とれていて答辞の内容はかなりギリギリで「平等」、「一丸となって」など際どいワードが出ていたがこれに気づいた人はいるんだろうか?姉さんの答辞?もちろん聞いていた。先生の話?知らんな、寝てたけど。
そんなこんなで、式も終わり受付でIDカードを受けとる。俺はAクラスらしい。やっぱりこの学校に通うのか…何てことを思い耽っていたら雫とほのかが俺を見つけて小走りで近づいてきた。
「八幡、クラスは?」
「八幡さん、どこのクラスになりました?」
「ん?Aクラスだったぞ」
「私たちもAクラスだった。改めてよろしくね」
「わぁ!よろしくおねがいします、八幡さん」
お互いに同じクラスであることが分かり、雫たちが俺と一緒にお茶がしたいと言い出していたが、俺は用事があった為そのまま帰宅しようとしているところに声を掛けられた…
「八幡」
達也が交付所から戻ってきており、その後ろには入場したときには居なかったタイプの違う美少女二人を引き連れていた。俺と達也は同じことを思ったらしい。
「「((女誑しめ…))」」と。
達也の後ろにいたショートカットの快活そうな美少女が達也に問いかけた。
「ねぇ、達也君、彼は?」
「あいつは七草八幡」
自己紹介しようとしたら雫が俺の袖を引っ張る。ほのかも気になっているようだ。
「ねぇ八幡、彼は?」
「八幡さん、あの人は?」
「あいつは司波達也。妹のために二時間前に学校に来るような妹思いの兄貴だ」
「「???」」
二人は俺の説明に首をかしげているが俺の持論だと妹を大事にする奴に悪い奴はいない。これマメな。
俺も渋々だが達也の後ろにいる女子生徒に自己紹介を始める。
「七草八幡だ。まぁ、なんだ?よろしく?」
「何で疑問系なのよ?あたしは千葉エリカ!よろしくね八幡!」
なに?名前呼び流行ってるのか?
「で、こっちの娘が…」
エリカに手を引かれ前に出てきたメガネをかけた大人しそうな美少女が俺の前にたつ。俺の目を見て「きれい…」とうっとりしていた。俺の《瞳》のことがばれたか?俺は表情には出さなかったが。
「柴田美月です。よろしくおねがいしますね、八幡さん。八幡さんと司波さんはオーラが似てますね…」
「オーラ?もしかして柴田さんって霊視過敏症?」
俺が問いかけるとうなずいた。平たく言うと霊視過敏症は魔力が形となって目に視えてしまう現象だ。ひどい人だと失明する危険があるらしいが。俺も似たようなもんなので。
「そうか、大変だな。実は俺もなんだよ。(この”瞳”の能力はバレると不味いから掛けてるだけだが。)」
「そうなんですね!よかった…」
「…(俺とオーラが似ている?八幡は七草の人間のはず…一体。)」
美月が仲間が見つかってよかった!と喜んでいると司波は考え込むような仕草を一瞬だけだがして少し身構えていた。いや俺とオーラにてるって言われて俺に攻撃するのやめろよな。
…昔小学生の頃、俺と誕生日が同じってだけでめちゃくちゃ嫌な顔してる同級生いたの思い出した。
てかこの娘も名前呼びか…
「こっちこそよろしく。で、こっちの二人は…」
「北山雫。よろしく」
「光井ほのかです。よろしくおねがいします」
互いに自己紹介をし、交付所の入り口付近に立っていたところ背後から達也の待ち人が現れた。
「お兄様、お待たせいたしました」
達也の待ち人らしき人物が人垣からようやく解放されてこちらへ向かってくるが兄の回りの少女たちを見て気になったのか
「お兄様、そちらの方たちは…?」
「深雪。こちらが柴田美月さん、千葉エリカさん、こちらの方が別クラスで北山雫さん、光井ほのかさんだ。彼は七草八幡だ」
紹介され所作を直し令嬢のように綺麗な動作で挨拶を行った。
「初めまして。私は司波深雪と申します……?」
挨拶をして顔をあげると俺の顔をみてよく観察するためにさらに近付いてきた、うおっ、本当にスゲー綺麗な顔だな…あの…ちかいんすけど。
「申し訳ございません。七草さん…その、あの…何処かでお逢いしましたことがありますよね…?」
整いすぎた顔が俺の眼前まで近づき、いくら女子に少しなれたと言えこれはヤバすぎる。
「い、いや、あんたみたいな綺麗で美人な女の子にあった記憶がない。一度あったら忘れないと思うんだけど…」
俺は少しキョドってしまった。
俺の方が身長が高いので司波妹が俺を見上げる形、つまり上目遣いになるのだが、破壊力が凄まじい。これを無自覚でやっているのだから末恐ろしい…じゃなかった。
「す、すまん離れてくれ」
「…っ、ごめんなさい。はしたない真似を。わたくしのことは深雪とお呼びください。お名前でお呼びしても宜しいでしょうか。」
他人に対しての社交辞令での笑みではなく心からのそんな笑顔でお願いされたら逃げられないじゃねーかよ。てか距離近くね?名前呼び多くね?
断ったところで恐らくは同じことの問答になるだろうし俺の背後にいる”お兄様”とやらの圧がすごいので俺はそれを受け入れざる得なかった。
「…わかった。よろしく深雪。」
「はい♪宜しくお願いします八幡さん」
お互いに挨拶をすませるとそこに姉さんがやってきてきた。
「また会いましたね深雪さん」
生徒会長然としたうちの姉が話しかける。何でも深雪に用事があったらしいが姉さんも空気を読んでかまた明日といっていたのだが後ろの男子生徒が
「会長!用事があったのでは?」
誰だお前は。姉さんがいいって言ってるんだからいいだろう。誰こいつ処す?処す?八幡的にポイント低い!なんて思っていたら
「いいんです、服部君。司波さんにも用事があるでしょうし、こちらの落ち度です。ごめんなさいね司波さん」
「いいえお気に為さらずに。」
にこやかな笑顔で柔らかに返答する司波妹流石だな。うちの妹達にも見習わせたいぞ。
このやり取りの最中俺たちをめっちゃというか二科生を見ている服部と呼ばれた先輩がこちらを睨むように見ている。
こいつも選民思想に囚われた阿呆か…なんか姉さんのこと好きそうだし…お前みたいな男にはやらん。社会的に殺してやろうかな…それか《物質構成》で赤ちゃんまで退化させてやろうか…なんて物騒な事を考えているうちに会話が終了し解散するようだ。
「じゃあな八幡」
「八幡さん、失礼しますね」
皆と別れ帰ろうとするが姉さんに呼び止められた。
「あ、八くん待ってくれる?」
「…?。どうしたの姉さん。これから帰って妹たちの面倒見なきゃ行けないんだけど」
何事かと思い立ち止まると
「そうね泉美ちゃんたちの面倒を…ってもう泉美ちゃんたちはいい年齢でしょう!まったくもう…八くん。仕切り直して、風紀委員に入ってくれないかな?」
「何故?」
どうやらまだ帰宅出来ないらしい。