俺が七草の養子なのは間違っている   作:萩月輝夜

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chapter2:【わたつみシリーズ(九亜という少女達)

時刻を少し遡る。

同じ日時、南盾島空港

 

「お帰りなさいませお嬢様、摩利様。」

 

「ただいま竹内さん。『お客様』は来なかった?」

 

七草家の家人である竹内は首を振った。

 

「いえ、お嬢様。仰っていた『お客様』はいらっしゃいませんでした。」

 

その返答に真由美に焦るような素振りを見せる。

 

「そう…。」

 

「その代わり海軍基地の兵士の二人が押しかけてきました。病院から抜け出した患者を捜索するという名目の元で機内を検分すると仰っていましたので一通り機内を案内した所納得されて帰られました。」

 

その回答に摩利が反応し真由美が答えた。

 

「しかし、その『九亜』という少女は何処へいってしまったんだ?もう捕まってしまったのではないだろうな…。」

 

「それはないと思うわ…いまだに憲兵達がターミナルビをうろうろしていたと思うから未だ捕まっていないと思うけど…。」

 

「お嬢様それにつきましては心当たりがございます。先ほどまで当機と同じ機体が駐機しておりターミナルビルよりでした。その『お客様』が間違えて乗り込んでしまった可能性がございます。」

 

竹内からそう告げられハッとした真由美は素早く指示を出す。

 

「竹内さんそれが何処の飛行機なのか調べてちょうだい!出来るだけ急いで!」

 

「かしこまりました。」

 

真由美の頭からは捜索を手伝ってもらっている弟のことが離れしまっていた、がそれを指摘できる摩利も頭からすっぽりと抜け落ちていた。

 

◆ ◆ ◆

 

「さ、着いたぞ。」

 

「(こくり)」

 

北山家の自家用機に揺られるほど数刻…。

南盾基地から追手を差し向けられることはなく無事平穏なフライトを完遂し別荘へ到着できた。

隣に入る女の子に声を掛けるとこくりと頷いて一緒に立ち上がる。

それとなんでか分からないが離れようとしない。

 

「お兄様。」

 

自家用機から降車すると軍の任務で離れていた達也が此方に向かってきているのが見て取れた。

その姿を見て深雪が駆け寄る。

 

「深雪か、随分と早い帰りだったが…ん?八幡その子は…。」

 

「よっ、達也。随分と早い帰りだな。無事に終わったのか?」

 

「ああ。つい一時間前にな。それより八幡達も予定より早いような…。」

 

「ちょっと向こうで騒ぎがあってな…巻き込まれる前に帰ってきた、ってわけだ。ああ、この子か?七草家のお客人だ。」

 

「「??」」

 

深雪と達也は首を傾げエリカ達も不思議そうな顔を浮かべている。

今説明してやるから待ってろ。

 

別荘の今に集合した俺たちはテーブルを囲んで車座に座る。

助け出した女の子を女子グループのところに座らせようとしたのだが…。

 

「………。」

 

「参ったな…」

 

「このまま八幡のとなりにいた方が良いんじゃない?その子も落ち着いているみたいだし。」

 

エリカがそう言うと全員が納得していた。

俺が視線を向けると女の子も俺を前髪に隠れたきれいな青色の瞳が俺を見て頷いた。

無理に離すのも憚られたのでそのままにすることにした。

結果として俺の左右にエリカとほのかが座りそこから時計回りに…といった感じだ。

 

「なにか…食べるか?」

 

「……(こくり)」

 

女の子は頷いた。

そこから家政婦さんにお願いしテーブル一杯にお菓子とジュースが用意された。

 

「~~~~!」

 

女の子は香ばしくも甘い匂いが鼻腔をつき女の子は前髪に隠れてよく表情が見えないが喜んでいることがよく見える。

エリカが手渡したジュースの入ったコップを受けとり余程美味しかったのだろう、それを勢いよく飲み干した。

俺以外に懐いているのはエリカだった。

 

「あなたの名前は?年は幾つ?」

 

そうエリカが問い掛けると少したどたどしくだが答えてくれた。

 

「…九亜(ここあ)です…年齢は…十四歳です。」

 

「十四歳…!?」

 

驚いた声を上げたのはほのかだった。

 

「もっと幼い子だと思っていました…。」

 

俺たちを代表として美月が答えてくれた。

確かに九亜はその年齢の割りには”幼すぎる”のだ、同年代と比べても発育が小学生、といっても差し支えない程だ。それにこの発達した近代で栄養失調などというのはこの日本ではあり得ない事だからだ。

 

「九亜は海軍基地から逃げてきたって話だったけどあってる。」

 

「基地…の…魔法研究所…からです。」

 

「基地の魔法研究所、ってことだったけど九亜ちゃんは魔法師なの?」

 

九亜はほのかの言う言葉に首を傾げていた。

 

「…魔法師?」

 

「魔法師、ってのは魔法を使える人間の事だ。九亜は魔法師じゃないのか?」

 

「わたし”達”は『わたつみシリーズ』と呼ばれていた…です。」

 

大半の人物が頭に疑問符を浮かべていたが達也と深雪、レオは心当たりがあるようで険しい顔を浮かべている。

 

「『綿摘未』シリーズ…調整体、か。」

 

俺の一言に全員の視線が九亜に突き刺さる。

突き刺さる視線に驚いた九亜は俺の腕にしがみつき隠れる。

俺は落ち着かせるために頭を撫でた、やけにごわついた髪質は下手をすると生まれてこの方人間らしい扱いを受けていないのかもしれない。

 

「それで…九亜は研究所でどんなことをしていたか教えてくれるか?」

 

「時々大きな機械の中に入ってた…です。」

 

「大きな機械?」

 

俺が疑問を浮かべると達也が補足してくれた。

 

「大型CADを使う場合魔法師はただ出力された起動式に沿って魔法式を組み立てるだけ、というケースも難しくない。九亜も自分が何をやらされているか分からないで協力をさせられていたんだろう。」

 

「それじゃあまるで使い潰しの効くパーツみたいじゃないか…!」

 

幹比古がその事に対して怒りを表すのは当然だろう。

まるで消耗品…言い表すならば生体CPUが妥当か。

 

「九亜はどうして研究所を抜け出したの?」

 

「盛永さん…女の人のお医者さんに逃げなさい、と言われたです。」

 

「その人がなぜ逃げろ、って言ったのか分かる?」

 

「『九亜逃げなさい。このまま実験を続けると貴方のように自我が消えた人形のようになってしまう。その前に逃げなさい』…です。」

 

「自我が…消える?」

 

「八幡、そんなことがあり得るの?」

 

「そうだな…。大戦中の技術を復活させたんだろうよ。大規模な…一人では処理しきれない魔法式を起動させるために魔法師を複数人意識下での同調リンク…させた…とそんなところだろうな。しかし(海軍の秘密研究所…奴さんは”戦略級魔法”でも構築でもしようとしてたのかねぇ)…。」

 

「?どうした八幡。」

 

「いや、なんでもない…ただの気のせいだ。さて…。」

 

「無茶苦茶だ…そんなことをして術者の精神が無事でいられる筈がない…。」

 

幹比古の懸念も多いにそうだ、そんなことをして健常な魔法師が耐えられる筈がない。

俺は九亜を見ると見上げてくる。

前髪に隠れた瞳が此方を見つめていた。

 

「助けてほしい…です。」

 

「大丈夫、必ず助け出す。それは九亜お前だけじゃなく”お前の姉妹達も救う”ってことで良いか?」

 

「八幡それは…!」

 

驚愕する達也に肯定した。

 

「ああ。海軍の秘密研究所…そこから実験体を連れ出す、となったら海軍と事を構えることになるのは避けられないだろうな。」

 

「なら…。」

 

「だが、これが俺が七草の家から命じられた仕事だしそもそも、魔法師を使い捨ての道具…機械の部品のように扱うことが俺は気にくわない。」

 

そもそもが俺の矜持に反することだ。

俺の中の心がバチり、と燃え跳ねた。

 

「お前達は関わらなくて良い。これは七草の仕事だしな。」

 

きっぱりと関わることを否定した。

ある意味これは逆賊行為だといっても差し支えないだろう。

ほのか達はある種の一般家系なので巻き込んでしまった場合リカバリーが効かない可能性がある。

俺は十師族の家の者だしな、いくらでもごまかしは効く。…それに俺には”あれ”が有るしな。

 

少しの沈黙の後にほのかから第一声が俺へ届く。

 

「そ、それでも…なんとかしてあげたいです!」

 

怖いのだろう、だがその場の勢いで言ったのではないとほのかの気迫が感じられた。

 

「ほのかが…それより八幡がやるって言うのにやらない選択肢はないよ?」

 

何時ものように表情の起伏が薄いがやる気に満ち溢れている雫。

 

「覚悟を問われちゃ逆に引き下がれないでしょ?」

 

エリカは不敵な笑みを浮かべながら九亜の頭を撫でている。

 

「俺も手を貸すのに一票だ。」

 

レオも何時も通り、怖いもの知らずといった感じだ。

 

「僕も構わないけれど…柴田さんや北山さんや光井さんが危ない目に遭うのは賛成できないよ。」

 

幹比古は参戦を表明したが女子が危険な目に遭うのはダメだと言う。

誰か一人忘れてねぇか?

 

「あら、わたしは構わないですか?」

 

早速深雪の突っ込みが入った。

 

「ええっ!?あ、いやその…。」

 

「いや下手したらこの中で一番強いの深雪じゃねーの?」

 

な・に・か・い・い・い・ま・し・た???

 

全てを凍らせてしまいそうな程の残酷なまでに美しい微笑を浮かべてドン!、という圧が俺へ襲いかかるが目逸らしして受け答えた。

 

「な、なんでもないですーヨ、深雪さん?」

 

その瞬間に室内に笑い声が響いた、先ほどまで暗い雰囲気だったがいい空気の入れ換えになっただろう。

 

「吉田くん。わたしは大丈夫ですから九亜ちゃんの力になって上げてください。」

 

「うん、分かったよ。」

 

「お兄様。わたくし達も九亜ちゃんの力になってあげたい、と思うのですが…。」

 

深雪が達也に問い掛けると即答した。

 

「ああ。俺もその行為を見逃すわけにはいかない。八幡。手助けさせて貰うぞ。」

 

その回答を聞いて俺は鼻で笑ってしまった。

 

「揃いも揃って命知らずだな…まぁ良いか。それじゃあ九亜救出作戦開始すんぞ。」

 

「「「「おー!!」」」」

 

こうして俺は知り合い、友人を巻き込んだ【九亜救出作戦】を決行することにした。

 

◆ ◆ ◆

 

その日の夕方。

九亜達は露天風呂…なのだが少々ローマ風のデザインの浴場(海が一望できるオーシャンビューな露天風呂)で女子一同は湯浴みをしていた。

当然ながら外界から盗撮されないように認識阻害の魔法が掛けられているので全裸で浴場の縁にたっても問題ないがそんなことをするものはいない筈だ。

 

浴場にはティーンエイジャの黄色い華やかな声が木霊する。

特に黄色い声が集中していたのがシャワーブースで九亜はお姉さん達におもちゃにされていた。

 

「九亜ちゃんどう?」

 

九亜はほのかに髪を洗われており泡まみれになっていた。

と、そこにエリカがエントリーし追加のシャンプーを投下し白いアフロが出来上がっていた。

 

「あ~ちょっとエリカったら…。」

 

「あはははっ。」

 

「泡まみれになっちゃったじゃないの。」

 

「この方がたくさん泡立つでしょう?ほら泡泡~、どう?気持ちいいでしょ?」

 

「ちょっと泡立ちさせすぎだって!」

 

やいのやいの良いながら九亜は洗われ成すがままになっていた。

その光景を身を清めながら見守る深雪、そしてその会話を先に体を洗って入浴し聞いている美月、雫がいた。

 

「ふふふ。楽しそう。」

 

その会話を聞いて湯に沈んでいた左腕をあげて口元に持っていく素振りを見せる美月、その動作に”あれ”が揺れてその瞬間雫に電流走る。

 

「…っ!………。(やっぱり八幡って大きい方が好きなのかな…八幡の周りにいる子って全員大きい子が多いし…。)」

 

ぺたぺた、と自分の”アレ”を触る雫、どうあがいてもほのかや美月のような”アレ”にはならないことに愕然としたが八幡が自分がくっつくと顔を赤くしていたことを思い出した。

 

(さすがにほのかレベルは無理だけどエリカぐらいなら…。好きな人に揉まれたら大きくなる、ってのは本当なのかな…?)

 

そう思い雫は自分の胸囲を湯のなかで弄り始めた。

 

「じゃあ九亜ちゃんそろそろ泡を洗い流すから前屈みになって?」

 

洗髪が完了し泡を洗い流すタイミングになり九亜に声を掛けるほのか。

しかし彼女は不思議そうな表情を浮かべている。

 

「ほのか、この泡はなんです?」

 

「?シャンプーよ。九亜ちゃんはシャンプー知らない?」

 

「知らない、です。お湯の水槽も、始めてみました。」

 

「お湯の水槽?」

 

九亜の言う言葉にほのかは引っ掛かりを覚えていた。

 

「九亜ちゃんは…お風呂に入ったことないの?」

 

泡を洗い流され水気を吸った前髪をごしごし、と掻き分け視界を確保する。

肯定を告げる返事をした。その答えはこの浴場にいるもの全員を驚かせる、愕然とさせた。

 

「はい、です。何時もは消毒槽に浸かっていたので。」

 

「……。」「……。」

 

「?」

 

その答えを聞いてほのかは九亜の後ろに回り込み前髪を掻き上げた。

鏡台には幼い顔立ちの少女が映っていた。

 

「じゃあ今まで入らなかった分お風呂を楽しまなくっちゃだね。お風呂はね?女の子にとってはただ体を洗うだけじゃなくてキレイになって大切な人とかに自分を見せる準備する大切な場所なんだよ?」

 

「キレイになって大切な人に見せる準備する大切な場所…?」

 

「うん。今日から九亜ちゃんを徹底的に磨き上げて上げるからね。」

 

「…///」

 

九亜は少し気恥ずかしくなり頬を赤く染めた。

彼女の脳内にほのかから言われた『大切な人に見せる』という言葉に自分の手を取ってくれた少年のことを思い出して妙に恥ずかしくなり視線を地面へ向けた。

 

◆ ◆ ◆

 

時は同じく西太平洋海上USNA原子力潜水艦【ニューメキシコ】甲板

一機のステルスV-TOLがニューメキシコの滑走路へ着陸した。

 

キャノピーが開かれ一人のスラストスーツを着用した兵士が現れそれを出迎えるのは屈強な肉体持った三十代男性とこのニューメキシコの艦長らしき人物が出迎えた。

 

同潜水艦作戦所。

その室内に制服姿のUSNA兵士が集められた。

その三人の兵士の前に先ほどV-TOLから降りたスラストスーツを着た人物がメットを取った。

腰以上まである煌びやかな金髪を揺らしているリーナ、いやここではアンジー・シリウスが姿を現した。

姿を現し彼女よりも年上の兵士が敬礼を行った。

 

「参謀本部の指令を伝えます。」

 

兵士達の顔にそれぞれの感情が走った。

 

「日本軍の南盾島にある海軍基地施設内部にある魔法研究所…その研究データ、実験機器全てを含めて”完全破壊せよ”との命令です。」

 

ブラウンの髪色の男性が質問する。

 

「参謀本部はステイツにとって驚異となる魔法が開発されている、と判断を下したわけですね?」

 

「”世界”にとって、です。」

 

リーナは強い言葉で訂正した。

 

「当該当研究所で開発されている魔法は地球周囲にある隕石群を引き寄せ落下させる戦略級魔法。その質量にもよりますが軍隊、いや一国を滅ぼしかねない極めて危険な可能性がある魔法です。」

 

赤い髪の兵士がリーナに質問をした。

 

「総隊長殿。研究資料を完全に破壊せよ、との通達でしたがそれは研究員の脳の中、も破壊対象に含まれている、ってことで良いんですかね?」

 

自分のこめかみをとんとん、と突っつくその仕草にリーナは眉をひそめる。

 

「…命令は研究資料の完全破壊です。それ以上のことは聞いてません。」

 

リーナがそう告げる狂ったように喜んだ。

 

「ヒャハッ!ということは判断は現場に任されるってことで良いんですかねぇ!?」

 

その反応に釘刺した。

 

「ラルフ、現場の判断は上官であるわたしか、総隊長殿が判断を下す。」

 

そう言われて興が覚めたのか大人しくなったラルフ。

 

「分かっておりますよ隊長。勝手な真似は致しませんので。」

 

「…よろしい。では作戦を詰めましょう。」

 

潜水艦内部の液晶画面に作戦概要が提示される。

 

「作戦開始は現時点から27時間後水陸両用強襲挺を用いて私とハーディーで強襲を掛けます。具体的には南盾島東岸の防衛陣地を私の魔法で破壊。ハーディーはその援護、その隙にベンとラルフは島の北東でスラストスーツで上陸し研究所内部に突入、資料と機器を破壊した上で研究所を破壊してください。」

 

画面から目を離して正面を向き直るリーナ。

 

「ただし、作戦遂行が困難になった場合直ぐ様撤退して貰っても構いません。第二段階として私が【ヘヴィ・メタル・バースト】で基地を吹き飛ばします」

 

その作戦にハーディーと呼ばれた黒髪の男性が驚愕する。

 

「戦略級魔法の使用許可が下りたのですか!?」

 

「ええ。参謀本部は其程までに今回判明した脅威を重大なものと見ていると言うことです。」

 

「ステイツは世界の脅威になる戦略級魔法が新たに産み出されるのを許容しない、それを日本の軍人も理解すべきなのだ。」

 

「そう言うことです。」

 

ベンの回答にリーナは満足したように頷いた。

 

「幸い南盾島は全島軍事施設ですが日没後は民間人は退去する、という報告を受けています。犠牲は最小限に抑えられる筈です。」

 

液晶を見ながらリーナは『任務とはいえ必要な犠牲』と割りきったリーナは液晶を見てからくるり、と首を三名の隊員へ向ける。

 

「それでは各員、作戦に備えてください。」

 

狭い潜水艦内部ではあったが陸軍方式の敬礼で任務を承諾した。

 

◆ ◆ ◆

 

当日その日の夜。

 

女性陣が湯浴みを終えて時刻は十九時。

そろそろ夕食頃だと降りてきた男性陣が配膳の準備をしている…が雫達の他に足りないのが数名…

 

「あれ、エリカ達は?」

 

「大事なことを頼んでいるの。」

 

「大事なことぉ…?」

 

俺が怪訝な顔を見せると雫が笑みを見せる。

 

「ふふ、じつは…」

 

「あ…!」

 

その事を答えようとしたが美月が俺たちの後ろに視線を向け何かに気がつき声を上げた。

声につられて俺を含めた男性陣が振り返るとそこにはー。

 

「「「おおっ」」」

 

「おお…。」

 

思わず現れた人物に俺は「見違えたな…」という第一感想を浮かべた。

 

「………///」

 

足元は赤いソフトシューズに膝上下まであるドレスのような純白のナイトローブを身に纏い湯浴み前までは前髪が隠れていたが今は眉と同じ位まで切り揃えられ背中に広がる黒髪は生き返ったように艶やかになっている。

チープな言葉で表すならば「お人形さんみたい」というのが妥当だろうか?

見た目は小学生中学年ではあるが実年齢は中学生であるのでその見た目と実年齢に脳が誤認しそうであったが良くも悪くも”似合っていた”九亜が姿を現した。

 

「とっても素敵よ九亜ちゃん。」

 

その姿を見た美月はきゃ~!と言わんばかりに喜色を見せている。

 

「…っ~!……////」

 

俺と目があって大慌てで俺から目を逸らした九亜は近くにいたほのかに助けを求めていたが…何か不味いことでもした、ジロジロ見すぎたか?と思ったら九亜が俺に近づいてきた。

このままでは俺が見下ろす形になってしまうので少し背を屈める。

 

「どうした?」

 

「その…ほのかが言ってました。お風呂はただ体を洗うだけじゃなくてキレイになって大切な人とかに自分を見せる準備する大切な場所なんだよ?って…どう、ですか?」

 

その言葉にエリカ達がニヤニヤしていた。

 

「ほほう~?八幡ってば罪な男ね~。九亜にも好かれちゃうなんて。」

 

「姿見だけ見ると親子のように見えるな。」

 

達也が余計なことを言ったので深雪とほのかがジト目で俺を見ていた。俺が悪いのかこれ?てか親子って…せめて兄妹って言ってくれる?

 

「………。」

 

九亜は俺をじっと見つめ…途中で視線をはずして頬を紅くしながら待っていた。

…仕方ない、問いかけを無視するわけには行かずに対応することにしよう。

 

「すごく良く似合ってるぞ九亜。お姫様みたいだ。」

 

「……////」

 

そう告げると恥ずかしそうにしながら俺の服の袖を掴んできた。

取り敢えずは九亜が満足の行く返答だったらしくて一安心し妹達にやる何時もの癖で頭を撫でていた。

 

「……♪」

 

「八幡って…もしかしてロリコン?」

 

エリカの一言に全員が苦笑していた。

まぁ全員が全員冗談だと分かっていたんだろうが…ほのかが面白いくらい狼狽していたので訂正させた貰った。

 

「バカ言え。俺が九亜に向けてるのは親愛の情だっつーの…あと面白がってほのかをからかうなよエリカ…。」

 

「あははー。ごめんごめん。」

 

「…ったくよぉ…。」

 

「……♪」

 

そう言いながら俺は九亜の頭を撫でると嬉しそうにして俺との距離が近い。

随分と懐かれたもんだな、と思ったが今のところ不都合はないからこのままで良いか。

次の瞬間。

 

ぎゅ~~~。

 

「……///」

 

腹の虫が可愛らしく鳴り響いた、と思ったら俺の手の位置が下がった。

どうもこの可愛らしい腹の音は九亜が発生源だったらしい。

 

「服のサイズもピッタリで良かった、じゃあ夕食にしようか。」

 

「だね。」

 

雫の問いかけに九亜が頷くがキョロキョロと辺りを見渡す。

 

「どうしたの?」

 

「七草真由美さんはどこに…いるです?」

 

「「「え?」」」「ん?」

 

女性陣三名と俺の声が重なった。

エリカが俺を見て問い掛ける。

 

「七草真由美…ってあの七草先輩?」

 

その問いに俺は頷いて九亜に再び視線を向ける。

 

「九亜。ここには真由美…姉さんはいないけど弟の俺がいるから大丈夫。」

 

俺が姉さんの義弟ということを伝えると安心していた。

 

「八幡さんは…七草真由美さんの…弟ですか?」

 

「ああ、そうだよ。」

 

「そうだったですか…盛永さんが『七草真由美さんに助けて貰いなさい』と言ってた、です。あの飛行機は真由美さんの飛行機では…なかった…です?」

 

そう不思議そうに問い掛ける九亜にレオが「そう言えば…」と思い出したかのように呟いた。

 

「そう言えば空港の滑走路の近く…100メートルすぐ近くに同型のティルトローター機が止まってたな。」

 

それを聞いて俺も思い出した。

 

「そういや実家のティルトローター機あったな…ってやばっ!姉さんに保護したこと伝えてねぇ…。」

 

「ちょっと!そう言うことは早く言いなさいよ!」

 

「八幡はともかく無茶言うな!」

 

「俺は九亜助け出したことで完璧に忘れてたわ…。」

 

エリカに無慈悲?にしかられたレオが反発してたが俺の場合は完全にやらかしだ。

 

美月が確認のため問い掛ける。

 

「つまりはレオくんや八幡さんが見た自家用機が七草先輩のお家のものだった、ってことですか?」

 

「たぶんそうなんだろうね。でもどうして南盾島に?」

 

「卒業旅行で出掛ける、とは聞いてたからな。」

 

そう答えると全員が納得してた

 

「八幡さん。先輩も行き違いになって心配されている、と思いますのでご連絡をした方が宜しいと思いますので食事の後にでも。どうでしょう?」

 

「そうだな…深雪の言うとおりこっちで保護したことを伝えないとな…。」

 

端末を確認してもさっきの捜索協力と「見つかった?」とのメールが合わせて二件しか来ていないので姉さんも気がきでないのか来ていない。

…後で怒られそうだがその時の俺に任せることにしよう。

 

「皆様。」

 

その考えに耽っているとキッチンへ続く食堂の入り口から黒沢女史の声聞こえて振り返ると良い匂いが漂う。

その手にキッチンミトンを装着し海鮮類が炊き込まれたパエリアが入った鉄鍋を持っていた。

 

「おー!旨そう!」

 

レオの第一声に全員が同意し雰囲気は夕食モードへ移行した。

ぞろぞろ、とそれぞれ食堂の座席に着席する深雪達に続くように俺は九亜の手を取って座った。

九亜に取り分けてやったり口を拭うなどしていたらエリカにまたからかわれた。ほんとに止めろお前…。

そんなこんなで和気藹々として全員で黒沢女史手作りの料理に舌鼓をうった。

その後達也に「明日早朝に国防軍基地に行って準備をしてくる」と言われた。

…軍の装備を私用に使うのは良いのだろうか?

 

◆ ◆ ◆

 

夜の静謐さに打ち寄せる小波の音が耳に入る。

一人で考え事をするにはもってこいのロケーションだった。

 

「八幡さん。」

 

屋外デッキで長椅子にもたれ込んでいると声を掛けられた。

その声の方向を向くと深雪が立っていた。

 

「ああ、深雪か…どうした?」

 

「少しお邪魔して宜しいでしょうか?」

 

「どうぞ?」

 

「失礼します。」

 

深雪は俺のとなりに着席した。

俺と深雪は喋らない、いや話しかけるタイミングを見計らっているといった方が言いかもしれないが潮騒が中和してくれているのが幸いか。

辛い沈黙ではなかったが破って口を開いたのは深雪からだった。

 

「八幡さんはどうして九亜ちゃんを助けようと思ったのですか?下手すれば十師族である七草が睨まれる可能性がありますのに…九亜ちゃんに特別な感情でも抱かれたのですか?」

 

少し深雪が不満げにしているように見えたが気のせいだろうが…誤解は解いておかないとな。

 

「特別な感情、って九亜は保護対象なだけで特にはないんだが。」

 

「ですけれど…。」

 

俺の回答に納得が行かないらしい、どう説明したら良いもんか。

 

「…九亜が昔の小町に少しだけ似てる、って言うのも確かにあるかもしれない。」

 

ぼそり、呟くと深雪がハッとしていた。

 

「っ…ごめんなさい八幡さん。わたし、配慮が足りていませんでした。」

 

「いや、気にすんな。それに今回の九亜達魔法師を使った実験、って言うのが俺は気にくわない。俺が教えられたポリシーに反する。」

 

これだけは譲れない、魔法師としての俺の矜持。

 

「ポリシー、ですか?」

 

「ああ。」

 

リーナにも語った俺の言葉ではないが俺の根幹に根付いた言葉を深雪に告げた。

 

「『私(俺)たち魔法師は戦争や政治闘争の為の道具じゃない。確かに兵器として産み出されてきたが心まで機械になった訳じゃない。信念を持って、自分で考え必死に生きて涙を、血を流して好きな奴を好きになって恋をして老いてしわしわの顔で笑顔で死んでいく人間なんだ』」

 

「そう、ですか…。」

 

「どうした…?」

 

「あ、いえなんでもありません。…すごくいい言葉ですね。」

 

「うちの婆ちゃんからの受け売りだけどな。…それだけに今回の実験は魔法師にとっては無視できないある種の人権侵害だしそんなことに九亜達を利用する奴らを俺は許さない。」

 

「八幡さん。」

 

そう告げると深雪が俺の手にそっと手を重ねる。

 

「大丈夫だ。別に荒ぶって殺気を飛ばしたりしてない。」

 

「そう言うわけではありません。八幡さんはお優しいですから。」

 

「優しい?俺は他人のために怒ってるんじゃない。俺のーー、」

 

「『為で精神衛生上宜しくないから』、ですよね?」

 

俺が普段からいっている台詞を深雪に取られなんとも×の悪い表情を浮かべていると深雪がにこり、とこっちを見て微笑んでいた。こっちの感情は筒抜け、ってことか。

妙に恥ずかしくなってしまったので話題を変える。

 

「それに今回の九亜達を使用した非人道的な実験に関してはうちの父親を通して十師族に伝えてあるんだわ。」

 

「八幡さんのお父様が…?」

 

九亜が研究所、保護し経緯を確認した後、詰まりは深雪たちが湯浴みをしているときに報告をしていた。

 

「俺の報告に思わず父さんも青筋たてて引きついてた。よっぽどだなありゃ。その事実確認の為に十文字先輩が南盾島への訪問に来るらしい、ってことなんだが春休み…いくら十師族の十文字家代理、とはいえ休みのところに来て貰うのはなんか申し訳なさ過ぎる。」

 

「十文字先輩も承知だと思いますよ?それを言うならば今回七草先輩も九亜ちゃんの捜索に加わっておりますし…。」

 

「まぁ…そうなんだけどさ。」

 

「それを言うなら八幡さんが一番九亜ちゃん達を救出に尽力されているではないですか。」

 

深雪の説得に熱が籠っていた。

 

「いや、それを言うなら俺だけじゃなくて全員じゃね?」

 

「ともかくですね!八幡さんは凄いんです!」

 

ズイッと俺に顔を近づける深雪。

月明かりに照らされ深雪の本来の白い肌がより白く見えた。

てか、近い…!

 

「あの、深雪さん?ちょっと離れてくれると助かるんですがね…?」

 

「へっ…!?あ、ごめんなさい……。」

 

「あの、深雪さん…?」

 

俺に指摘されてようやく気がついたのか離れようとした素振りを見せるが俺を見つめている。

次の瞬間には頬を膨らませるように”あの事について”突っつかれた。

 

「私、未だに空港でリーナにその…”キス”と告白をされていたことについて納得してませんからね?」

 

「…だからあれは事故だって言っただろ。そもそもリーナが俺のことを…。」

 

「”好きになる筈がない”は無しでお願いします。」

 

にっこりと言おうとした言葉を先回りで潰された、なんなの深雪さんやエスパーなの?

 

「えぇ…?」

 

「分かりやすすぎるんです。そもそも八幡さんは既に私を含めてどれ程の女の子から好意を向けられていると思っているんですか?八幡さんの優しさとその存在に心惹かれない女の子はいないんですよ?深い関わりを持つものは尚更です。そもそもリーナが来てからあの三ヶ月間ずっと彼女の面倒を見ていましたよね?何故です?」

 

「それは……悪いが言えない。」

 

俺がリーナと一緒にいた理由がUSNAの総隊長で『吸血鬼事件』を追ってた、とは言えないのできっぱりと告げる。

俺の断言に困ったような笑みを浮かべる深雪。

 

「八幡さんもお家のご事情がある、ということは存じておりますが…」

 

「あ、おい深雪…そんなにくっついたら。てか、離れ、」

 

言葉を区切った、と思ったら深雪が俺に密着し腕に抱きつくように身を寄せた。

柔らかい部分が体に当たって深雪自身の体臭と洗剤の良い香りが鼻腔を擽る。

 

「ダメです、離しません。」

 

「判断が早い…!?」

 

「このままでいさせていただきましたら…私の溜飲も少しは下がると思いますので。」

 

つまりは”リーナの件は一旦不問にしてやるからこのままでいさせろ”と暗に言っているのだ。

 

「わーったよ…でもそろそろ夜風が寒くなって体が冷えるから…少しの間だけにしてくれよ。」

 

保温魔法を使えばそれまでだが咄嗟にそんな言葉が出るのは俺自身深雪から抱きつかれたことに惜しい、と思っているからだろうか…?

 

「はい♪ほのか達に見つかると面倒なことになりそうですので私だけで楽しませて貰います。」

 

結局俺は、というか俺達は帰ってこないので探しに来たエリカに見つかり怒られた。

何故か俺だけだったのは解せぬ…!

 

◆ ◆ ◆

 

翌日3月30日。

 

「良かった、八くんが見つけてくれてたのね…でも見つけたのならすぐに教えてくれても良いんじゃない?」

 

「色々あったんだよ姉さん。九亜に研究所の事について聞いたりするために落ち着かせたりしてたから。」

 

「ともかくその女の子が見つかって良かったな真由美。八幡くんもご苦労だったな。」

 

「いえ、それより春休みだったのに先輩も七草家の案件に巻き込んですみません。」

 

「気にするな、慣れているからな。」

 

七草の自家用機が俺からの連絡を受けてヘリポートへ着陸したのを自室から確認して向かうと姉さんと渡辺先輩がタラップから降りてきたのを確認して近づいた。

姉さんからは報告が遅れたことについてお小言をいただいたが渡辺先輩のフォローが俺を擁護するものだったので姉さんもバツが悪そうにしていた。

 

「八幡さんっ」

 

姉さんを連れて別荘のリビングへ案内すると全員が集合しており九亜が俺を見て駆け寄って俺の手をつかむ。

遅れて姉さん達が入室し視線を合わせるように少ししゃがみこむと九亜は一度俺の方を見たので視線で「大丈夫」と伝えると理解してくれたのか落ち着いて姉さんの方を見た。

 

「貴女が綿摘未九亜ちゃん?」

 

そう問いかけられて九亜は自己紹介をしていた。

 

「『わたつみ』シリーズ製造ナンバー22、個体名『九亜』です。貴女が七草真由美さんですか?」

 

「ええ、そうよ。昨日は助けに行けなくて御免なさい。」

 

そう謝罪する姉さんに九亜は首を振った。

 

「ううん、大丈夫、です。昨日は八幡さんが助けてくれましたので。」

 

肯定されたことに姉さんは安堵の表情を浮かべていた。

その後美月からどういった関係なのかを問われて姉さんが答えていたが助けを求めた彼女達の主治医である盛永、という女性がどうも父さんの知り合いらしく海軍の秘密魔法実験に従事していたのだが彼女達の余りの扱いの酷さに堪えかねて保護を求めてきた、と言うことらしい。

 

「じゃあお姉ちゃんと一緒に東京に帰りましょうか?」

 

「あの、その…。」

 

「?どうしたの。」

 

良い淀み俺を見る九亜。

事情を俺から説明することにした。

 

「あー…、姉さんその事で少し相談が有るんだけど。」

 

「すごく嫌な予感しか無いんだけど…?」

 

「九亜だけじゃなくてここにいる俺以外の全員を自家用機に乗せて東京に連れ帰ってくれない?」

 

「「「「「「「!?!?!?!?」」」」」」」

 

俺が一人でいた時に考えていた想いを告げると全員が驚愕していた。

 

「ちょっと八幡…!」

 

俺は有無を言わさずに矢継ぎ早に雫にお願いをした。

 

「それから雫、お前の家の自家用機を少しの間貸してくれないか?」

 

「どうするつもりなの?」

 

「九亜と同じ境遇の子達八名、並びに盛永女史の救出に使わせてもらいたいんだ。盛永女史は恐らく今回九亜を逃がしたことがばれて監禁されているだろうからな。」

 

「八くん、まさか一人で助け出すつもりなの!?」

 

姉さんが驚くようなリアクションをとっている。

もとより俺一人で海軍の秘密基地を制圧するつもりだったので複数人は目立ちすぎる。

それにいざとなれば九亜達を飛行機に乗せるまでの護衛と運転は《グレイプニル》に任せて脱出をさせるつもりだったからな。

 

「ああ。それに今回父さんからの”承諾”も貰ってるし。」

 

「…ふぅ。わかったわ八くん。」

 

「真由美!」

 

渡辺先輩がなにか言いたそうだったが姉さんが制止する。

 

「私たちのお仕事は九亜ちゃんを東京へ送り届けることなのよ。それ以上は私たちが出る幕じゃない。それに父…七草弘一が八幡に”仕事”を依頼した、ということはそういうことなのよ。」

 

「あたしじゃ足手まとい、ということか?」

 

語気が強くなるが姉さんが首を振って否定する。

 

「違うわ摩利。八くんが果たすべき”相手”が違う、ということなのよ。」

 

そういって俺を見る姉さんに頷く。

そのリアクションを見た渡辺先輩は説得は不可能だな、といった感じでため息を吐いた。

 

「…わかった、八幡くん十分に気を付けてくれ。」

 

「研究所にいる一般兵士に負けると思ってます?」

 

茶化すように言うと渡辺先輩は

 

「呂剛虎に勝った君が言うと説得力満点だな…ってそう言うことじゃない。」

 

「分かってます。先輩達もお気を付けて。九亜、姉さん達の言うことを聞くんだぞ?」

 

「はい、分かりました八幡さん。」

 

膝を着いて九亜の頭を撫でるとこくり、と頷いた。

 

これで取り敢えず大丈夫か、と思ったところに遮る声があった。

 

「あたしは足手まといになんかならないわよ?それに九亜達を助け出すなら人手がいるでしょ?」

 

「確かに人手がいるよな、俺も残らせて貰うぜ。」

 

「お前らなら絶対にそう言うと思ったよ…。」

 

「「当然」」

 

にやにや、と笑みを浮かべているレオとエリカ。

 

「悪いが俺も協力させて貰うぞ八幡。仮にも相手は軍事拠点の一つなんだお前一人では荷が重いだろうしな。」

 

「それなら私も協力させていただきます八幡さん、雫の家の自家用機にてお留守番する者が必要だと思いますので。」

 

司波兄妹が名乗りをあげた。

 

「僕も残るよ。」

 

幹比古も名乗りをあげ基本的に戦闘が出来る人物がこの場に残ったことになる。

 

「それなら、深雪と幹比古で機内の留守番を任せたい。」

 

「畏まりました♪」

 

「任せてくれ。」

 

拳と拳がぶつかり合う音がレオから聞こえる。

 

「よっしゃ!とんだ春休みになりそうだ。」

 

「全くだわ。」

 

そうはいうもののエリカは非常に楽しそうである、このおてんば娘め…。

俺はそれらの光景を見てため息を吐く。

 

「達也はともかくとして…暴れないでくれよお前達…。」

 

こうして俺と姉さん達は分かれて『九亜救出作戦』が開始された。

 

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