…いやほんとビックリなんですけど。原作と八幡様様ですわ。
続きをどうぞ(続くとはいってない。)
※感想を頂いてあーちゃんだけ名前よびの先輩だったのに気がつきました。
あずさ先輩から中条先輩へ修正しています。申し訳ない。
「風紀委員に入ってくれないかな?」
「…?なんで?」
「いきなり言われてもびっくりしちゃうよね。生徒会室で話すわ。付いてきて」
理由は講堂前で話すことではないらしい。俺は皆に別れを告げ、姉さんに連れられて場所を生徒会室に移動した。
生徒会室につくと入り口付近には電子ロックが設けられており警備は厳重になっている。
姉さんがカードキーを翳すと「ピリリッ」と電子音がなり扉が解錠された。
中に入ると整理が行き届いた最新設備のある近代的な部屋だった。
「で、何で俺が風紀委員会に入ることになったんだ?こういう面倒なの嫌いなの解ってるだろう?」
部屋に入り問題の件を話し始める姉さん。
「友達の渡辺摩利って言う子にね、あなたのことを話したら興味を持っちゃって。入試も八くん次席じゃない?それに魔法力も体術も勝てる子いないじゃない。それに対抗魔法も使えるし。だからね生徒会推薦枠で入れちゃった」
対抗魔法…『
「ちなみに拒否権は?」
「ないわ!」
このどや顔である。いつも通りのワシャワシャを敢行する。
「ね・え・さ・ん?」
「んんっ!ひゃあ!八くん許して~!」
姉さんの頭は撫でやすく心が安らぐ。しかしほんとにこの人は俺より年上なんだろうか?癒し効果があるのかもしれん、学研に研究資料提出する必要があるかも。この秘密を解明できたら世界征服できるな。いや姉さんに見ず知らずの男が触れたら俺がそいつをこの世から抹消しなきゃならんな、奥義使って。しかしこれ姉さんも嫌がってないのでこれ罰にならないのでは?八幡は考えた。
「八くん…もう…ダメ…許して…」
姉さんの頭を撫でていると咳払いが入り口から聞こえた。
「んんっ!」
俺は視線を向けると3人立っていて一人はスラッとした宝塚系の女子生徒。後ろに中学生位の身長の可愛らしい女子生徒。3人目はクール系で理知的な女子生徒がたっていた。
「ここは休憩室じゃないぞ。真由美…お前男を連れ込んで…」
「違うわよ!摩利!この子はうちの弟だってば!」
この人が姉さんの言ってた渡辺先輩か。姉さんの頭から手を離し体を先輩たちへからだをむける。
「すみませんうちの愚姉がお世話になっています。弟の八幡です」
「ほぉ、君が八幡君か。私は渡辺摩利。風紀委員長を務めているよろしく」
素敵な笑顔で握手を求めてきたので俺もそれに返し手を握る。昔の俺だったら悪態をついてしなかったが今はそんなことはしない。手を握ると武術を噛んでいるのか手に豆のようなものができていた。相当な手練れらしい、剣術を嗜んでいるのだろうか。
「ええ、こちらこそよろしくお願いします」
「真由美よりしっかりしてそうだぞ」
「摩利?どういう意味かしら?」
「言葉の通りだがね?」
がっぶり四つしながらキャットファイトしてる姉たちは放っておこう。身長の低い女子生徒と眼鏡をかけた先輩が自己紹介する。
「生徒会の2年中条あずさです。よろしくお願いしますね八幡くん!」
「中条先輩よろしくお願いします」
「初めて先輩って呼ばれました…嬉しいです…!」
何故か感動している。そんなに先輩って呼ばれるのがうれしかったのか。「あーちゃん先輩」と言った方が良かったかも知れない。
「書記の市原鈴音です。よろしくお願いいたします」
「市原先輩よろしくお願いします」
メガネが似合いそうな理智的な人だな。
自己紹介が終わると渡辺先輩が話しを切り出す。
「真由美から聞いただろうから省かせてもらう。七草八幡君、是非風紀委員会に入ってくれ」
「なにする委員会なんすか?説明もなしじゃ『はい』とはうなずけないっすよ」
「む、そうだったな。校内の安全確保、魔法の不正使用の取り締まり…」
「二科生の検挙とかも入ってないですよね?」
俺は先輩の言葉を遮り強い口調で言いはなった。
「それはないぞ」
先輩は苦笑しながら俺の言葉を受け止めた。
「そうですか?一科生が二科生を《ウィード》と呼んでいる時点で公正もあったもんじゃないと思いますが」
「それを言われてしまうとな…」
「俺は来年入ってくる妹たちのために学校をよりよくしたいんで。差別があったら楽しく過ごせないでしょ、妹たちが。それに姉さんが今年最後にやる仕事に学校改革があってもいいでしょ?」
「君はかなりのシスコンだな…」
渡辺先輩は少しあきれていたが俺はいたって真面目だ。俺の家族になってくれた七草家の為にらしくないことをしてもバチは当たらないだろう。俺は渡辺先輩にちょけらかさずに真面目に答えた。
「ええ、大好きなんで。姉さんも妹も」
「なるほどな。これは真由美が八幡くんにベタ惚れな訳だ、服部が可哀想になる勢いだな」
「ちょ、ちょっと摩利!べ、別に私は八くんのことベタ惚れなんてしてないわよ…!」
そのやり取りを俺と姉さんを除く3名が生暖かい目でみていた。
斯くして俺は生徒会推薦枠で入学初日にして風紀委員に選ばれてしまった。
今日の朝イチに俺に会えるならこう言ってやろう、俺が風紀委員になるのは間違っている、と。
◆達也達が二日目の朝、学校に登校する前に遡る。
達也と深雪は毎日修行を行っている寺で食事をとりながら目の前の人物に達也が問いかける。
「師匠、頼んでいた件は」
「ああ、調べてほしいと言っていた彼「七草八幡」君についてだね。調べたよ」
達也の問いに答えたのは禿頭の作務衣を着た胡散臭い坊さんで、忍者と呼ばれる魔法使いのこの寺の住職である「九重八雲」が口を開く。
「…!!先生、結果は?」
その問いに真っ先に反応したのは深雪でありその答えを待っている。なにかを待つように、または期待するように。
「おやおや珍しいね、深雪君が食いついてくるとは…焦らすのも良くないか。そうだね…彼は七草の血族の人間ではないね」
「と言うと?」
達也が聞き返す。
「彼は数ヵ月前に七草家の双子の姉妹をたまたま誘拐されたところに駆けつけて救出したらしい、それも30人も犯人がいたところをたった1人で制圧してね。無論怪我は無しでだ。その後七草家の当主である七草弘一にどういう思惑か知らないけど養子に迎え入れられたそうだ。その際に八幡君と血の繋がった実の妹である小町という妹も一緒にね」
「一体なぜ…」
「それは私にも分からない…話を続けるよ?彼は七草家の双子を救出する前に実家の両親と絶縁した…いやされたそうだ」
「!?」
「どういう事ですか先生…!?」
達也は表情こそないが驚き、深雪は信じられないといった表情で八雲に問いかける。
「彼は千葉の総武中学という有名魔法学校に通っていてね、そこで事件が起こったらしい。調べたところによると彼は魔法実技、理論共に異常な身体能力を持ち、入学以来ずっとトップで将来有望な魔法師だったようだね。それで学校で彼を対象にしたいじめがはびこっていたらしく、そこに拍車を掛けるように「一色」家の次女である「一色いろは」が入学してきた。しかし彼女も妬みかな?いじめのような行動をとられ総武中学校の生徒会長に立候補させられたらしい」
「それと八幡になんの関係が?」
「八幡くんはずいぶんと騒ぎに飛び込むのが得意みたいだね…いじめにあっていた「一色いろは」を生徒会長に無事押し上げてそれまでの事件を全て解決したのさ…それを妬むものがいてね。八幡くんは旧第八研究所出身の魔法師の「八幡家」の家系らしくてね。それが気にくわない周りの人物は噂を流し始めた」
「…一体それは…?」
深雪は恐る恐る八雲に質問すると。
「「八幡家の息子が十師族に返り咲くためにあの「一色家」の次女に取り入った」なんて言われるようになったんだ」
「な、なぜそんな風になるのです!八幡さんはそんなことをする人ではありません!!」
「深雪…!!落ち着け」
声を荒げる深雪に嗜めるように声を掛ける達也、ハッとした深雪は謝罪する。
「…っ、申し訳ございませんお兄様…先生」
「私は八幡君にあったことがないから分からないけど深雪君のお眼鏡に掛かった子なら間違い無いだろうね。危惧しているようなことは絶対にしないだろう。それに…達也くんが思っている彼は君らの敵にはならないと思うよ?」
「はい?」
「数年前、彼はとある人物に会いに1人で沖縄を旅していたらしい。数年前の沖縄への侵攻…彼はあの場所にいたみたいだ」
「…!!?本当ですか?!」
深雪の脳内にあのときの情景が思い浮かぶ。銃が自分と母親と穂波さんに向けられられた時、「もう駄目だ」と諦めかけた時にガラスをぶち破り霊体のような白虎が銃弾を弾き、襲撃者を倒し捕縛した。その後倒れている母親と護衛に駆け寄り深雪の最愛の兄と同じ魔法を使用し介抱してくれた。少し目が特徴的な中学生のような少年の姿は一言だけ
「大丈夫。お母さんもお姉さんも無事だから」と一言だけ告げてお兄様が来る前に瞬間移動のように消え去ってしまった。
「!?では、母や穂波さんを守ってくれたのは八幡だと…?」
「その可能性はたかいねぇ…」
「八幡さん…」
深雪は自分と家族を助けてくれた八幡に想いを馳せてた。
◆入学二日目
教室に入り席順を確認する。真ん中か…席に座ろうとすると女子生徒がかけよってくる。
「おはよ、八幡」
「八幡さんおはようございます」
「おはよう、ほのか、雫」
「八幡、昨日会長に連れてかれたけど何かあったの?」
雫が昨日の出来事が気になったんだろう、俺に聞いてきた。
「ああ、実はな…」
かくかくしかじかまるまるうまうま。いあいあクトゥルフ。
「ーーーーーと、いうことだ」
「八幡、この学校始まって以来じゃない?初日にして風紀委員になるの」
「姉さんの名前がでかいだけだ。俺の力じゃない」
「そんなことないですよ八幡さん!」
ほのかと雫がフォローを入れてくれるが俺自身の力ではないことを感じている。この学校では姉さんの名前が強いのだ。
「すみません」
3人で話していると声を掛けられる。首だけ向けるのは失礼なので会話を中断して体ごと声の方へ向けるとそこには司波の妹がいた。
どうやら俺のとなりの席らしい。わざわざ挨拶に来てくれたようだ。
「改めまして司波深雪です。よろしくお願いします。八幡さん」
「こちらこそよろしく。深雪」
ここにいる四人で今後活動することになりそうだ。
ガイダンスが終わり先輩たちの授業風景を見る時間になった。俺はCADの調整を見たかったので単独で行動しようとしたのだが、俺と司波妹に金魚の糞の如く人がついてきており、鬱陶しく思った俺はついてくる連中に一言言おうと思ったが、司波妹が「皆さんのご迷惑になりますので別れて見学いたしましょう。七草さん、北山さんに光井さんに一緒に参りましょう?」見事に大勢を牽制。てか深雪さんや何故に俺の手を握って連れていこうとしてるんですかね?野郎連中がすごい目で俺を見てるんですけど?
これによりグループ別けが明確になったのであった。
午前の授業が終わり昼休みへ。一人で摂ろうとしたが司波妹に捕まり食堂へいくこととなったのだが。
◆
(はぁ…めんどくせぇ…てか先に達也達が使ってるんだから使用権は達也達にあんのに「司波さんと食事がしたいから「雑草」は退いてくれって…人としてのマナーどこいったよ。」)
俺の視線には深雪と仲良くなりたい有象無象のAクラスの生徒が達也達のグループと言い争っていた。いやこれは10:0でAクラスの連中が悪いだろう…エリカはちょっとケンカに発展しそうな喧嘩腰だし、達也の隣にいるガタイのいい男も喧嘩腰だしよ…姉さん、意識改革ほど遠そうだぞーなんて言っている場合では無い。一緒に食事をするために食堂に来ていた雫とほのかに声を掛ける。
「すまん二人とも。達也達と食事をとってくれないか?あいつらがいたんじゃ達也や他の利用者の生徒に迷惑がかかる」
「分かった…策、あるの?」
「大丈夫ですか、八幡さん?」
「ああ、ちょっと強引だけどな。要はこの言い争いの原因になっている深雪を俺が連れ去ってしまえばいい」
「!?そんなことしたら八幡が目の敵にされちゃう、ダメ」
「だ、ダメですよ!」
「大丈夫だって、慣れてるから」
強引に二人を言いくるめ達也にアイコンタクトを投げると俺の伝えたいことが伝わったのか頷いてくれた。俺は深雪の元に駆け寄り手を握り言い争いをしている連中に聞こえるようにわざとでかい声で話す。
「深雪、今日は俺と一緒に昼食食べる約束してただろ?いい居場所見つけたんだ。行こうぜ!」
深雪の手をとって視線を合わせ「話を合わせてくれ」と伝えると手を握ったことに呆けていた深雪は直ぐ様俺の意図を汲んで頷いて話を合わせてくれた。助かる。その様子にAクラスの音頭をとっていた森沢?森永?森なんとかだ。と取り巻きが騒いでいたが殺気を少し飛ばしてやると怖じ気付き黙ったようで俺は深雪の手をとって屋上へと向かう際に達也に視線を向けると「頼む」と言われたように感じた。
◆
屋上に到着すると春のそよ風が気持ち良く日差しもちょうど良い塩梅であった。屋上には芝が敷き詰められており昼寝するのにはもってこいだろう。人影は俺と深雪のみだった。そこで手を離すと深雪から「あっ…」と声が上がり少し残念そうにしていた。そんなに達也と食事がしたかったのだろうか。だがすまない。あそこでうだうだやっていると他の利用者に迷惑がかかるからな。コラテラル・ダメージだ。
「ごめんなさい八幡さん…私のせいで」
「別に深雪のせいじゃないだろ。あの…森久保とかいう明らかに「自分は選ばれた人ですー」って言ってる奴が悪い」
「…ぷっ、ふふふ。八幡さん。森久保ではなくあの方は森崎君ですよ?」
どうやら名前を間違えていたらしい。深雪に笑われながらそう指摘されてちょっと恥ずかしくなったが覚えていないってことは覚える必要が無いってことだな。証明終了。
「そうだったか?まぁいいや。こっちこそごめんな、いきなり手なんか握っちまって。これハンカチ」
俺がハンカチを差し出して手を拭ってもらおうしたが盛大に控えめな腹の虫が俺の耳に入る。
「え?」
音の発信源を探るとどうやら目の前にいる美少女から聞こえてきた。目の前の少女の美しい白い肌はみるみるうちにトマトのように真っ赤になっていき顔を白く細い美しい指で覆い被せた。
「/////…は、八幡さん!わ、忘れてください!!」
俺は思わず笑ってしまった。
「ふっ…あっはっはっは!…あーごめんごめん。いやほんとごめん」
いや可愛すぎるだろうなんなんこの美少女。
「…は、恥ずかしい…///」
深雪を辱しめるつもりはなかったのだがせめてものお詫びだ。俺はベンチにハンカチを敷いて深雪に座ってもらった。
包みを開けると驚いていた。
「わぁ…これ八幡さんが作ったんですか?」
そこには俺が妹達のために作った弁当の残り物だが二段のお重が広がっていた。
ミニハンバーグにソーセージ、唐揚げ、ほうれん草のゴマ和え、きんぴらごぼう、プチトマト、甘めの卵焼きに小さめのおにぎりが数個入ったお重だ。
そのお弁当の内容を見て深雪は目を輝かせている。
「ああ、俺が作ったんだ。深雪の口に合うか分からないし、今回の罪滅ぼしじゃないけど昼飯をおごらせてくれ」
「いいのですか?…美味しそうです」
ウエットティッシュを深雪に手渡して手を拭いて箸を持つ。俺は水筒からほうじ茶をコップにいれて深雪の近くにおいた。手を合わせるその所作も気品があって俺は見惚れていた。
「いただきます」
「い、いただいてください」
「ふふふ…おかしな八幡さん♪」
結果としては俺の作った弁当は深雪の口にあったようで「また食べたいです」という社交辞令をもらったが素直に嬉しかった。
昼休憩はハプニングが発生したが有意義な時間を過ごすことが出来た。てか美少女と食事できるとかどんだけ徳を積めば出来るんだ?今年の運使いきったかもな。
食堂にいた達也達に悪いことをした。今度駅前でケーキを奢ってやるか、一人1000円ずつ。
幸せな昼食を終えたまま今日も終わるかと思いきやそう上手くは行かなかった。
◆
「いい加減諦めたらどうなんですか?深雪さんはお兄さんと一緒に帰ると言ってるんです。他人が口を挟む問題じゃないでしょう?」
俺が渡辺先輩に呼ばれて風紀委員会本部に行き今月に始まるイベントの内容を聞き終わり、俺、渡辺先輩、姉さんの3人で学校から出ようとしたとき遠くの校門前で美月が啖呵を切っていた相手はもちろん1Aのクラスの連中だ。
ちなみに先ほど俺が深雪を連れ去ったとき森なんとかの取り巻き?らしき一部の生徒達に教室に戻ったときに何故か羨望の眼差しで見られて声を掛けられた。「七草君応援してる!」「七草やるなぁ」と言われたがなんの話だ?ちなみにだが森なんとか達からは嫌われ、陰口を言われたりしたが全然屁でもない。あれに比べたらな。
言い合いを聞いてみると、達也が深雪を待っているときに深雪にくっついてきたクラスメイトが達也に難癖をつけたことで始まったらしい。
その光景を見て俺は渡辺先輩にアイサインされた。とどのつまり「止めてこい」とのお達しだ。オーダー入りまーす。
「がんばって八くん!」
「早速働かされるとか…ついてねーな」
「ぼやくな、ぼやくな。怪我をさせるわけには行かん」
「へいへい…ってあいつら…!!」
俺が視線を向けた瞬間に一科の生徒がCADを抜こうとしているので俺は咄嗟に加速術式を使わずに「縮地」を使い一気に駆け迫る。一科と二科の腕と獲物を握り割り込んだ。その姿を見た両者はまるで瞬間移動したように見えただろう。
両者に殺気をぶつける。
「…そこまでにしておけ。このままじゃ怪我じゃすまないぞ?」
学舎に似つかわしくない殺気が校門に広がっていた。
◆
「なんの権利があって深雪さんと達也さんの仲を引き裂こうと言うんですか?」
今もあの物腰柔らかで優しい美月が一科生に対して一歩も引かずに雄弁に語っている。語っているのだが…
「引き裂くと言われても…」
「美月は何を勘違いしているのでしょうか…?」
呟く兄の発言に賛同している深雪。渦中の兄妹は混乱していた。そんな困惑している兄妹を尻目に心優しい友人達は対峙している一科生徒と壮絶な舌戦を繰り広げていた?
「僕たちは彼女に相談したいことがあるんだ!」
「そうよ!司波さんには悪いと思うけど少し時間を貸してもらうだけなんだから!」
深雪のクラスメイトの男子、女子その一その二の言い分をガタイのいい達也と同じクラスのレオが笑い飛ばしていた。
「はん!そういうのは自活中にやれよ。ちゃんと時間をとってあるだろうが」
「相談だったら予め本人の承諾をとってやったら?深雪の意思を無視したら相談もなにもあったものじゃないじゃないの、それがルールなの。なに?高校生になってそんなことも知らないわけ?」
相手を煽るようなエリカの台詞に男子生徒が噛みついてきた。
「うるさい!他クラス、ましてやウィードが僕たちブルームに逆らうな!!」
この暴言に真っ先に反論したのは(達也達はやっぱりと思った)美月だった。
「同じ新入生じゃないですか。あなた達ブルームが一体どこまで優れていると言うんですかっ!」
決して大きな声ではなかったが美月の声は不思議と校門前に響いた。
「…あらら」
その発言に達也は不味いと思ったことが言葉になり出てしまった。
「…どれだけ優れているか、知りたいなら教えてやる」
「ハッ!おもしれぇ、是非ともみせてもらおうじゃねぇか」
まさに売り言葉に買い言葉、レオが挑戦的な大声で応じた。
「だったら教えてやる!」
特化型のCADを男子生徒が引き抜いてレオの眉間に照準を合わせ深雪が達也の名前を叫ぼうとした瞬間、旋風を伴って躍り出てCADを抜いた男子生徒の腕と伸縮警棒を抜いたエリカの手首を優しく握り双方の攻撃を止めた男がいた。
◆
「…そこまでにしておけ?それ以上は怪我じゃすまなくなるぞ。」
双方がどう言ったは知らないが非があるのは一科生側だろう。俺に腕を握られた生徒は喚いている。
「お前は…七草…!なんなんだお前は邪魔をするな!」
俺の腕を振り払い手に持った特化CADのトリガーを引き絞り俺に向けて魔法式を展開しようとするが遅すぎる。
悲鳴が上がるが俺は先ほど振りほどかれた手から
その光景を見た術式を放った男子生徒は俺が何をしたのか分かっておらず呆けていたが俺はその隙を逃さずエリカの手首を優しく離して片手で男子生徒の喉元に手刀を突きつける
「自衛目的以外で人に向けて魔法を使用し対人攻撃をした場合は犯罪行為だぞ?わかってんのか?あぁ?森なんとか君よ?」
「っ…」
悔しいよりも恐怖の感情を覚えた顔で俺を見る森なんとかはただ黙っているだけで俺は追撃しようとするが。
「まぁ、俺に言われるよりこの二人に言われた方が堪えるだろ。会長!委員長!見てないで出てきてくださいよ!」
俺が後ろに視線を向けると二人の女子生徒が歩いてくる。その姿を見た達也と深雪を除く生徒は驚愕した。
「八幡君の言う通り、自衛目的以外で魔法を使用するのは、校則以前に犯罪行為よ」
この学園の生徒会長であり俺の姉である七草真由美が現れると双方行動をやめて姉さんを見ていた。まるでその場に神が現れたかのように。後光が出ていたかも知れない。一部の生徒は気が抜けて倒れ込みそうになっていたのは当然だろう、十師族の七草家の令嬢でこの学園の生徒会長で魔法の実力も見た目も最高に愛らしくこないだなんか寝ぼけて俺のベットに潜り込んできて…
「…八くん?今変なこと考えなかった?…」
いいえ。姉さんが可愛いと言うことしか考えてないですよ?八幡ウソツカナイ。
「何をやってるんだお前達…んんっ。おまえ達、1ーAと1ーEの生徒達だな。事情を聞くからついてこい」
はじめは俺と姉さんのやり取りをあきれていたが、直ぐ様委員長モードに切り替えて冷たい硬質的な声で手元にあるCADは既に起動準備を終えている。抵抗すれば即座に実力で制圧されるだろう。風紀委員会の権限において実力を行使する!と言ったところか。その威圧にレオも、エリカも、深雪のクラスメイト達は黙ってしまった。
しかし突然。
「すみません、悪ふざけが過ぎました」
達也が先輩達の前に立って事の説明をし始める。その行動と発言に委員長は眉を潜める。
「悪ふざけ?」
「はい、森崎一門の『クイックドロウ』は有名でしたから後学のために見せてもらうつもりだったんですが、真に迫るものでしたのでつい熱が入ってしまいました」
「ほう…君は起動式を読み取ることが出来るのか?」
「実技は苦手ですが、分析は得意です」
俺は《瞳》の力を使用し達也の状態を確認した。ステータスは「高速解読」が追加されている。
…お前、やっぱ二科生じゃねぇわ。魔法式はアルファベット約3万文字とされていてそれを即座に解析し読み取るのは異常としか言う他無いぞ。
「…誤魔化すのも得意の様だな」
渡辺先輩が値踏みするような、面白いものを見つけたような目で達也を見ていた。
「摩利、もういいじゃない。達也くん、生徒同士の教え合いだったのよね?」
姉さんが先輩を嗜め達也に問いかけると頷いて肯定した。この場を総括するように言葉を紡ぐ。
「生徒同士での教え合いは禁止されているわけではありませんが魔法の起動の際には様々な制約がありますのでその時期になるまで自活は控えてくださいね?よろしいですか皆さん?」
「会長がこう仰られていることもあるので今回は不問にします。以後この事がないように。そろそろ下校時間です解散しなさい」
その言葉でこの場にいる深雪のクラスの生徒が蜘蛛の子を散らすように一部の生徒を除き解散していく。達也もその場から立ち去ろうとするがそうは問屋が下ろさないってなわけで。
「君、名前は?」
「俺は七草八幡っすけど…」
「八幡くん、君じゃない!…んん、そこの君だ」
ちょうどその視線の方向に俺がいたから答えてしまった。達也に名前を聞きたかったのか。
「1年E組、司波達也です」
「司波くんか…覚えておこう」
達也、ご愁傷様。渡辺会長にロックオンされたぞ。絶対おもちゃにされるぞ…
「達也」
「なんだ八幡」
「ご愁傷様」
「は…?」
俺は達也に声を掛けて南無…のポーズをとると達也は?の表情をしていたがその光景を見ていた姉さん達は笑っていた。
姉さん達は仕事があるので学校に戻っていった。
◆
「借りだなんて思わないからな…」
「あ?なに言ってんだお前?姉さんの優しさに感涙にむせび泣いとけ、森なんたら」
「僕は森崎だ!森崎駿。森崎の本家に連なるものだ。七草八幡!」
森崎とやらが自分の家柄について語っているがどうでもいい。もし姉がいるこの学園で逮捕者が出た時の事。汚点を作るような事を考えたらイライラしてきた。森崎に怒気をぶつけてやる。するとあら不思議勇んだ先程の威勢は何処へやら。追い討ちを掛けるように言葉を掛ける。
「姉さんは許してくれただろうが俺は許したわけじゃない。また同じようなことがあれば、「森崎駿」最後通告だ。自身の才能を過信しすぎて他を貶めるようなことがあれば俺が「七草」の名を借りてでもお前を潰す」
「…司波さんも僕たち一科生といるべきなんだ…!」
捨て台詞のように怯えた様子でこの場から立ち去って行く森なんとか。
「いきなりフルネームで呼び捨てかよ」
「八幡さん!?大丈夫ですか?」
「あの…ほんと近い…距離感バグってないですか深雪さん」
深雪が俺に駆け寄ってくる。俺の手を握って手の状態を見てくる。あの…お兄様が見てるんでちょっと離れてもらってもいいですかね?深雪が近づいてくるとそれを皮切りにみんなが近づいてきた。
「八幡君、すごかったわね。いつの間にあの場所に入り込んだの?」
エリカが質問してきた。どうやらさっき俺があの場所に割り込んだ事に興味深々らしいがそろそろ帰宅してマイエンジェル(妹)達に会わなければならない。適当な事を言って俺が帰ろうとアクションを起こすと深雪が前に立ちはだかる。
「駅までご一緒してよろしいですか八幡さん。先程の行動、お兄様も気になっていますし…駄目ですか?」
目の前の超絶美少女が上目使いで俺に「一緒に帰ろう」と誘ってくる。これを断れる男がいるだろうか?否、いないだろう。だがしかし…!お家には俺の帰りを待って(推定)いる小泉澄達がいる…ここは心を鬼にして…
「あー…いいよ、帰ろっか」
済まない妹達よ…お兄ちゃんは魔王に捕まってしまいました…
◆
帰り道俺が先ほどあの場所に飛び込んだときに使った「縮地」の事を離したらエリカは仰天し達也は呆れた表情を浮かべていた。「術式解体」も深雪曰く使える人物を見たのは兄の達也以外に見たことがなく少し驚いていた。エリカは警棒を止められたことを悔しがっていたが別に恥じることじゃないと思う。学生にしては早すぎるからだ。俺からしたら大分スローだったがその比較対象が悪すぎる。何せ俺のばあちゃんだからな。
「腕も立って可愛いとか天は二物を与えるとか不公平だわ」
誉めてやると恥ずかしそうにしてエリカが顔を真っ赤にして俺の背中を小突いて来たがなぜに?
深雪がなぜ不機嫌になっていたのかは本当に謎だった。誰か解明してくれ。解明できたらノーベル賞も夢じゃないな、女心を解明したものとして…なんかかっこいいなプレイボーイみたいで。いや俺は要らないけど。
波乱に満ちた二日目が終わりを告げた。
あ、帰る前にケーキを買って帰ろう。
なんで八幡沖縄にいたの?A:ばあちゃんとの特訓為に沖縄にいました。