たくさんのコメントありがとうございます。
誤字脱字の報告もありがとうございます(ホントに申し訳ない。)
追記。原作小説を本屋で購入し市原先輩の挿し絵を確認したらメガネかけてないやんけ…!となり申し訳ないですが4話の会話を一部変更させて貰いました。
本当に申し訳ない…。
よろしかったら最新話見てやってください。
早朝、俺はキャビネットから降りて校門へ進むと目の前に見知った二人がいたのを確認して声を掛けた。
「うーす、達也、深雪。おはようさん」
「…おはよう八幡」
深雪は何故か俺を見ると嬉しそうな顔…と言うよりも想い焦がれた人物が現れた様な少女の顔をしており、その顔を見た達也はなんとも複雑な表情をしていた。ほんの一瞬だが。
「は、八幡さん!おはようござ…」
「八くんまってよ~!」
います。と深雪が言いきる前に邪魔され表情こそは変わらないが深雪から冷気が出ているように感じて俺は何故かブルッた。声の主は当然
「姉さんなにやってんだよ…」
「八くんがはやすぎるの!…あ、達也くん、深雪さんオハヨ~」
俺と一緒に乗ってきたキャビネットから降りてやっと追い付きぷりぷりと怒る姉さん…たまに疑いたくなるんだが本当に俺より年上なんだよな?見た目の幼さと俺と喋る時ちょっと幼くなるせいかもしれない。
昨日会ったばかりだというのにずいぶんとフランクだ。まぁそこが愛される要因なのかも知れない。
「おはよう御座います会長」
「…おはよう御座います生徒会長」
「深雪さんにお話したいこともあるので校内まで一緒しても構わないかしら?」
一瞬だが姉さんに挨拶する深雪に一瞬ラグがあったが直ぐ様挨拶を返す。
挨拶した流れで司波兄弟と俺、姉と一緒に学校へ向かう。姉さんが深雪達に声を掛けたのには理由があったのだ。その件に関して深雪が察して話す。
「お話したい事とは生徒会の件でしょうか?」
「ええ、一度説明したいと思って。二人ともお昼はどうする予定なの?」
「食堂で頂くことになると思います」
「達也くんと一緒に?」
「いえ、兄とはクラスが違うので…」
昨日の事を思い出したのだろう。深雪が悲しげな顔をしていたので俺が助け船を出した。
「じゃあ、達也も一緒に生徒会室に来いよ。1人も2人も変わらない」
「よろしいのですか?」
「ダイニングサーバーもあるけど今日も俺と姉さんの分の弁当もつくって持ってきてるからな。結構多め…」
「八幡さんのお弁当…お兄様是非いきましょう」
「お、おい深雪…」
普段と違う舞い上がり方をしていた深雪はハッと我に返り恥ずかしそうにしていた。ホントにギャップあって可愛いな深雪。
「も、申し訳ございません…昨日頂いた八幡さんのお弁当が美味しくて…」
「そんなにか…それなら俺もご相伴に預かろう。良いか八幡?それと会長、なぜ生徒会室にダイニングサーバーが?あれは新幹線とかにあるやつですよね」
「ああ、良いぜ。ダイニングサーバーがある理由はだな…」
「入ってもらう前にこう言うのは非常に心苦しいのだけれど、夜遅くまで仕事をするときもあるので」
俺の代わりに姉さんが答えてくれた。入っていただきたい人間に夜遅くまで仕事しますとは言いづらいよなぁ…
「副会長は生徒会室にはいらっしゃらないのですか?」
入学式の終わり頃に達也と俺たちの集まりに現れた姉さんの後ろにいた忍者…じゃなかった服部先輩の事を言っているのだろう。あの副会長がいれば室内は険悪な雰囲気になることは間違い無いだろうな。
「はんぞー君ならお昼はいつも部室棟で昼食をとるからいないわよ?」
「「よかったぜ」です」
俺と達也がユニゾンして一致した回答をしたもんだから深雪が吹き出しそうになりそっぽを向いて肩で息をしている。
俺と達也は顔を見合わせて苦笑いしてしまった。
「そうですか…分かりました、妹共々お邪魔させていただきます」
「…よかった~じゃあ詳しい話はその時に。お持ちしてますね」
ほっと胸を撫で下ろす姉さんはいつもと変わらない笑顔でそう答えた。
ちょうど校舎に入る前に話が終了し姉さんは3年生の教室へ向かうため俺たちと別れた。
俺も達也と別れ、深雪と共に教室へと向かった。
達也、深雪、姉さん、俺…4人…誘ったはいいが弁当の量足りるか…?
◆
昼のチャイムが鳴るとクラスの面々は食堂や購買で昼食を買いに教室から出る。俺もその1人で、雫とほのかが俺と深雪に昼食を取りに行こうと誘ってくれたが、俺が「生徒会でちょっと呼ばれてて」と告げると悲しそうな顔をしていた…本当にすまん。今度ケーキ奢ってやるから許してくれ。
深雪と共に生徒会室に向かうが同伴している美少女の足取りは軽やかだ。そんなに俺の弁当が楽しみなのだろうか?それはそれでこのお弁当を作った甲斐があると言うものだがそこまでだろうか…?
俺たちが生徒会室に到着すると達也が先に待っていた。
「達也待たせた」
「お兄様お待たせして申し訳ございません」
「いや、今さっき来たところだ。待っていない」
…こう言うことが言える男がモテるんだろうな。俺は無理だな、普通に「~分前に来た」って言いそう。待ち合わせで5分前に来ないやつはなんなんホント?こういう事言ったら小町にガチで説教された記憶が甦ったわ。
深雪がインターホンを押すと歓迎の言葉が返ってきてドアのロックが解除される。
「いらっしゃ~い、待っていましたよ。さぁ入ってきてください」
奥の生徒会長の席に座り何時ものような笑みで此方に手招きする姉さんの姿を見る、本当に会長してるんだなと思うと姉さんが此方を見て。
「八くん?なにかいま変なこと考えなかった?」
「いや考えてないです」
入室すると深雪が貴族のような挨拶をして達也以外は驚いていた。そのくらい似合いすぎていたのだ、その所作が。
俺たち三人は空いている席に座り持ってきたお弁当を広げると先輩のお三方も驚いていた。
「これは八幡君がつくったのか?」
「ええ、妹達の弁当と同じものですが…」
「いやこれはもう手作りの域を越えちゃってます…高級店のお弁当ですよ?」
「これはすごいですね…」
「妹達に渡す以上、手を抜くわけに行きませんからね」
渡辺先輩、中条先輩、市原先輩から三者三様のリアクションを頂き、達也も分かりづらいが驚いているようだ。そして姉さんがフフン、と何故かドヤる。
「すごいな八幡、こんな才能があったとは…」
「…まぁな、冷めない内に頂いてくれ、まだ温かいはずだぞ。保温魔法を掛けておいたから」
弁当を持ってきていた渡辺先輩と配膳機から出されたお弁当を持っているあずさ先輩と市原先輩にもお裾分けしたら大変好評だった。無論姉さんはニコニコと。達也は驚きながら。深雪もニコニコと美味しそうに食べてくれていた。
「女として負けたかも知れん…旨すぎる…」
渡辺先輩の呟きが聞こえた気がしたが気のせいにしておこう…
食事が進み姉さんが話題を切り出した。
「そろそろ本題に入りましょうか」
先ほどの砕けた口調の姉さんから生徒会長の七草真由美として達也達に話しかける。
「当校は生徒の自治を重視しており生徒会は学内で大きな権限を与えられます…深雪さん、貴女が当校の生徒会に入ってくださることを私たちは希望します。引き受けていただけますか?」
「会長は兄の入試の結果はご存じですか?」
「!?」
達也が声をあげそうになるがそれを俺が阻止する。達也から睨み付けられるが俺は首を振って深雪の想いを聞き届けるようにアイコンタクトすると大人しく聞く体勢をとった。
「ええ、知っています。魔法理論においては歴代の入学者のなかで一位です。ほんと、自信無くしちゃうくらいすごい点数でした…」
「成績優秀者ということであれば…」
「残念ながらそれはできません」
その突き放すような答えを出したのは姉さんではなく市原先輩だ。
「生徒会役員は一科の生徒から選出されるのです。これは不文律ではなく規則なのです。本当であれば私たちも司波くんのような人材を生徒会に迎え入れたいのですが、この規則を覆すためには生徒の3分の2の決議が必要になります。一科と二科の生徒数が同数の現在では改訂できないのです。ごめんなさい司波さん」
市原先輩が申し訳なさそうに深雪に謝罪する。その姿に深雪は
「…申し訳ございませんでした」
その姿に俺はお節介だったかもしれないが何故だろうかとある提案をしてしまう。
「委員長」
「ん?どうしたんだい、八幡君」
「そういやなんですけど風紀委員の任命は二科の縛りはないはずですよね?あるのは生徒会の会長、副会長、書記、会計だけだったはずです。渡辺先輩が任命してそこに達也を入れれば…」
「それだっ!!」
「それよ八くん!!」
俺の話を聞いた渡辺先輩と姉さんは「ナイス名案!」と早押しクイズと言わんばかりの速度で反応してくれた。あれに似てたな…大昔に見たCM集で時代劇俳優が餅のCMに出てる奴だ。
「風紀委員の生徒会枠に、二科の生徒を入れても規約違反にならないわけだ」
「ちょっと待ってください!俺の意思はどうなるんですか?そもそも、どんな仕事なのかも説明を受けていないです」
「当校の校則違反者を取り締まる組織よ。達也くん」
いや、説明雑かよ姉さん。
「魔法が使われる使われない以前に喧嘩が起こったら止めるのが我々の仕事だ」
「あのですね!俺は実技の成績が悪かったから二科生なんですが!」
「構わないよ、力ずくというのなら八幡君がいる」
「はい?」
「へ?」
俺が風紀委員に入っていることがそんなに珍しいのだろうか?司波兄弟は驚いているようだ。話を続けようとするが昼休憩の終了を告げるチャイムが鳴り響く。
「放課後にまた話をしたい。また生徒会室に来てくれないか?」
「…分かりました」
「では、またここに来てくれ」
ここでの会話は終了し司波兄弟はまたしても生徒会室に来ることになったのだ。
「あ、八くんも生徒会室に来てね」
俺もでした。
◆
放課後、生徒会室に3人で入ると俺たちが会いたくない人間がそこにいた。
「副会長の服部刑部です。司波深雪さん、七草八幡さん。生徒会へようこそ」
あ?入ってきた人間は3人だったよな…深雪に達也に俺…あれれ~?おかしいな~この先輩は意図的に二科生が見えない仕様なのかな~?…ムカついてきたわ。
「入ってきて早々に申し訳ないが移動しよう」
「どちらへ?」
達也が渡辺先輩に質問する。そりゃそうだ「生徒会室に来てくれ」と言われたのに早速移動とは。
「風紀委員会本部だよ、色々と見てもらいたいものがあるからね」
「渡辺先輩、待ってください」
「何だ、服部刑部小丞範蔵副会長」
「名前ながっ」
「ぷっ…くくく…八くん駄目だって…くくく」
俺が反応し呟くと姉さんが笑いをこらえていると俺を睨み付けてくる副会長。まさか本当に「はんぞー君」とは。
「フルネームで呼ばないでください!」
「じゃあ服部範蔵副会長」
「服部刑部です!」
「そりゃ名前じゃなくて官職だろ。お前の家の」
「学校には『服部刑部』で届けが受理されています!…ではなくてその一年生を風紀委員に任命するのは反対です」
「可笑しな事を言う。司波達也君を任命したのは私だ。例え口頭であっても効力は失われんよ」
「過去、
「私の前で禁止用語を使用するとは良い度胸だな」
「取り繕っても仕方ないでしょう、生徒の3分の2を摘発するおつもりですか?それに実力で劣る二科生に風紀委員が務まるはずがない」
「待ってください!確かに兄は二科生ですが、実戦ならば誰にも負けません!」
「司波さん。魔法師は冷静さを心がけるものですよ。魔法師を目指すものは身内贔屓に目を曇らせないように心がけなさい」
そこで俺の中のなにかが切れた。
「…おい、真由美…」
「へ?八くん…?っ…!!(ま、まずい!ホントに『キレちゃってる』!!)」
物凄く低い声が出た。俺の体からサイオンと覇気が混ざり合い目に見える形になり具現化する。
問答を繰り広げていた先輩が此方に気がつく。
「おい!会長になんて口の聞き方をっ…!!」
「はんぞーくん駄目っ!!」
姉さんが止めようとするが遅かった。
空間内に濃密な殺気が広がる。あずさ先輩はガタガタとまるで幼子のように震え達也は深雪の前に立ち身構えてる。渡辺先輩や市原先輩は動けずにいる。殺気を直接ぶつけた服部とやらは震えて声が出せないようだ。この程度の殺気で動揺するとは…拍子抜けだ。
俺は頭に来ていた。姉さんの部下でありながら差別をして深雪の兄への想いを踏み潰そうとし、さらに俺の友達である達也をバカにするような発言。
…俺は許せなかった。
「学校運営をする人間が差別発言。いいご身分だな先輩。
姉さん?そんな人間を学校運営の組織に組み込んでいるのか?クビにした方が良いぞ?学校改革する上でそのような存在は癌だ。しかし、この程度の人間が副会長?全くお笑いだな。他人を表面上の肩書きでしか測れない魔法師ならその程度の実力なんだろう」
「き、貴様…生徒会長の弟だからと言って図に乗るなよ!」
「…くっくっくっ…あっはっはっは!!!」
俺の何時もの笑い声でなく本当に理解していない人間に対して嘲笑うような笑いかたに皆驚いていた。
「何が可笑しい…」
「八くん…」
「『魔法師は冷静を心掛けろ』。なんだろ服部先輩?」
「くっ…」
深雪達に言った言葉を自分に言われ答えを窮しているはんぞー君に追い討ちを掛ける。
「先輩、実際に達也と戦ってみてください。その校章の有り無しに差がないことを達也に教えてもらえば良い」
「服部先輩。俺と模擬戦しませんか?」
「なに…?」
達也が提案するとはんぞー君はぶるぶると震え始めた。
「思い上がるなよ!補欠の分際で!」
俺に言われてまだ言うのか…と呆れた表情を浮かべながら達也が言葉を紡ぐ。
「妹と…友達の目が曇っていないことを証明するためならば」
その発言は、はんぞー君にはよっぽど挑発的に聞こえたのだろう。
「…良いだろう身の程を弁えることの必要性を教えてやる」
「…良いでしょう。生徒会の権限に基づき模擬戦を許可します」
◆
場所は変わり模擬戦を行う場所に移動し俺の両隣には姉さんと深雪が立っている。俺は先程の事を姉さんに謝罪していた。
「…ごめん姉さん。事を荒立てちまって」
「ううん、良いのよ八くん。はんぞー君は一科生である事に誇りを持っていて少し傲慢になっているけれど、決して悪い子じゃないの」
「一科に対して、だろ」
「それを言われちゃうと否定できないかなぁ…」
うーん、と利き手を頭に当てて悩んでいるようだ。
「八幡さん…」
姉さん曰く悪い人間ではないらしいが、俺は知っている。この手の輩は一度実力を見せて叩き潰した方がいい。
すると隣にいる深雪が俺の袖口を引っ張ってきたので、深雪の方に体を向ける。
「どうしたんだ深雪?」
「ごめんなさい八幡さん、兄のために怒ってくださって」
「…一応「友達」だからな。それにはんぞー君の言い分が気に入らなかったからなのもあるし気にすんな」
俺は無意識に深雪の頭に手をおいて撫でて「しまった!」と思い慌てて手を離すが深雪は頬を赤く染めていた。まずい、怒らせたか…?
「す、すまん。つい妹にやる調子でやってしまった…許してくれ」
「い、いえ///、大丈夫です…そ、それよりもこの模擬戦どちらが勝つと思いますか…?」
不安そうに何かを期待するように俺に視線と言葉を掛けてくる深雪。答えは決まっている。
「達也だな」
「それは何でなの八くん?」
会話に参加した姉さんも交えてその根拠を答えた。
「それは…勘だ」
2人がずっこけた。わーすげぇレアだな。
「八くん!!」
「八幡さん!?」
2人が詰め寄ってくる。ちょっ、近いから、離れて…!
「じょ、冗談だよ…深雪と達也が歩いているときに深雪をかばうような歩き方をしていただろ?あれば武術を嗜んでいる奴の動きだ。しかもかなりの腕だ。それにこの間の言い争いの時に森なんとかの後ろにいた女子生徒が魔法を展開しようとしたときに達也も
「達也くんも八くんと同じく対抗魔法を…?」
「八幡さん…」
姉さんはなるほどと飲み込み、深雪は嬉しさと驚愕が入り交じった表情をしていた。
俺たちが喋っていると試合の準備が終了し両者定位置に立つ。達也は特化型のCAD…あれは「シルバー・ホーン」か?
なるほどな、そういうことか…
渡辺先輩の開始の合図を皮切りに魔法式がそれぞれに展開し始めるが達也の方が展開が早い。
気がつけば達也は服部先輩の後ろに立ち、地に伏していたのは服部副会長だった。
瞬時に試合が終了し静寂が模擬戦場を支配するが渡辺先輩の一言で消え去った。
「…勝者、司波達也」
「……」
その結果に興味を示していない様に達也は踵を返す。
「待て」
渡辺先輩が達也を呼び止める。
「今の動きは…予め自己加速術式を掛けていたのか?」
「そんな訳が無いのは、先輩が一番よくお分かりだと思いますが」
「しかしあれは」
達也が説明しても埒が明きそうにないので俺が助け船を出そうとするタイミングで深雪も説明し始めた。
「先輩、達也のさっきのは歴とした体術ですよあれ。忍術に近い気もしますが…」
「私も証言いたします。あれは兄の体術です、兄は忍術使い・九重八雲氏から指導を受けているのです」
「はんぞー君が倒れたのも忍術なの?」
姉さんが疑問に思い達也に質問する。
「酔ったんですよ」
「酔った?一体何に?」
「服部先輩にはサイオン波動の波をぶつけて船酔いのような状態にして倒れて貰っただけです」
「そんな、信じられない…そんな強い波動を一体どうやって…?」
「波の合成、だろ達也」
俺が達也に答えをぶつけると頷いた。どうやら合っていたらしい…間違ってなくてよかった。
「八くん?」
姉さんはよく理解できていなかったようだが俺がかいつまんで説明する。
「振動数の異なる波を連続して作り出し、その波の合成がちょうどはんぞー先輩に当たるように調整して強い波動を作り出したんだろう。よくやれたな」
「ああ、おおよそ正解だ八幡」
「その波の合成を行うためのもうひとつの仕組みはそのCADか」
CAD、俺がその発言をすると中条先輩が達也の持つCADを見て目を輝かせるように食いついた。
「司波くんの手に持っているCAD…『シルバー・ホーン』じゃないですかっ!?そのモデルは…!」
『シルバー・ホーン』といえば天才魔工師トーラスシルバーが作成したフルカスタマイズモデル特化型CADだ。一般の学生では買えないほど高価な物だ。伝があって譲り受けたか関係者かのどちらかだ。…まぁ今の俺には気にする必要もないだろうが。
それよりも中条先輩が暴走気味になっており姉さんが止めている。
「あーちゃん、チョっと落ち着きなさい。『シルバー・ホーン』がすごいのは分かったから。それでそのCADとサイオン波動と何の関係があるの八くん」
「『シルバー・ホーン』のループキャスト機能は確かにすさまじいがサイオン波動を作り出すとなると異なる波長、振動数が必要になるんだ。それをあくまで同一の波数を複製するのをCADを介し補助して作り出し達也自身がその波数を即座に振動数等も変化させて発動させている…であってるか?」
「ああ、大正解だ、八幡。…多数変化は実技では評価されない項目ですからね」
これで外れていたらと思うと死にたくなるな。とりあえずボッシュートにされなくてよかった…しかしこれだけの事をやってのけるとはやっぱお前二科生じゃねーわ…
「なるほど、テストが本当の能力を示していないとはこういうことか…」
達也に伸されたはんぞー君が起き上がり、まだふらつくのか足元がおぼつかないが気合いで俺達に向かい目の前に立ち話しかけてくる。
「司波さん、八幡君」
「はい」
「…うっす」
目の前まで来たはんぞー君に俺と深雪は向き直り俺は渋々といった体勢で聞くことにした。
「目が曇っていたのは私の方だった。許してほしい」
「こちらの方こそ、生意気な事を申しました。お許しください」
「…その謝罪は俺には不要っすよ?俺の後ろにいる達也にしてくださいよ。サイオン波動に揺さぶられて判断できなくなりました?」
「…そうだな。後輩に諭されるとは何とも情けない話だがな…」
俺達から離れるとCADを片付けている達也に近づき話しかける。
「…司波」
「はい」
「司波の妹さんと友人を侮辱してしまった…許してほしい」
「…いえ、もう気にしていません。深雪と八幡の目が曇っていないということを証明できましたので」
「そうか…感謝する。お前のお陰でテストで測れない実力があることを知ることができた。次はこうは行かない」
はんぞー君は達也に手を差し出した。咄嗟の事で達也は驚いていたが不敵な笑みを浮かべて差し出された手を握り返した。
心なしかはんぞー君の表情も先ほどよりも明るいように俺には見えた。
◆
パンっ!と手の叩く音が聞こえる。
音の発信源は姉さんだ。何時ものように柔らかい笑顔を浮かべていた。
「さぁ!仲直りも終わったことだし生徒会室に戻りましょうか?」
そう言って全員が生徒会室に戻ろうとした瞬間、模擬戦場に一人の漢が現れた。
「む…ここにいたのか七草達」
その漢は学生と呼ぶには少し年上過ぎるようなオーラと体格を持った人物だった。
「あら?十文字くん。何故ここに?」
十文字と呼ばれた胸板が厚すぎる漢がここに来た理由を答えた。
「服部が模擬戦を行うと聞いてな。結果は新入生の勝利か」
「申し訳ございません会頭。自分の油断が招いた敗北です」
「気にするな。相手が上手だったのだろう。精進しろ」
「はい!」
はんぞー君から十文字先輩が俺に向き直る。いやこの顔見たら子供泣くぞ絶対に。厳だもん。
「…お前が七草八幡か。姉から聞いていると思うが自己紹介させてくれ、俺は十文字克人。この学校の部活連の会頭を務めている」
「わざわざすいません。俺…自分は七草八幡です。よろしくお願いします、十文字先輩」
「よろしくな…早速で悪いんだが俺と模擬戦をしてくれないか?お前の実力を見てみたい」
「…はい?」
何故か十文字先輩と模擬戦を行うことになった。どうやら今日も面倒ごとに巻き込まれてしまったようだ。
スマン妹達、今日もお兄ちゃんは帰るのが遅れそうです…
服部先輩の扱いと十文字先輩の口調これでいいのか不安です。