今回めっちゃ短い…ですがどうぞ…!
リーナはバランスに言い渡され潔く日本行きを諦めた…のだがその想いが再燃し始めたが任務に赴くカノープスは自分よりも軍人歴が長い先輩部下であり自身が使用できる戦略級魔法【ヘヴィ・メタル・バースト】を抜きにすればシリウスにおいて最強かもしれないと思っており任務に失敗することはないだろう…そうだ、と自分に言い聞かせた。
「そうよ、手は出さない。ここで大人しくしている…でもかた、んんっ!親友…に警告するくらいには問題ないわよね!?」
片想い、と言い掛けて真っ赤な顔をして顔を左右をブンブンと振った。あからさまな自意識過剰であるのだがリーナの心情的に自分に言い聞かせる為だった。
随分と可愛らしい子供っぽい態度にリーナはハッとして自分でもそう思ったのか咳払いしてヴィジホンのコンソールに向かった。
現在時刻は真夜中の二時。本来ならもう既にリーナは就寝している筈だが明日は非番であったため連絡をとることにしたのだ。向こうの時刻は十八時でちょうど良い時間だ。
リーナは躊躇する自分に喝を入れて八幡のナンバーを選択してコールした。
数度のコールの後に画面に光が宿ると一年ぶりに再開する片想いの少年の顔が映る。見た目は余り変わっていないがその特徴的な瞳には光が宿っているように見えた…のだがその画面に映る人物は八幡”だけではなかった”。
「…はい?」
思わず声にその疑問を出してしまったリーナ。
『あ、おい勝手に通話に出るな…って…リーナか。久しぶりだな。』
「え、ええ久しぶりね…」
画面に映ったのは深雪に似た雰囲気…ではあるが此方の人物の方が冷たい印象を思わせる黒髪の少女がソコにいた。
どうして八幡の部屋に別の女がいるの?と少し複雑目の前にいる少年に当たりそうになったが。
『…いきなり連絡してくるなんて珍しいな、ってそっちは夜中じゃないのか?』
「通話したくなったのよ!悪い!?」
怒り気味についつい反応して八幡に言い返してしまう自分にハッとするリーナだったがその本人は頬を掻いていた。
『別にそう言う訳じゃなかったんだが…女子が夜更かしするのは美容の天敵…じゃなかったかな、って思っただけだ。それにお前ぐん、…学校あるのに良いのかよ?』
今軍、って言い掛けたでしょと突っ込みを入れたくなったが隣にいる少女に気づかれないようにしてくれたのだ、と感じて少し嬉しくなった。が、それはそれとして。
「…ところでどうして八幡の部屋に女の子がいるのかしら?」
八幡に姉妹がいるのは知っている。が今目の前にいる少女は深雪でもなければ自分が学校にいた時には見たことがない少女であった。
『…こいつは俺の幼馴染だ』
「幼馴染?」
『ああ。…比企谷家の時のな。…それより突然どうしたんだ?連絡してくるなんて。何か重大な話か?』
真面目な表情に変わる。話をはぐらかされたような感じがしたがこのままでは八幡に対して余計なことを言いそうになったので一息吸って予め伝えておこうと思っていたことを告げた。
「大事な話なのだけれどその…」
『ああ。そう言うことか。…悪いんだけど真夜部屋から出てくんない?』
『…わかったわ。』
そう言って真夜と呼ばれた少女が不承不承と言わんばかりの表情を浮かべて八幡の部屋を出ていく後ろ姿を見送った。
二人きりになったことを確認しリーナは話し始めた。
「んんっ!…改めて久しぶりね八幡。」
『結局ソコから始めるのか…ああ。久しぶりだな。…ざっと一年ってところか?』
「まぁ概ねね。それよりも少し疲れているみたいだけど大丈夫かしら?」
『お前の方こそ訓練キツそうに見えるぞ?さすがはスターズの魔法師、前見たときよりも痩せたんじゃないか?』
「年頃の女の子に向かって”痩せた”は禁句よ八幡。真由美や深雪から習わなかったのかしら?」
『話を振ってきてそれかよ』
この気軽い掛け合いはリーナは好ましいと思っていた。自分に対して嫉妬も恐れもないただのアンジェリーナ・クドウ・シールズとして見てくれている彼に今の自分を取り囲む状況を解決してくれるのではと錯覚するほどだ。
「そう言えば八幡。貴方真由美達と婚約したんですってね?」
自分でも奥歯にモノが挟まったような物言いだ、と思った。
『…随分と耳が早いんだな。』
「あの七草のプリンスの婚約だもの。関心を持たずにはいられないわ。それも真由美だけじゃなくて深雪達となんて」
その言葉に八幡は目頭を押さえて天を仰いだ。
「…USNAでも俺がハーレム築かれてるって思われてるのか…解せぬ。まぁでも俺を好いてくれて婚約者に立候補してくれたのは…まぁ嬉しいと言うか。その…さんきゅな。リーナにお祝いされると思わなかったからさ」
「本当はその中に私もいたいのだけれど…」
『?なにか言ったか?』
「!?ううん!なにも……ごめんなさい。」
思わず自分の本心をポロっと告げてしまったことに聞かれなかったことに安堵すると同時に聞かれれば良かったと思う反面で複雑な心境だった。
一方で八幡は何を言っていたのか分からなかったのもあり聞き返したかったがその雰囲気を察するしかなかった。
本題に入らせる為に八幡から質問した。
『お祝い…って感じじゃなさそうだな。』
「ええ。八幡【七賢人】の事は覚えているわよね?」
『ああ。連中から何か新しい情報でも手に入ったのか?』
八幡は遭遇したレイモンドの顔を思い出しながらリーナに訪ねた。パラサイト事件の際に情報を受け渡されていたが顔までは見ていないのか名前を言わなかった。さすがの七賢人も現役の軍人…最強の魔法師である【アンジー・シリウス】に知られるのはリスキーだと感じていたのか。
「ええ、そうよ。七賢人の情報によると日本で大漢の生き残りがテロを画策しているらしいの」
八幡の質問を質問で返してしまったがリーナはそれを質問と捉えてくれたのか会話は進んだ。
「首謀者の名前はジード・ヘイグ。中国名で顧傑。崑崙方院の生き残りで魔法師と推定されるわ。」
『(…これでバランス大佐から貰った情報と辻褄が合うな。なら日本で行動を起こす…ほう)そうなのか。』
「ええ。察しの良い貴方だからもう分かると思うけど彼は四葉に対して何らかのリアクションを起こすものだと思うわ。」
『深雪と達也が標的になる、と…少なくとも俺が顧傑ならあの二人を襲わないと思う。返り討ちにされると思うが…卑怯なやつだ、何かしらの手を使って狙ってくるかもしれないし気を付けるよ。少なくとも俺は四葉の婚約者だからな』
そう答える八幡だったが狙ってくるのは自分だろうな…と思っていた。レイモンドより顧傑が自分を疎ましく殺したいほど憎まれていると言うことを聞かされていたからだ。
自分だけが矢面に立てば良い…と思っていたが今現状それを許してくれない状況に陥っていた。
自分が巻き込まれれば婚約者達にも被害が及ぶ…魔法師としての才能は全員一級だろうが相手は古式魔法師、どんな搦め手を使ってくるか予想もつかず現在魔法師の排斥運動が高まっているそれを利用してくる可能性だってあるのだ。自分を狙ってくれるなら助かるが、と心の中で付け加えたが。
「八幡…貴方他人事のように言っているけど貴方も無関係って言っていられないわよ?標的になるわ。」
『俺を狙ってくれるならすぐに終わらせられるんだがな…』
八幡はいたく真面目な表情で答えた。その回答にリーナは呆れたような表情を浮かべている。
「…ああ。そうね。貴方だったらどんな敵でもただのカカシになりそうだものね?」
同時にリーナは納得していた。
リーナは八幡の本当の実力が分かっていない。あの時に精神干渉系統の魔法を使ったためにリーナは八幡の事を【幻術使い】だと思っている節があるからだ…とはあるがパラサイトとの最終決戦で使って見せた魔法を見てそれはい我有のでは?と思っていた。
が、しかし実際に対峙しているリーナには分かるが彼に敵う魔法師など自分を含めいないということだ。悔しいことだが彼が同じUSNAにいるのなら彼をシリウスにするべきだろうと思っていた。
そんなことは口が裂けても言えないし彼女のプライド上それは許さなかった。が、旧世代のミサイル装備如きでは彼を傷つけることは出来ないだろう、と自信を持って言えた。
『…どうした?心配ごとがなくなった、ってみたいな表情を浮かべてるが…』
八幡からの何気ない指摘にリーナは自分の心拍数が跳ね上がったのを感じ取った。
「いえ、その…ほら」
『?』
画面の向こうでは八幡が困惑する表情を浮かべ見つめている。そのメガネ越しの瞳に見られることで更にリーナの心拍数が上昇していた。
ついに感情の要領が満タンになって溢れ出してしまった。
「あーっ!もう!ほら、つまり、私は貴方の事が心配だった……ハッ!?」
口に戸は立てられない…後の祭りであったがリーナは咄嗟に口を手で押さえる。画面をマトモに注視できなかったが下げた視線を今一度画面へ向けると八幡も視線を画面の外へ向けて頬を掻いていた。
『…つまりリーナは俺の事が心配でこんな夜中に連絡をしてきた…とまぁ、その…なんだ、有り難う、心配してくれて』
「……」
『………』
お互いに黙り込んでしまって無音が広がるがそれを崩したのは連絡をしてきた本人だった。
「お、御礼なんて良いわよっ!?…知らん顔をして貴方が何処とも知らない魔法師にやられた、何て聞きたくなかっただけだし…別に他意があった訳じゃないんだからねっ!?じゃっ!!」
『あ、おい…』
リーナは深夜だというのに大声を挙げて通話を一方的に切った。ここが一般賃貸なら横から壁ドンを食らっていただろうがここは士官の防音声の高い寮のため問題ない。
リーナは乱暴に着ているものを投げ捨ててパジャマも着ずにそのままの姿で布団へ潜り込んだ。
◆ ◆ ◆
「何だったんだ一体…」
真っ黒になった画面を見ながらリーナに通話を切られて途方に暮れていると後ろから声が掛けられた。
「さて、八幡今の子が誰なのか教えて貰いましょうか?」
「つかお前部屋から出ろって言ったのに何故いるし…」
「い・い・か・ら・お・し・え・な・さ・い。教えないと深雪に私の裸に見惚れていたことバラすわよ?」
「えぇ…どんな脅しだよ?」
その後結局八幡は真夜の圧力に押されてリーナとの関係を少しだけ暴露?した。
「…ふーん。貴方USNAにも伝があるのね。よくもまぁ敵を味方に引き込むなんて弘一さんに似たわね貴方。」
「そうかい…」
似ている、といわれて少し嬉しくなった八幡は少し表情を柔らかくしていた。
「それにリーナって子…貴方本当に刺されても助けてあげないから」
「…そうかい、リーナもさっき言ってたけどお前も気を付けろよ?一応俺の幼馴染み、ってことになってるから」
「あら?私が逃げ出した三流魔法師に負けるとでも?」
彼女が強いのは知っているがそれとはまた別の話だろう。いくら強いと言っても相手は数十年生き延びた魔法師でありどんな手を使ってくるか分からないからだ。それこそ下劣で卑怯な技を。
「…そう言うことじゃねえ、お前からしてみたら崑崙方院の魔法師ってだけで嫌悪感を覚えるだろ。それにどんな手を使ってくるか分からない…俺の目の届く範囲にいるとは限らないからな。守ってやれないときもあるだろ」
そう告げると呆気にとられた表情を浮かべる真夜だったが次の瞬間に顔を紅くした。
「…どうしてそう言うことを素面で言えるのかしらこの従弟は」
歯の浮くような台詞に真夜は頭を抱えつつ頬を染めながら睨むように八幡を見つめたが困惑するしかなかった。
「それ今関係あるのか…?」
「あるわ」
「えぇ…?」
じゃれあい?をした後情報共有をして襲来するであろう顧傑に対して警戒するのだった。
◆ ◆ ◆