とある深夜。
「ええ。そのように…申し訳御座いませんがそのタイミングでお願いします。事を丸く収めるためにはこうするしかないかと」
『そうだな…元はと言えば此方が不用意にあのようなものと手を組んだことが間違いだからな…』
「ええ。それに関しては一切擁護するつもりはありません。」
電話越しに八幡は向こうに容赦なく切り捨てた。その言葉に苦いものを浮かべるが仕方がない、と言う色が浮かんでいる。
『…息子の不始末は私が負う。八幡くん済まないが…』
「大丈夫です。父には
『そうか…安心した。では
「よろしくお願いいたします。”老師”」
通話を切ってこれから起こる十師族での混乱を思い浮かべ「上手くやってくれよ…老師、父さん…」と願う他なかった。
◆ ◆ ◆
リーナからの忠告から一週間が経過した。
その間に八幡は弘一と朔夜へ報告し四葉と七草は秘密裏にジードヘイグの動向を調査したりしたのだが手がかりはなにもなく日本国内で起こるであろうテロも発生せずにいた。
なにも見つけられずにいたのは八幡だけでなく達也や、USNAのカノープス達も進展が見られなかった。
そして今日は二月四日…師族会議が開かれる日となった。
「結局は進展無し…か」
「お姉さまも探りをそれとなく入れているようだけれども手がかりを掴めないみたい(私の方でも調べているけど尻尾を掴ませない…念入り、というわけね)」
「公安も無能って訳じゃないが…ってお前ここにいて良いのか?」
「居て良いのか?ってどういう意味かしら?」
朝、一緒に登校している八幡と真夜が並んで会話しているとそのやり取りが可笑しく思ったのか怪訝な表情を浮かべている。
「…違う違う。お前仮にも四葉の当主だろうよ。会議に参加しなくて良いのか、ってこと」
合点が言ったという風に頷いて見せる。
「あぁ…そう言うこと。お姉さまが私の姿で参加しているから問題ないわ。それに今の私は”狐坂真夜”ですもの」
ニコリ、と笑って見せると楽しんでるんだな…と内心思っていると真夜からジト目で見られて肩を竦める八幡。
「おはようございます八幡さん。…お、さま…ではなくて狐坂さん」
「おはよう八幡、おば、狐坂さん…」
背後より声を掛けられるとそこには二人の兄弟の姿があり良い淀んだのは未だに真夜を叔母呼びしそうになっていたからだろう事を察して八幡は苦い顔を浮かべると達也も苦い顔を浮かべる。
「おはようさん二人とも。つかいい加減なれろよ…って無理か」
「いや、それは…」
「流石に無理があるだろう…」
深雪と達也が揃って良い淀んだのは八幡はまだしも真夜は直前まで自分達のある意味”恐れ”でもあったのに同年代になっている事が異常、という以外に無いからだ。
「それを言うなら貴方と深雪さん達だって…ねぇ?」
「それを言ってやるなよ…」
四人揃って並んで登校する姿は既に第一高校の学生達は見慣れた姿であり魔法師であれば卒倒する光景だろう。
”七草”と”四葉”が仲睦まじく雑談しながら同じ学舎に向かっているのだから。
実際にはここには”四葉”の関係者しか居ないのだが。
八幡達は達也と分かれ教室へ顔を出すと中にいたクラスメイトが驚いた表情で二人…八幡と深雪を見ている。
「おはようさん。雫、ほのか」
「おはよう。雫、ほのか」
自分の席に移動し荷物を置いて挨拶し座ると硬直し静まり返ったクラスメイトは解凍されたように動き出す。
「二人ともどうして学校に来ているの?!」
ほのかが悲鳴にも似た声を上げる。それを皮切りに…というよりも聞きづらいことをほのかが聞いたことで2ーAのクラスは大きなざわめきに包まれる。
「いや、なんで…って平日なんだから学校に来るのは当たり前だろ?あ、それとも今日閉校記念日とかだったか?しまったな…今日合法的にサボれる日だったか?それとも俺仲間はずれにされてる?いじめにあってるのか?」
参ったな…と言うようなジェスチャーをすると隣にいる深雪が「その返しはどうなんですか…?」と若干引き気味で真夜も「あなたがそれを言うの…?」と信じられないものを見るような眼で見て逆に問いかけたほのかは泣きそうであり雫もどうフォローして良いのか分からない表情を浮かべているのを見て
「(不味い、流石に自虐ネタ過ぎたな…)じょ、冗談だ…俺たちが欠席すると思っていたのは今日が師族会議だからだろ?」
「そ、そうです!でもどうして…?二人とも会議場に向かわなくて良いの!?だって今回は選定会議なんでしょう?次期当主なら…」
「別にあれに参加するのは現当主だけだぞ?まぁ十文字先輩は参加しているかもしれないが俺と深雪は参加しなくて良い。それに開催場所は警備も兼ねて参加者だけにしか教えられていないんだ。親族、次期当主であっても例外じゃない」
そうほのかへ解答すると深雪も頷く。実際に開催場所は教えられていない。
開催場所を知る人間が少なければ情報が漏洩する可能性が少しでも低下する訳なので合理的だ。重要機密をデータでなく紙媒体で残しておくのと一緒である
「…まぁ、どんな会議をしているのか気にならない訳じゃないがまだ学生気分を味わっていたいし大人達の領域に足を突っ込んで厄介事に巻き込まれたくないしな…」
(((お前がそれを言うのか…?)))
厄介事に巻き込まれる…というか引き起こすのはお前では?とクラスメイトの意見が一致した瞬間だった。
そんな想像を他所に八幡は窓の外を見つめた。
(なにも起こらなきゃ良いけどなぁ…)
平穏を望んでいる裏腹に問題が起こらないことを祈りつつ八幡は内心で深い溜め息を吐くのだった。
◆ ◆ ◆
日本国内の某所、とある高級ホテルの会議室にて定刻時刻になり扉が開かれると続々と円卓の席が埋まっていく。
この会場に集うのは日本魔法師の頂点に立つ”十師族”の各家長達であり十文字家のみ次期当主を引き連れ会場入りしている光景が目につくがそれを誰も咎めないのはここにいる面々が感づいているからである。
当主全員が席に着くと次期当主で最年少の克人が会議室の扉を閉め終えると最初に口を開いたのは九島家の真言であった。
「十文字殿、もうお体の加減はよろしいのか?」
円卓を囲むのには理由があり師族会議では全員が対等…ではあるが進行役がいなければ不都合ということでこの場では最年長である真言が進行役を勤めていた。
…といってもこの中では真夜(偽)が一番の年長者なのだが。
ともかく開口一番に十文字家に問いかけたのは世間話のためではなく数年間師族会議を欠席し代理として十文字克人を代理としていたからである。
「それについてはご報告したいことがあります」
十文字家当主である和樹が立ち上がる。その姿にこの場に集った当主達は重要な知らせである、と感づいた。
「突然ですが、私、十文字和樹は今日この場を持ちまして十文字当主の座を息子である克人に譲りたいと思います。それを今日この場にお集まりいただいた皆様に立会人となっていただきたい。」
「それはまた随分と急なお申し出だ」
場の疑問を真言が纏めた。
「以前から考えていたことです。克人が成人を向かえてからと考えていましたが魔法師として使い物にならない私が何時までも当主の座についているのも十文字家のみならず十師族としても好ましくない…と判断しました。」
「魔法が使えない…とはどう言うことですか?」
切り出しにくい話題を一条家当主である剛毅が質問する。
「三年前から魔法力低下の病に掛かりまして。二年前には既に実戦に耐えきれなくなりその仕事を息子の克人に任せておりましたが数ヵ月前に魔法力を喪失してしまったのです」
その言葉に議場にいる全員がどよめく。
「魔法力低下の病、ですか?そんなものがあるとは初めて聞きました。失礼かと存じますがそれは魔法師として重大な問題です。詳細は…」
発言したのは弘一だった。知的好奇心ではなくそれが魔法師で発生する”病”であるのならば直ぐにでも治療法を確立させなければ、と考えていた。
「七草殿。その心配はご無用です。この病は十文字家固有のものですので…」
「固有……なるほどこれは失礼した。どうか気を悪くしないでいただきたい」
「お気になされるな七草殿。貴方が魔法師の事を考えていることは承知している」
「こう十文字殿も仰っていることですし七草殿もあまり深く考えないということでよろしいのでは?」
弘一が和樹に頭を下げようとするのを手で制し真夜(偽)が上げさせようとしている…擁護するその姿を見た他十師族の面々は驚いた表情を浮かべた。
「分かりました。十文字殿」
弘一が頭を上げるのを見て和樹が問いかけた。
「それで皆様十文字継承の件、如何でしょうか?」
「私どもの立ち会いがなくとも十文字家の事は十文字家でお決めになって宜しいかと存じますが…私は構いません。喜んで十文字家当主の克人殿の継承の立会人となりましょう。」
「私も構わない。むしろ光栄なことだ。喜んで証人とさせていただこう。」
真夜(偽)が声を上げ続くのは六塚家当主である六塚温子がそれに続いた。
「私も他家の家督継承にとやかく言うつもりはありません。克人殿の当主就任をお祝いさせていただきます。和樹殿は残念ではありますが、これまでの魔法界への尽力、お疲れさまでした。」
二木家当主である二木舞衣が告げると続々と各当主達が労いの言葉を掛ける。
「では克人殿。席に座られよ」
克人が和樹を議場の外へ送り出し戻ってくると空白となった座席に着席する。
こうして十文字家は新たな当主として十文字克人を据えることになったのであった。
◆ ◆ ◆
師族会議が始まり各家は近況報告を行う。
横浜襲撃以降各地にて監視と警戒が強まり其々が説明、定例の報告が一段落した所で声を上げると会場の空気が一変した。
その声を上げたのは一条剛毅であった。
「九島殿。この場を借りて一つお話ししたいことがあるのですが」
「一条殿、どうぞ。」
「お時間を頂戴します。…では」
剛毅は対面に座る弘一と真夜(朔夜)を見据えた。
「七草殿、四葉殿。次期当主のご決定おめでとうございます。」
「ありがとうございます」「ありがとうございます」
両家は顔に愛想笑いを張り付けており弘一はサングラスの奥に絶対的な自信を宿し、真夜(朔夜)は「来たか…」と少し冷ややかな目で返していた。
「しかし、七草殿。ご子息の重婚は承服いたしかねる」
「何故でしょうか?結婚という私事に師族会議の承諾を得る必要はないと思っていましたが?それに既に息子の重婚は特例的に魔法協会より許可を頂いておりますが?」
「確かに只の婚約であれば私もこのようなことを申し上げません。しかし、将来的に貴重な魔法師の才が失われる可能性があるのならば話は別です。」
そうつげて剛毅は二人を見る。
「ご子息の【覚醒遺伝】…でしたか。文面を見るだけならば確かに日本魔法界の繁栄は喜ばしい。しかしながら彼一人に複数の女性を宛がうとなれば非魔法師からの避難と特権階級であると昨今の魔法師への風当たりは強くなるでしょうしそれに将来的にご子息の血を受け継ぐものが増えれば遺伝子異常も発生する可能性もある…現にナンバーズの婚姻の際従姉妹同士の結婚は避けるべきだと」
そう告げると九島真言が卓上で指を組み端からみれば思慮深く考えているようにも見えた。
一方でその言葉を聞いて真夜(朔夜)と弘一は内心で苦笑いを浮かべていた。
「傾向がある、というだけで禁止されていないでしょう。それに実例もありますよ」
八代家当主が口を挟むが反論する。
「リスクがゼロになる、というのは有り得ません。全ては程度の問題です。」
「…それで一条殿は私どもに何を仰りたいのか?」
「私が申し上げたいのは単純です。七草家次期当主七草八幡殿の重婚許可を取り消すべきだ、と申し上げている。」
「ほう?」
「それにまだ一条家は四葉家に対して何の解答も戴いてはいない」
「それ貴家の将輝殿の当家の深雪に対する婚約申し込みについてでしょうか?」
それが本題か、七草と四葉両名は重婚を建前としてそれを告げてきたのだと理解した。
「そうです」
弘一に代わりそう言いきると真夜(朔夜)は心底うんざりそうに溜め息をわざとらしく吐き出した。
「何を仰るのかと思えば…一条家の次期当主は将輝殿ではなくて?それにこの婚約は両家同意の元に決まったお話しです。」
「それを仰るのであれば深雪殿も四葉の次期当主でしょう」
剛毅も一歩も引かぬ、といわんばかりに真夜(朔夜)へ食らいつくが対する彼女は薄い笑みを浮かべる。
「ああ。その事ですか。確かに当家の深雪も次期当主に決まった身ですがあの子が選んだ少年です。それを大人の都合で引き裂こうなどと冷血に過ぎませんか?深雪も次期当主、という点を一旦道に置いておいても両者が同意している婚約話にいきなり割って入るなどと…そもそもお話自体が成立するとは思いませんが」
そう言って真夜(朔夜)は弘一をチラ見すると頷いた。
「非礼についてはお詫びする。だが此方も真面目にお願いしているのだ。決してふざけ半分や嫌がらせで申し上げているわけではない」
「真面目に?婚約者のいる娘を寄越せ、などと仰るの何処が真面目だというのかしら?」
「息子は真剣に深雪殿と結ばれることを願っている。もし結婚をお受けいただけるのなら将輝は四葉家へ差し上げるつもりだ」
その言葉に会場にいる当主達はざわめいた。
当然だろう齢十三歳にして実戦を経験し力を示し、先の横浜争乱でも実力を示した今現在でもその実力は一流の戦闘魔法師であることは疑いようもないそんな一条の秘蔵ッ子を手放しても良い、という剛毅の本気ぷりに戦慄した。
嫌がらせではない、という剛毅の言葉は疑いようもないことを七草と四葉は認めざる得なかった。
が。
「そうですか…ですがその申し出、受け入れるわけには参りません」
真夜(朔夜)の表情から不快感は消え去ったものの冷たい視線は変わらなかった。
「…理由をお聞かせいただいても宜しいか?」
「一条殿が親として子の願いを叶えてやりたいという気持ちは分かります。それは言うなれば私にも当てはまることなのです。私にも叔母として姪の気持ちを尊重してやりたい、と考えているのです」
「深雪殿の気持ち、ですか?」
その問い掛けに一瞬答えようか迷った真夜(朔夜)であったが答えることにして内心で謝罪した。
「ええ。姪の深雪は数年前の沖縄侵攻…その際に七草家のご子息に命を救われているのですよ。」
衝撃の事実に剛毅と各家の当主は驚いていた。
「……」
「一時に出会ったとは言え深雪にとって彼は命の恩人でありその勇気ある行動に心惹かれ”一目惚れ”したのです。それからである可能性もないのに深雪は一途に彼を思い続けた…それで数年後同じ高校で再会する、まるで物語のようだ、と笑われるかもしれませんが深雪はそれはそれは大層に嬉しそうに語ってくれまして。そう言うことなのですよ一条殿」
暗に”お前の息子に私の姪の好意の矢印が向くことはないから黙っていろ”と告げていた。
真夜(朔夜)の言葉に同性である二木舞衣と六塚温子はうんうん、と頷いた。共感したのだろうそれは向けられる視線は剛毅にとって冷ややかなものへ変わりそうだった。
「しかし、深雪殿の気持ちは動かせないものでしょうか?将輝にもチャンスを戴けないだろうか?」
「チャンス、ですか?」
「深雪殿は将輝の事を殆ど知らない筈だ。」
「それを仰るのなら将輝殿も同じでは?ご子息は深雪の事は容姿以外知らないのでは?」
「ですからお付き合いするチャンスを戴きたい、と申し上げているのです。それでお互いの事を知りそれでもうちの将輝を選んでいただけないのであれば当家も諦めます」
その言葉に弘一が反応した。
「一条殿。先ほどから聞いておりましたが当家にも息子である八幡に対しても随分と失礼なことを仰っていることを自覚しておいでか?八幡に対するその言い分は男として暗に将輝殿に劣っている、とそう仰っているようにしか聞こえないですが」
剛毅の言葉が詰まった。彼にそんな気は無かったが確かに親バカ発言であったと思ってしまったのと先輩でもある弘一からキツい言葉を掛けられたからだ。
実際に八幡は養子ではあるが魔法技能は一級でありその実力は横浜騒乱の際に遺憾なく発揮されており”格”というものであれば劣るとも勝らない…いや勝る部分が大きいかもしれないが。
師族会議での話では八幡の重婚を認めないと発言したのは剛毅だけであり他当主達は賛同するようなコメントを残すのが多数、他は控えていた。
そして四葉家としては一条家に「そこまで言うのならば将輝殿ご自身で深雪の心を動かすがよろしいでしょう。ご器量をお示しして深雪の心を動かすようであれば後は本人の気持ち次第ですので」と将輝は深雪に対してアタックすることの挑戦権を手にする子が出来た?のだった。
子供達の結婚話で気疲れした当主達は一時の休憩を取った後に会議が再開した。
その開始直後に弘一が爆弾を投下する。
先程までの婚約話以上の面倒事…特大のスキャンダルの話を。
「皆様。私から一つ申し上げたいことがございます」
「ほう?一体どのような話だろうか?」
真言に促されて弘一が真夜(朔夜)へ薄い笑みを浮かべると同じく微笑みを浮かべ頷いた姿をみて七草と四葉、その両家の関係が完全に回復したことを確認し十師族当主達の背中に不気味なものが走る。
弘一はおもむろに真言の方をみて口を開いた。
「皆様は周公瑾という人物をご存じだろうか?」
その言葉を発した途端に真言の身体が強張ったのを見逃さなかった。それは
「しゅうこうきん、ですか?」
「三国志に登場する呉の周瑜の事では御座いませんよね?」
六塚と八代が其々の反応、質問を受けると弘一は首を横に振る。
「横浜中華街を根城にしていた大陸出身の古式魔法師のことです」
そう言って弘一は真言をみて問いかけた。
「その者の事を向こうでは”道士”というのでしたな。九島殿」
「あ、ああ…大陸の古式魔法師達はそのように呼ばれる事が多い」
サングラス越しの弘一の瞳に見つめられ自らの震え出さないように全力で自分を押さえつけている。
「どうされました九島殿。顔色が優れないようだが…」
「いや、なんでもない。一条殿」
剛毅は真言の不審な態度に首を傾げるが弘一に視線を戻す。
「それでその周公瑾なるものが如何したか?」
「反魔法師国際政治団体『ブランシュ』犯罪シンジゲート『無頭竜』。横浜事変を引き起こした大亜連合の破壊工作部隊…そして去年国内で発生した吸血鬼事件引き起こした『パラサイト』。その手引きをした黒幕…ではなく日本でのその代理人、と言った方が正確な人物です。」
弘一は八幡から知らされた情報と自らが調査した情報をこの場で暴露した。
その事にざわついた空気が会議室を満たした。
「七草殿」
雷蔵が軽く手を上げて質問した。
「
「周公瑾は昨年の十月に一条将輝殿、司波達也殿、九島光宣殿の協力を得て八幡が仕留めました」
その言葉に剛毅は息子からその経緯を教えられて知っていたが真言は聞かされておらず意外感を覚えていた。
真夜(朔夜)は知っていたのでそれなく表情を浮かべていたが弘一は少しドヤっていた。
その報告を受け各当主達は感心したような顔で頷いた。
「光宣殿といえば九島家の末のご子息でしたな」
「一条家の将輝殿、四葉家の達也殿、七草家の八幡殿、九島家の光宣殿と…なんとも頼もしい限りです」
三矢元が手放しで称賛すると他当主も同意した。
「そうですわね。優秀な次世代が育ってくれることは本当に喜ばし限りです。日本魔法界の未来は明るいですね」
二木舞衣も顔を綻ばせながらそう告げる。
「私や十文字殿からすれば次世代というよりも後輩になりますが。頼もしい限りだ。」
六塚温子のコメントが年長組の笑いを誘ったが弘一が放った台詞で霧散することになる。
「九島殿。貴方は周公瑾と共謀関係にありましたね?」
円卓が静まり返る。
「七草殿…それは確かな根拠があっての発言ですか?」
五輪勇海が掠れた声を絞り出す。そうすると弘一は懐から紙の資料を取り出して円卓においた。
そこには
「九島殿。貴方は周公瑾を引き入れ彼らが使う大陸の魔法式を使い九校戦を一種の実験施設として扱い『P兵器』…パラサイトを用いた無人魔法兵器の運用を目論み何の罪もない若い魔法師達の人生を終わらせようとした…その場にはここに集う十師族当主達の子息女もいたことを。この行動が彼の者が引き起こした数々の厄災、日本魔法界の利益を害していると言う事をお分かりか?」
その発言に各当主達の厳しい視線が九島家へ注がれる。何も発言が出来ない真言は冷や汗を掻いて黙ったままである。
「どうしてそのようなことを我々に相談していただけなかった…?やりようは幾らでもあった筈です。我らの国を蹂躙するような輩と手を組むなどと。九島殿。どう落とし前をつけるおつもりか?」
サングラス越しに憐れみを持った視線を真言に向けると各当主が其々に言葉を告げようとしたその瞬間に会議室のドアがノックされた。
「済まないが入れてもらっても構わないだろうか?」
魔法により防音されている外より声が響くとそれは全員が知る老人の声でありこの中で一番若い克人が立ち上がり一座を見渡すと全員が首を縦に振るのを見てノックされたドアへ向かい開くとそこには引退した九島家前当主…九島烈がそこに立っていたのだった。