【完結】俺は綴命の錬金術師   作:発火雨

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バリーから見た綴命の錬金術師

 俺の名はバリー・ザ・チョッパー、かつてセントラルを恐怖のどん底に落として、一躍時の人になった男だ。そのはずなんだけどよぉ……

 

「おめぇがアルフォンスの兄ちゃんか、弟と比べて小せぇな、ちゃんと肉食ってんのか?」

 

「うるせぇ!誰が弟と比べて小さくて威厳がない豆粒野郎だ!大体今のおめぇなんか、鉄板一切れで俺よりちいせぇミニマムボディのくせして喧嘩売ってんのか!」

 

「まぁまぁ兄さん、鉄板に怒ってもしょうがないでしょ、落ち着いて、話が進まないよ」

 

 あのラストって女を切り刻んだ日、あの感触は今でも忘れねぇ、普通の人間よりも刃に伝わる濃厚な感触、肉も骨も血すらも力強く伝わる感触。たまらねぇなぁ。しかもいくら切っても生えてくるし、誰にも責められねぇおまけ付き。俺以上におっかねぇ爪を持ってたが、そっちも先生の作戦のおかげで何とかなったし。

 

「そもそもラストってホムンクルスには逃げられちまったんだろ。そのうえこんなに切り刻まれて、どうですか豆粒みたいにチビになりやがって、俺はこんな小さい奴見たことないね」

 

 途中まで上手くいってたんだ。不老不死でいくらでも再生する化け物の特性を逆手に取って、足を特製のアンカーで固定して上半身を集中的に攻撃する。そんでもって時間を稼いだところに相棒が可燃性の液体をぶちまけて、マスタングの旦那が全力で焼き切る。あんときは凄まじい熱風で溶けちまうんじゃねぇかと思ったぜ。相棒なんかすぐさま離脱したしよぉ。

 

 だが、ほんの一瞬だった。突然パイプから蠢く影みてぇなのが飛び出したと思ったら。黒こげのラストの賢者の石を掴んで、俺様の鎧の中に投げやがった!俺の中で再生したと同時にバラバラに切り刻みやがって、こんちくしょーめ。血印が入ってる欠片を相棒が運んでくれなかったらどうしてくれるんだ。

 

「うるせぇ!元々おめぇさんよりもずっとずっとデカかったんだよ、おめぇさんがアルフォンスを作ったんだろ、同じように早いとこ直してくれ。相棒の首にかかりっぱなしなのは不便でしょうがねぇや」

 

 まぁ結果的には、外を大量の軍人に包囲されてたからな、相棒に銜えられたまま空を遊覧飛行して、ここまで逃げ帰って来たってわけよ。

 

「だからいってんだろ、お前とアルじゃ魂と鎧の構成が違うから、作ったやつにしか直せねぇんだって、それにバラバラになった破片も軍に押収されちまったし、あれがねぇと鎧を再構築できねぇんだよ。アルがおめぇの体回収してきてくれたんだから、普通元の体に戻りたがるだろ」

 

「だから、俺の体腐りかけてんだって、元に戻った瞬間死んじまうよ。おいおい、ずっとこのままはごめんだぜ、先生!何とかできねぇのかよ、お得意の合成獣でよ、何なら俺合成獣になってもいいぜ、肉切れねぇのは退屈で死んじまうよ」

 

「あの、タッカーさん。実はバリーの話を聞いて思ったんですけど、相容れないものに魂を定着させた拒絶反応、それって僕にも言えることなんじゃないでしょうか?」

 

 アルフォンスの奴がいきなり先生に質問しやがったら、エドの奴もそっちに集中しやがった。なるほどね、なんにでも魂が乗せれるわけじゃなく、相性がある上に、それでも時間制限付きの爆弾みてぇな体になっちまうのか。オマケにエドの話だと、元の肉体がねぇと、魂も死んじまう可能性があるんだってよ。ってことは元の体が腐りかけの俺は……

 

「だあっ!先生何とかしてくれよ。このまま、動けねぇままに死ぬのなんか、退屈で死んじまうよ。俺の体が死ぬ前に何とか鎧の復元って出来ねぇのか?そうだ!おいエド、他の鎧に俺の魂って移せねぇのか。そうすりゃ、またあのラストってホムンクルスも叩ききれるし、愛しのホークアイの姉さんにも会いに行けるってもんだぜ」

 

「それも無理だ、一回目がたまたま相性のいい鎧に定着したってだけで、二度目はない可能性が高い」

 

 このガキ、口は悪いが才能は先生のお墨付きだし、アルフォンスみたいな奴の兄ちゃんやってんだ。俺みたいな人でなし相手にも誠実に話してくれてるのはわかる。だけどよ……おめぇらがそんななりして元の体に戻りてぇみたいに、俺だって切られっぱなしで終わるわけには行かねぇのよ。

 

「なぁ、先生。どうにかならねぇか?この際、手段はどうでもいいからよぉ。何とか動ける体用意できねぇか。そうだ。あんたのお得意の合成獣にしてくれてもかまわない」

 

「無理だよ、バリー。僕たちも元の体に戻るためにずっと旅をしてきたんだけど、まだ手がかりの欠片を掴みかけただけなんだ。それに合成獣だって人型に錬成する技術なんてまだないんだ……」

 

「あぁ、そのことなんだけど、もしかしたらどうにかなるかも知れないよ」

 

 ほらほら、このタッカー先生ってのは面白れぇんだ。俺をこんなんにした科学者と同じ人種のくせに、こっちのことを気遣うしよぉ。俺が元に戻れたら、ゆくゆくは食用合成獣ってのを切ってみないかとか、元の体は死んだことになってるから君が二度目の人生を送り直すなら、殺人鬼ではなくなるんだから、何かしらの方法で前を向いていかなくちゃならないねとか。こんななりの俺を人間扱いしやがる。

 

「実は君たちが元の体に戻れる方法を僕なりにずっと考えててね、さっき聞いたエド君のお父さんから聞いて確認した話と、アル君がバリーの話を聞いて閃いた仮説。たぶん方向性は合ってると思うんだ。そこにほら、こんな風に僕の合成獣技術にシン国の錬丹術の考え方を混ぜたこれをベースに、エド君の魂を鎧に定着させた技術を組み合わせたら……」

 

「んん?なるほど、合成獣は専門外だけど、確かにこれなら……元の人間には戻れないけど、少なくても外見は人間になれるし、定着の問題もクリアできるかも」

 

「そうか、だからバリーの体を先に回収したんだ。バリーもしかしたら生身の体が取り戻せるかもしれないよ」

 

「おうおう、さすが先生、んだら、とっとと何とかしてくれ」

 

 前の鉄の鎧の方が何かと便利だったんだけどよ、こればかりはしょうがねぇな。

 

「完全に元に戻れるわけじゃないし、見た目だって前のままってわけにはいかないからね。それにしばらくは僕らの指示に従ってもらうことになるけど大丈夫かい?」

 

 先生が間に入って、マスタングの旦那と司法取引ってやつをした。いろんな条件を飲む代わりに、フリーで使える駒が欲しいんだとよ。これまたマスタングの旦那もそうだが、先生もうめぇのなんのって、俺の心をくすぐるような、んでもって俺が暴れても問題ないような条件を考えやがる。

 

「よっしゃ!契約成立だ先生。あんたにゃ多少世話になったし、俺様が力貸してやるよ」

 

 ホムンクルスはまた切れるし、ホークアイの姉さんのそばに居れる。

 

「それじゃ先生、ラストみたいになんでも切れる爪付けてくれよ!」

 

「それは無理かな……一応こんなプランで強化を入れようと思ってるけど、他になにか要望はあるかい?見た目や機能性も君の要望を出来る限り抑えとこうと思うから、今のうちに考えておいてくれ」

 

 見せられたメモには、簡単な元の体で強化される身体能力が書かれていた。

 

「あぁその辺は全部先生にお任せでいいや、俺専門的なことなんて全然わからんし、それよりもよぉ、ちょいと思いついたんだが、こんなことって出来るかい?」

 

 あぁ閃いちまった。どうせむちゃくちゃ怒られるだろうけど、一応理屈的には意味があるし。

 

「マスタング大佐に許可を取ればいけるかなぁ、よくこんなこと思いつくね。たぶん散々イヤミも言われるけど認められると思うよ。背に腹は代えられないし」

 

「アル、俺たち、聞かなかった方がいいことを聞いた気がするんだけど」

 

「兄さん、僕もだよ、僕たち何も聞かなかったことにしよう」

 

「一応マスタング大佐に許可を取ったら、降りかかる火の粉は全部任せよう、こんなこともあろうかと、バリーの協力を取り付ける時に、何をするでも許可を取るようにって念を押されたからね」

 

「タッカーさん大佐に責任押し付ける気だね、兄さん」

 

「あぁ、まぁ大佐が困る分には俺たち関係ないからいいけど、どうせタッカーさんが本人に根回しするだろうし」

 

 おいおい、この要望も通っちまうのかよ。こんだけ期待してもらったんだ。ホークアイの姉さん狙うホムンクルスもブツ切りにしてやるし、先生が戦えない代わりにじゃんじゃん切り刻んでやるぜ。

 

「ぎゃはは、面白くなってきやがった。相棒、また一緒に暴れてやろうぜ!」




『バリー強化フラグ』
結局原作通りラストによってバラバラにされた。
でも、あらかじめアルとホークアイに体を回収され、刻印も相棒に回収される。
ラスト戦に二人が出なかったのはこのため(回収と逃げ道の確保に行っていた)
タッカーのいままでの研究結果とバリーの閃きでいったいどうなるのか。
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