「タッカーさん、無事こっちまで来れたんだな」
「一応名目上は休暇扱いなんだけどね、んでもってこっちは」
「ホークアイ大総統補佐は、スカー捜索のため忙しくなった東方司令部のグラマン中将の要請でイーストシティに、今頃仲のいい同期と久しぶりの息抜きをしてるはずよ。表向きはね。ここに居るのはタッカー先生の秘書のマーゴット・オレンジ・ペコーよ」
「おぉ!ホークアイ中尉じゃねぇか。去年の合同演習以来だな」
秘書ってことになってるマーゴットさんの拳が、思いっきりバッカニア大尉の横っ腹に入った。あぁ……逆らうのはよそう。
それから俺たちは互いの情報を交換し始めた。ホムンクルスが国土錬成陣のためにトンネルを掘っていたこと。
「ってエド君まだ寒冷地用のオートメイルにしてないのかい!?ウィンリィちゃんに言わないで来たの?」
「あぁ、軍の人質になってるあいつをこんなところに呼べねぇよ、スカーだって鉢合わせになる可能性があるのに。タッカーさんなんかいい方法ないかな?」
ゆっくり首を横に振るタッカーさん。そうだよな、さすがに合成獣学じゃオートメイルの問題点は解決しないよな。
「ここに居たのか二人とも、アームストロング少将が呼んでる。一緒に来てくれって、ホークアイ中……」
ファルマン少尉が鳩尾にエルボーを食らいうずくまる。いや、行動が早すぎるよマーゴットさん。
「来たか四人とも、ここなら誰の邪魔も入らず話を聞ける。話してもらうぞお前たちの隠し事を」
トンネルの中でアームストロング少将に俺たちが知りえる情報をすべて話す。俺たちに出来ることは、真実に近づきながら少しでも味方を集めることだ。先の戦いで少将のことは信頼できる軍人だと俺もアルも信じられる。俺たちは誰かに頼ることを学んだ、今まで出会ったいろんな人たちから。
「なんてことだ、この国を建国したのも、すべてホムンクルス共の計画の内だというのか!」
怒りを瞳に宿すアームストロング少将。その時一人の伝令兵がトンネルを馬に乗って駆け寄ってきた。
「アームストロング少将、セントラルよりレイブン中将がお見えです、それに、客人としてあの『紅蓮の錬金術師』を連れて」
俺たちは別室からレイブン中将の会話を盗み聞く、恐らくこのタイミングでここに来るってことは……
「どうだね、不死の軍団に興味はないかね?少将、何なら相応のポストもこちらで用意させてもらうよ」
早速仕掛けてきやがったな。さて、どうやってここから動くべきか……
「とりあえずエド君とアル君はまだいいとして、私とマーゴットの二人は今軍の将校に顔を見られるわけには行かない。すまないが顔を合わせないように誘導してもらえるかな?」
「あぁ任せとけ、この基地は広い、二人を隠すぐらいならわけねぇぜ。上手いことあいつらを監視して動向は探っといてやる」
俺たちはタッカーさんたちのことをバッカニア大尉に任せて、牢屋に捕まったふりをする。まさかウィンリィまでここに来ちまうとは思わなかったけど。俺はキンブリーとかいう敵さんの錬金術師にスカーを捕まえることを依頼されいったん承認する振りをした。
そのままゴーストタウンと化したスカーの潜伏場所とされるところに車で移動するのだが……
「まさかこんなところでお会いできるとは思いませんでしたよ、『綴命の錬金術師』ショウ・タッカーさん。あなたの研究は出所してからいくつか見させてもらいました。なるほど、確かに中々面白い合成獣を作ってるようじゃありませんか」
タッカーさんと秘書のマーゴットさんもレイブン中将から離れるため、俺たちに同行することになったのだが、やっぱりキンブリーに目を付けられちまうか。
「ははっ実は休暇中なんだがね、私も国家錬金術師として協力させてもらうよ」
「おやおや、お得意の合成獣を連れてないようですが大丈夫ですか?それに、秘書のお嬢さん。どこかで一度お会いしませんでしたかね」
「御冗談を、キンブリーさん。どこにでもいる顔ですから、どなたかと勘違いしてるんじゃありませんか?それにナンパでしたらもう間に合っていますから」
そういうと俺の腕に抱きついてくるマーゴットさん。やめろ!ウィンリィの視線が痛いし、タッカーさんを守るためなんだろうけど、俺をだしに使わないでくれ!
「おやおや、さすが最年少国家錬金術師。モテますねぇ。こんな私ですが見てくれがいいからか、軍人さんに声を掛けてもらったことも何度かありました。ですがこんな美人さんに腕を組まれたことはありませんよ」
「ちょっとマーゴットさん!エドも!何照れてんのよ、このスケベ!」
「狭いからあんまり暴れんな!マーゴットさんも離れて」
「あら、アルフォンス君が狭そうじゃない、ほらウィンリィさん。もっとこっちに詰めて上げなさい」
「あぁ!二人して俺を挟むな。アル!助けて!」
「兄さん……帰りの車の中では狭くないように、後で身長を縮めてあげるからね……」
「理不尽だ!!!」