今回いつもよりも地の文を細かく分けてみました。私の書くのって他の人に比べて一つの文章に詰め込み過ぎかなと思って、色々試験的に書き方も弄ってます。
兄さんが父さんに会ったら、出会い頭にきっと殴りかかるんだろうな、しかもオートメイルの腕で。僕と父さんの関係はというと。
「アルフォンス君は力持ちだから助かるよ、こんな時だから人手はいくらあっても足りなくてね」
僕たちはリオールで父さんと合流しながら『約束の日』と呼ばれるホムンクルスたちの計画始動の日を待つことになった。みんなとも離れ離れになっちゃったけど、極秘に連絡を取り合い来るべき日に向けてみんな準備をしてるみたい。
僕もタッカーさんの合成獣錬成のお手伝いをしながら、リオールの復興を手伝っている。まさかこんなとこで父さんと会えるなんて思いもよらなかったし、一緒に作業するなんて、旅を始めた時には考えもしなかったよ。
兄さん……今どこでなにしてるのかな。あちこち渡り歩いて軍から身を隠してるみたいだけど、行く先々でトラブル起こさなきゃいいけど。
「アルフォンス君!あっちでホーさんが休憩してるよ、ここはいいから君も一緒に休憩してきなよ」
一緒に働く人たちは優しい人たちばかりで、僕と父さんのことを知って、なるべく作業中も一緒にいる時間を作れるようにしてくれてる。おかげでいろんなことを話すことが出来た。
「それでね、アレキサンダー相手にむきになった兄さんが全力で追いかけたら、そのまま一緒になって噴水に飛び込んじゃったんだ。そのままニーナも一緒に飛び込みたいってせがむから、僕が今度お庭にプールを作ってあげるって約束してね」
「お前たちも子供の頃、川にエドの奴が飛び込んでな、あの時は俺も肝を冷やしたよ。元気過ぎるのも心配するからほどほどにな」
なんてことない親子の会話、僕が旅の思い出を語り、父さんは僕が覚えてない昔のことを語る。戦いを控えた僕らに許された、嵐の前の静けさ。
「でね、元の体に戻ったらアップルパイをごちそうになる約束をしたんだ。ヒューズ中佐が家族の写真をことあるごとに見せてきてね。一度アルバムで見せてくれたこともあったんだよ」
「俺も家族の写真を持ち歩いてるぞ。前リゼンブールに寄ったときにピナコにもらってな。ほらこれだ」
胸ポケットから取り出された写真には母さんと父さん、そして小さい頃の僕たちの姿があった。僕はその写真を見て息を飲む。だってそこには……僕の視線に気付いたのか、父さんはその写真の裏側を見せた。そこに書かれていた言葉は父さんの字だった。『愛する家族』 そう書かれていて。
「実はタッカーさんには一足先にこれを見せたんだ、彼も奥さんと娘さんの写真を見せてくれてね。きっとアルフォンスにも見せたら喜んでくれるって背中を押されてね。俺もいつまでも息子たちにビビってないで歩み寄らなきゃなって思ってな」
父さんは照れながら頭を掻く。ああ、そうだよね。僕たちはずっと離れてた。それでも父さんは家族を大事に思っていてくれたし、今もこうして気にかけてくれていた。それが嬉しくて涙が出そうになったけれど、この体ではどうやっても流すことはできない。泣くなら全てが終わって元の体を取り戻してからだ。
「お前もいい人に恵まれてきたんだな、お前のことを見てたらわかるよ。俺たちで全部守ろうな、支えてくれてる人たち全員」
「うん!一緒に頑張ろう」
「おい、アルフォンス!力仕事で人手がいるんだ、こっち手伝ってくれ」
「はーい、今行きまーす!」
僕はザンパノさんに呼ばれて立ち上がる。まだやることは山積みだけど、必ずやり遂げよう。まずはこの町を復興することが最初の目標だね。
「どうだ?久しぶりの親父との会話って奴は」
「うん、最初はどうなることかと思ったけど、いつのまにか自然に話せるようになってたよ」
「そりゃよかった、俺たちで散々息子とちゃんと話せよって尻を叩いた甲斐があったってもんだ」
ジェルソさんとザンパノさんが笑いながらそんなことを言う。本当に僕はこの旅でいろんな人に出会って支えてもらってるんだなって実感する。僕は二人と一緒に瓦礫を運ぶために駆け出した。
その日の作業も終わり、みんなが炊き出しを食べて一息つく。僕は疲れないし食事もいらないから、ウィンリィの手伝いをして食器の後片付けをしていた。
「ねぇアル。前少し話したんだけど、私全部が終わったら新しいオートメイルに挑戦してみようと思うの、タッカーさんにも話したんだけど、神経接続の痛みが起こらないオートメイルを作って、もっと多くの人が手軽に使えるようにしたいなって思うんだ」
僕が後片づけをしている横で、洗い終わった皿の水滴を落としながら夢を語る。ウィンリィの瞳はとても輝いて見えた。きっと僕たちが前に進んでるのと同じで、ウィンリィも新しい道を探してるんだ。
「おぉ、若い人たちは夢があっていいねぇ、もしかしてあんたたち付き合ってんのかい?」
「違いますよ、幼馴染なだけです」
「だめだめ、ウィンリィちゃんにはホーさんとこの長男坊がいるんだから」
隣で作業していた男の人が声を掛けてきた。ウィンリィも軽く訂正して作業に戻ろうとするとまた違う人が答える。この前教えてもらったんだけど、よそから来て復興を手伝ってくれる人とリオールの人が付き合ったり結婚を考えたりすることも多いみたい。町がこれから発展してくためには、建物だけじゃなくて人も必要だからね。
ウィンリィもそれとなく若い男の人から声を掛けられてたらしいんだけど、父さんが兄さんの名前をそれとなく出してくれてるおかげで、あんまり声を掛けられることは無くなったらしい。それを聞いたウィンリィは感謝しながらも顔を真っ赤にして照れてたよ。
兄さん、ウィンリィも満更じゃなさそうだよ、今度会ったら思いっきりからかってあげよう。
「ならそっちのアルフォンス君にはいい人いないのかい?よければうちの娘を貰ってほしいねぇ、あんたみたいな子が息子だったらどんだけうれしいか」
食堂で炊き出しを作ってたおばちゃんが僕に話しかけてくる。実は僕って結構モテるんだよね、こんな姿だけど手伝ううちに女の人にも声を掛けられて頼られるようになってきてるし、元の体に戻れたら彼女も作れるかな。兄さんに負けてられないよ!
「だめだめ、アル君にはマーゴットさんって美人の彼女さんがいるんだから、アル君も中々やるな」
えぇ~!?なんですかその初耳の情報は!誰だよそんなこと言いふらす奴は!
「あのね、アル。ちょっと言いにくいんだけど、実はね」
ウィンリィがこそっと耳元で話してくれた。なんでもマーゴットことバリーもすごく男の人に人気があるみたいで、結構声を掛けられるらしい、しかも食事が出来ないのに差し入れをもらったり食事に誘われたりで困ってたから、すでに彼氏がいるってことで防波堤を作ったらしい。それはわかるけどなんで僕が!
「こっちの事情も知ってて、彼氏の振りをしてくれる人なんていないでしょ。それにホーエンハイムさんが、息子が彼女を連れてきたってみんなに話すもんだからみんなそうだと思ってるわよ」
「えぇ!?なんでそんなことに、そんな話父さんもバリーも一言も言ってなかったじゃないか」
「なんかね、そのほうが面白そうだからってバリーが……それにホーエンハイムさんもお世話になった礼が出来るなら息子を盾に使ってくださいって乗り気みたいで、私たちには口裏合わせよろしくって頼んできたわよ」
よし、後で父さんを殴ろう。兄さんも殴るんだろうけど、僕の方が一足先に殴らせてもらうことにするよ。
アル君彼女?ゲット回
こんな風に書いてますが別にバリーはヒロインになりません。最終的にはメイと結ばれます。