【完結】俺は綴命の錬金術師   作:発火雨

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感想ありがとうございます、書いてて感想を頂ける時が一番うれしいですね
誤字報告、内容の矛盾に対する指摘ありがとうございます。
確認してるつもりなのですがミスが出てしまうのでご指摘の部分はすぐに直していきます。


スカーさんいらっしゃい

 俺の名前はショウ・タッカー。なぜか国家錬金術師になれてしまった男だ。

 

 最後のチャンスにするはずだった国家試験を受けて、開発した合成獣を研究結果として提出するとなんと一発で合格出来てしまった。

 

 原作とは違い人間を素材にしてないし、軍では極秘裏にもっと進んだ合成獣の研究がされてるのだろうが、合成獣の研究はここが最前線ですよ~との目くらましとして合格させられたんじゃないかと思う。

 

 身の安全のためにも万が一にも軍の合成獣開発に関わらされたら不味いので、合成獣学の人間への応用へは慎重派、人体実験なんてとんでもないってスタンスを早いうちから貫くことにした。

 

 そのおかげかは知らないが、少なくとも表面上は誰からもきな臭い話をされないし、平穏な生活を送れていると言っても過言ではない。

 

 正直、国家錬金術師にもたらされる恩恵にはかなり助けられている。妻にかなり楽をさせられるようになったし、娘のニーナを安心して育てられる環境には感謝している……やっぱり生活が苦しかったからなぁ。もうあの頃に戻りたいとは思わないし、家族のためにも何とか国家錬金術師に縋りつきたい思いもある。

 

 禁忌に触れない範囲で、軍に合成獣関係で協力しているし、民間での評判も上々だ。これらの協力体制、世間への軍の暗部に対する目くらまし、決して高いとは言えない国家錬金術師のイメージアップ。これらを総合して利用価値があると判断されてるのか、何とか査定も毎年こなしている。たぶんぎりぎりなんだろうけどね。

 

 様々な思惑に後押しされて国家錬金術師になれたけど、ホムンクルスサイドからすると取るに足らない雑魚だろうし、研究専門だから錬金術の腕だって国家錬金術師としては下から数えたほうがダントツに早いだろう。こうしてみると自分の貧弱な才能と、研究職でありながら人柱候補として数えられていたマルコーさんの才能を比べてしまう。

 

 原作通り国家錬金術師になってしまった俺の目下の目標は、傷の男スカー対策である。

 

 イシュヴァール殲滅戦の生き残りで、錬金術を憎み、復讐のために国家錬金術師の命を狙う男。その標的として無差別に国家錬金術師を狙い、原作でも軍の監視の中、あっさりとショウ・タッカーを殺したのだ。いくら家族がいたって世間の評判が良くたって見逃してもらえると楽観視できない。

 

 戦闘なんてからっきしだし、いくら合成獣を作ったところで最終的にキング・ブラッドレイを倒せる男になんて敵うはずがない。

 

 少なくともスカーを追い払うためには国家錬金術師でも上位の戦闘能力を持った人を味方にしなければならない。そこで俺が取った手は『主人公と仲良くなって守ってもらおう作戦』だ!

 

 恐らく原作通りにエドとアルの二人が生体錬成の専門家を頼って俺の下に来るだろうから、そこで懐に入り込んで身内認定してもらい、何とか守ってもらおうという他人任せな作戦だ。

 

 正直二人の人の良さに付けこむ作戦だがこれ以外に方法はない。他の国家錬金術師の知り合いなんていないし、いたとしても家族をずっと守ってくれなんて軍属の錬金術師に頼むことはできない。スカーの標的は俺一人だろうが、俺がいなくなったら残された家族が悲しむだろうし、何よりも俺は妻を幸せにし、ニーナの花嫁姿を見たいのだ!

 

 こんなところで負けてなるものか!なんとしても生き残ってやる。しばらくスカーの追跡さえ凌げれば、後は原作がどんどん進み、ホムンクルスに関係ない、俺みたいなさして重要じゃない国家錬金術師にかまってる暇なんてスカーにもなくなるはずだ。

 

 主人公二人とのファーストコンタクトもいい感じで、タッカー家の暖かい家族団欒は、幼い二人にも受け入れてもらえそうだし、このまま上手く行けばいいんだけど……。

 そういえば、ニーナがエド君とアル君のことをお兄ちゃんお兄ちゃんと呼んでいて、ちょっと萌えたのは秘密だ。

 

 このままうちに泊まってくれてる間は一安心だ。このままスカーが現れてエド君と戦ってもらい、壊れたオートメイルを直すためにリゼンブールに行ってもらい、原作通り進んでもらおう。そうすれば晴れて俺の役目は終わって家族と一緒にのんびりと過ごすことができるはず。

 

 もちろん通信用の合成獣も用意してるし、スカーが現れて戦闘が始まったらすぐさま軍を呼べるよう準備も整えてある。一応医療錬成も少しばかりかじっているから多少のケガならそのまま俺が治す予定だ。スカーに二人をぶつけることに罪悪感もあるが、こうしないと俺はきっと生きていくことが出来ないだろう。

 

 すまん二人とも、他にできることなら何でも協力するし、許してほしいなんてことは言わない。すべてが終わったら俺をぶん殴ってくれ。

 

「『綴命の錬金術師』ショウ・タッカーだな。貴様の命、もらい受ける」

 

 あるぅえ?みんなたまたま外に出てる時にスカーさん来ちゃったよ……どうしよう。




本作のタッカーの錬金術師の腕前は原作よりも高く書いていますが
それでも、国家錬金術師としてはギリギリ認められているレベルです。

ホムンクルスサイドからは見るとあくまで、軍の合成獣違法研究の目くらましとしての理由で採用されています。使えそうなら第五研究所にスカウトする予定でしたが、その思想の在り方からそうそうに断念。
人柱候補としても見ておられず、研究内容も使えはするが、特別優遇することもない。

イシュヴァール人大量虐殺作戦やスカーの国家錬金術師殺害のせいで、急速に軍所属の国家錬金術師が減ったおかげで首の皮一枚つながっている状態です。本人もそんなぎりぎり国家錬金術師として認められて現状を理解しているので、全然偉ぶりません。

なお、それらは本人とホムンクルスサイドからの評価なので、一般人や、裏を知らないエドや大佐たち専門外の錬金術師からすると合成獣の権威であることに変わりははありません。
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