【完結】俺は綴命の錬金術師   作:発火雨

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今日は原作を漫画喫茶で再度確認してきました。アニメやゲームも色々調べてますが、ちゃんと書けてるか不安。これからキャラも増えてくるし、書ききれるかな・・・
感想励みになりますし、見てるうちに取り入れたいアイデアなんかも見かけるので、全部目を通してます!みなさんありがとう!


アルから見た綴命の錬金術師

「兄さん、これで全部終わったね」

 

「あぁ、壊れた屋根の修理から、酔っ払いが壊した広場のベンチまで直してやったよ。まったく、俺を便利屋か何かと勘違いしてやいねぇか?」

 

 兄さんの口は悪いけど、その顔は晴れやかだ。

 

 僕たちは毎日のようにタッカーさんのお家の資料室を使わせてもらっている。最初は資料だけを見せてもらう予定だったけど、毎日晩御飯をごちそうになるし、娘さんのニーナともよく遊ぶようになった。僕もなんだか妹が出来たみたいでついつい兄さんと一緒にニーナやアレキサンダーと気分転換に遊んでしまう。

 

 兄さんが国家錬金術師になって一緒に旅に出たけど、こんな穏やかな家族に囲まれた日々は本当に久しぶりだったんだなと思う。

 

 いつものように資料室を借りているとお客さんがタッカーさんを訪ねてきた。なんでも近くの公園で酔っ払いが車で暴走したみたいで、酷い被害が出たみたいだ。国家錬金術師であるタッカーさんを頼って、奥さんの知り合いが訪ねて来たらしい。

 

「アル、俺たちがタッカーさんの代わりに行ってくるか?こんなに良くしてもらってるんだから、お世話になってる等価交換としていっちょ腕を振るってやろうぜ」

 

「そうだね兄さん、タッカーさん査定も近づいてるって言うし、僕らに出来ることで恩返ししていこう」

 

 国家錬金術師には多大な恩恵がある反面、一年に一回の査定で結果を残せなければ、資格の剥奪もありえる厳しい現実がある。タッカーさんの査定も近いらしく、今提出書類の最後のまとめに取り掛かってる。奥さんが言うには毎年この時期になると集中させてあげるために、急ぎの仕事以外は断ったり、晩御飯には好きなオカズを並べることが多くなるみたい。

 

「タッカーさんって国家錬金術師にしても温厚で大人しそうな人だよね、兄さん」

 

「あぁ、狭き門を越えて才能ある奴らばっかりだからか俺以外血の気の多い人ばっかりだよな」

 

 兄さんも十分喧嘩っぱやくて短気だと思うんだけど……まぁ指摘したら怒っちゃうから僕は何も言わないよ。

 

「でもこんな雨の日なんだから、僕一人に任せて兄さんは資料室に居てもよかったのに」

 

「何言ってんだよ、タッカーさんに世話になってるのは俺も同じなんだから、むしろ飯ごちそうになってる分、働かないとな」

 

 奥さんもいい人で、いつか僕の体が元に戻ったら、一緒に食事をしましょうって言ってくれてる。

 

「って、土砂降りになってきやがった、アル、どっかで雨宿りしてくぞ」

 

「うん。あれ?見て兄さん。タッカーさんのところの合成獣の鷹だよ」

 

 通信用に錬成された合成獣は土砂降りの雨の中でも器用に飛び回っている。僕はなんとなくだけど、この合成獣はタッカーさんの事を主人だと認めていて、とても大切に思っているんじゃないかなって思うんだ。だってさっきからずっと同じ場所を飛び回ってるもの。まるで誰かを探しているように……

 

「こんな雨の中でも仕事してるんだな、誰か探してんのか?」

 

「ってこっちに向かってくるよ!」

 

 鷹は僕たちを見つけると一目散に飛び込んできた。

 

「シンニュウシャ!シンニュウシャ!タッカーキケン!タッカーキケン!」

 

 え!?どういう事!!タッカーさんが危ないってどうしよう!! 鷹はそのまま上空へと飛んでいってしまった。

 

「アル!急いでタッカーさんの家に戻るぞ!」

 

「うん!きっと何かあったんだ」

 

 僕たちが急いで家に向かう、乱暴に扉を開けると、今まさにタッカーさんに襲い掛かろうとしてる一人の男の姿が見えた。

 

「タッカーさんから離れやがれ!」

 

 兄さんが殴りかかって男の注意を引く、今のうちに僕はタッカーさんのそばに駆け寄り、タッカーさんが無事かどうか確認すると、すぐに男の方を向き拳を構える。

 

「タッカーさん!こいつはいったい」

 

「彼はここ最近の国家錬金術師連続殺人事件の犯人だよ、狙いは私だ!」

 

「ってことは俺も対象なわけだ。おい、こっちを見ろ!俺も国家錬金術師だ、『鋼の錬金術師』エドワード・エルリックだ!」

 

 兄さんが国家錬金術師の証、銀時計を見せつけながら挑発する。きっとタッカーさんから自分に狙いを移そうとしてるんだ。男は兄さんの方を向いて鋭い笑みを浮かべる。

 

「なんと……国家錬金術師が二人も。抵抗するなら、まずは貴様からだ!」

 

 顔に傷がある男は兄さんに襲い掛かる。兄さんは男の攻撃を避けつつ、その隙をついて反撃をする。家の中は物が散乱して酷い有様だ。兄さんはタッカーさんに男を近づけないように必死で戦ってるけど、このままじゃやられてしまう。僕はなんとかタッカーさんの安全を確保出来ないか、辺りを見てみるが傷の男は入り口に移動させないような位置取りをしていて中々動けない。

 

「タッカーさん!僕たちが時間を稼ぐから、軍に応援をお願いします」

 

「それなら心配ない、私の合成獣がすでに軍に駆け込んでるはずだ、時間さえ稼げばすぐに応援が来る………それより一つ考えがあるんだ、アル君の錬金術の協力が必要なんだがお願いできるか?錬成陣を描く時間は私が稼ぐ、私の合図に合わせてくれ」

 

 タッカーさんが僕にプランを説明する、一体そんなことして何が起こるのかわからないけど、今はタッカーさんの言うことを信じるしかない。

 

 すると何度か拳を交えた兄さんのオートメイルの腕が突然崩壊した。突然の出来事で体のバランスを崩した兄さんは地面に転んでしまう。

 

「兄さん!」

 

「今だ!アル君」

 

 床に倒れる兄さんに飛びかかろうとする傷の男。急に声を上げたタッカーさんは自分の後ろにある窓を開くと、そこから何匹もの鷹が飛び込んできて傷の男目がけ催涙弾を落としていく。その隙に僕は錬成陣を床に描いて次の準備をする。

 

「これしきの、子供だましでは、己れは止まらん!」

 

「まだだ!」

 

 僕が描いた錬成陣から巨大な柱が出てきて天井を吹き飛ばす、家の中に降り注ぐのは雨だけじゃない。何十匹の鳥型合成獣たちが飛び込んできて、視界を奪うように高速で傷の男の周りを飛び回りながら催涙弾を落として牽制する。合成獣たちはまるで集団で一つの生き物みたいに動いて傷の男を撹乱する。

 

「町中に散らばった軍用合成獣をここに呼んだ。今のうちにエド君を回収して逃げるぞ!」

 

 すると合成獣に囲まれていたはずの傷の男が壁に向かって飛び込んだ。そのまま足で壁を蹴り空中に浮かぶと、あんなに高速で動いていたはずの合成獣たちを一羽、また一羽。安定しない空中で、合成獣のテリトリーであるはずの空で、傷の男は壁蹴りを繰り返しながら次々と合成獣を撃ち落していく。

 

「くっ!時間稼ぎにもならないか」

 

「まずは貴様からだ、『鋼の錬金術師』!」

 

「兄さん!逃げて!」

 

 合成獣たちのおかげで傷の男と兄さんの距離は延びたけれど、あれじゃすぐに捕まってしまう。僕は合成獣たちがいるうちに傷の男の後ろから格闘を仕掛けようと飛びかかる。しかし、僕の攻撃はあっさりとかわされてしまい、逆に兄さんのオートメイルを破壊したように、脇腹を抉り取られてしまった。

 

「アル!」

 

 その時、一発の銃声が鳴った。

 

「そこまでだ、スカー。ずいぶんと派手に暴れてくれたな」

 

 扉から武装した軍の人たちが雪崩れ込み、傷の男を取り囲む。その人込みをかき分けて、『焔の錬金術師』ロイ・マスタング大佐が現れ。

 

「見せてやろう!我がアームストロング家に代々伝わりし芸術的錬金法を!」

 

 まだ原型を留めていた壁が突如吹き飛んだかと思うと、屈強な体つきをした大柄の男性が姿を現し、周囲の残骸を殴りつけると、錬金術により速度と質量を持った巨大な鉄の矢が傷の男に襲い掛かる。

 

「まさか『焔の錬金術師』に『豪腕の錬金術師』も揃い踏みとは、合成獣たちは間に合ったみたいだな」

 

「タッカー殿の合成獣が軍に駆け込んできましてな、その直後、軍で運用中の通信用合成獣が町中からみなここを目指していたので、すぐに包囲網を敷くことが出来ましたぞ」

 

 大柄な錬金術師さんがタッカーさんに返答する。そうか、僕たちに知らせた合成獣が軍にも連絡を入れたんだ!

 

 いつの間にか倒れていた兄さんも安全な後方部へ移動されている。そのままアームストロングさん?の錬金術を中心としたパワフルな攻撃を中心に、ホークアイ中尉の援護射撃で傷の男を追いつめる。すると傷の男は地面を破壊し、そのまま姿を消してしまう。

 

 あとに残されたのはボロボロに崩壊した家。オートメイルを破壊された兄さんと脇を大きく抉り取られた僕。そして、腰を抜かして立てなくなったタッカーさんの三人は無事に軍に保護されたのだった。




タッカーさんの作る合成獣について

知能は小学校低学年並。事前に調教すれば高度な芸が出来る動物といったところでしょうか。それに加え軍で試験雇用されている合成獣は頑丈で素早く、教え込んだいくつかの単語をその時々に繰り返し、意思疎通がかろうじて出来ます。

ホムンクルスサイドから見たタッカーさんについて

国家試験当初は、軍の違法合成獣研究の隠れ蓑、使えそうなら合成獣研究チームにスカウトする目的で合格させられる。なお、人柱としての価値はなし。

合格後は、そのスタンスの違いから隠れ蓑としてのみ利用。実はこの段階で国家資格剥奪も検討される(国家錬金術師にしておくメリットが薄いから)
しかし、スカーの被害者が増え、内戦で亡くなったり退役した錬金術師も増えてきてしまったので、進んで資格を剥奪する理由も無くなったので、今のところ保留(多少合成獣の研究に役立っている、国家錬金術師の穏健派として世間のイメージアップ、違法研究の隠れ蓑の三点で評価はされているが、他に優秀な人間が増えたら真っ先にリストラ候補)

タッカーさんの錬金術の腕前

全体的にごく普通の錬金術師、生体錬成、とりわけ合成獣学に関しては頭一つ飛びぬけてるが、それでも国家錬金術師としてはギリギリ(例えるなら試験でぎりぎりボーダーラインを超えたくらい。仮にその年に優秀な人材が多ければ溢れて落とされるレベル)
一般的な錬金術師としてそこそこ優秀な部類。
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