【完結】俺は綴命の錬金術師   作:発火雨

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あんまりにも勘のいい感想が多くて、返信してるだけで物語が出来そうです
そのうち、そんな皆様の深読みの疑問にお答えする用語集を作りますね。

皆さんの感想で私の話は出来上がっています。等価交換として皆さんの気になることを本編に入りきらない部分も書きますよ。


マルコーから見た綴命の錬金術師

 偶然の出会いだった。その日、駅で具合が悪くなった人がいると合成獣から連絡を受けて、めったに立ち寄らなくなった駅に行った。

 

 この町のような田舎では、電気通信は一部の施設でしか使えず、一般の人々は手紙や伝書鳩に頼るしかない。軍はこのような田舎での合成獣を使った通信網の試験データを求めていた。しかし、合成獣に嫌悪感を持つ人間は地方にはまだまだ根強いし、不安視する声も後を絶たなかった。私も最初は反対派としてなにか否定できる材料はないかと調べていると、合成獣が我々にもたらす恩恵は多く、それどころか人間との共存を考えられたものだった。

 

 今では急患の知らせをいち早く知らせてくれる合成獣は、私のような町医者には欠かせない存在となり、おかげさまで怪我をした人たちを迅速に治療できるようになった。救えた命だってある。

 

 それから私はこの合成獣を使った通信網を考えた、イーストシティの東方司令部のこと、そしてプロジェクトの中心人物、『綴命の錬金術師』ショウ・タッカーの存在を知った。彼は私と同じ生体系錬金術師で、合成獣を使って人々の暮らしをより豊かにすることをプロジェクトの理想としていた。

 

 私も生体錬成の研究者として、その理想には深く感銘を受けたし、とりわけ、合成獣学が置かれていた境遇も理解しているつもりだった。そして、生体錬成を研究する者のジレンマ。人体実験の在り方についてもだ。人間を救うための技術だ、いつかは人間で試さないわけには行かない。しかし、軍では特権者のためにそうでない者たちを犠牲にし、過程を見ずに結果だけを求めようとする者たちが数多くいた。

 

 結果として私もその片棒を担いでしまった。あの罪を忘れることはできない、だから私は贖罪のためにこの町で医者になったのだ。手が届く命を救うために。しかし、それを考えれば考えるほど自分の罪の深さとタッカー氏の功績を比べてしまう。

 

 彼は合成獣たちの新しい可能性を切り開いた。兵器として運用されるしかなかった合成獣の未来をつなげたのだ。セントラルで賢者の石を研究していた時に、人間と動物を掛け合わせた合成獣の実験をしている話を聞いたことがある。賢者の石と同じ、倫理を無視した末に行われた非道な実験だ。軍の求める戦力増強だけを目的とし、過程など顧みない悪魔の実験だ。

 

 携わっていた研究者と話したことがある。

 

「ここで行う研究は本当に素晴らしい!人間を使えば遥かに効率的に成果が得られるだろう。我々のように、この世の真理を解き明かそうとする探究者は、常に犠牲を恐れず突き進まなければならない」

 

 恐ろしかった。そんなことを平然と口に出す者たちが、それに同意する者たちが、何よりも、効率的に学問を突き進める快感を私も探究者として理解できてしまうことが!

 

 研究は地道な過程こそが重要だ。そのために、望む結果が中々出ない苦しさを知っている。結果を出すための悪魔の誘惑がいかに魅力的かを知っている。より多くの命を救うためと、賢者の石に携わってしまった己の弱さを誰よりも知っている!

 

 彼の合成獣は多くの人を救うのだろう。先月の患者も、あと一歩処置が遅れれば命を落としていたかもしれない。彼の合成獣は命のバトンを見事に私に繋いで見せたのだ。

 

「君たちならば、真実の、さらに奥の真実まで到達できるかもしれない」

 

 研究資料を託そう。真実を託そう。

 

 エドワード・エルリック、禁忌に触れ、なおも弟のためにあがく若き国家錬金術師よ。君の旅路の果てに、君たちが幸せになれるように祈ろう。

 

 ショウ・タッカー、私には出来なかった、人の道を行く国家錬金術師よ。どうか二人の少年の道しるべになって欲しい。

 

 私はラストと名乗るホムンクルスに研究資料の隠し場所を教えた。その対価として生き残った。賢者の石に関わったことは間違いだった。だが、もう私は間違えない。生きている限り償い続ければいい。私の生きている意味は、私自身が与えるんだ。ひとまず、この町で医者を続け、奴らの目を欺きながら、賢者の石の破壊方法を考えねば、いつかきっと真実を知ることになる者たちにバトンをつなぐために。




短いし、ほとんどマルコーさんの独白になってしまった。

次はお待ちかねタッカーさんのターン

書いてすぐに投稿してるので誤字が目立つケース多い。いつも報告してくださる皆様、本当にありがとうございます。
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