赤豹の幼なじみ   作:暴走機関車

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思いつき


1話目

 

 

 

「──才能のぶっ壊れた走れないお前に、なんの価値がある?」

「……っ」

「才能があるかないか、それだけのことだろ?」

 

松葉杖を着く赤髪の中性的な顔立ちをした男に詰め寄る一人の男。彼の言葉に苦々しい顔をうかべた赤髪の男は何も言えずに居た。

その時だった。

 

「お?怪我して弱った相手をいじめてるパイセンがいるー」

「「!?」」

 

横から聞こえてきた声。そちらを向くとそこにいたのは寝癖をそのままにした目の下に濃い隈を作った黒髪の男。

 

「自分より?格上の?実力持った?相手が?怪我して?弱ったから?いじめます?うわ、ダッサ」

 

そう言ってげらげらと腹を押えて笑うそんな男に赤髪の男に詰め寄っていた男は額に青筋を浮かべながら声を荒らげた。

 

「うるせぇ!ドリブルもパスもヘッタクソなサッカーの才能の欠片もねえお荷物がしゃしゃり出てくんな!」

「だから何?てか俺の言葉否定しないで"うるせぇ"って言う辺り図星だった感じ?」

「〜〜っ!」

 

声を荒らげる先輩にも物応じしないでヘラヘラと笑う男。

そんな彼の様子を見て睨みをひとつ効かせた彼は近くに控えていた自身の兄を連れてグラウンドに戻って行った。

 

「あーあー、あんなダサ兄弟がパイセンとかついてないったらありゃせんぜ」

「お前…」

「つーわけでヒョーマ、帰ろっか」

「……」

 

惚ける赤髪の男、ヒョーマと呼ばれた男の横を通り過ぎて歩き出す彼。

 

彼の名は【遠山(トオヤマ)(スミ)】。ヒョーマ、【千切(チギリ)豹馬(ヒョウマ)】の幼なじみである。

 

そんな歩き出した彼の後を千切は松葉杖を着きながら追いかけた。

 

「……別に、俺に、構わなくていいのに…」

「じゃあさっさと足治してくれぃ。お前がいないとサッカーつまらんのよ」

「……」

「そういやリハビリいつから?俺も手伝いに行くー」

「……3日後」

「オッケ、リョーカイ」

 

そう言って鼻歌を歌い始める遠山の背を千切は見つめていた。

 

 

 

✸✸✸✸✸✸✸

 

 

 

「みんな千切が戻ってきたぞ。リハビリ、よく頑張ったな千切。ゆっくりでいい、お前のプレーを取り戻そう」

「……はい」

 

数ヵ月後、千切はリハビリを乗り越えて練習に復帰していた。

しかし、その顔は暗いまま。それを離れた場所からボケーッと眺める遠山と目が合うもすぐに目を逸らした。

 

 

 

 

 

そこから始まった試合形式での練習。

千切も問題なくプレーは出来ていた。しかし、

 

「おいおい、どうした天才(笑)くん。それ全力か!?自慢の快速はどうした?」

「……っ」

 

体面するいつぞやに詰め寄ってきた先輩にそう言われる。

 

「全力で走ってまたぶっ壊れるのが怖いか?あ?」

 

そんな言葉にうるせぇと、黙れと、反射的にそんな気持ちが沸きあがる。

そんなのは自分でも理解してるからこそ彼は悔しさのあまり歯ぎしりした。

その瞬間、

 

「──ぶべッ…!?」

 

横から飛んできたサッカーボールが目の前の男に直撃。

男はそのまま吹っ飛んでいった。

飛んできた方向を見ると、そこにはベンチ横でボールを蹴ったであろう体勢になっている遠山がいた。

 

「お、ストラーイク」

「おい!遠山ァ!何してる!」

「お?やべ逃げんべ逃げんべ」

 

監督に怒鳴られ反射的に踵を返した遠山はそのまま走り始めた。

 

「待て遠山!」

「あんの野郎ぉ…!」

 

さらに吹っ飛ばされた先輩までもがその追いかけっこに参加。

そんな様子を千切は眺めていた。

 

 

 

✸✸✸✸✸✸✸

 

 

 

「おーいヒョーマー」

「……何?」

 

とある日の朝。みんなが登校してくるそんな時間に遠山は手に1つの封筒を手に千切の元へと訪れていた。

 

「俺こんなもの貰ってさー、なんか知らん?」

 

そう言って見せられたのは【日本フットボール連合】から届いたと思われる物。千切はその封筒に見覚えがあった。

 

「これ、俺のとこにも来た…」

「お?まじ?なんこれ?」

「強化指定選手に選ばれたとか何とか」

「え?なんか凄そうそれ」

 

そう言ってひゃっほいひゃっほいと小躍りを始めた遠山。そんな彼を横目に千切はその封筒を開いた。

 

「……やっぱり内容はほぼ俺と同じだな。場所も日時も全く一緒だ」

「そっかそっか。ヒョーマも行くよな」

「……」

 

遠山の言葉に少し躊躇う。

少し前までの自分、それこそ怪我をする前の千切なら速攻で首を縦に振る話だった。でも、今は……。

そうして考えた末に彼は答えを決めた。

 

「あぁ、行くよ」

「よっし。これでまたヒョーマとサッカー出来るわけだ」

「……俺が行かなかったらお前も行かなかったろ」

「それ当たり前」

 

そう言う友人に苦笑が浮かぶ。

そんな彼を見ながら千切は心の中で思っていた。

 

これで諦められる、と。




モチベがあったら続くよ
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