あさのひざし   作:ミカクシ

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ねむる

 ツボツボのお店からお家へと帰ったリーフィアは、動き回って疲れた体を休めるために布団へピョンと飛び込んだ。

 

「フィア~……。」

 

 お家の外からは、散歩の前の時間と変わらずぽかぽかと暖かい太陽の光が入り込んでいる。布団に入っているだけで思わずあくびが出てしまうような良い天気だ。

 

(お昼まで寝ようかな?)

 

 リーフィアは植物の綿で出来たモコモコとした布団に頭を突っ込みながら(お昼までの時間を寝て過ごそうか?)と考える。散歩でお外を歩き回って少し疲れているからそれが良いかも知れないと考える。

 

(寝よう……)

 

 少し考えて眠ることに決めたリーフィアはゆっくりと目を閉じて眠る体勢になった。きっとぽかぽかで良い気持ちのまま眠れば良い夢が見れるだろうと考えながら……。

 

「ケムッソ!」

 

 しかし、そんな眠ろうと考えて目を瞑りウトウトしかけていたリーフィアの耳に突然「ケムッソ!」という鳴き声が入ってきた。

 

(「ケムッソ!」ってなに?)

 

 謎の鳴き声がするのはリーフィアの寝ているベッドの右側。

 リーフィアが不思議に思ってそちらを見てみると、その謎の声の正体のポケモンである『ケムッソ』がモモンの実を掲げて「ケムケム~!」と、鳴いているところだった。その『ケムッソ』を見て謎の声の正体が分かったリーフィアは、ホッと一安心して今度こそゆっくり寝ようと布団へゴソゴソと頭を突っ込んだ……。

 

「フィア?」

 

 だが、リーフィアは自分がいま見た『ケムッソは普通のケムッソとなにか違っていたような』そんな気がして、もう一度モソモソと布団から顔を出してケムッソの方へと目を向けた。

 

「ケ~ム!ケ~ム~!」

 

 リーフィアには、そのケムッソが鳴き声をあげているのもモモンの実を持っているのも『普通のケムッソとは違う』と自分が気になったところでは無い気がした。

 

「ケム!」

 

 鳴いているケムッソをじっくり見て分かったのだが、リーフィアが気になったのは『そのケムッソの体の大きさ』と『なぜかそのケムッソが分身して増えているような気がすること』だった。

 

「フィア……。」

 

 目の前のケムッソが不思議に感じたリーフィアは、前足で目をゴシゴシと擦ってそこで鳴き声をあげるケムッソをじっくりと眺めた。

 

「ケ~ム!ケ~ム~!」

 

 見ているリーフィアの見間違いで無ければ、そのケムッソは赤色のケムッソだ。赤色の体がとてもかわいいケムッソだ。気になるケムッソの大きさは、リーフィアよりとても大きいみたいだ。ケムッソは手に1つのモモンの実を大切そうに抱えていて、楽しそうに鳴き声をあげている。

 

「フィア……?」

 

 そんなケムッソを見ていたリーフィアは、疑問を感じて首をかしげた。

 リーフィアより体が大きいのは、ケムッソにしては大きすぎではないだろうか?それとも、リーフィアの知らない間にケムッソはケムッソとして体が大きく進化したり分身して増えたりするようになったのだろうか……?

 リーフィアはこのよく分からない状況に頭がグルグルと混乱するのを感じて、前足で頭を抱えてぺたんと布団にうつ伏せになった。

 

(ちょっと落ち着こう……)

 

 しかしそんな頭を抱えて落ち着こうとしたリーフィアの前で、ケムッソはさらに分身して3匹増えた!

 

「ケムッソ!」

「ケムケム。」

「ケムー!」

 

 急に増えたケムッソになにが起きているのか分からず慌てたリーフィアは、すぐに布団から立ち上がった。リーフィアはなんとなく自分より大きなケムッソが3匹も増えたのに恐怖を感じたのだ。ここから逃げた方が良いと考えたのだ。

 しかし、逃げるのに立ち上がったまでは良かったのだが……混乱して慌て過ぎていたリーフィアは、そのまま布団で足をズルリと滑らせて頭から床へ勢いよく転んでしまった。

 

「フィァー!?」

 

 リーフィアは頭がゴツンと床にぶつかる痛みを想像して目を瞑った。そうしてしばらく目を瞑って過ごして、だけどいくら待ってもなかなか痛みが無いことに疑問を感じて恐る恐る目を開けた。

 

「フィア?」

 

 少し目を開けたところで、リーフィアはいつの間にか自分が寝ていたことに気付いた。自分の近くにいた『大きな分身するケムッソ』がいなくなっていることにも気付いた。

 (さっきのケムッソは?)と不思議に思ったリーフィアが自分の周りをクルクルと見渡してみても、目の前にはお家の外から入り込む太陽の光に照らされた部屋があるだけだ。そこにケムッソは1匹もいない。

 

「フィ~ア~……。」

 

 どうやら先程まで見ていた『分身する大きなケムッソ』は、ただの夢の中の幻だったみたいだ。安心したリーフィアはホッと溜め息を吐くと、尻尾をふらりと振って布団へ潜って目を瞑った。きっと今度はゆっくり眠れて楽しい夢が見れるだろうと考えて……。

 

「ケムケム~!」

 

 キラキラと輝く暖かい光の中で気持ち良く眠り始めたリーフィアのお家の外では、ケムッソが楽しそうにモモンの実を食べていた。晴れて良い天気なので森の花畑にピクニックに来ていたのだ。

 今日はぽかぽかと晴れて気持ちの良い天気。だからきっと森の中のどのポケモン達も、それぞれ自由にのんびりとあたたかい時間を過ごしているのだろう。




おわり
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