ようこそ実力至上主義の生徒会へ   作:まぐまれむ

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今回は、本編とは別のSS的なお話になります。



オマケ話~リカちゃん奮闘記~

司令塔になった諸藤さんが抽選をして戻ってきたため、今後の話し合いをしました。

 

「そういうことで、種目や参加者のパターンなどの作戦はこちらで用意しますので、ご安心ください」

 

「はい……」

 

「やはり不安ですか?」

 

「そんなことは……いえ、そうですね、抽選では強気に出て行きましたが、少し落ち着いてしまうと一之瀬さん相手にどこまで通用するのか……とか、私の判断に龍園くんたちは従ってくれるのかなとか余計なことを考えてしまって……」

 

「その点は私も精一杯サポートしますので心配無用です。諸藤さんならきっと上手くやれますよ。一緒に頑張りましょう」

 

「はい」

 

真鍋さんへの想いから立候補してくださった諸藤さんですが、普段は基本的には大人しい方。試験までおよそ2週間あります。大舞台で戦うプレッシャーに潰れてしまったら大変です。

 

何か心の支えになるものがあればいいのですが……。

うーんと考えてみます。諸藤さんに勇気を与えてくれるもの……。

 

アレしかないですね。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「清隆くん、こんにちは。お時間頂きありがとうございます」

 

「ひよりからの呼び出しなんて、今日は何の新刊が出る日だったか?」

 

「ふふ、そのお話も魅力的なのですが、実は清隆くんが諸藤さんと準備している計画について小耳にはさみまして」

 

「なるほど……。ひよりのクラスの司令塔の時間を奪ってしまってすまない。ただオレ一人では――」

 

「あ、違うんです。クレームに来たのではなく、ちょっと確認したいことがあるだけでして」

 

「確認?」

 

「その……手伝ってくれている諸藤さんへのプレゼントはご用意なさっているのかなと」

 

「……言われてみれば、ここまでしてもらっているのに、みんなと同じ、というのもおかしいか。もうXデーまで時間がないが、諸藤が喜ぶプレゼントを用意できるかどうか……平田じゃだめだろうしな」

 

「いいえ、そうでもないですよ。私に諸藤さんが絶対に喜ぶプレゼントのアイディアがございます」

 

「良ければそのアイディアに乗らせてくれないか」

 

「もちろんです。では、明日の放課後、こちらに平田くんと一緒にいらしてください」

 

「わかった」

 

「それではホワイトデーのイベントも楽しみにしてますね」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「えっと……綾小路くん、これはどういう状況か、聞いてもいいかな?」

 

「簡単な話だ。いまからここで平田との2ショット写真を撮りたい」

 

「それは構わないけど……」

 

「クク、俺がカメラマンじゃ不満か、平田?」

 

「そんなことはないよ。その……意外というか、純粋に理解が追いついていないだけなんだ」

 

「腕前ならご安心ください。龍園くんはこう見えて、今の生徒会長さんご指名で彼の写真集を作る際にカメラマンをした経験だってあるんです」

 

「え、南雲先輩が写真集?……って、もうどこにツッコミを入れたらいいかわからないね」

 

「細かいことは気にするだけ無駄だってことだ。諸藤へのプレゼントにしたい。何も言わず協力してくれないか」

 

「諸藤さんへの……。わかったよ。彼女の活動は僕としても応援したいしね。その代わり撮った写真のデータは僕ももらっていいかな」

 

「もちろんだ」

 

「おしゃべりはそこまでにしろよ。こんな馬鹿げた集まりさっさと済ませてえ」

 

「それは同感だな」

 

「それでは龍園くん素敵なお写真をお願いしますね」

 

「おい、綾小路、もっと笑えよ」

 

「これでも全力で口角を上げているつもりだ」

 

「チッ、つまんねえ冗談だ。お前の口角、錆びついてんじゃねえか?」

 

「心外だな」

 

「そうですよ、龍園くん。いつもより素敵な笑顔を作ってくださってるじゃないですか」

 

「……まあいい。お前らもっと近づけ。諸藤を喜ばせたいんだろ。クク、肩ぐらい組んだらどうだ」

 

「いいアイディアだね、龍園くん。綾小路くん、失礼するよ」

 

「……からかったつもりだったんだが、冗談が面白くねえ奴と冗談が通じねえ奴しかいねえな」

 

「ほら、龍園くん。今ならベストショットが撮れるはずです」

 

「ああ、もう何枚も連射した。一枚ぐらい気に入る写真があんだろ。ひより、こんなふざけたことに時間を使うのはこれっきりだ」

 

「ふふ、ありがとうございました。清隆くん、早速印刷しに行きましょう」

 

「そうだな。……せっかくなら、限定感を出すために、オレたちのサインも入れておくか」

 

「いいですね。きっと諸藤さんも喜ぶこと間違いなしです」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「聞いてください、椎名さん。王子がこの前のイベントの後に、尊い写真をくださったんです」

 

「それは良かったですね。あ、そういえば、先日、清隆くんと平田くんの写真を龍園くんが撮っているのを見かけましたが、その時のものかもしれません」

 

「ええっ!?龍園くんが?」

 

「はい。元々龍園くんは諸藤さんのことを応援なさっていました。もしかしたら、話を聞いてプレゼントの準備する協力をしてくださったのかも」

 

「そうなんですか……龍園くん、恐い人ってイメージばかりでしたが、良き理解者だったのかもしれません。偏見を持たれる辛さはわかっていたはずなのに、龍園くんのことを誤解していました。今度お礼がてら話してみます」

 

「ええ。それがいいでしょう」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

試験が近づいてくるにつれて、不安な気持ちが積み重なっていきそうになります。

 

そんな時は、そうこの王子たちの写真を――

 

「尊死っ!」

 

尊すぎて直視が難しいですが、鼻から血を失う代わりに、元気と勇気を貰えます。

 

「尊死っ!」

 

「尊死っ!」

 

「尊死っ!」

 

「尊死っ!」

 

「尊死っ!」

 

「尊死っ!」

 

はっ、気づけば試験当日となってしまいました。

 

少し血を失い過ぎましたが、頭が軽くなったというか、すーとしていて思考はクリアな気がします。王子たちのおかげですね。

 

作戦は椎名さんからしっかり教わりましたし、龍園くんは恐い人じゃないこともわかりました。

 

きっと今日の試験も大丈夫。

 

志保ちゃん、絶対に勝ってくるから。

 

では、出発前に最後にひと目写真をみておきま――

 

「尊死っ!」

 

志保ちゃん、今日も私は私らしく学校生活を送っています。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

意識を失ってしまって、登校がすっかり遅くなってしまいました。

他の司令塔の方はもう特別棟に到着しているに違いないです。

 

慌てて特別棟の階段をのぼっていると話し声が聞こえてきます。

 

「あとは諸藤さんだけね」 

 

「こうも遅いと何か企みがあるのかもしれん。……例えばだが、龍園が高笑いしながら代理として登場する可能性もなくはない」

 

「まさかまさかー。そんなことな……いとも言い切れないのが怖いところだね。動揺させるためにそれぐらいならやってきそうかも」 

 

遅くなったことで変な誤解をされています。龍園くんに迷惑をかけるわけにはいかないので、しっかり訂正しないと――。

 

急ごうとしましたが、血液不足でしょうか、身体が上手く動かずゆっくりと登っていきます。 

 

「ご安心を。司令塔は私のままです」

 

驚いた様子のみなさんでしたが、龍園くんの名誉は守られたようで安心しました。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「龍園くんと椎名さんとで揉めてたみたいだけど、大丈夫だった?」

 

試験会場に入ってすぐに一之瀬さんから話しかけられます。 

 

「その件でしたらご心配なく」

 

龍園くんは良い方でしたから心配はいりません。 

 

「ただならぬ空気だったから少し心配してたんだけど、大丈夫ならよかったよ。……そういえばあの日、諸藤さんはいなかったよね?」

 

思考はクリアですが少しくらくらする頭でその日のことを思い出します。

 

「あー、あの辺りは毎日のように王子と一緒に色々してましたから」

 

王子の話題になると、あの写真を思い出し、思わず鼻血を出してしまいそうになるので、必死にこらえます。ここで気絶したら試験がどうなるかわかりませんから。

 

ああ、でもあの平田王子の嬉しそうな笑顔……と危ない危ない。

心に蓋をしておきましょう。今は試験に集中です。

 

「うんんん?毎日?色々?綾小路くんと?」

 

もしかして一之瀬さんは私と王子の仲を疑っている?そんなの解釈違いも甚だしい。

 

「そんなことより――」

 

「そんなこと……」

 

「一之瀬さんは何か勘違いしているようなので正しておきます」

 

「勘違い?」

 

と、つい癖で啖呵を切ってしまいそうになり、訝しむ表情の一之瀬さんを見て我に返ります。

今は試験中で「綾小路王子は平田王子にしか興味ありませんっ!!」と続けるのは色々とマズいですよね。

 

咄嗟に一つ前の話題に戻し、誤魔化すことにしました。

 

「龍園くんと椎名さんは、あなた方を騙すために敵対したわけではない、と言うことです」

 

「つまり、茶番じゃなく本当に決裂してたってこと?その言葉をそのまま信じろって言うのはいくらなんでも無理があるよ」

 

「ええ、構いませんよ。どう捉えるかはあなた次第ですから」

 

何とかなりました。

椎名さんも、一之瀬さんにそれっぽいことを言い続けて欲しいと言ってましたし、計らずもミッションを達成していますね。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

試験が始まってからは、頭を切り替えて真剣に作戦を遂行していきます。

決められたことをなぞるシーンが多いとはいえ、なんとか司令塔としてのメンツは保てているでしょうか。

 

そんな中、行われた空手の試合。

 

珍しく落ち込む元気系の柴田くんをクール系な神崎くんが、これまた珍しく熱い口調で激励しています。

 

王子たちには及ばないにしても、主食の前の前菜といいますか、これはこれで別物としてなかなかどうして尊いですね。

 

一之瀬さんは普段からこんなやりとりを見ることができているのでしょうか。

 

「神崎くんと柴田くんも、なかなか良いですね」

 

「え?あ、うん。普段から仲良しだし、THE男の友情って感じでいいよね」

 

「もしや一之瀬さんも話がわかる口ですか?なるほど、なるほど、嬉しい発見です」 

 

「私もわかってもらえて嬉しいよ」

 

まさか一之瀬さんも同志だったとは。

駄目だとは思いつつも、これはテンションが上がらざるを得ない状況。

一之瀬さん、てっきり解釈違いばかりの方かと思っていましたが、そうではない様子。

 

椎名さんからの指令もありますが、積極的に話しかけたいところです。

 

格闘技のことはわかりませんが、龍園くんと神崎くんの一進一退の攻防が繰り広げられます。

 

その結果、神崎くんが龍園くんに勝ちました。

柴田くんとの愛の力には流石の龍園くんも一歩及ばなかったみたいです。

 

ただ、わたしも司令塔として再戦の指示を出さねばなりません。

 

真嶋先生に申告し、モニターに視線を戻すと、勝利の喜びで神崎くんに抱き着こうとする柴田くんが……しまった。

私が余計なことをしたばかりに神柴の絡みを中断してしまいました。

きっと一之瀬さんも楽しみにしていたに違いありません。

 

「一之瀬さん、すみません、少しタイミングを間違えましたね。もう少し様子を見ていれば、いいものをみれたかもしれないのに」

 

「いいもの?」

 

「ええ。一之瀬さんの想像通りですよ」

 

そうですよね、一之瀬さんはオープンにしていないタイプ。

私も皆までは語らない配慮はできますとも。

 

ただ、神柴の絡みが見れなかったことは非常に残念です。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

長かったこの試験もいよいよ最終局面。

 

7戦目は英語が選ばれました。

 

その場合は次のセリフを状況に合わせて言うように、というメモを椎名さんから渡されています。

 

『英語で私たちに勝てる、と思っているようですが、本当にそうでしょうか?あなた方の英語の成績のトップは、一之瀬さん、あなたです。司令塔の介入でどこまで助けられますか?次点は神崎くんですが、空手で疲労しきっている彼が果たして好成績を出せるでしょうか?そしてあなたのクラスの残りの生徒は……時任くんは、英語の成績は普通。彼を選ばなければ、残り2人を選べない中、こちらはすでに全員出場しているためベストメンバーで挑めます』

 

格闘技の部分を空手に変更して読んだり、残りの生徒を時任くんに置き換えたりと、少しぎこちなかった気もしますが、きっと大丈夫。

 

志保ちゃん、私、最後まで司令塔をやり遂げてみせるよ。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

英語の試験後に、倒れてしまった一之瀬さんが保健室に運ばれていきました。

 

推しカプについて色々お話してみたかったのですが、それは次の楽しみにしましょう。

 

それよりも、いまはクラスに戻って、藪さん、山下さんをはじめ、クラスメイト達に勝利の報告しなくてはいけません。

きっとこれで志保ちゃんが正しかったことをみんなもわかってくれるはず。

 

教室へ走り出します。

 

尊い写真のプレゼント、司令塔という大役を達成できたこと、クラスの勝利に少しは貢献できたこと、それらを支えてくれた椎名さんや龍園くんとの親交、そして新たな同士の発見。

 

どれもあの日退学になっていたら体験できなかったこと。

 

 

――志保ちゃん、本当に、ありがとう。

 

 





今年一年間、ご愛読いただき本当にありがとうございました。
来年も引き続き更新していきますので、これからも読んでいただけますと嬉しい限りです。


それにしても、今年最後の更新がこんな話になってしまうとは←
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