ようこそ実力至上主義の生徒会へ   作:まぐまれむ

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クク、0ポイント作戦だぜ

くだらない言い争いをしているDクラスの雑魚共を尻目に、オレは森の中を進む。

 

「龍園さん、どこ行くんスか。お供しますよ」

 

「石崎、いつからてめぇはオレの動向を探れる立場になったんだ?」

 

「す、すみやせん」

 

「バカにはバカの仕事があるだろ。とっとと指示通りに動きやがれ」

 

「は、はい!」

 

Cクラスの連中には手頃なビーチを探させている。なんせこれからバカンスだからな。

馬鹿な連中には今回の作戦の全容など説明するだけ時間と体力を浪費するだけで、むしろリスクが増えやがる。

 

しばらく歩くと目当ての人物の姿が見えてくる。

 

「クク、やけに早いご到着じゃねぇか。別にこんなとこに罠なんざ仕掛けやしねぇよ」

 

「お前は油断ならん男だからな。それでわざわざ呼び出したんだ、リスクに見合うだけの話を聞かせてもらえるんだろうな」

 

目的の男、Aクラス派閥争いの渦中にいる人物、葛城と接触する。

 

「俺は気兼ねなくバカンスを楽しみたい。お前は成果を出してリーダーの地位を確立させたい。それが叶う取引さ」

 

俺は予め用意しておいた誓約書を葛城に見せる。

 

①200ポイント分の物資をAクラスに譲渡する

 

②B、Dクラスのリーダー情報を入手し、Aクラスに提供すること

 

①と②が遂行された場合、今後卒業まで毎月Aクラス1名につき2万プライベートポイントを龍園翔に譲渡すること

 

「お前が生徒会に立候補して落ちて以来、クラス内での地位が揺らいでんのは知ってんだぜ?しかも、その後Dクラスのやつが生徒会入りしたってな。お前はD以下の価値って言われたようなもんだ。Aクラスのエリートちゃんたちは、そんなやつの下には付きたくねぇよな」

 

「貴様……なぜそれを」

 

「ここがラストチャンスじゃないのか?悩みの種の坂柳は今回は不参加。その隙に結果を残せば、坂柳派に寝返ったやつらも戻ってくる。評価が上がって生徒会にも入れるかもしれないぜ」

 

「……交渉成立だ。だが、クラスリーダーについてはお前の証言をそのまま信じるわけにはいかない。カードの現物か証拠画像を用意してもらおう」

 

「クク、良い決断だぜ。条件もそれで問題ねぇ」

 

「オレはクラスメイトから同意を貰いに戻る。書類はその後、購入希望品のリストと共に届けよう」

 

こうしてオレは葛城に契約を結ばせた。

せいぜいこの1週間勝った気になって楽しむんだな、葛城。オレも試験終了後のお前の姿を想像して楽しむとするぜ。

 

この特別試験のルールを聞いてオレは勝ちを確信した。

この学校にはマジメちゃんが多いからな。この試験を『ポイントをどれだけ節約して過ごすか』が大事、なんて思ってるだろうよ。

 

だが、実際は逆だ。最初の300ポイントはすぐに使っちまった方が取れる戦略が広がる。

0ポイントになった後はマイナスにならないのが、学校側もその可能性を見越している証拠。

一度0ポイントにしちまえば、ほとんどのペナルティはただのお飾り。制約のない中で自由に行動できる。

そのアドバンテージを活かせば他クラスのリーダーを割り出すのはたやすい。そうして最終日に3クラスのリーダーを当て、スポットポイントも含めれば180ポイントは稼げる。

 

それに対してBとDクラスの最終結果は

Aクラスにリーダー情報を渡すことでAとCクラスからリーダーを当てられることになる。よって、合計からマイナス100ポイント、ボーナスポイントも無効になる。上手くやっても100ポイントちょっとしか残せねえ。

 

Aクラスについても問題ない。船上で坂柳派の橋本がこちらに協力したいと接触してきた。恐らく坂柳の指示だろうな。試験内容はわからねぇはずなのに、予めいくつかのパターンを想定して部下に作戦を伝えているんだろうよ。この学校で少しは楽しめそうなヤツだ。

坂柳派は食えねぇやつらだが、この試験での狙いは葛城の失脚だろう。あいつが不利になるこちらの戦略を邪魔してくるとは考えにくい。上手く利用させてもらうぜ。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

ビーチに陣取ったクラスの連中と合流する。バカンスの準備は整ったようだ。

クク、飴と鞭とはよく言ったもんだぜ。たまにはイイ思いをさせてやらねえと生意気にも反抗心を抱くヤツが出てくる。

独裁者としてクラスを支配するには『暴力』が一番だ。

実際このクラスの連中も暴力で黙らせた。だが、支配を続けていくには暴力だけじゃ足りねぇ。

こいつについていけばイイ思いができる、自分も勝ち馬に乗れるんだと信じ込ませる必要がある。それには適度に欲望を満たしてやらなきゃならねえ。

 

本来、無人島での集団行動によるクラスの結束を目的とした試験なんだろうが、そんなもんオレのクラスには必要ねえからな。馬鹿どものストレス発散の場としても使わせてもらうとする。

 

さて、この作戦の仕上げに入るか。

 

「金田、伊吹、こっちに来い」

 

金田と伊吹。どちらもこのクラスの中じゃまだ使える方だ。2人を連れて森に入る。

 

「今からお前らに重要な任務を与える」

 

「はぁ!?なんで私があんたの言うこと聞かなきゃいけないわけ」

 

案の定、伊吹のやつは反抗しやがる。だが、こいつの扱いは簡単だ。

 

「クク、これは勝負だ伊吹。この任務を見事果たしたらお前の勝ち、失敗したらお前の負けだ」

 

「わけわかんないんだけど」

 

「この任務は成功して当たり前だ。そんな勝負から逃げるような腰抜けにはやっぱり任せるわけにはいかねぇな。石崎のバカにでも代わってもらうか」

 

「はぁ?やらないとは言ってない。私が勝ったらわかってるでしょうね」

 

「あぁ、今後お前に構わないでおいてやるよ。お前は自由だ」

 

まぁ嘘だがな。なんやかんやでこじつけて上手く扱ってやる。こいつは馬鹿だが、格闘技経験者として腕は立つ。兵隊として利用価値は大いにある。

 

「それで龍園くん。我々は何をすればいいんですか」

 

金田の方は頭はいいが、面が残念だ。

ある程度の悪巧みもできるタイプだが、運動面では役に立たねぇ。従順な面を含めて伊吹とは真逆の野郎だ。

 

「なに、簡単なことさ。お前はBクラス、伊吹はDクラスに潜入して、クラスリーダーが誰か探ってこい。で、このデジカメでキーカードの写真を撮ったら、トランシーバーで連絡をよこせ。てめぇらの失敗はクラスの敗北だ。身を粉にして働けよ」

 

Bクラスには金田と同じ美術部の白波がいるから潜入しやすいだろう。どちらにせよ、あの一之瀬のクラスだ。困っているやつなら敵のクラスでも受け入れる確率は高いがな。

 

Dクラスは伊吹が適任だろう。喧嘩っ早い馬鹿共には同類をぶつける。Dクラスのヤツらもこの手の相手は慣れてる分、扱いやすいだろうが、万が一暴力沙汰になろうものなら、ペナルティでクラスごと退場も狙える。それに綾小路って野郎は女好きらしいからな、伊吹なら……まぁナシとまではいかないだろう。こいつはこいつで味がある。

 

「はぁ?そんなの無理に決まってるでしょ。自分たちの拠点に他クラスの生徒を受け入れるわけないじゃない」

 

ククっ、こいつはイチイチ「はぁ?」とリアクションしねえとしゃべれないのか?

 

「はなからお前らの演技には期待してねぇよ。オレから最高の策を授けてやる」

 

そう言いながら金田を思いっきりぶん殴る。思ったよりもぶっ飛んでいったが、リアリティが増していいだろう。

続いて「はぁ?」という目で見ている伊吹の左頬を殴る。こいつは飛んでいかないどころか、反撃で蹴りを入れようとしてきやがった。悪くねぇ。

 

「そうだ、オレを憎め。その感情が本物ならあいつらも騙せるだろ。わかったならもういけ」

 

そうして各クラスにスパイを潜り込ませる。

あとは適当にバカンスを楽しんで、クラスの連中をリタイアさせる。それに紛れてオレもリタイアしたふりをすれば完成だ。

クラスで盛大にバカンスを満喫する姿を見てオレが試験を捨てたと勘違いした他クラスの奴らは、Cクラスを警戒から外し、スパイをスパイだと疑うことを放棄する。

 

そしてスパイが掴んだリーダー情報を葛城に流し、潜伏したオレも最終日リーダー当てに参加する。

 

これがオレの考えた0ポイント作戦の全容だ。

正直、葛城とプライベートポイントの契約を結んだ時点であとはオマケでしかないが、雑魚の悔しがる姿をみたいからな。ちょっとだけ遊んでやる。

 

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

 

「ククク、ネリエがうまいぜ」

石崎に持ってこさせた炭酸でのどを潤す。

アルベルトにはビーチパラソルを持たせ、日陰を作り、ビーチチェアでくつろぐ。

 

少し前、Bクラスのキャンプ地を発見したと金田から連絡があった。

今頃、上手く潜入したことだろう。

 

そろそろ伊吹から連絡も来る頃合いか。アイツも顔を腫らしていたからな。平田や櫛田といったお利口ちゃんが仕切るDクラスも放っては置けないだろう。

 

 

と、そんな時だった。トランシーバーから伊吹の声が聞こえてきた。

 

「ちょっと龍園。Dクラスのやつら、島中バラバラになってうろついててベースキャンプすら決まってないみたいなんだけど!」

 

「はぁ!?」

 

思わず伊吹のようなリアクションを取っちまったじゃねえか。Dクラスは馬鹿な奴らだとは思っていたが、ホントに救えねぇな。

 

……いや、本当にそうか?こんな時に、仲間割れをしてまとまることなく、うろついているなんてあり得るか?

以前、石崎達を使ってDクラスにちょっかいをかけたが失敗に終わった。

その時は偽の監視カメラを使ってあの馬鹿たちを騙したみてぇだが——発案は堀北鈴音、ということで俺なりに探りは入れている。

能力は優秀だがクラスで孤立した存在。駒としてそばに置いているのは綾小路だけだ。

 

そこまでなら注目するほどでもないが、あの暴力事件のあと、綾小路は生徒会に入った。葛城にはDクラス以下だと煽ってやったが、生徒会に入れたのは、まず間違いなく実力ではなくコネクションでの結果だろう。

鈴音は現会長の妹だって話だ。自分の駒を生徒会に入れることで、今後似たような事件が起きても優位に裁判を行う腹積もり。その綾小路も全くの無能というわけではなく、勉強はできるようだ。金田みたいなタイプかもしれねえな。

 

そこまでの対策をしてきたヤツらが、こんな無能っぷりを晒すだろうか。所詮クラスで浮いたボッチ風情には、クラスをまとめる力はなかったのか。

 

ベースキャンプを決めていないということは点呼にも参加できねえ。

つまり、40人×5ポイントの200ポイントのマイナスが確定する。

時計を見るとすでに19時を回っている。点呼の開始時間は20時。

 

残り1時間でキャンプ地を決めることはできるだろう。

だが、広い無人島、明かりのおぼつかない中で各地に散らばった生徒を集めるのは不可能に近い。全員がトランシーバーを持っていればできるかもしれねぇが……

 

「伊吹、そいつらトランシーバーでやり取りとかしてたか?」

 

「いや、そんな様子はなかったわよ」

 

そうなるとうろついているのは他クラスを欺くブラフか?ブラフだという線を考えると、最終的には支給されたテント類を持ってるヤツのところに行くはずだ。

 

「ヤツらのテントはどうなってる。そいつのところに居れば集まってくるはずだ」

 

「テントなら早々に森の中に放置してた。重たそうだし、持っていく担当すら決めきれなかったんじゃない?」

 

全く訳が分からねえ。素直にDクラスが間抜けだと認めた方がすんなりいくぜ。

 

「だれでもいい。Dクラスの連中の後をつけておけ」

 

「わかった」

 

「20時までに合流しないようなら、また連絡しろ」

 

何が起こってやがる。まったく馬鹿どもに振り回されるのはごめんだぜ。

すでにこちらもポイントを使い切っているため、簡単には作戦の変更ができない。

 

石崎が恐る恐る口を開く。

 

「あの、龍園さん。ちょっと前にDクラスの金髪マッチョがリタイアしたのをみたってやつがいるんすけど……」

 

「なんだと」

 

まさかヤツらも0ポイント作戦を実行しているのか?

だとすれば点呼を気にしない理由にも説明はつく。人数を絞った少数精鋭でリーダー当てに注力する作戦かもしれねえ。だが、拠点がないなら購入した物資はどこだ。

 

そこまで考えて1つの可能性にたどり着いた。

 

「おい、石崎。急いでBクラスのベースキャンプを覗いて、どのぐらい物資があるか報告しろ」

 

「へい」

 

すでにBクラスに潜伏した金田には連絡はできない。

合流する前にBクラスの拠点を発見した報告は受けていたので、その場所に石崎を走らせる。

 

数十分後、戻ってきた石崎から報告を受ける。

 

「Bクラスのやつら、かなりポイントを使ったみたいです。テントもたくさんあったし、仮説トイレも2つあって、食料も充実してましたよ」

 

「ククク、なるほどな。Dクラスの馬鹿共なりに考えたわけだ」

 

オレがAクラス相手に取引をしたように、DクラスはBクラスと何らかの取引をしたということ。

いや、例の事件でも一之瀬が手を貸していたらしいから、むしろBクラスがDクラスを利用した線が濃厚か。船上で一之瀬が綾小路にポイントを渡していたのは、試験を見越しての賄賂だろう。

そういや、ルール説明の際に星乃宮がDクラスで綾小路と何かを話していた。あれが試験内容を聞いた一之瀬からの取引内容の伝達だったならつじつまが合う。

 

いずれにせよ、一之瀬はただの良い子ちゃんだと思っていたが、食えねぇ部分もあるってことだな。そう想定すると色々と腑に落ちる。Dクラスが島をうろついていたのは取引内容に関する理由だろうな。島の地形、スポットの情報収集、その提供といったところか。見返りまではわからないが、Dクラスとしても雑魚連中が無駄に1週間、試験を続けるよりも十分な成果を上げられるはずだ。

 

種さえわかっちまえば怖くもねぇ。

Dクラスの拠点がないってことは、戦術が限られてくる。

オレの様に単独で潜伏しリーダー当てに備えるなら、スパイの存在が必要だ。

スパイを使わず、少数精鋭でリーダーを当てのチームを編成したのなら、必要な食糧など物資が増える。拠点なしの状態では保管しきれないだろうよ。

つまりDクラスはリーダー当てに参加する気が端からねぇってことだ。

そろそろ全員リタイアするだろう。Dがいなくなって、50ポイントを得ることはできなくなるが、些細な問題だ。いねえクラスのリーダー情報は渡せない、葛城との契約も問題はない。

 

時計が20時を示す。点呼をしに担任の坂上がやってくる。

 

「マイナスするポイントはないが、ルールはルールだ。これより点呼をはじめる」

 

これでBとDクラスのヤツらの戦略は確定した。

クク、伊吹は殴られ損だったな。帰ってきたら、ネリエの一本でもくれてやろう。

 

「不在は金田と伊吹だな。以上、解散」

 

坂上は自分のテントに帰っていった。

ベースキャンプでは点呼のため、教師もその場周辺に泊まることになる。この作戦の唯一気に入らねぇところは、他のヤツらをリタイアさせた後は、坂上と2人でキャンプってとこだな。

 

「龍園くん、そろそろ本の続きが気になりますのでリタイアしても良いですか?」

 

クソみたいな未来を想像していたら、ひよりが話しかけてきた。

 

「クク、せっかくのバカンスだぜ、ひより。もっと楽しんでいけよ」

 

「私は十分楽しみましたので。皆さんの邪魔になってもいけませんし」

 

「ま、いつでもリタイアして構わねぇぜ。作戦としてはもう完了したようなもんだ」

 

「ありがとうございます。では、また1週間後に」

 

「……1週間後、か」

 

去ってゆくひよりを見ながら呟く。

作戦の内容はひよりのヤツにも伝えていないが、俺がリタイアしないと思っているようだった。天然なのか鋭いのか。アイツは掴みきれないところがある。使えないヤツばかりのCクラスで少しは見込みがありそうだ。

 

「龍園!」

 

再び伊吹からの連絡だ。そろそろ尾行相手もリタイアしてヒマにでもなったか。

 

「Dクラス、なんかBクラスのベースキャンプに合流したんだけど、どうすればいい?」

 

「はぁ!?」

 

もうこのリアクションは何度目だ、いい加減にして欲しい。

やたら渇く喉を潤すためネリエを流し込む。炭酸が弾ける感覚が今はただ煩わしく思えてならなかった。

 

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

 

リタイアすると思っていたDクラスはBクラスと合流した。

つまり、想定より厄介なことが起こる可能性を示している。Bクラスは、Dクラスを兵隊として使うつもりに違いない。

 

この試験中に唯一ポイントを増やす方法はスポットの獲得だ。

だが、それには一定以上のリスクが伴う。ベースキャンプから離れたスポットを狙うなら、必然リーダーの行動範囲が広がり、特定の人物の目撃情報が増えることになる。

そこで大事なのが周囲の安全を確認するための人手だ。

スポット周辺に他クラスはいないか、逆に他クラスのリーダーがスポットを占有していないか、監視の目が多いにこしたことはない。

だが、この人手が問題で食糧の確保などを考えると監視に大人数を割けるものではない。

 

スポットを狙いすぎて、食糧不足になり、ポイントで購入、もしくは体調不良によるリタイアをしてしまうと本末転倒だ。

 

だが、もしも2クラスが合同で行動できるようになれば話は変わってくる。

必要な食糧は増えても、人手も増えるので、その分、スポット獲得や他クラス偵察にも人数を割ける。

 

ただ、ひとえにクラス間で協力といっても実際には非常に難しい。

この試験は、1位でも4位でも特に報酬やペナルティがあるわけではないため、一見すると他クラスと協力できるように思える。

それが難しくなるのは、まずリーダー当ての存在、次にスポット占有の配分問題、そして何より共同生活というチームワークが試される中で他クラスと一緒に過ごすなんてことはトラブルの元になりかねない。

 

これを可能にするには、余程の信頼関係、あるいは絶対的な上下関係が必要だろう。

 

そんな人物がいるとすれば、学年でもBクラスの一之瀬帆波ぐらいか。仲間を見捨てない善人としての彼女の姿勢は、この数ヶ月で学年問わず広まっている。

容姿の良さも相まって人気と信頼の高い彼女ならば、Dクラスを上手く牽引することもできそうだ。

 

それに加え、以前、Dクラスを無償で助けていたのも大きいだろう。信頼させておいて、大事な局面で上手く利用する。一之瀬もただの善人ではなかったということ。警戒しなくてはならない。

 

 

と、龍園は考えていることだろうな。

以前の須藤の事件などの手口から、オレと思考が似ているタイプだと考えられる。とすれば、今回のDクラスの不可解な動きは、Bクラス主導のもとに行われた取引だったと結論付ける。

 

向こうがどんな戦略でくるかはわからないが、大前提としてオレが派手に動くことでDクラスにヘイトが向くことを避けなくてはならない。今のまとまりのないクラスを攻撃されれば、万が一にも勝ち目はないだろう。

 

そこで白羽の矢を立てたのがBクラスだ。

元々、しばらくは堀北を隠れ蓑にして行動する予定だったが、ある程度オレの実力が露呈してしまっていることを踏まえると、隠れ蓑としては弱い。そこで、BクラスがDクラスを操っているという状況を作れば、しばらくこちらに目が向くことはない。

 

あくまで優秀なのは一之瀬や神崎だ。オレはただ従っているだけ。DクラスもBクラスに従っているだけ。これまでの、そしてこれからのDクラスの躍進は、全部Bクラスのおこぼれを頂戴しているに過ぎない。

 

そんなクラス相手にせずとも、Bクラスを倒せば自然と没落するので構うだけ時間の無駄だと判断してくれる。

 

唯一の例外は坂柳だが、彼女の狙いはオレ個人なので、そこまで問題視する必要はない。

 

「綾小路くーん!お魚焼けたよ~!みんなで食べよーっ」

 

一之瀬がニコニコしながら向こうで手を振っている。

オレは軽く手を挙げて応えると一之瀬のもとに向かう。

 

長々と戦略を語ってきたが、せっかくのバカンス。喧嘩ばかりの地元Dクラスで過ごすよりも、南国のBクラスで過ごす方が楽しくなりそうだ。

 




龍園が良く飲んでいるのは、ペリエに似た炭酸水。アニメではそれをモジった『Nerrier』と書いてあるようなロゴがあったので、こちらもネリエにしてみました。作画ミスなのかどこか普通にPのマークがついていた気もしましたが……

そんなアニメでは結構ネタに走ってる描写の多い無人島編。
パラソルをもつアルベルトはもちろん、上裸で弓矢を持っている葛城、野生に帰った高円寺などなど色んな所で見どころ盛りだくさん。

でも一番の謎は龍園と葛城の交わした誓約書なのではないかなと。
私物持ち込み禁止の環境で、どうみてもパソコンで作った書類。ルールを把握しなくては書けない内容。どうやって用意したんだ……ポイント買えるでプリントサービスでもあったんでしょうか。答えが出なかったため、特に言及しない方向にしています。きっと滅茶苦茶字のキレイな生徒がいて書いてもらったんでしょう。

また今回がっつり出てきた龍園くんですが、アニメでは「すずねえぇ」に気を取られてしまいますが、原作では面白いほど「クク」ってから話始めるので、こちらでもちょっとネタ気味に過剰に入れています。
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