ようこそ実力至上主義の生徒会へ   作:まぐまれむ

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今回、4月1日のエイプリルフールなお話になります。
世界観ガン無視で書きたい放題な本編と関係ないお話となりますので、苦手な方はご注意ください。

※途中何枚か実際のとあるゲームのスクショが出てきますが、ここに載せてもいいものか念のためアプリの運営会社に問い合わせたところ、規約に従ってくださいと返答いただき、規約を熟読したところ第13条の禁止事項的には問題なさそうだったので載せています。


ようこそマージ至上主義の教室へ

ある日の生徒会室。

 

「綾小路くん、聞いて聞いて!」

 

「どうしたんだ、一之瀬」

 

「私たちのスマホゲームができたんだよ」

 

「……何を言っているんだ?」

 

「あ、その顔は信じてないね。ほら、この通り」

 

一之瀬が携帯端末の画面を見せてくる。表示されているスタート画面らしき画像には、堀北と背中合わせに立っているオレの姿。後ろにはそれっぽいポーズを決めた学や一之瀬たちも配置されている。

 

「まじかー」

 

一体誰が何の目的でこんなものを?

 

「簡単に言うとパズルゲームなんだけどね、課題をクリアすることでアニメのストーリーを追体験できるんだよ」

 

「アニメ?何の話だ?」

 

「あっ、綾小路くんは原作派?だったらこのゲームではアニメでカットされた原作エピソードもサイドシナリオとして収録しているから、楽しめるんじゃないかな?」

 

「アニメでカット?原作?」

 

「ピンと来てないみたいだねー。ほら、例えば、水泳の授業で競争する高円寺くんと須藤くんの話とか、無人島のトウモロコシの話とか」

 

意気揚々と語る一之瀬だが全く話についていけない。

 

「だが、アニメ準拠ということは、一之瀬、原作ではお前が活躍した特別棟での防犯カメラの話も軽井沢が活躍した更衣室盗撮事件も全て堀北先輩の妹の話になっているんじゃないか?」

 

「桐山先輩もそっち側ですか」

 

何やらご機嫌の桐山が話に加わってくる。

どちらかと言うと「仕事中に私語は慎め」と注意するタイプじゃなかったか?

 

「それはそうなんですけど……でも、そんな扱いもう慣れましたし、私は気にしてませんよ。アニオリ描写を地の文で読めるのは貴重ですしね。それより、こういう風に私と綾小路くんの間に入って邪魔してくるポジションは南雲先輩の役目だと思ってたんですが……」

 

「ああ、南雲ならあの様だ」

 

桐山が視線を送った先にいる南雲は生徒会長席でうなだれている。

 

「俺の出番……俺の……」

 

「どうしちゃったんですか、南雲先輩」

 

「アニメ3期で悉く登場シーンをカットされたのが堪えたらしい。一之瀬ほど割り切れなかったみたいだな」

 

「なるほどー。全体的に何やってるかわかんないイキリ金髪って感じでしたもんね」

 

辛辣なコメントをする一之瀬。それが聞こえたのか聞こえてないのか南雲が顔を上げた。

 

「聞いてくれよ、帆波、綾小路。一応俺だって原作じゃ4.5巻から登場してる古株なんだぜ?なのによ、アニメの世界線じゃ、未だに綾小路と話したことがないってどうなんだ。堀北先輩との感動的な握手シーンもカットされちまったし、あれじゃ俺ただの嫌なヤツで終わりじゃねーか」

 

「なんなら朝比奈先輩の方が綾小路くんと仲良く話してましたねー」

 

「こんな状況で仮に2年生編がアニメ化されたとして、俺は強敵に見えると思うか?」

 

「安心してください。南雲先輩はいずれにせよ南雲先輩って感じの活躍しかしませんから」

 

「そうだよな、俺なら少ない出番でも大活躍できるよな!元気が出たぜ、サンキュー帆波」

 

あっさりと元気になる南雲。

 

「南雲先輩は放っておくとして、逆に桐山先輩はあれだけの出番だったわりにお元気ですね?」

 

「当たり前だ。俺はてっきり存在を消されると思ってた。出番があって感激したぐらいだ。今となっては昨年の今頃カラオケで叫んでいたのが恥ずかしい」

 

「確かに活躍的には、いてもいなくてもどうにかなりそうでしたね。綾小路くんがわざわざ桐山先輩に掲示板への書き込みを依頼してた理由とか軽くしか触れていなかったですし、私の回の貴重な尺だったのになぁとは思いました」

 

状況はわからないが、一之瀬の毒舌が桐山へも降り注いでいることは確かだ。

 

「なんなら上手くカットしてもらったおかげで俺は原作よりもデキる生徒に見えたぐらいだ」

 

にも関わらず笑いながらそう話す桐山。

それでいいのか?いや本人が喜んでいるのだからいいか。

 

「話を戻すけど、綾小路くんもぜひこのゲームしてみてね!」

 

「ああ。そのアニメや原作やらの話にも興味が出てきたところだ」

 

「それはよかったよ。あ、私は綾小路くんの後ろにいる邪魔な存在を消さなきゃだから、またね」

 

 

【挿絵表示】

 

※画面右上に見切れている存在に注目

 

「あ、ああ」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

帰宅後、早速アプリをダウンロードし起動してみる。

 

なるほど、同じオブジェクトを重ねることで次ランクのオブジェクトを作っていく。

その作業を繰り返すことで、より高ランクのオブジェクトを作成していくわけか。

 

キャラクター毎に生成できるオブジェクトが決まっているのも面白いな。

堀北がコンパスを作り出せるところや愛里がSDカードを出せるのも造詣が深い。

 

ただ、なぜオレはハンカチやら山菜小鉢やらを生成しているんだ?

 

「あー、綾小路くんも『よーマジ』やってるんだー。クラスでも流行ってるみたいだし気になってたんだよね」

 

夕食の後片付けをしていた櫛田がオレの携帯画面をみて近づいてくる。

 

「私もちょっとやってみよっかな」

 

そう言って隣に座り、櫛田も携帯端末を取り出す。

 

「あれれ?このゲーム、バグってるんじゃない?」

 

「そうか?オレの方は今のところ問題ないが……」

 

「だってほら、不要な堀北をこのゴミ箱に入れようとしても入らないんだもん」

 

退学、退学と言いながら右下に配置されている不要なオブジェクトを捨てるリサイクルボックスへ堀北のアイコンを運び、ドロップする櫛田。

言うまでもないことだが、ベースキャラクターを捨てることはできない。

 

「櫛田、こっちのロッカーに入れることなら可能だ」

 

インベントリと呼ばれる場所へ一時的にオブジェクトを収納できる。

ここにならキャラクターを入れることができるわけだが、そこまでメリットがあるわけではないため基本的に使用することはないだろう。

 

「ホントだー。これで堀北退学だねっ!さすが綾小路くん、退学のプロだよ」

 

「……あぁ、そうだな」

 

何とも嬉しくない評価をもらう。

 

「これでやっとゲームを進められるね」

 

「いや、序盤では堀北の生成するオブジェクトがなければ、メインストーリーを進められないぞ?」

 

キャラクターが増えた後であればともかく、序盤の課題クリアには堀北の生成するオブジェクトが必要になる。

 

「やだなぁ、私が堀北の力を借りるわけないじゃない。ほら、ショップに行けばアイテムは売ってるんだから、ダイヤを消費してリロードし続ければいいんだよ」

 

なんとも非効率な話だが、これはただのゲーム。本人がやりたいようにやって楽しむのが一番か。

 

「ふふふ、私と綾小路くんだけ初期からSR衣装が2枚ずつ実装されてるね!これで誰がヒロインかはっきりしちゃったなー。堀北、一之瀬さんは1枚、坂柳さんに佐倉さん、伊吹さんは0枚スタート。格の違いってやつだねっ」

 

ロッカーに堀北を放り込んでテンションの上がった櫛田は楽しそうにプレイしていた。

オレもストーリーの方が気になる。少し集中してプレイしてみるか。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

翌日。登校して席に座る。

 

まだ授業まで時間があるな。スタミナの消費をしておいた方が良いだろう、そう思いアプリを起動する。

 

昨晩データを収集、検証し、狙ったオブジェクトの生成確率は把握済み。

配置の整理や乱数調整を駆使し、考えうる限りプレイ効率を最適化してみた。

 

「きよぽんも『よーマジ』やってるんだ」

 

「お、面白いよね。私もしてるよ」

 

「俺もだ」

 

波瑠加、愛里、明人と綾小路グループがオレの席に集まってくる。

櫛田が流行っていると言っていたのは本当だったようで、よく見れば他のクラスメイトも携帯と睨めっこしている。

 

「お前たち、ゲームもいいが勉強もしっかりしろよ」

 

そんな姿を見た啓誠が声を掛けてくる。

 

「ゆきむーは良いよねー。ちゃっかりサポートキャラとして出ちゃってさぁ」

 

このゲームには、オブジェクトを生成するベースキャラクターの他に、そのキャラを強化するサポートキャラクターも存在する。啓誠もその一人だ。

 

「いや、それは……」

 

「私だって愛里のサポートしたかったのにさー」

 

「それは、お前たちがアニメ1期の範囲でほとんど出番がなかったからだろ」

 

「えー、ゆきむーだって無人島で軽井沢さんに文句言ってただけじゃん」

 

「あの時の啓誠は、心なしか見た目も声の感じも違ったよな」

 

「それは言わないお約束だ、明人」

 

思わぬところで不毛な争いが始まろうとしている。

このままではゲームどころではなくなってしまう。

今タップしている招き猫のカウントを間違えて消失してしまったら一大事だ。

 

「安心しろ、波瑠加。今度2人とも実装されるとお知らせに書いてある」

 

「それホント!?やった、愛里、しっかりサポートしてあげるからね」

 

「うん、ありがとう波瑠加ちゃん」

 

これで一安心だな。

 

「でもよ、俺達がサポートするなら清隆と愛里だよな?」

 

何かが気になったのか明人がそう疑問を口にする。

 

「うん、そうじゃない?」

 

「何か問題でもあるのか?」

 

波瑠加と啓誠にも明人が何を問題視しているのか見えていないようだ。

 

「今の清隆は、啓誠と外村、茶柱先生の3人からサポートを受けてる。そこに俺達も加わったら、さすがに強化されすぎじゃないか?」

 

「確かに」

 

「きよぽんずるーい」

 

「オレに言われてもな……」

 

「で、でも清隆くんならそのぐらいすごくてもいいんじゃないかな」

 

「愛里の言うことも一理あるか」

 

「あ、私がきよぽんじゃなくて愛里だけをサポートするとか」

 

「それはそれで少し寂しいな。波瑠加はオレをサポートしてくれないのか?」

 

「えっ……そ、それはずるいって、きよぽん」

 

そうして綾小路グループで盛り上がっていると……。

 

「あなたたち、いい加減にしてくれないかしら。ゲームをしている時間があるなら、Aクラスに上がるための努力をすべきよ」

 

「来たな、堀北」

 

オレたちが話していると高確率で割り込んでくるからな。

特にこの手の話題は堀北には無駄に思えるのだろう。

だが堀北、今回はお前の負けだ。

 

「いいのか、堀北。このゲーム、学も出ているぞ?」

 

「なんですって!?」

 

「これを見てみろ」

 

「に、兄さんっ。しかも、あの兄さんが私だけをサポートしているですって!?」

 

慌てて自分の携帯を取り出し、ダウンロードを始める堀北。

 

「綾小路くん、どうしたら兄さんが入手できるのかしら」

 

「ガチャを回すしかないんじゃないか」

 

「ガチャね、にいさぁぁぁん」

 

ガチャ画面を開き、連打する堀北。

学のレアリティはN。出る確率は4.286%だ。

 

「兄さんっ、お待ちしておりました。これで毎日会えますね、兄さん!!!」

 

「お気に召したようで何よりだ」

 

無事、学を引けたようだな。

これで放置していても大丈夫だろう。さて、オレもデイリーミッションの消化を――。

 

「ちょっと、綾小路くん。この覚醒と言うのは何かしら?」

 

「覚醒することでレベルの上限を上げられるんだ。同じキャラの入手か覚醒アイテムの使用で最大で5ランクまで――」

 

「つまり兄さんをカンストするためにはもっとガチャを回せばいいのね」

 

「お、おい。最大レベルまで覚醒するのに学が何人必要だと思ってるんだ?」

 

オレも最大レベルまで上げているわけではない為、確かなことはわからないが、オレの画面を見る限り、ランク4に上げるために64人の学が必要になる。

 

「関係ないわ。ガチャを回し続けるだけよ。たくさんの兄さんと出会えて幸せじゃない」

 

躊躇なくプライベートポイントで課金を始める堀北。

オレは眠れる獅子を起こしてしまったのかもしれない……。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

その頃、一之瀬クラス。

 

「なぁ神崎」

 

「どうした、柴田」

 

「リーダーの一之瀬と参謀の神崎がさ、Bクラス代表でベースキャラになるのはわかるんだよ」

 

「ああ」

 

「それでさ、俺たちBクラスってさ、作中で学年イチの仲良しクラスだよな」

 

「そうだな。異論はない」

 

「だったら、なんでBクラスだけサポートキャラがいないんだ?」

 

「……星之宮先生がアップデートで追加されただろ」

 

「でもよ、先生は先生じゃん。仲良しクラスなのに誰もサポートしないって――」

 

「それ以上は言うな、柴田。アニメでの登場頻度が反映されているんだ。こんな悲しい話、皆まで言わせないでくれ」

 

「く、くそー。体育祭で俺の出番がカットされてなけりゃ、こんなことには……」

 

「ああ、残念ながらBクラスでちゃんと出演している生徒は少ない。白波でもダメだったんだ。今後もあまり期待はできないだろう」

 

「ちょっといいですか」

 

「お、お前は――」

 

「そうです、言い出しっぺの僕は見せられますよ、のアニオリ台詞でおなじみの浜口です」

 

「そっか!アニメの船上試験で割と存在感があった浜口なら実装の可能性もあるのか!」

 

「……」

 

「どうしたんですか、神崎くん」

 

「いや、出番という話ならそうなんだろうが……問題は俺と浜口がアニメ内で一切の絡みがなかったことだ。そんな関係性の相手をサポート役として実装するだろうか」

 

「「……」」

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

一方、ひよりクラスの昼休み。

 

「おい、石崎」

 

「はい、龍園さん、任せてください。やるぞ、アルベルト!!」

 

「OK!」

 

「おらぁ、龍園さんを鬼連打だぁぁぁぁ」

 

「盛り上がっているようですけど、何をなさっているのでしょう?」

 

「ひより姐さん!実は今このゲームで、炭酸水を作るために龍園さんをタップしているんっスよ」

 

「そうなんですね。……ところであとどのくらいでできるんですか?」

 

「どうなんすかね、とりあえず、いまやっとゼリー飲料まで作りやした」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「先が見えないようですが、本当にできるんでしょうか?」

 

「Oh……」

 

「ククク、馬鹿を言ってんじゃねえぞ、ひより。俺と言えば炭酸水のメリエだ。俺が出してるオブジェクトで採用されねえわけがねえ。きっと最後には生成できるはずだぜ」

 

「間違いないっす」

 

「俺は飯に行ってくる。帰ってくるまでには用意しとけ」

 

「へいっ」

 

「本当に炭酸水はできるんでしょうか、伊吹さん?」

 

「私に振らないでよ。私だってなんか歯磨き粉を出してることに戸惑ってんだから」

 

「そうですか……それでしたら、石崎君。不確実なものを目指すよりも、龍園くんが喜んでくれる方法がありますよ」

 

「マジっすか姐さん!」

 

「ええ。石崎君はこのオブジェクトとこのオブジェクトを作って、それでアルベルト君はこれを作ってくださればきっと」

 

「Let’s try」

 

数十分後。

 

「よお、石崎。できたかよ」

 

「へい、こちらをご覧ください」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「あ”ぁ?」

 

「Hey Boss」

 

 

【挿絵表示】

 

 

「おめら良い度胸してるじゃねえか、ちょっと来い」

 

「あれ、姐さん、ちょっと話が違うんじゃ……」

 

「ふふふ、からかい上手のひよりさん、です」

 

「私には爆裂魔法をぶっ放したようにしか見えないんだけど」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

その頃、坂柳クラス。

 

「いいですね、この綾小路くんをタップした時の「おぉ~」という声、何度聴いてもたまりませんね」

 

「ホント物好きよね。普通もっとカッコいいセリフとかがいいんじゃない?」

 

「真澄さんにもいずれわかりますよ。はぁ、私と綾小路くんの生成できるオブジェクトが被っているのもいいですね。他の女子生徒とは違う幼馴染の絆を感じます」

 

「それを言ったら俺も綾小路と同じく学食関係のオブジェクトを生成できる。やはり友情はいいものだな」

 

「マイカーは口を慎んでいただけますか。せっかくの希少感が薄れてしまいます」

 

「むぅ……」

 

「そもそも私より先に葛城くんのSRが実装されていたことも気になっていました。葛城くんには今一度、誰が主人か理解していただく必要がありそうですね」

 

「いや、俺があとから実装されても誰もガチャを回さないだろう。逆に坂柳ならファンも多い。ガチャが回って収益も見込めるという運営側の戦略なんじゃないか?」

 

「さすが葛城くん、わかってますね。ご褒美に綾小路くんボイスを耳元で聞かせてあげましょう」

 

『おお~』『おお~』『おお~』『おお~』『おお~』『おお~』……

 

「ふむ、悪くないな」

 

「そうでしょう、そうでしょう」

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

放課後の生徒会室。

 

「にゃはは、やっと完成だよ」

 

「一之瀬、確かになかなか面白いゲームだった。SRキャラのレベルを上げることでオリジナルのシナリオが読めるのもいいな」

 

「あ、え、あわわわわっ!」

 

急に声をかけたことで驚いたのか、一之瀬の手から携帯が滑り落ちる。

 

「おっと。危なかったな」

 

落下寸前で携帯をキャッチすることに成功した。

 

「ん?丁度一之瀬も『よーマジ』やっている最中だったのか。いまシナリオどのぐらいまで進めたんだ?」

 

「だ、だめーっ!!」

 

一之瀬に携帯を返す際にちらっと『よーマジ』画面が見えたため、思わず覗き込む。

 

 

【挿絵表示】

 

 

「……」

 

「……」

 

「……えーと、これは?」

 

「その、つい出来心で……」

 

「まあ、楽しみ方はひとそれぞれだしな」

 

「ふ、深い意味はないんだよ。色合いと形が可愛いなぁって思っただけというか……うん、あはははは……」

 

真っ赤な顔を下に向け、それっきり黙ってしまう一之瀬。

この空気、どうすればいいんだ……。

この際、南雲でも桐山でもなんでもいいから、生徒会室に入って来て場を乱して欲しい。

 

そんな願いが届いたのか、生徒会室のドアが開く。

 

「綾小路くん!!!」

 

「……堀北?」

 

「ポイントを貸してくれないかしら?兄さんが、兄さんが足りないの」

 

「まさか持っていたプライベートポイント全部課金したのか?」

 

「ええ、当然でしょ?兄さんのためですもの」

 

「※実際のゲームでは課金の際に年齢制限があり、高校生は月1万円分までの課金が上限です。あくまで創作ということで堀北さんがぶっ飛んだことをしているだけとなります。また、このお話は課金を推奨しているわけではありません。節度あるプレイで楽しく遊びましょう」

 

「突然どうしたんだ、一之瀬」

 

「このご時世、色々大変なんだよ。念には念を入れておかなくちゃ」

 

「そういうものなのか」

 

「綾小路くん、それより兄さんを!」

 

「失礼します。生の綾小路くんボイスが聴きたくなって幼馴染がやってきましたよ。ふふふ、ぜひタップさせてください」

 

「俺も頼む、綾小路。鍛えた筋肉を使う時が来た」

 

「綾小路くーん、やっぱりシステムを作り替えて堀北消せないかなぁ。げ、なんでいるの堀北さん」

 

「綾小路、Bクラスからサポートキャラを実装するための戦略を一緒に考えてくれないか」

 

「龍園さんのためにメリエを作りてぇんだ、力を貸してくれよ、綾小路」

 

「Help me,Brother」

 

携帯を片手に大勢が我先にとこちらに押し寄せてくる。

 

「ちょ、落ち着け……」

 

「「俺たちも実装しろぉぉぉ」」

 

逃げようと思った矢先、どこからかともなく現れた南雲と桐山が床を這いつくばって足を掴んでくる。

 

「私も実装してくださいっ!!!」

 

先日卒業したばかりの橘までオレの腕にしがみついてくる。

 

「橘、ほどほどにな」

 

少し離れたところで、学が笑いを堪えながらこちらの様子を眺めていた。

 

ああ、つまりこれは――――。

 

携帯のアラームが鳴り響き、意識が覚醒していく。

 

今年もなんだか奇妙な夢を見た気がする……。

 

心理学者のフロイトは夢と無意識の結びつきを提唱し、夢を分析することで潜在意識を探れるとのことだったが……アレがオレの潜在意識なのか?

 

オレも疲れているのかもしれないな。

 

そうして今日は二度寝をすることに決めた。

次はもう少し平穏な夢をみれるようにと願いながら。

 




ちなみにメリエ(炭酸水)はオブジェクトにないみたいですね。

記載内容は個人的見解のため、情報として正しくない場合が十二分にあり得ますのでご注意ください。
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