ようこそ実力至上主義の生徒会へ   作:まぐまれむ

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決意の心が蝕まれ

昼休みの教室。

 

「2人の苦手な部分を幸村と協力して対策中だ。この調子なら退学になることはない」

 

あれ以来、長谷部たちとの勉強会は順調に進んでおり、報告を求めてきた堀北にその旨を伝える。

 

「それは朗報ね。少し余裕が出てきたのならこちらの勉強会にも顔を出してくれないかしら?」

 

「オレはこれ以上協力するつもりは――」

 

「別に指導をお願いしてるんじゃないの。監視の目が欲しいだけだから」

 

「まあそれぐらいなら」

 

下手に粘っても良いことはないだろう。

いるだけでいいというなら妥協点としては悪くない。

 

放課後になると、堀北との約束通り図書館で開催されている勉強会に参加することになったのだが、どこからかオレの参加を聞きつけた佐藤も急遽参加することとなった。

 

「いきなり参加するって言って迷惑じゃなかった?」

 

「やる気があることは良いことだと思うぞ。堀北たちも喜んでいる」

 

「そうじゃなくって――」

 

「ペアの佐藤とも話す機会ができてオレも嬉しく思う」

 

「ほんと!?今日はがんばるね、綾小路くんっ」

 

オレからの言葉にぱぁっと表情を明るくする佐藤。

はぐらかそうかとも思ったが、オレと組んで退学の恐れがないからと勉強をサボられると後々の彼女のためにならない。ペアとして最低限のケアはする。

 

「あのさ、私さ、国語が苦手なんだけど……教えて欲しいな、なんて……ダメかな?」

 

「断る理由はないな」

 

「やった、ありがとっ!」

 

長谷部や三宅にも教えている手前、佐藤には教えないとは言えないため、そう答えたのだが……向こうで別の生徒に教えている櫛田が一瞬こちらを睨んでいたような気がする。

 

「なんか登場人物の気持ち?を答えろっていうのがあんまりわかんなくって。そんなの本人しかわかんないじゃんね」

 

「確かにな。だが、そういう場合は、どこかに解答に繋がる文章があったり、それを匂わせる表現がある。そこを探して推測していくんだが、例えばこの問題なら――」

 

こうして佐藤に問題の解き方を伝授していく。

最近は勉強を教える機会も増えたからか、ある程度分かりやすく伝えられたんじゃないだろうか。

 

「そっか、そういうことかー。めっちゃわかりやすい。さすが綾小路くんだね」

 

「いや、佐藤の物覚えが良いだけだ。この調子で勉強を続けていけばきっといい成績を取れるぞ」

 

確証はなかったが、褒めて伸ばす、橘から学んだ方法のひとつだ。

 

「かっこよくて、優しいし、勉強も運動もできるって完璧すぎ―」

 

「そんなことはない。オレもできないことはある。次のテストもどうなるかわからない以上、佐藤にも助けてもらうこともあるかもしれない」

 

「うん!」

 

佐藤からしっかりとした返事がくる。

図書館なのでもう少し声量を落して欲しかったが、前向きなのは良いことだ。

今回は間に合わなくとも、いずれ佐藤がクラスの力になってくれる未来もあるかもしれない。

 

そうして勉強会が少し進んだところで、反対側の大きなテーブルに一之瀬クラスの面々がやってきた。どうやらあちらも勉強会らしい。

ただ、いつもと違いどこか元気のない様子。……一之瀬の姿がないことも気になる。

 

「ちょっと席を外すな」

 

佐藤に断りを入れて、Bクラスの方へ足を運ぶ。

 

「綾小路か、そちらの勉強会は順調そうだな」

 

近づくこちらに気づいた神崎が声を掛けてくる。

 

「そっちは……あまりいい状況とは言えないみたいだな」

 

「やはりわかるか……。ここで話す事でもない。少し場所を移さないか」

 

図書館で長話は確かに迷惑であるし、周りが静かなのでこちらの話も聞こえやすい。

クラスの内情を話すにはお世辞にも適した環境ではないだろう。

 

オレは頷き、神崎の後に続く。少し歩いて人気のない廊下に出る。

ここからなら誰か来たとしてもすぐ気づくことができるだろう。

 

「実はな、龍園クラスのヤツ等から勉強会を開く度に妨害を受けている。それも一之瀬がいる時に限ってだ」

 

「それはまた露骨な手だな」

 

「ああ。だが、一之瀬に対しては効果的だった。私と一緒じゃ勉強にならないからと今日も別行動になってしまっている」

 

確かに一之瀬の性格を考えると自分のせいでクラスメイトに迷惑がかかるを良しとするはずがない。見事に孤立させられている。

 

「それに噂の件も収まる様子がない……おかしいと思わないか?」

 

「というと?」

 

「龍園クラスだけの犯行にしては広まる早さも持続も異常だ」

 

「……Aクラスか」

 

「恐らくだがな……少なくとも一部の生徒は関係していると睨んでいる」

 

一之瀬クラスの作った試験問題を解くのは坂柳たちAクラスだ。

一之瀬クラスの成績も勝敗に関わるため、落ちてくれるならその方が都合がいい。

 

だが、坂柳の作戦であるなら、少し粗が目立つな。

神崎に悟られるようなミスを犯すだろうか。

 

「こちらの隙を狙って試験問題を盗む、なんてこともあるかもしれない。勉強会は一之瀬も不在でクラスに不安が広まってしまっている。情けない限りだ」

 

「これをオレに話す理由は?」

 

クラスの内情など他クラスの生徒に聞かせられるものではない。

それをするということは神崎なりに何か考えがあるからだろう。

 

「お前なら力になってくれると思ってな。今回の試験も協力関係にあることは一之瀬から周知されている。何か手があれば知恵を貸して欲しい」

 

「……そうだな。連携できる手はあると思うが……」

 

それを一之瀬が望むかどうか疑問は残るな。

そう考えを巡らせていると、向こうから人影が見える。

 

「すまないが、また近いうちに相談させてくれ」

 

「わかった」

 

足早に神崎が図書館に戻っていく。

その背中を見送り、わざわざこちらにやってきた人物へと向き合う。

 

「よお、綾小路、神崎と悪巧みか?」

 

「世間話をしていただけだ」

 

「クク、なら俺も混ざっても問題なかったろ。……お前たちは図書館でお勉強か。今回の試験、勉強なんざ真面目にしてるやつらの気がしれねえな」

 

その言葉通り、龍園クラスの生徒が、図書館やカフェなどどこかで集まって勉強している、といった姿を見た記憶がない。

つまり正攻法を捨てて、別の戦略を立てている――今回の場合、別の戦略は数えられるほどしか思いつかないな。

 

「それで一之瀬クラスを妨害していると?」

 

「おいおい、言いがかりは止めてもらいたいぜ。俺達は何もしちゃいねえさ。たまたまあいつらが集まっているところに出くわして、丁寧にあいさつしてるだけだ。まさか、同学年の人間と話すだけで罰を与えるなんてことはないよな?」

 

「それはそうだな」

 

直接的な暴行ならまだしも、近づいて話しかけるだけでは罪には問えない。

実際どんな手を使っているかは不明だが、神崎の口ぶりからすると、言葉通りのあいさつだけでは済んでいないのだろうが……。

 

「ところで綾小路、ここであったのも何かの縁だ。俺と取引しないか?」

 

「取引?」

 

「お前を生徒会長にしてやるから、そっちのクラスの作る問題を寄こせ。たかが、50クラスポイントでこの学校での盤石な地位を得られる。そうすれば、お前の大好きな一之瀬を守ってやることもできるかもしれないぜ?」

 

クラスを売れば、南雲を陥れと一之瀬への嫌がらせを止めるということ。

どうやって南雲を生徒会長の座から落とすのか気にはなるな。

 

「悪いがテスト作成に関してはノータッチだ。同じ話を堀北に持って行ったら、兄貴の後を継げるって喜んで売ってくれるかもな」

 

「クク、テスト満点の奴が問題の作成に関わらないっていうのは無理があるんじゃねえか?まあいい。気が向いたらいつでも来いよ。だが、手遅れになる前に判断することを勧めるぜ。なんなら、オレのクラスの女ぐらいサービスでつけてもいい。ひよりでも真鍋でも諸藤でも好きなやつをもってけ、みんなで祝福してやるよ」

 

わざわざここに来た本来の目的は、オレがどんな人間なのかを探ることにあるようだ。

何に興味関心を示すのか、それをこのやりとりで見つけてやろうという魂胆が透けて見える。権力、女、金などありきたりな欲から、正義感や義理堅さを測り、自己利益のためならクラスを裏切る人間なのかを見極める。これまで何度か龍園と接触してきたが、しっかりと言葉を交わすことはなかったからな。直接確かめに来たわけだ。

 

「本人たちの意思を捻じ曲げることはできない」

 

「それに関しちゃわからないぜ?お前は学年でも有名人様だからな。そうでなくとも、うちには前例がある。そのあたりはどうとでもなる、違うか?」

 

伊吹と金田のことを言っているのだろう。

偽りのカップルのはずが、今では全学年公認の仲となっている。

その提案を無人島でしたのは一之瀬だが、そうなるように仕向けたのはオレ。

少しでも妙な仕草があれば、そこからオレの関与を疑うつもりだろう。

 

「何のことだ?悪いが心あたりはないな」

 

「ククク、その余裕ももうすぐなくなるさ。俺はそろそろ用事がある。後悔しない選択をするんだな」

 

そういって龍園は去っていく。

何か仕掛けることを隠そうともしない。

だが、そんなことでオレから何か情報を引き出そうと思っていたのであれば、無駄な時間だったろう。

 

神崎の話と龍園の話から今後の展開を予測する。

噂とAクラスの動向も気がかりではある。

孤立させられた一之瀬はどうしているだろうか。

 

あれ以来、連絡しても『大丈夫。こっちは気にしないで』という返事しか来ず、取りつく島がない。

 

そうして考えを一通りまとめたのち、オレも図書室へ戻る。

少しの離脱のつもりがだいぶ時間がたってしまった。

監視役が真っ先にサボるなんて堀北にどやされるかもしれない。

 

一部の生徒はすでに帰っていたようだったが、オレの帰りを待ちながら必死に問題を解いていたのであろう佐藤がこちらに気づき、笑顔で手を振りながら迎えてくれた。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

その日、帰宅するとチャイムが鳴る。

何事だろうと玄関を開けてみるとそこには櫛田がいた。

 

「えへへ、来ちゃった」

 

ニコニコしながら上目遣いでこちらを覗き込む櫛田。

 

「この前はありがとな。美味しく頂いた」

 

「ん-、何のことだろう。でも喜んでくれたなら良かったよ」

 

事実を認めているようで認めない曖昧な返事。

玄関先で対応するのも気が引けるため、部屋に招き入れる。

 

「なんだか綾小路くんが先にいるのって新鮮だね」

 

「いつもは櫛田が出迎えてくれていたからな」

 

実に奇妙なやり取りだが、事実なので仕方がない。

それにしても、怒って出て行ったとは思えないほど変わり具合。

 

「今日はね、その……綾小路くんと仲直りしたいなって思って」

 

「そうか。実はオレも櫛田がいなくなってしまって淋しく思っていたところだ」

 

「わぁ、嬉しいな。同じ気持ちだったんだね。……あれから、よく考えたんだけど、最初に綾小路くんに言われた通りだなって。まだ私が堀北より役立ってる証明もできてなかったのに、無理言っちゃって本当にごめんね」

 

「いや、いいんだ。オレも強く言いすぎたように思う」

 

「ならこれで仲直りだね。私も頑張るから、また一緒に堀北退学目指そ!」

 

「ああ。そうだな」

 

「よかった。また拒否されたらって思うと気が気じゃなかったんだ。綾小路くんとは色々話したいこともあったんだよ」

 

そうして櫛田とあれこれと話しながら過ごした。

 

◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆

 

それからしばらくは俺たちのCクラス――ポイントを減らすことなく11月に入ったためCクラスにめでたく昇格したが特別試験前ということもあり、誰も大々的に喜んだりはしていない、結果次第では再びDクラス、という可能性もあるためだ――は順調に試験対策を進めていた。

 

俺たちの方の勉強会も成果が見え始めており、Aクラスの問題次第だが、長谷部も三宅もテスト範囲の問題は安定して解けるようになってきた。

あとは特別試験に勝つために、どれだけ点数を伸ばせるか、というところで幸村が特製のテストを作ってきた。

 

「激ムズだよ、ゆきむー。こんなの本当に解けるの?」

 

「仮想Aクラス問題だからな。難しすぎて困ることはない。それに解けるやつならココにいるんだから、不可能な問題でもない」

 

「えー、ほんとー?じゃあ、あやのん(仮)も一緒にやりなよ。そして一緒に死のう?」

 

長谷部が幽霊のように俯いて前髪を垂らし、オレの手を掴み、テストという地獄へ引き摺り込む。

 

ただ、オレはあっさり解いてしまったため、地獄を見たのは2人だけだった。

そんな勉強会を終えて帰路につくが、同じ寮に住んでいるため、必然帰り道も一緒だ。

 

「ふぅー、今日も頑張ったぁ。ここまで勉強してるのは久々かも」

 

「このぐらいまだまだだ。大学受験の時期はもっと勉強が必要になる」

 

「それはちょっとムリムリ。てか、みやっちもよく続いてるよね。てっきりすぐやめると思ってた」

 

「お前こそ珍しくないか?普段男子とは絡もうとしないだろ」

 

「あー、別にこの3人ならいいかなって思っただけ」

 

ちらりとこちらを見る長谷部。何やら思うところがあるらしい。

 

「あ、ちょっとコンビニ寄って行かないか?」

 

三宅の提案で寄ったコンビニで、4人でアイスを購入することに。

 

「期末試験の前祝いと、Cクラス昇格のお祝いねー。ちょっと寒い時期に食べるアイスも美味しいよね」

 

「そうだな」

 

長谷部に同意する三宅。

 

「ゆきむーもそう思わない?」

 

「保存料と着色料のオンパレードだからな……」

 

「相変わらず硬いなー、別にいいけど」

 

そう言って少し真面目な表情になる長谷部。

 

「なんかさ、こういう関係も悪くないよね」

 

「買い食いする関係がか?」

 

「いやさ、私もみやっちも1人でやってきた系じゃない?」

 

「否定はしない」

 

「いざグループになってみたら、居心地が良かったって言うか、ゆきむーも基本的に友達少ないわけだしね。もう二学期も1ヶ月ちょっとだけど、この勉強会を通して新しいグループを作りたいって思ったわけ」

 

「悪くないな。というか、俺自身驚くほどこのグループに馴染んでる。他の男子とは馬が合わないしな」

 

「でしょでしょ。2人はどう?」

 

長谷部の提案に三宅も肯定的だ。

幸村はどうだろうか。

 

「勉強のために集まったグループだ。テストはこれからも卒業まで続いていく。効率化のために、グループを認めてもいい」

 

「何それわかりにくい――でもありがと」

 

3人の視線が未回答のオレに集まる。

 

「オレも生徒会ばかりで気づいたらクラスと少し疎遠になっていて淋しく思っていたところだ。この4人はオレも気が楽でいい」

 

「んじゃ決まりだね。せっかくだから親交の印にあだ名呼びに――」

 

「には付き合わないぞ」

 

長谷部の提案に被せる形で幸村が否定する。

 

「じゃあせめて名前呼びね。私は波瑠加」

 

「明人だ」

 

「オレは清隆、幸村は輝彦だったか」

 

「その名前は家族を捨てた母親がつけた名前だ。……そうだな、俺の事は啓誠と呼んでくれ。尊敬する父がつけようとしてくれた名だ」

 

「わかった」

 

「じゃ、この4人で綾小路グループってことで」

 

「なんでオレが代表みたいになっている?」

 

「逆に代表に相応しいのはきよぽんしかいなくない?」

 

「それは俺も賛成だ」

 

「ああ、そうだな」

 

波瑠加に賛同する明人と啓誠。

 

「あと、きよぽん、て」

 

「やっとしっくりくるあだ名を見つけられたって感じ」

 

あやのんときよぽんの間にどれほどの差があるかわからないが、

波瑠加が満足ならそれで良しとしよう。

 

「あ、あの、ちょっと待ってくださーい」

 

グループ決起とばかりに4人で手を重ねようとしていたところに佐倉がやってきた。

 

「ん?佐倉か、どうした?」

 

「あ、あの、私も綾小路くんのグループに入れてくれない?」

 

佐倉はこれまでの勉強会の度に、篠原と一緒に遠くからオレたちの後をつけていた。

何か考えがあってのことだと思っていたが、そのままの通りオレたちと交流を持ちたかったようだ。

 

「えっと、でも佐倉さんって篠原さんとかとよく一緒に居るよね?そっちは大丈夫なの」

 

「う、うん。えっと、送りだしてくれたというか、綾小路くんのグループに入ったからって別れるわけでもないし……大丈夫」

 

その言葉通り、通りの向こう側で篠原がこちらの様子をハラハラした様子で見守っている。親心か……理解できるぞ、篠原。

佐倉の次のステップとして別のグループとの交流を持たせようということか。

 

「それなら別にいいんじゃないか。なんか気が合いそうだし」

 

「佐倉ならうるさくないしな。でも今後増やすのは止めてくれ、騒がしいやつらが入ってきたら俺は抜ける」

 

「ありがとう、三宅くん、幸村くん」

 

明人と啓誠が承諾する。

だが、波瑠加の表情は複雑だ。

 

「うーん、これはちょっと悩ましいけど、でも機会は平等?ってやつ……佐倉さん、悪いけど、このグループに入りたいなら、あだ名呼びか下の名前で呼ぶことが条件。できる?」

 

「え、えーと」

 

「明人に啓誠に波瑠加だ」

 

「明人くんに啓誠くん、波瑠加ちゃん」

 

名前を呼ばれて頷く三人。

 

「あときよぽんね」

 

「えーと、きよ、ぴよ、清隆くん」

 

顔を真っ赤にしながらオレの名前を呼ぶ佐倉。

いくら成長してきたからと言え、さすがに異性の名前を呼ぶのは緊張したのだろう。

 

「ああ。よろしく、愛里」

 

「うん、よろしくお願いします」

 

「じゃあ改めてこの5人が綾小路グループってことで」

 

満場一致で佐倉の加入が決まり、綾小路くんグループが発足する。

 

体育祭の時も感じたが、同じクラスに仲間がいないというのは、少し淋しいものだと感じていた。幸い、このメンバーであれば、気兼ねなく過ごすことができるため、クラスの居場所として悪くない。

 

生徒会以外の居場所として少し期待が高まった。

 

◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇

 

「クク、それでお前は本当にテスト問題を持ってこれるんだろうな」

 

「そんなの簡単だよ、あいつ私の事信じ切ってるし。だけどその代わり、ちゃんと約束は守ってくれるんだよね」

 

「良い目をしてやがる。初めは耳を疑ったが、なるほど、詳細も聞かずに鈴音の退学の手伝いをしてやれるなんて俺ぐらいなもんだ。お互いの信頼のためにもまずはお前の成果に期待させてもらうぜ」

 

「もちろんだよ。よろしくね、龍園くん」

 

放課後の空き教室で様々な思惑が暗く影を落とし始めていた。

 

 

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