エルピス   作:風来のがばお

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第1話

黄色く、長い髪。見たことの無い軍服のような象牙色のドレス。そしてその手に持っている黒い武器…あれはあの帝国が使用している刀だろう…

 

 

そして可愛…麗しい。

 

 

 

それが私の第一印象だった。

 

私の名前はエルシア・ラグレイ。私が所属するアルトリス聖国のエルフの騎士。そして彼女、レイ・エルピスと初めて邂逅したエルフ…もといこの世界…【アステル】の知的生命体である。

 

 

 

――――――――――――――――

 

 

 

 

アステル…広大な大地が広がる巨大な半島…そこには3つの領土が存在していた。

 

古より伝わる神が使ったとされるの聖遺物を保有し、その神々を信仰する神聖なる国、【アルトリス聖国】

 

閉鎖的で、とある一人の女帝が支配する女性のみが暮らす女性帝国【ツキノメ帝国】

 

 

とある一人の女魔術師が作り上げた複数の魔力炉が並び、魔術による科学が発展し、エネルギー企業【カルシファー】が牛耳るアステル最大の商業都市【ルファ】

 

 

 

この3つの領土はかつて覇権を争い、そして戦乱の嵐が吹き荒れた事もあったが、現在は微妙な均衡で平穏が保たれていた。

 

ある時までは…

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「エルシア、すまないがお前に此度の一件を任せる」

 

全てはここからだった。アルトリス聖国が誇る質実剛健の巨躯の身体を持つ女大騎士、アンダルシア・オクテスト騎士長からのお呼び出しだった。理由は明白。アルトリス聖国の国境付近にて不審な光の輪、そして黒煙が上がったとの報告だった。

 

「エルフで羽を出せて一番早く飛べるのはお前ぐらいだからな。お前に白羽の矢が立った」

「了解致しました。ですが…アンダルシア騎士長は?」

「騎士長はよせと言ったであろう…。国境付近ということもあって、ツキノメ帝国側から不審な動きが見られないかの調査にで向かわなければならなくなった。全く…面倒な国だな…あの国は…。もちろんルファの動きも確認するつもりだ」

「まぁですよね…でも光の輪…あんな光の輪見た事ないですからね…騎士長…あ、アンダルシアさんも見た事ないですよね?」

「ああ・・・カルシファーのソフィア社長の魔術を見たことはあるが、あの魔術とは異なるものを感じた…」

 

と、そこに一人の兵士がアンダルシアさんに声がかかった。

 

「すまないが、そろそろ行く。先行隊が向かっているが、連絡が無いのが気になる。すぐに向かってくれ。私は陛下に出立を伝えに行く。お前の事も含めてな。では」

 

私はわかりました、と応えてアンダルシアさんは数名の兵士立ちを連れて玉座の方へと向かって去っていった。国家間の争いが絡みかねないので、国王陛下の意見も聞きたかったのだろう。ただでさえ微妙な均衡で保ってるこの世界で厄介事が増えるっていうのは…胃が痛くなる話だ。

 

私はエルフ特有の魔力羽を生成し、ポニーテールの金色の髪をなびかせて現場へと向かっていった。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

到着する前から遠くから見てわかる。良くない状態だと。黒煙の周辺には倒れた兵士がいた。そしてこの場所にはふさわしくない謎の建造物の残骸…ここは確か何も無い平野だったはずだけど…

 

私は兵士達の近くへと降り立って話を聞いた。

 

「大丈夫ですか?一体何があったんですか?」

「う…頭を…何者かが…私の頭を…」

 

ダメだ…意識が朦朧としてる…多分他の兵士達も同じ状態なのだろう…私は兵士を後に黒煙の中止地へと向かっていった。

 

 

 

 

そして出会った。

 

 

一人の少女と…

 

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

「そこの貴女、ここで何をしてるの?貴女は誰なの?」

 

明らかにこの状況の元凶とはあると思うけど、とりあえず対話を試みた。

 

 

「atjsne〆<aめそ3€め%+々なおdklbn」

 

へ…?

 

「…?…あ〒・3<〒527て…し_i<々2…」

 

え、なんなの…何言ってるの…?喋ってる言語が理解できない…このアステルの言語は統一されてるから魔獣と言った言語を介さない生物以外は一部を除いて全てアステル語だけど…全く聞いたことがない…何かを伝えようとしているとは思うけど…

 

「ひ々|<€、52…xsm々4:38<^:…!」

 

と、突然彼女は左手を伸ばすように突っ込んできた。

 

「ッ!」

 

何とか避けきることが出来たけど、何を言ってるのか分からないせいで攻撃の意思で行っているのか分からない。ただ分かることは…

 

「それで兵士達を倒したって訳ね…なら悪いけど…」

 

私は静かに腰に着けた剣を抜いた。

 

「実力行使させてもらうよ!」

 

それを見て彼女も刀を構えた。どうやらやる気みたいになった。けどあの黒い刀…ツキノメ帝国のもののようで、どこか機械的な…ルファのもののようにも見える…

 

「ハァッ!」

 

最初に仕掛けたのは私の方からだった。それを彼女は難なく返す。彼女は細腕ではあるが、膂力はそれなりにあるみたいだった。魔術による強化がなされているのか、片腕で振るうだけでもそれなりのパワーを感じた。

 

「〒÷」xlッ!」

 

見たことも無い剣さばき。けどそれよりも先程から気になることがある。左手だ。先程から左手を私に突き出そうとしているのが気になった。

激しく剣と剣がぶつかり合う中、私の頭を左手が狙っている。私もそれなりの手練ではあるけれども、彼女はまだ余裕があるように見える。

 

「くっ…!やるじゃない…貴女…!」

「……<々:→*5…」

 

相変わらず何を言ってるか分からないけれども、激しく攻撃を仕掛けてくる。が、何故だろう…そこからは殺意のようなものは感じられない…

 

「+々〆3k_fe……」

 

と、私が彼女のことについて考えていた一瞬だった。私の足元から巨大な『腕』が現れた。

 

 

「っ!?がぁッ!!」

 

突然の事で対応出来ず、私はその双腕に掴まれて動けなくさせられた。

 

「くっ…!この腕…っ!」

 

掴まれながらも、よく見ると、彼女の足元から何かが地面に向かって何かがくい込んでいた。

身動きが出来ない私を彼女の左手が頭に触れた。

 

「<〆+あ2-〆」

 

そう言った瞬間だった。

 

「ぐっ!?ああああああああ!!」

 

激痛、とも取れるかもしれない。けどそれとは何かが違う。痛みはあるが何かが違う。まるで私の頭の中を除くような…何かを吸い出しているような感覚。精神操作への魔術に耐える訓練はしてきた。それでも全く敵わない何かを、今された。

 

「…………言語解析完了…」

 

そう言って手を離し、巨大な腕から私を解放した。

 

「はぁ……はぁ…一体…何を…」

「…すみません…今、貴女にしたように貴女達の頭の中を少し解析させてもらいました」

「解……析…?う…」

 

朦朧とする意識の中、私は彼女の姿を捉えていたけれども、それも限界だった。そうか…皆がされていた感覚はこんな感じだったのか…それなら…意識が…もう…

 

「貴女は…一体…」

「エルピス。レイ・エルピス」

「れ…レイ……エルピス…」

 

そうして…私の意識は闇の中へと消えていった……




エルシア・ラグレイ
イメージCV:竹達彩奈
容姿イメージ:リーファ

アンダルシア・オクテスト
イメージCV:井上麻里奈
容姿イメージ:妖精騎士ガウェイン

レイ・エルピス
イメージCV:佐藤聡美
容姿イメージ:閃刀姫ーレイ
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