ファンタジア-白の英雄-   作:レイサン

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昔話での鬼は悪者として登場することが多いよね。
鬼の中にも心優しい子がいてもいいと思うんですよね。
今回はそういうお話です。


鬼は悪者じゃなきゃいけませんか?

先日のビーンズパークでの出来事。

カグヤさんは何者かに操られているというケンジさんの予想は、この前セーヤちゃんから聞いた話からも信憑性はかなり増した。

カグヤさんの妹であるセーヤちゃんが裏切ったと知られたら彼女の見にも危険が及ぶ可能性もある。

第三者の関与の可能性の高さと彼女の裏切り行為については、僕とゴトウ博士とアオバさんだけが知っている。

もしかするとアオバさんはカルラさんに話しているかもしれないけれど、信用できる人だって言っていたしきっと大丈夫なはず。

そう信じたい。

 

…………何だか気分が重い。

 

信頼してもらえたからこそ任せられた役割。

その信頼が僕の気分を重くする。

誰かの役に立ちたいとは思っていたけれど、人に頼られるっていうのはこんなに重苦しいものだったなんて。

もっと強い人にならないと。

 

 

いつまでも気遅れしていられない。

少し気分を変えよう。

カイ博士からも時々リフレッシュする事は精神安定に繋がると教わったし、たまには何をするでもなく外を歩くのも良いかもしれない。

とりあえず近くの街を散策してみよう。

 

 

ロスケイレス。

ケンジさんと出会ったのもこの街だった。

確か博士に拾われたのもこの街だったはず。

僕にとってこの街は出会いの街と言っても過言では無い場所だ。

 

今日は商店街に行ってみよう。

確かここの商店街には服屋さんがあったはず。

ちょうどいい機会だから、エミー達が外に出られるようになった時に着る洋服を、今のうちに買っておこう。

 

服屋に行く目的で来たけど、電気屋さんや本屋さん、八百屋さんに肉屋さんと色んなお店が立ち並んでいて、ただ通り過ぎるだけでも楽しい気持ちになれる。

そんな素敵な場所だった。

そんな事を考えながら商店街をぶらぶらと歩いていると。

 

 

「イデデデデデデ!!!」

 

男の人が痛がっている声が聞こえてきた。

周りの人たちもザワついている様子だ。

事件だとしたら大変だ。

急いで声の聞こえる方に向かうとそこには……

 

「あれは…鬼…!」

 

鬼の女の子が男性を地面に組み伏せていた。

 

「おい!何をしているんだ!痛がっているだろ!」

 

「え?あ!いや、違うんです!これはその…この人がお店の商品を万引きしてるのを見たので……あの…手加減はしてるので…その……。」

 

冷静になってよく見てみると、確かに組み伏せられた男性は手に何かを持っていた。

彼女が言っていることは本当の事で、僕が早とちりしてしまっただけのようだ。

 

「いたぞ!あいつがウチの商品をとって行ったんだ!」

 

「おや?君が犯人を抑えてくれていたのかい?ご協力には感謝するけど、あまり危険な事はしてはいけないよ?」

 

「はい、気をつけます。」

 

冷静になって見ればあの男の人が万引き犯なのは簡単にわかることだった。

それに、冷静になった事で気付いた。

僕は彼女が鬼だからという理由だけで、彼女があの男の人に襲いかかったのではないかと疑ってしまった。

凄く恥ずかしい気持ちだった。

 

 

僕って最低だね。

 

 

 

「あ、あの。すみません。」

 

「はい!?…あぁ。えっと、君はさっきの。」

 

「はい、あの、さっきは紛らわしいことしてしまって、その、すみません。」

 

「いやいやいや!さっきは本当に僕の方こそ申し訳ない事を!冷静に考えれば万引き犯を捕まえてると考える方が自然なのにあんな事を。」

 

「いえ、良いんです。仕方ないですよ…私…鬼ですし……。」

 

「あっ…ごめんなさい…。」

 

本人も気にしている事だったのか。

余計申し訳ない気持ちになってきた。

 

「あの、ぼくこれから妹に洋服買って帰ろうと思ってたんですけど……良ければ一緒に来ます…か…?」

 

何でこのタイミングでこのお誘いをしたんだろうか。

自分でもよく分からない。

 

「え、私なんかで良いんですか?ぜひご一緒させてください!」

 

良かった。

喜んでもらえたみたいだ。

でも喜んでるってだけじゃ

   罪滅ぼしには

  ならないんだよ?

 

 

「あの、私からオススメしたいお店があるんですけど、このお店のお洋服、デザインが独創的でとっても可愛いんですよ。」

 

「おお、色んな服があって迷っちゃいそうですね。一緒に選んでくれると有難いんですけど……そういえばまだお名前を聞いてなかったですね。」

 

「あ、いけない私ったら。えっと、私アマクラレンカって言います。普段はレンカと名乗っています。」

 

「僕はミズキって言います。えっと、アマクラは苗字ですか?」

 

「まあ、だいたいそんなかんじですね。」

 

「珍しいですね!苗字を持ってる家庭は特殊な家計が多いって言いますけど、レンカさんもそうなんですか?」

 

「特殊って言うほどの者でも無いんですけど…そうですね。母はアサギリドウジ、父はムラクモアマネという名前です。知り合いの方々からはアサギリ、アマネと呼ばれていますね。」

 

「何だか凄そうな響きの名前ですね……。」

 

「いえ、そんな大層なものでは無いですよ。それに、私の事より妹さんに買って帰るお洋服、選びましょうよ。」

 

「それもそうですね。」

 

とても人当たりのいいお淑やかな女性という印象を受けた。

悪い人だと思ってしまったさっきまでの自分が尚更恥ずかしく思えてくる。

 

「?どうかしましたか?」

 

「ふぇ!あぁ、いえ別に、なんでも無い、です。」

 

何だろう、目が合っただけなのに気分が落ち着かない。

早く買い物を済ませてしまおう。

 

 

「えっと、ありがとうございました。女性の意見も聞けて凄く参考になりました。」

 

「いえいえ、私でよければまたご一緒しますよ。」

 

「は、はい。」

 

とりあえずエミー達の外行きの服装は買えたな。

レンカさん、凄くいい人だったなぁ。

連絡先も交換出来たし。

本当、優しい人だったなぁ。

僕じゃ釣り合わないくらいに




アマクラレンカについて
山吹色の髪の毛と二本の立派な角が特徴的な鬼。
角にには札や蘿や花が付いていて、セーラー服っぽい服を着た美少女だ。
近付くとフワッといい匂いがする。
因みに、どこまでも真っ直ぐな年下の男性が好みだそう。
次回 決戦の時は近い
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