ファンタジア-白の英雄-   作:レイサン

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ファンタジア-赤の勇者-第8話 決戦の時は近い と同日のミズキの様子です。


決戦の時は近い

一週間ほど前からケンジさんと組手をするようになった。

僕は前から独学で格闘術を鍛えていたから、最初のうちは僕がケンジさんに教えるような関係だった。

でも組手を初めて四日もする頃には、ケンジさんは見違えるほど的確にスキを突いてくるようになっていた。

戦い方を教えていたはずが、気が付けば自分が如何に好きだらけだったのかを思い知らされた。

僕は弱いんだとわからされた

僕はもっと強くならないといけないんだ。

大切な人達を守るために。

憧れのあのヒーローのようになるために。

 

「僕も魔法が得意だったらよかったのに…。」

 

僕は魔法が得意じゃない。

全く使えない訳では無いけど、少し使っただけで体がギシギシと痛くなる。

ケンジさんは掌から魔法弾を打ち出すことができるけど、僕が同じ事をしようとすれば、反動で腕の骨が折れてしまう。

昔、博士に連れられて魔法に関わる身体構造の研究を行っている方に体を調べてもらったことがある。

その方が言うには、僕は身体構造的に見れば魔法に対する強い適性があるらしい。

魔法を使用すると体がダメージを受け、酷い時は骨折をしたりすると説明すると『過去に見てきた中でそんな人物は見たことが無い』と言われた。

その後も調べられる範囲で調べたけど、やっぱり僕以外でこんな異常体質の人物はいないらしい。

 

「なんで僕が…僕だけがこんな体に生まれてきたんだ…僕だけが…。」

 

現状を嘆いたって何も変わらないことはわかっている。

できないものはできないと現実を受け入れるしかない。

僕は漫画やアニメの主人公では無いのだから、奇跡が起きて魔法が使えるようになるなんて夢のような事は起こりえない。

受け入れなよ。これが現実なんだからさ。

 

 

「お兄ちゃん?どうしたの?」

 

「ごめんねエミー…またこんな顔見せちゃって…。情けないお兄ちゃんで…ごめんね…。」

 

「最近ずっと悲しそうな顔だよ?元気無いなら私のほっぺ触る?」

 

「うん。」

 

エミーの頬に癒し成分を分泌する器官があるおかげで、悲しい時も立ち直ることができる。

エミーがいなかったら今の僕はいなかったかもしれない。

僕が落ち込んでいる時、エミーは誰よりも早く気付いて僕を心配してくれる。

そして僕の心を癒してくれる。

だからほかの妹達や博士たちに、いつも通りに接することができている。

僕が帰ってくると、必ず最初に『おかえり』と言って、僕の顔色をうかがう。

落ち込んでいる日は今日みたいに頬を触るよう促してくるし、元気な日は他の妹達の元へ連れて行って皆で遊ぼうと促してくる。

エミーは僕のためにここまでしてくれているのに、僕の方は何もしてあげられない。

自分が本当に情けない。

 

「お兄ちゃん、この前私たちがお外に出るためにお洋服買ってきてくれたでしょ?それでね?私達も何かお礼がしたいなって思ったんだ!それでね?お母さんに相談したの!そしたらね?インターネット?っていうのでプレゼント探すの手伝ってくれたんだよ!」

 

「僕にプレゼント?!えぇ、そんな…お洋服買ったのは僕が気まぐれでやった事で別にお礼なんか貰うような事じゃ無いんだけど…。」

 

「いらなかった…?」

 

「いや違う!全然そんな事ないよ!」

 

僕の馬鹿!

妹を悲しませてどうするんだ!

 

「えっとね?それで皆で何がいいかなって相談してね?髪飾りが良いんじゃないかなって思ったの!お兄ちゃん髪の毛長くて邪魔になるんじゃないかなって思って、それでね?お母さんにこれ買ってもらったの!」

 

「これは…。」

 

それは桜の花のような形をした髪留めだった。

ピンとリボンの二種類の髪留めがセットで入っていた。

 

「前髪を留めるのと、後髪をまとめるのに二つセットで買ったんだ!可愛いでしょ!」

 

「ありがとう…。本当に…。僕のためにここまで…ありがとう…。」

 

博士もエミー達も、僕のためにここまでしてくれて、本当にどう恩返しすればいいのか。

僕はこんなにも愛されている。

僕はその愛に答えられているだろうか?

いや、答えなくてはいけないんだ。

僕は皆の愛に答えるために、もっと強くならないといけないんだ。

 

「あれ?ケンジさんから連絡がきてる。どうしたんだろうこんな時間に。」

 

ケンジさんから通話が掛かってきていたようだ。

 

「もしもし、どうしたんですか?こんな時間に。」

 

『カグヤの居場所がわかった。俺は明日、師匠と一緒に拠点に乗り込む。』

 

「本当ですか!なら僕も同行します!戦力は少しでも多い方が良いですから!」

 

『おお!お前も来てくれるなら心強い!明日の朝師匠の家に来てくれ。そこで詳しい話をする。』

 

「はい。カグヤさん、絶対に連れ戻しましょう。」

 

『おう!』

 

この事については博士にも伝えよう。

それとアオバさんにも伝えなくては。

明日確実にカグヤさんを連れ戻す。

ケンジさんの本気に僕も全力で答えなくては。




ミズキくんへのプレゼントはエミー達が決めて、ゴトウ博士がお支払いしてくれました。
基本ミズキの私物はミズキが自分で買うように心がけていますが、ほとんどのものは博士たちが買い与えたものです。

次回 カグヤ奪還作戦
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