ドンキーコングに転生したら、ポケモン認定されるのか簡潔に述べよ 作:生牡蠣
条件11 それは意外と簡単なものとする
………私は誰だ?
この答えの出ない自問自答をする時、私は同じような夢を見る。
その夢では、私は水の中に居るのだ。
水はまるで私の肌に突き刺さる様に冷たく、居心地がいいものではない。
夢だとわかっているのに、呼吸もままならず苦しいと感じてしまう。
水の中には、私以外の生き物はいない。
私は、水面から差し込む光をじっと見つめているだけであった。
その夢の最後は、毎回決まっている。
水の中に私以外の影が――――ミュウの姿が見えるのだ。
ミュウの姿が見えたかと思うとミュウはすぐに水中から出て、水の外の世界に飛び立つのだ。
あの、何ものをも見下ろせそうな雄大な山の先に
あの、どこまでも続く美しい空の向こうに
あの、生命のあふれた暖かい世界に
しかし、私はそれを見ていることしかできない。
いくらあがいても、水の中から出ることが出来ず、ミュウを追いかけることも、あの世界に飛び立つこともできない。
ただただ、そこにいるだけの夢
……私はこの夢が嫌いだ。
その夢はまるで、私はこの世界に産まれることすら許されない。違う世界のバケモノだと、この世界そのものに言われているような気がして、世界そのものに憎まれているような気がして……
♪~
……?
なんだ?どこからか、音楽が聞こえる……?
ずっと同じ夢を見来たが、こんなことは初めてだ。
この音は……なんだか安心するな。
音自体がこちらに優しく囁きかけ、水の……否、母なる海の神秘を物語の様に語り掛けているようなだ。
先程まで冷たかった水が、母なる海によって全身を包み込まれるように暖かくなり、心地の良いものになったような気がする。
音と共にオクタンに似た毒々しい色をした生物や、ツノが剣のように鋭く尖った魚の様な生物が水中に現れ、自由に泳ぎ回り、生命の輝きを私に見せてくれる。
それらの光景と耳から入って来る音に、私は癒されていた。
それらに意識を向けていると、まだミュウは見えていないのにも関わらず水面が段々私に近づいてきたのに気が付いた。
――――――あぁ。夢が終わるのか……
私は初めて、夢から覚めることを名残惜しいと感じていた……
『………うぅ』
そんな呻き声と共に、
身体には、まだ鈍い痛みが少し残っている様だ……主に頭部あたりに。
……よく見たら、全身に何かの葉が貼りつけられているな。これは……薬草の類か?
………どうやらこの葉のおかげで、痛みは最小限に抑えらている様だな。だが、それを差し引いても頭部がめっちゃ痛い。
痛む頭に手を伸ばしながら、気を失う前のことを思い出す。
私は確か…探し求めていたミュウを見つけて、勝負を拒否されて、謎の生物と戦って……!!
そうだ!私はあの時、あの生物との勝負に負けたのだ!その後は……私はどうなったのだ?
あの生物は、よくわからないが怒りに我を忘れていた様子であった。そんな生物の前でのんきに気を失っていたのだ。無事で済むはずがない。しかし、私はこうして意識を取り戻した。おまけに、治療までされている様だ。
いったい、あれから何があった……?
~♪
私が頭の中で考えを巡らせていると、どこからか音楽が聞こえてくるのに気が付いた。
この音は……知っている。私が夢で聞いた心地の良い音だ。
音の正体を探るべく、私は周りを見回した。
私が気を失う前はジャングルの中にいたはずだが、私が眠っていた場所は木の板で囲われた場所であった。上を見ると、そこには空はなく木で作った骨組みと藁が見えた。
この場所は、まるで人間が作った巣。そう……“家”の様だな……
家の内部を見渡すと、天井からタイヤが吊るされていたり、テーブルの様なものがあったりと、何者かがここで生活しているというのが察せた。
家を見回していると、窓のような穴から月明かりが差し込んでいるのに気が付いた。
どうやら、気を失ってからだいぶ時間が経っていたらしい……
そんな窓の側で、星を眺めている生物がいた。その生物は、先ほどまで自分と生死を掛けた戦いをしていた生物であった。
生物は自分が意識を取り戻したことに気が付いておらず、手元にあるタル…いや、打楽器か?……を叩きながら物思いに耽っているようであった。
―――この音色は、この生物が奏でていたものだったのか………こんなゴツイ見た目からは想像もつかない優しい音色だな……
ミュウツーは自分が心を寄せた音が件の生物の奏でる音だと気が付き、内心驚いていた。
………だが、良い曲だな……今までも人間やコロトック達が奏でる曲を聴いたことがあるが、ここまで心を震わせることはなかった。控えめに言って好き。
『……ん?おぉ!気が付いたのか!!』
件の生物がミュウツーが意識を取り戻したことに気が付き、演奏をやめてミュウツーに近づいた。
―――もっと聴いていたかったな……
ミュウツーは少しだけ残念な気持ちになった。
『あ~その、ごめんな。俺、バナナのことになると周り見えなくなるらしくてな。あんまり覚えてないけど、お前のことボコボコにしちまったんだろ?マジですんませんした……痛みとかある?治癒効果高い葉っぱとか全身に巻いてみたんだけど……』
目の前の生物は、ミュウツーに気が付くと頭を下げて謝ってきた。
そんな生物を見て、ミュウツーの頭の中は「?」でいっぱいになった。
ミュウツーは目の前の生物にとって、突然現れて喧嘩を売ってきた者、排除すべき外敵だ。仮に自分を生かしたとしても、それは配下に加える為や尋問の為と思っていた。
しかし、目の前の生物はそんなことなど最初から考えてないとでもいう様に頭を下げ、あまつさえ己の身体の心配までしてくるのだ。今まで戦いに明け暮れていたミュウツーにとって、初めての経験であった。
『……何故、』
『あん?』
『何故、私をそうまでして気遣うのだ?私は、お前たちからすれば外敵なのだぞ…』
だからこそ、ミュウツーはわからなかった。
すぐに排除されてもおかしくないのに、何故自分に対してここまでしてくれるのかが…
『外敵って……バナナ踏まれたのにはキレたけど、わざとじゃないんだろ?それなのにあんなにボコボコにしたのは完っ全に俺に非があるし……それに、お前と俺ってこうして言葉でコミュニケーションが取れるんだぜ?お前に何があったのかはわからんけど、話し合いで解決できるならそれに越したことはないだろ』
目の前の生物は、さも当然のごとく答えた。
『……それだけか?』
『おん?何が?』
『それだけの為に、私を生かしたのか…』
ミュウツーはさらに困惑した。
話し合いでの解決。それだけの為に自分を生かしたのか。
敵意をむき出しにして襲ってきた存在を。いつ暴れ出すかもわからないバケモノを。
『えっ、そうだけど…』
そんなミュウツーのことなど知らんと言う様に、目の前の生物はさも当然のごとく答えたのであった。
『……プッ!…………くぁははははははは!!』
『えっ、急にどないしたん?』
突然笑い出したミュウツーに今度はドンキーが困惑する番であった。
ミュウツーが突然笑い出した理由、それはドンキーに殴られて頭がおかしくなったからではない。
だって、笑うしかないだろう?
最強の生物と自称していたのに、目の前の生物に完敗しただけではなく、自分の事を殺そうとした相手にトドメを刺すどころか気遣っているのだ。
大きすぎるのだ。目の前の生物が持つ力も。度量の大きさも。
最初から勝てるわけがなかったのだ。
ミュウにばかり囚われていて他の存在には興味を示さず、下に見ていたミュウツーは己の愚かさを笑うしかなかった。
―――あぁ…本当に完敗だ……力も、心も……
ミュウツーは心の底から負けを認めていた。
……まぁ、度量の大きさについてはドンキーの前世で生活していた現代のゆるゆる価値観から来るものも大きいが……ぶっちゃけ、ドンキーからすれば殺されかけたという認識はなく「なんか突然来て知らんうちにボコっちゃった奴。会話自体はできそうだし、脅威ではなさそうだな」位にしか思っていなかったりする。
『マジで大丈夫?頭打ったん?』←殴った張本人
『くふふ…いや、自分の愚かさに気が付いて笑っていただけだよ……まったく、お前の様な生き物がいるのに、最強を自称していた私が滑稽ではないか………』
ミュウツーは“ポツリ”と呟いた。
“最強の
それなのに、元となったミュウどころか名も知らぬ生物に敗北してしまった。
つまり、“最強の生物”として生み出された私は“最強”ではなくなったのだ。
世界最強ではなくなったミュウツーは…私は、この世界に存在していても、良いのだろうか……
ミュウツーは思考する。自分の存在意義が揺らいだ今、自分はこの世界に居てはいけないのではないかと。
いっその事、目の前の生物に介錯してもらった方が良いのではなかろうかと―――――
『そんなに最強にこだわるとはなぁ……お前、自分を作ってくれた人の事大好きなんだな!!』
そんなミュウツーの内心をよそに、このゴリラはなんかちょっとズレてることを言い出した。
…………ん?
ミュウツーはドンキーの言葉を聞いて、脳内に『?』が浮かんだ。
この生物が何を言っているのか、ミュウツーは理解できなかった。
『……いや、別に好きではないが…』
『…えっ、好きじゃないの?』
『あぁ、どちらかと言うと……憎んでいるまであるな』
『なして!?』
ミュウツーの発言に今度はドンキーが困惑する番であった。
ミュウツーからすれば、『人工的に生み出された自分はポケモンなのか?』と悩まされ、時に私利私欲のために己を制御下に置こうとしていた人間の評価は地に落ちていた。憎んでいても仕方がないだろう。
ドンキーからすれば、なんとなく振ってみた話題が予想外に重そうな答えが返ってきたため、思わず驚きの声を上げた。
『………あ、あぁ!人間は憎いけど、それ以上に最強になりたかったんだな!!どっかの野菜人みたいに!!』
予想外の答えに驚いて固まったドンキーであったが、何とか硬直を解いて他に思い当たりそうなことを言ってみる。
………んん?
しかし、その言葉はミュウツーの頭の中に『?』をさらに増やすだけであった。
『いや、別に最強になりたいわけではないが………』
『……そうなの!?』
『確かに、お前と戦っていた時には高揚感の様な物は感じたが……私は別に戦い好きというわけではないぞ?』
『じゃあ何で戦ってんの!?』
『何故?…………そもそも、私は最強の生物として生み出されたのだ。なら、最強の生物になることが私の存在意義で、この世界に居ていい理由だろう?』
ミュウツーはさも当然のごとく言った。
ぶっちゃけ、ミュウツー自身は最強の生物とか世界で一番強いポケモンなどグラップラー的なことをやりたいわけではなかった。
人間に生み出されたミュウツーは、自分の不純な出生に悩み、自分がこの世界に産まれてよかったのかずっと悩んでいた。
そんな時、自分を作った人間から「世界で一番強いポケモンとして作った」と聞かされたため「最強の生物=自分の存在意義・生きていていい理由」と考えてしまっていたのであった。
だからこそ、最強になった時自分は初めてこの世界に産まれたことになると思い込み、最強にこだわっていたのだ。
『そんなわけあるかい!!?』
そんなミュウツーの偏った考え方に、ドンキーはツッコまざる負えなかった。
『存在意義とかよくわからんけど、強制されて仕方なくやってるならやんなくていいから!最強じゃなくなったらこの世界に居ちゃいけないなんてないから!!』
『うぬっ!?……しかし、私は最強の生物として生み出され…………』
『そうかもしれんけど、それと生きていていい理由はまったく別もんだから!!…………てか、お前自分を生み出した人間の事憎いのになんで言うこと聞いてんの?さっきまでのお前の事見たら、そいつら大歓喜モンだと思うんだが……』
『それは………』
ミュウツーは言葉に詰まった。
ミュウツーの頭の中に、自分のことを生み出した研究者の顔が浮かんだ。
『世界最強のポケモンを作る』と亡霊にでも取りつかれたような狂気を含んだ目をした彼ら。研究所はミュウツーが吹き飛ばしたため、今は生きているのか死んでいるのかわからない。
そんな彼らが、世界最強のポケモンを目指して戦い続ける自分を見て『我々の研究が実を結んだ!』とニヤついている幻影が見えた気がした。
………あっ、段々ムカついてきた…
『………確かに、言われてみれば腹が立つな…』
『だろぉ?そんな奴らの言われた通りになんなくてもいいんだよ……うまく言えねぇけど、そういうのって他の奴から言われることもあるけど、最終的に自分がやりたいと思えるかってのが一番大事だと思うぞ。だから、存在意義とか生きている意味とかが見いだせないから世界に居ちゃいけないなんて、すぐに結論出さずにゆっくり考えて行けばいいんじゃね?』
『………そんなに、適当でいいのか?』
『あん?まぁ、少なくともこの島に住んでるほとんどの奴は深く考えてないな~…例えば…………』
そういうと、ドンキーはどこからかピンク色の果実―――ナナの実を取り出した。
『俺は明日もうまいバナナを食べる!それが俺の生きている意味で、存在意義だ!!』
そして、よくわからん事を満面の笑みで答えた。
それに対して、ミュウツーは“きょとん?”としていた。
『………そんなに、簡単なものでいいのか…?』
『おう!“明日になったらバナナ食べたい”でも“木登りしたい”でも、それがどんなにくだらないことでも、そいつが本当にやりたいことだったら、きっとそれは立派な生きている意味だと思うぞ。だから、お前も自分が本気でやりたいって思えるもの探せばいいんでね?』
『やりたいと思えること………私に見つけることができるだろうか…?』
『さぁな~まぁ、丁度やることなくなって暇になったんだし、ゆっくり探していけばいいだろ………ふあぁ…俺、眠くなってきたから寝るわ…』
『あっ、それ食っていいぞ~』とナナの実を床に置くと、そのままドンキーは横になった。
窓から見える月の位置から、夜遅い時間だということにミュウツーは気が付いた。
『……そうだな、長い暇が出来てしまったのだ。ゆっくり探すのも悪くない』
ミュウツーは自嘲気味に、しかしどこかすっきりとした表情で呟いた。
『それがいいさ……やりたいこと決まったら俺にも教えてくれよな~…』
『あぁ……お前の名前を教えてくれないか?』
ミュウツーはドンキーが眠ってしまう前に問いかけた。
ミュウツーは、ミュウやスクイッターとの会話が聞こえていた為ドンキーの名前を知っていたが、直接聞いてみたいと思ったのである。
『あん?名前ぇ?………ドンキーコングだ…7文字で言いにくいならドンキーでいいぞ……Zzz…』
そう言うと、ドンキーはいびきをかきながら眠った。
ドンキーが眠った後も、ミュウツーは少し考えた後、ドンキーが差し出したナナの実を手に持ち、口に運んだ。
『………!!』
ナナの実を口にしたミュウツーは目を見開いた。
美味い。口の中に広がる甘み、どこか落ち着く味だ。甘みの中にある仄かな苦みが、ナナの実の甘みを引き立て癖になる。
ミュウツーはいつの間にか自分の口角が上がっていることに気が付いた。
あぁ…私はこんな素晴らしいものを踏み潰してしまったのか……これは殴られて当然だな。
ミュウツーがナナの実を食べている間、ドンキーは口から涎を垂らしながら気持ちよさそうに眠っていた。
和解したとはいえ、今日殺し合った相手の前で熟睡するとは……肝が据わっているのか、ただのバカなのか……多分後者だな。
まったく、今日はなんて日だ。ミュウを見つけたと思ったら、まったく別の生物に完封されただけでなく、今までの自分の在り方でさえ履替えされてしまうとはな……
しかし、ミュウツーは長年の胸のつっかえが取れたような、背負っていた荷物から解放されたような、心がすっきりした気持ちであった。
『えぇ…ドンキーマジで寝ちゃってるよぉ……』
ふと、甲高い声が聞こえてきた。
その声の方を見ると、窓からピンク色の小さい生物―――ミュウが入ってくるのが見えた。
『まったく……ミュウツーと話し合うタイミングが出来たら呼ぶからスタンバっとけって計画立てた本人が眠ってどうするのさ………』ゲシゲシッ
ミュウはジト目でドンキーに軽めの蹴りを入れる。
しかし、『しょうがないな~』と呆れるその様子は、長年連れ添った夫婦がパートナーに向ける物のように見えた。
ミュウツーはミュウと話がしたいと思ったが、言葉が見つからなかった。
ミュウと戦うために長い間ずっと探していたが、もう戦う理由もない。戦うことしか考えていなかったから、何を話して良いかわからなかったのだ。
ミュウツーは気まずさを感じ、どう話すきっかけを作ろうか考えていた。
『………ごめんね』
ミュウツーが話題を考えていると、ミュウがポツリと呟いた。
ミュウツーは“ピクッ!”っと反応し、ミュウと正面から対峙する。
『………キミの話も聞かないで、戦う理由がないなんて言ってごめんね。今まで戦うことしか知らなかったキミからすれば、今までの在り方を全否定するような言い方で、キミを傷つけてしまったね………だから、ごめん』
ミュウはそう言って頭を下げる。
家の外でミュウツーの話を聞いていたミュウは、後悔していた。
自分と戦い、ミュウを超えることが自分の生きる道と信じていた……否、それしかなかった、ミュウツーを否定してしまったと…
事情を知らなかったとはいえ、『おめぇの事なんて知らねw』とミュウツーの今までを否定してしまったことに。
『いや…それは周りが見えていなかった私の問題だ。謝る必要はない』
しかし、ミュウツーは今まで最強に囚われ妄信し、暴走していた自分も悪かったとミュウに言葉を掛けた。
言葉を交え、見つめ合う両者。
しばらく沈黙が続き、その沈黙を破ったのはミュウであった。
『…ふぅ~なら、このことはお互い言いっこなしにしようか。後さ――』
ミュウは緊張の糸が溶けたように息を吐くと、ミュウツーに小さな手を伸ばした。
『ボクたち、仲良くなれないかな?産まれ方はどうであれ、ボクらは血を分けた親子みたいなものなんだから。ボクは、キミと一緒にこの世界を生きてみたいんだ』
ミュウは真っ直ぐミュウツーを見つめて言った。
一緒に生きてみたい。今まで自分がこの世界で生きていて良いのかずっと苦しんできたミュウツー。
そして今、他の誰でもない、自らのルーツであるミュウに生きて良いと言われたのだ。
――――あぁ、私はとっくに世界に産まれていたのだな
『―――あぁ、私も、貴方と生きてみたい』
ミュウツーはミュウの手を取った。
自分よりも小さく、握りつぶせてしまいそうなほど柔らかい。しかし、この暖かく優しい感触を、ミュウツーは一生忘れないと思った。
『うん!これからはボクたち家族
…………ん?
満面の笑みのミュウが言った言葉に、ミュウツーは違和感を覚えた。
…3匹?確かに、ミュウは私の親と捉えることもできるかもしれないが、私は父と母との交配で生まれたわけではない、所謂試験管ベイビーだ。
私の中には、基本的にミュウの遺伝子しか入っていないはず……つまり、もう一つの元となる遺伝子はないはずなのだ。
……もしや、私の父か母となるもう一匹のミュウが、どこかにいるのか?
『……ミュウよ、3匹とはどういう事だ?私の父か母になるミュウが、まだどこかに居るというのか?』
『…何言ってんの?ミュウは唯一無二でボクしかいないよ?………まぁ世界中探せばもしかしたら居るかもしれないけど、ボクは自分以外のミュウは見たことないな~』
ミュウは『何言ってんのこいつ…』みたいな目でミュウツーを見る。
……えっ、これ私が悪いのか?
『で、では3匹というのは…』
『ん~?まずはミュウツーでしょ、ママ役のボクでしょー…………
後、パパ役のドンキーで3匹でしょ!』
『あぁ、そうだな……………………………………………………………………』
『ッ!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?!?』
この世に生を受けてうん年。ミュウツー、初めての宇宙ニャオハ状態であるッ!!
『みゅ、ミュウッ!?それはおかしいぞ!私にはドンキーの遺伝子はないから、親子関係はないはずだ!?』
『もぉ~ミュウツーったら、親子関係に遺伝子なんて関係ないよ~。義理の親子なんて普通だよ~』
『だ、だが何故ドンキーなのだ!?』
『そりゃ、ボクとドンキーは将来結ばれる予定(そんな予定はない)なんだからあたりまえでしょー///本来ボクに性別はないけど、ドンキーがオスだからボクはママ役になれるんだ!いやー性別がないってこういう時に都合良いよねー!』
ミュウツーはこんらんした。
ちょうおんぱやピヨピヨパンチを受けていないのに、わけもわからず自分を攻撃しそうな錯覚さえ覚えた。
えっ、何?さっきまで死闘を繰り広げてた相手が、自分の親みたいな存在と良い仲だった…………ってコト!?
『ほら!ミュウツーだって今日ドンキーにいっぱい色々なこと教えてもらったでしょ~?“子は父の背を見て学ぶ”って言うし、実質今日お父さんに教えてもらった息子って図が成り立つじゃな~い!ここまでの考察から“ドンキー=パパ”っていうQ.E.Dの証明になるのだ!!』
どこぞの男優の新説動画も真っ青なくらいガバガバなQ.E.Dである。
『そ、そうなのか………?』
しかし、そんな糞説でも混乱しているミュウツーは『そうかな?……そうかも』と信じそうになっていた。
ミュウツーは頭の中で自分より強くて、悩んでいる自分を優しく導いてくれたドンキーが自分の父親であったらと少し考える………あっ、ちょっと良いかも…………
『いや……しかし……………うーん……』
長年の自問自答から解放されたミュウツー。しかし、今度はわけのわからん事で悩む羽目になってしまった。不憫だ…
(外堀は埋めないとね…♡)
そんなミュウツーを見て、某新世界の神のようなしたり顔を浮かべるミュウ。
(うわぁ……)
そんな光景を見てドン引きしているスクイッターなのであった。←念のためスタンバってた
私は誰だ?
――――――私の名はミュウツー
誰が産めと頼んだ?誰が作ってくれと願った?
――――――人が願い、世界に生み出された
私は何故、ここに居る?
………それはこれから探す予定だ。だが、今は―――
明日も美味いバナナを食べるために、生きてみようと思う。
今回の演奏パートには『 Aquatic Ambience 』を推奨しております。
最後の展開をリア友にしたらドン引きされた………何故なのか…
そろそろエチエチか人間視点を書きたいンゴね…
ここまでご拝読ありがとうございました