ドンキーコングに転生したら、ポケモン認定されるのか簡潔に述べよ 作:生牡蠣
~アローラ地方 1ばんどうろ AM 10:56~
アローラ地方。
温暖な気候と自然豊かな地方で、ポケモン世界では有名な観光地の1つとして大人気だ。
また、土地信仰や自然崇拝が強い地域であり、ポケモン愛護の心を島民の殆どが持っており、人間とポケモンが真の意味で共存している地方と言っても過言ではないであろう。
そんなアローラ地方は4つの小さな島と1つの人工的に作られた島から成り立っており、4つの島にはそれぞれ島を守っている神を祀っている。
そんな4つの島の1つ、メレメレ島の1ばんどうろから今回の物語を始めよう。
メレメレ島の1ばんどうろは、アローラの伝統が受け継がれる村であるリリィタウンとアローラ地方最大の街であるハウオリシティの橋渡しのなる特別な道。
その道の途中に、とある小屋が建っていた。
その小屋は、外見がボロボロで継ぎ接ぎだらけ、まるでゾンビのような建物であった。
しかし、その建物の中は最新の機器やポケモンに負担があまり掛からぬように大き目に作られた水槽など、ポケモンの研究に必要な設備が整っていた。
そこに、キッチンやダイニングが併設されており、少しチグハグな印象がある内装だ。
この生活感あふれるボロボロの建物は、実はとあるポケモン博士の研究所なのである。
そんな建物の中に、パソコンのモニターを“ジィ…”と見つめている男女の姿があった。
女性の方は、どこか地味目な印象で眼鏡をかけている女性であった。
彼女の名はラタノ。とある自然保護団体の職員である。
(あぁ~早く終わらせてマラサダ食べに行きたい…)
業務中に食べることを考え始めているラタノ。
しかし、それは無理もない話でモニターを見始めてからもう3時間は経っているのだ。集中力が切れても仕方がないだろう。
一方の男性の方は、モニターに映る映像を食い入るように見続けており、集中力が全く切れていなかった。
今、2人が見ているものは最近コンゴ・ボンゴ島で撮影できた未知の生物・KONGが他のポケモンや密猟者と戦っている記録映像である。
男性は、KONGが密猟者の繰り出すポケモンをその剛腕で投げ飛ばし、密猟者の乗り物を腕を叩きつけて跡形もなくスクラップにする映像を何度も繰り返し見ていた。
(…しっかし、この人の恰好すごいよなぁ~……)
集中力の切れたラタノは、男性の姿を見ながら思った。
だいぶ失礼だと思うが、男性の恰好は上半身はほぼ裸で白衣を羽織っているだけの姿。
白衣の間からは、褐色のたくましい胸筋や鍛えられた腹筋が見えている。
ズボンは履いているようだが、アローラではない別の地方なら間違えなく通報されているような際どい格好である。
そんなラタノの視線に気が付いた男性は“しまった!”という顔を浮かべた。
「あ~すみません…ぼくはポケモンの技になるとどうしても夢中になってしまって…」
「い、いえ!大丈夫です!!元々、私たちが映像の意見を求めているので!!」
ラタノは一瞬失礼なことを考えているのがバレたのではと焦ったが、そうではないようだとホッとする。
「そう言っていただけるとありがたいです。しかし、人間も鳥ポケモンと同じようにはねやすめが必要ですから少し休憩して体力を回復させましょう!」
そう言って、男性はキッチンへ行き作っていたコーヒーをカップに注ぎ、ラタノに手渡す。
「どうぞ、結構濃く作ったのでハリテヤマのきつけぐらいの威力がありますよ」
「は、はい…ありがとうございます――ククイ博士」
ラタノにお礼を言われたククイは、太陽のような安心する笑みを浮かべた。
マサラタウンへの出張を終えたラタノは、パルデア地方の保護団体本部へ帰って来た。
しかし、帰って来て早々上層部より次の出張が言い渡された。
ラタノはオーキドから聞いた情報を思い出し、ガラル地方かと思ったがその予想ははずれた。
なんでも、映像からKONGの使っている技を割り出し、そこからこのポケモンのタイプなどのヒントが得られると何人かの研究者が意見を述べたらしい。
そのため、ポケモンの技の研究をしているククイ博士の意見を聞くべきという上層部の総意によりとんとん拍子にククイ博士との会談が実現してしまったのだ。
そのためラタノは羽を伸ばす間もなく、アローラへの出張が決まったのであった。
(電話対応しなくてもよくなったのは嬉しいけど、せめて家には一回帰りたかったなぁ~…)
ラタノは遠い目をしながらパルデアに戻った時のことを思い出していた。
保護団体本部に戻ったら、いきなり「おかえり!アローラ行ってきて!」だもんなぁ…さすがに参った。
でも、電話対応の職員の顔が死んでたし、ある意味ラッキーだったのかなぁ…
「……フーッ、なかなかに見ごたえのある映像でしたね!」
ラタノが考え事をしていると、ククイが満足そうに笑いながら話しかけてきた。
どうやら、映像の鑑賞が終わったらしい。
「はい、そう言っていただけて、当団体としても持って来た甲斐がありました」
「えぇ!特に重量級のバンギラスをパンチ1発で宙に浮かせるところなんかはもう興奮しっぱなしで――」
「は、博士!それで、KONGの使っている技はなんだと思いますか!?」
目の前にいるククイ博士は、アローラに住む博士であり、ポケモンの技について研究している。
ポケモンの技に関心がありすぎて、日常会話にですら技を使った例え話が入るほどだ。
その為、ポケモンの技の話になると周りが見えなくなるほど熱く語ってしまうのである。
映像を見始めた最初の方も、KONGと全く関係のない密猟者のヘルガーが放った“あくのはどう”について20分近く語られた時はどうしようかと思った程だ。
そのため、これ以上長話に付き合わされるのはごめんだと、ラタノは失礼だと思いながらも、ククイ博士の言葉を遮る。
「あぁ!そうでしたね!
全然わかりません!!」
ラタノは、目の前の半裸の男が何を言っているのか理解できなかった。
…わからない?ここまで遠路はるばる技の専門家を訪ねてきたのに、この筋肉モリモリマッチョマンの変態は何を言ってるんだ……?
はぁ~つっかえ!!やめたらポケモン博士ぇ!
心の中を様々な感情が渦巻いているのがわかる。
そんなラタノの心情を知ってか知らずか、ククイは苦笑いをしながら続ける。
「いやぁ~正確にはわからないっていうか、そもそも技を使ってるんでしょうかね~?」
「……?どういうことですか?」
ラタノはククイの言っていることが理解できなかった。
ククイは少し考えるそぶりをしたあと、ラタノに向き直った。
「そうですねぇ~…ラタノさん、“たいあたり”って技を知っていますか?」
「……はい?…たいあたりって…ポケモンの技のですか?」
「はい、そうです。その辺のヤングースなんかが使う技ですよ」
たいあたり
文字通り敵に向かって体全体でぶつかるノーマルタイプの技であり、ほとんどのポケモンが使える技である。
「そりゃ、基本的なポケモンの技ですから知ってますけど…それがなにか…?」
「そう、基本的な技ですよね!でも、たいあたりを覚えないポケモンもいるんですよ。おかしいと思いませんか?ただ、体を当てるだけなのにできないポケモンがいるのって」
ククイはラタノに問いかける。
確かに、ただ相手に身体をぶつけるだけならどんなポケモンでもできそうなものだ。
最弱と言われているコイキングやその場から動くことも困難なトランセルでさえたいあたりができるのに、何故できないポケモンがいるのだろう?
ラタノはしばらく考えたが、その答えは出てこなかった。
「え~っと……わからないです…」
「はは、急に変なこと聞いてすみません。まぁぶっちゃけ、たいあたり自体はすべてのポケモンができるんですが、“ポケモンの技”としてのたいあたりはできないポケモンがいるっていうのが正解ですかね~」
……?
ククイが質問の答えはさらっと言うが、ラタノはその意味がよくわからなかった。
ククイは解説を続ける。
「ポケモンは技を使う時って、そのポケモンが持っている力や能力を使うんですよ。さっきのたいあたりの話だと、そのポケモンがたいあたりを使うための力を開放しながら行動することで、初めて技としての“たいあたり“が成り立つんです。その技を放つための力を持っていなかったり、相性が悪かったりすると技としてのたいあたりの威力が出なかったり、悪あがきのようになってしまったりするんです」
まぁ、たいあたりするよりも“ひっかく”や“つつく”をする方が効率がいいポケモンも多いっていうのもありますけどね~と続けるククイ
ククイの説明を聞いたラタノは、わかったような、わからないような微妙な感覚になった。
う~ん……つまり、たいあたり1つを放つのにもポケモンは結構なエネルギーを使っており、それにも相性や得手不得手があると言うことのなのだろうか…?
「っと、話が逸れましたね。まぁ、このようにポケモンが技を放つときは意外と多くのエネルギーを使うわけで、技を使っているとその力の流れや特徴が見えるんですよ。例えば腕が光ったり、風を切るように走ったり、光線を吐いたり…」
でも、とククイは続ける
「映像を見た限り、KONGというポケモンは僕が今まで見た技の力の流れや特徴のどれとも当てはまらないんです。バンギラスを投げ飛ばした時も、密猟者の車を粉々にした時も、あれはポケモンの技というより、“圧倒的な力でねじ伏せている”という表現の方がしっくりきますね」
まぁ、ぼくが知らない技という可能性もありますけどね~と最後につぶやくククイ。
確かに、ラタノ自身もKONGのパワーは強力なものだと感じていた。
しかし、それが技ではなく単なる脳筋によるものなんて…
もし、KONGがポケモンの技を使ったら、いったいどれ程の破壊力になるのだろう…
そう考えたラタノは少し怖くなった。
「いやぁ~KONGが使う技はどんな感じなのか考えただけでワクワクしますねぇ!!」
恐怖を感じるラタノに対して、少年のように目を輝かせているククイ。
……なんだろう、自分がおかしいのだろうか?それともこれくらいの気がないと博士は務まらないのだろうか?
……まぁ、何はともあれ今回は有力な情報はなかったな…無駄足になったのは残念だが、仕方がないか。
ククイ博士とも名刺交換ができたし、上層部も満足だろう。
「ただいまぁ~あれ?お客さん?」
丁度その時、研究所の扉が開き、1人の女性が入って来た。
その女性は白髪でランニングTシャツを着ており、アローラの太陽を浴びたのが原因なのか、健康的に日に焼けていた。
この女性は確か……
「やぁ!おかえりハニー!」
「ふふっ、ただいまダーリン」
ラタノが思い出す前に、ククイ博士と女性はお互いに手を振り合う。
ん?ハニー?ダーリン…?
「ハニー!こちら昨日電話で言った保護団体の…」
「あぁ、彼女がそうなのね。初めまして、私はバーネット。ククイの妻です」
「あ、はい、ラタノです…」
そうしてラタノと白髪の女性――バーネットは握手を交わす。
あぁ、そうだ。この人バーネット博士だ。握手しているラタノは思い出した。
バーネット博士
アローラ地方でポケモンの研究をしている博士の一人。
あ~確か数年前にククイ博士と結婚してニュースになっていたっけな~。
SNSのトレンド1位が『博士婚』になっていて、24時間配信企画を裏でやってたナンジャモが「トレンド1位取られたぁ~!?…でもしゃーないか…」と若干落ち込んでいたのを覚えている。
「ハニー、今回は長丁場になりそうだからしばらく帰ってこれないって話じゃなかったっけ?」
「その予定だったんだけどね…新しく観測したウルトラホールが意外とすぐに閉じちゃったから、予定より早く帰って来れちゃった…あーあ、新しいウルトラビーストかと思って緊張したんだけど、何事もなくてよかったって気持ちと、新しい出会いへのワクワクを返せって複雑な気分…」
「……ウルトラホール?」
バーネットが呟いた言葉に聞きなれない単語があり、ラタノは思わず口に出してしまう。
「あぁ、ウルトラホールって言うのはね、この世界とは違う異世界に繋がっている穴みたいなもので、アローラではたまにそのウルトラホールが開くときがあるの」
「はぁ、左様ですかぁ……?……!?」
バーネットがさらっと言っているのでそのままスルーしそうになったが結構やばいことを言っているのに時間差で気が付いた
この人今異世界って言ったぞ!?全ヲタクの憧れともいえる異世界はあるって、ラピュ〇は本当にあるみたいなもんだろこれぇ!?
えっ!?マジで異世界!?この〇ばなの!?転〇ラなの!?スマホ〇郎なのぉ!?
ラタノ、混乱しすぎて思考が変になる。
「それでね、そのウルトラホールから、ウルトラビーストっていう異世界からのポケモンが迷い込むことがあってね、私はその子たちを含めて、ウルトラホールについて研究しているの」
「異世界からポケモンが来るんですか!?」
「えぇ、来るわよ♪」
来るわよ♪じゃねーよ!
何さらっととんでもないこと言ってんだこの博士はぁ!?
……しかし、異世界から来るポケモンかぁ…それは、本当にポケモンなのだろうか?
違う世界の生物をポケモンと呼んでいいのだろうか?もしかして、それはポケモンではない他の存在なのではないだろうか?
そう考えると、ラタノは未知の存在に少し恐怖感を覚えた。
『この生物をポケモンと認めてしまったら、わしら人間もポケモンたちも、この世界でさえも存在が危うくなるような気がしてのぉ……』
ラタノの頭の中に、何故かオーキドの言葉が響いた。
「もしかしたら、KONGもウルトラホールを通って来た、ウルトラビーストなのかもなぁ」
「えー!ダーリン何々!何の話!?」
「あぁ、聞いてくれよハニー!!実は―――」
ククイの話にバーネットが食いつき、お互いに未知への興味に目を輝かせながらKONGについての話をする夫婦。
前向きなのか、のんきなのか…
ラタノはこの夫婦を見て、少し恐怖が和らいだような気がした。
ふと、窓の外を見るラタノ。そこにはサンサンと照り付ける太陽と、雲一つない青い空が広がっていた。
……もし、本当にKONGが異世界から来たのだとしたら…
(何をしに来たんだろうか…)
ラタノは空を見上げながら、ボーッと考えた。
~アローラ地方 アーカラじま AM 02:03~
サンサンと照り付ける太陽は隠れ、月の明かりがアローラを優しい光で包んでいる。
ここは、アローラ地方のアーカラ島。
青々と生い茂るジャングルや島を見下ろすほど高い雄大なヴェラかざんを見ることができる島である。
今は深夜であり、人もポケモンもほとんどが夢の世界に入っていた。
そんなアーカラ島の上空が、突然歪み始め、小さな穴が開いた。
あれはウルトラホール。こことは違う世界とこの世界をつないでしまう入口だ。
そんなウルトラホールから、複数の小さい影が飛び出した。
小さい影が飛び出すと、ウルトラホールはまるで何事もなかったかのように閉じてしまった。
ウルトラホールが消え、小さい影たちだけが残された。
影たちは考える
はて、なぜ我らはここに居るのだろう?
我らは、文字通り我らの王の腕となり、かの者との戦いに挑み、そして敗北したはずである。
……まぁ、今はそんなことはどうでもいい。重要なのは、今我らがこうして生きていることだ。
こうしてまだ生きているのだ。もしかしたら我らが王も生き延びているかもしれない。それならば、王と共にまた我らの種を増やし、今度こそ我らの理想を実現させるのだ。
……それにしても、我らの邪魔をしたかの者のことを思い出すと腹が立つ。
我らの望みを潰えさせたかの者のことを考えると、憎しみで頭がいっぱいになる。
……そうだ!多くの種を増やしたら、かの者を探し出し復讐しよう!!
そして、我らの望みを達成した暁には、かの者の墓を建てて我らの象徴にしてくれえよう!
そうと決まれば、種を増やすためにまた黄色い果実を集めねば……!!
そう考えた影たちは、それぞれ夜の闇へと飛び立って行った。
首を洗って待っていろ―――――ネクタイゴリラとチンパンジー
新たなウルトラホールが開いた。
それを観測したエーテル財団の調査チームは、すぐに現場に急行し、調査を始めた。
しかし、アーカラ島についた頃には、ウルトラホールは完全に閉じてしまっており、近くにウルトラビーストと思われるポケモンも発見できなかった。
明け方まで調査したが何も見つからずに、その日は一度本部へと引き上げた。
次の日、島民の誰かが何か知っているのではないかと聞き取り調査が行われた。
しかし、ウルトラホールが開いたのが深夜帯であり、眠っていた人がほとんどであった事や、開いた穴が小さかったことから深夜に偶然起きていた人々からも目撃情報はなかった。
しかし、深夜に起きていた人々に聞き取りをした時、奇妙にも同じような証言が聞かれたのであった。
楽器の音が、聞こえた気がした――――――と
ククイ博士の技説明の流れは捏造設定
というか、ククイ博士ってこれであってるのか?
子ども以外には敬語使ってるイメージがあるのだが…
捏造設定タグ、薄っぺらな嘘レベルで便利♢
最後に出てきた奴らはわかる人にはわかるレベルのマイナーキャラ
ググれば多分わかるけど、感想とかではっきりネタバレしちゃダメよ?
次回は未定だけど人間視点もう一回やるかエチチなのやるか悩み中
ここまでご拝読ありがとうございました