時系列としては、世界に核が落ちて半終末になりしばらく立った頃です。
ロシアがあの状態なので、欧州も寒冷化が進んでいるという想定です。
隠れ潜んだ廃屋の窓から外を見ると、しんしんと雪が降っている。
もう少し、あと1日程西に歩けばミュンヘンへと辿り着けたのだが、こうなるとコスプレとはいえフード付きのコートの姿で良かったと思う。日が落ちたら脱出して街を出るつもりだが、そうすれば連中の張った教会の結界の範囲から出られるだろう。そして、【トラポート】で転移してまたギリシャからやり直しになるだろう。
まだ日が出ているが吐く息が白い。
こう寒いと火を起こしたくなるが、まだ天使共は生存者を探し続けているだろう。
傍らで暖の取れる霊装の寝袋で眠る若い女性の顔を見つつ、今までの事を思い出していた。
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あの日、世界に核の炎が落ちた日、俺の人生は2度目の大きい転機になった。
1度目は前世の事を思い出した時ではなく、この世界が【女神転生】の世界だと気付いた時だろう。
子供の頃に前世のことを思い出した私は、前のように流されて終わるのではなく今度こそ成功してやると決意を固め勉強に必死になった。
そこそこの中高を出てギリギリマーチ大卒の新人社会人となり、外資系の企業の工場に専門技術者として入社する事が出来てからの数年間その時までは順風満帆だった。
変わったのは、アメリカにある本社と全ての支社が新興の企業群にM&Aされた時だろう。
好奇心から買収した企業群の大本の資本元を軽く調べて驚いた。そこには、アメリカで主流となっている大規模宗教団体の【メシア教】の名前があったのだから。
『メシア教』。前世で遊んだあの作品群でも、他に類を見ないレベルの劇物である。
私は必死になってこの状況を何とか出来ないかと当時、社に置かれたばかりのパソコンも使ってネットの方も調べてみた。
そして、私は【転生者掲示板】にたどり着き、取引先の急成長を遂げたベンチャー企業の社長にいた【ギルニキ】さんと話し、引き継ぎなどを済ませると早々に会社を辞め山梨支部へと行きガイアグループの初期中核企業の一つに就職できた。
前の会社は『禿鷹ファンド』でもあったその企業群により、自分が辞めてから数ヶ月の内にバラバラに切り分けられて無くなった。
それからの私は山梨の技術班で勉強をしつつ、思い切り趣味に走る事が出来た。
私はとある特殊なウィルスで産まれるバイオ生物と戦うゲームやそれに似たTPSの作品が、特に好きだった。
中でもそれらに登場する銃器やアイテムの再現に地道を上げ、日本国内だと銃器が手に入り難い事を嘆き、一番思い出深い例のゲームの4作目の『武器商人』のコスプレ霊装衣装を自分専用に創るなど一番楽しい日々だっただろう。
あの日の数日前、久方ぶりにあった両親と弟が商店街の景品でフランスのパリ旅行が当たったと聞かされた。
その少し前にガイア連合は、自衛隊との提携や各地の空港や港に結界施設を置いて水際での食い止めをするために動き終わった後だった。
それを知っていた私は強硬に旅行に反対した。しかし、初の海外旅行に浮かれていた家族は、仕事も忙しいようだしそれなら自分たちだけで行くと言い飛行機で旅立って行った。
家族の帰国の予定日に核が降った。
すぐに助けに向かうつもりで飛び出しかけた私はショタオジに止められた。
技術者としては一流に近いけど、今の君では無駄死にをするだけだと。
納得できるだけの準備を整えたら許可を出すと。
それからは、黙々と向こうへと渡る準備をする日だけが続いた。
狩人ニキが実際にアメリカに渡り海外へ行く俺らに道筋を付け、ギリシャとイギリスに支部ができ、レベルを上げ技術を磨き装備が揃い実際に全ての準備が終わり渡航の許可が降りるまでに、実に1年が経過していた。
すでに家族の救助ではなく、痕跡の捜索へと目的が変わった【俺】の欧州の冬の旅はこうして始まった。
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最初の目的地、ギリシャで船を降りそこで海外先駆者で支部長の【皇帝ニキ】と出会った。
スエズ運河を突破し、日本からの物資を積んだ船が着たと聞いたのだろう彼は港に出向いていた。
これから友好的にしたい俺は、彼が来るだろう船の側で青い炎が燃える高さ2m程の燭台の下であの姿をしながら彼を待って声を掛けた。
「Over here, stranger!
(おい、こっちだ)
Got something that might interest ya, Haha.
(良いものがあるんだがどうだ)」
「商人か、こいつ?
おい、同じガイア連合の日本人なんだろ?」
「そのはずなんだけど、連絡をくれた【武器商人ニキ】だよね?」
「Welcome!
【皇帝ニキ】だな、よろしく」
これが、彼との出会いだった。
それからしばらくはギリシャで、防衛戦に参加したり手に入れた物資や銃器の整備をしたり医者の真似事をして負傷者を見たり依頼を受けて果たしたりと過ごした後、パリに向けて徒歩で出発した。
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2番めの目的地、ベオグラードで過激派の天使と改造人間に追われる【妖獣バイコーン】と協力しメシア教の連中を片付けた。
「おい、お前。
助けてくれたのはいいが、オレを囮にして遠くから隠れて撃ってんじゃねえよ」
「あのまま、死にたかったのか?」
「そうじゃねえよ。何のために助けたんだよ?」
「ここにCOMPという契約できる物があってな。
お前さんには『荷馬』をして欲しい」
「てめぇ、オレを舐めてんのか?」
「代わりにこのスマホの中の日本のエロ同人のデータは読み放題だし、俺と一緒に来れば若い女性にも会えるがどうだ?」
「馬と呼んで下さい、マスター」
「おう、よろしく」
ちなみに、こいつは日本のエロ関連のオタクカルチャーにすぐに染まった。
ついでに、「我輩は~」とか「~ですぞ」とか口調も変になった。まあ、仕事はしてくれるんだが。
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3番目の目的地ブタペストでは、都市部の生き残りの抵抗勢力がマーチャーシュ聖堂と漁夫の砦に立てこもり攻め立てる過激派の集団と争っていた。
その中で外周から少しずつ天使共を削っていた俺の前に、そいつが現れた。
貴族風の衣装を纏う黒い鳩の姿をした悪魔【堕天使ハルパス】。
そいつは、足元に転がる契約者だったらしき男の近くに立っていた。
「そこの男。こいつと同じ機械は持っているか?
あるなら、契約しろ。天使共を殺すために助力が必要だ」
「そこの男は?」
「元、契約者だ。
神父から機械を奪い、呼び出した我と契約した。家族の復讐を、と」
「……そうか。持っているが、代価は何だ?」
「戦いに身を投じろ。儂を戰場に連れて行け。そして、天使共を殺せ」
「良いだろう。天使共を殺すのなら是非もない。契約だ」
「堕天使ハルパスだ。コンゴトモヨロシク」
「我輩のときとは違いますな。フヒヒ」
「「黙ってろ」」
その後、戦闘に参加はしたが、現れた高レベルの天使により聖堂内が制圧され賛美歌が建物内に響いているのを見届けると俺は次の目的地へと移動する事にした。
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4番目の目的地ウィーンでは、地上の争いを避けるように下水道に存在していた穏健派が残して逃げたシェルターに立ち寄っていた。ここに、物資を届けるのは【皇帝ニキ】からの依頼だった。
シェルターの入口の近くでエストマの効果のある結界を張れるアイテム【青の炎の燭台】に火を付け、代表だという老人と俺は話していた。
「Got a selection of good thing on sale, stranger!
(良いものが揃ってるぜ!お宝を売って武器を買いな!)
What are you selling?
(何を買い取ろうか?)」
「頂いた物資以外で出せるとしたら……、そうですね。
こちらから出せるのは使えなくなった銃器や天使の羽根くらいですが?」
「Heh heh heh... Thank you!
(ヘッヘッヘッ、ありがとよ)
羽根のフォルマは貰っていく。
ちょっと待ってろ。今、この銃を使えるようにするぞ」
「ありがとうございます。中国人の方ですか?」
「……日本人だ。そういえば、最近の様子はどうだ?」
「天使に追いやられ、被爆した土地に逃げる事も叶わずここへ逃げ込めました。
いつか来る終わりに震えるだけの儂らもこれで少しは持ちます」
「その通信機なら、地上のメシア共には気づかれずにギリシャのガイア連合まで届く。
だから、定期的に向こうと連絡しろよ」
安心したのか懐からパイプを取り出して火を付け、代表の老人はゆっくりと吸っている。
後ろにいる護衛役らしき武装した若い男と違い、ちらりと俺の側にいる馬のふりをしたバイコーンを見ると煙を吹き出して彼は話を続ける。
「吸いますかな?」
「いや、匂いが付くと獣系の悪魔に見つかりやすくなる」
「そうですか。それにしても皮肉なものですな」
「何がだ?」
「聖なるものが迫害を命じ、邪悪なるものの行いで救われているのですからな」
カチャカチャと小さな音が響く中、壊れた銃器を幾つか直しながら俺は考える。
ここに来てから早数ヶ月、行ける所まで進みトラポートでギリシャ支部に撤退する事の繰り返しである。途切れなく何処からともなく這いずり出てくる天使の群れを狙撃して殺し、各地のシェルターに物資を届ける事を繰り返して少しずつパリに近付いている。
パリに着いたとして俺は何を探せばいいのだろう?
頭を振りその考えを追い出すと、修理できた銃器を渡し俺はそこを後にした。
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次の目的地であるミュンヘンまで後少しという田舎町で俺はその女性を見つけた。
街の人間に見つからないように物陰を移動している時に、こんな欧州の田舎町の路地裏にいた日本の少女、いや成人した女性らしかった。
彼女は、【清村雪菜】と名乗った。中学生にしか見えないが、25歳だという。
何でも核が降ったあの日、日本からのツアーに参加していて今まで最寄りのパリ郊外にあったシェルターで暮らしていたらしい。
それを聞き、俺は動けなくなっていた彼女を3階建ての廃屋へと連れて行き食べ物と水を与えると問いただした。
「日本人の人ですか?」
「そうだ。取り敢えず、ゆっくりと飲み込むんだ。いいな?」
「はい。あぐはぐ、……うっうぐぅつ!?」
「ほら、慌てすに水を飲め」
「ふぐっうぐっ。はあ、すいません」
「いいかな? それで何でこんな場所にいるんだ?」
「それが生き残ったわたし達が身を寄せていたシェルターで、ある男の人が言ったんです。
『こんな外国人共を養う余裕なんかないし義理もない。ここから追い出せ』って。
それで言い争いになって、お互いに銃を取り出してお互いに争っている間に外から何かに侵入されて」
「その混乱の中で逃げ出したと」
「はい」
「何が入って来たかは見えたか?」
「あの時、空中で目の前にいた人が見えない何かに引き裂かれた時に。
天使でした。愉しそうに人を引き裂いて嗤う天使が」
肩を抱いて震えだしたその女性に荷物から寝袋を取り出し、俺は眠るように告げた。
こちらが見張っていると言うと、彼女はそのまま潜り込んで眠り始めた。
よっぽど疲れたのだろうか、埃だらけの姿で熟睡している。
そっと俺は足音を立てずにこの部屋を出ると、狙撃銃だけを持ち屋根裏部屋へと出た。
まだ昼を過ぎたばかりで周りは明るいが、街路を彷徨く天使以外人通りはまるでない。
スコープで周囲を覗き確かめていると、ハルパスの声がCOMPからしてきた。
「契約者よ。
北東の教会から嫌な感じを受ける。天使だ」
「分かった」
しゃがんだまま移動し、スコープでそちらの方角の小窓から覗く。
教会の窓から街の人間と思われる大勢の跪く人に囲まれて、ロザリオを高々と両手で掲げ何か大声で喋っている神父がいる。
俺は倍率を上げてさらに覗いてみる。
すると、神父がロザリオを弄って一際豪勢な衣装を纏った天使が現れた。
「アナライズは出来るか? …………よし。
…………レベル50、【天使ドミニオン】!? 冗談じゃないぞ」
「契約者よ。あれは無理だ。勝てんぞ、どうする?」
「一旦、戻ろう」
そのまま後ずさると、俺は彼女が寝ている部屋に戻った。
そして、あらためてハルパスが聞いて来た
「あの教会は危険だ。どうするのだ?」
「残念だが、撤退だ。
俺には【トラポート】がある。彼女が起きたら動くぞ」
「それは難しいのではありませんかな?」
見張り代わりに彼女の側にいたバイコーンが言ってきた。
「何故だ?」
「マスターのそれは、昔、我輩が見た妖精共が使う【妖精の輪】みたいなものでしょう。
ならば、教会に居座る一神教の天使が見逃すはずがありませんぞ。
街中を巡回する多くの天使共もおりますし」
「なるほど。
その理屈ならば、この地の地脈はおそらくその教会で押さえられているだろう。
下手をすると阻害されて、何処に飛ばされるか。
我々のような存在を駆逐してヨーロッパに一大勢力を築いたのは連中だからな」
「そうなのか?」
ハルパスもその意見に同意するのならば、迂闊にこの場でのギリシャに帰還するための転移が出来なくなった。
ならば、その影響の範囲は?
普通に考えれば、この街を出て離れれば大丈夫だろう。
俺はこう動くと決め、2体の悪魔に計画を言った。
「馬使いが荒いですな~」
「無駄死には御免なのだが?」
「最悪、死んでも今のお前らならCOMPに戻って来て蘇生は出来る。
俺たちが街を出てお前らを回収したら、転移で脱出して終わりだ。
俺は、見捨てるような事はしない。
そもそも、まだ減価償却も出来ないからな。お前ら」
「言っている意味は分からんが、見捨てはしないようだな。
儂もまだまだ戦い足りんからな」
「我輩も憧れの日本に行き、JKと戯れるのですから終われませんな」
「じゃあ、そういう事で。よろしく頼む」
夕方になり目を覚ました彼女に、日が落ちてから脱出する事を俺は告げた。
本当は家族の事を聞きたかったがこんな状況であるし、いざとなると怖くて仕方がない。
その考えを脇に置き、不安そうに尋ねてくる彼女に答えた。
「その、本当に日本に帰れるでしょうか?」
「俺が帰す。安心してくれ。
こう見えても、俺は商人でな。信用は守る」
「判りました。お願いします」
行く宛も頼れる相手もいないのだろう。
こんな怪しい風体の男を同じ日本人だという一点だけで縋って来ている。
もう家族が駄目だとしても、彼女は何とか助けたい。
そこで、彼女には悪いが脱出する際の注意事項を教えておく。
「えええ! ……モガモガ」
「声が大きい。
大丈夫、ハーネスで固定するから」
「でも、その体勢はちょっと……」
「俺の背中にはこの荷物があるからな。
幸い、君はかなり小柄だ。軽いし大丈夫だ。
それとも、一人で運転して敵の中を突っ切るかい?」
「……判りましたぁ」
顔を真っ赤にして俯いているが、悪いが俺にはこれ以上のやり方は思いつかない。
彼女には、我慢してもらおう。
「じゃあ、行動開始だ」
ーーーーーーーーーーー
日が落ちた。行動を開始する。
俺はここのところ愛用している狙撃ライフルのレミントンM700に、日本から持ってきた特別製の弾頭を使った弾丸を込めて狙いをつける。小窓から覗く先には、教会の中で騒ぐ神父とドミニオン、そして数人まで数が減った跪く村人らしき人たちが見える。そして、御高説を垂れ最高潮の様子の神父の頭をライフルで撃ち抜いた。そのライフル弾は見事に神父の頭を撃ち抜き、それに込められた憎悪の籠もった贈り物を周囲の天使達へとプレゼントされた。
その弾丸の名は、【特注呪殺弾頭ライフル弾】。
作りは単純で、普通に呪殺魔法を込めたライフル弾である。
ただし、『天使やメシア教徒に撃ち込むので天使への殺意とか憎悪も一緒に込めてくれ』と、呪殺の使える被害にあった日本にいる外様も含めた神々や高レベルの避難民の方々にご協力を願っただけである。謝礼を持って伺うと、皆さんとても快く引き受けてくれてそれはそれはとても良い物が出来上がった。
何しろ、ショタオジや霊視ニキを始めとして分かる人は絶対に触れようとはしなかったのだから。
命中したことを確認し、下の階へと駆け下りる。
荷物を全部背負うと納屋の方へ走り込み、隅の方にあった高価なモデルのオフロードバイクを中央に置いた。
どうもこの家はなかなか金持ちだったようで、家の壁にある写真にはこの家のドラ息子が得意気にまたがる写真があった。
鍵も彼の部屋から拝借し、使わせて貰うことにした。
準備が済むと、膝を付き真っ赤な顔の彼女を呼び寄せる。
そのまま彼女には正面から抱きついて貰い、両腕は俺の首に両足は俺の腰に回してもらった。そして、その状態の彼女を落ちないように彼女の腰と背中をきつくハーネスで固定した。肩に顔を埋めた彼女は聞き取れない小声で何か言っているが時間がないので諦めてもらおう。
彼女に声を掛け、俺はバイクに跨りエンジンを掛けて走り出した。
「喋ると舌を噛むから、目を瞑ってそのままでいてくれよ。行くぞ」
「……終わったら絶対に……、うわわわっ、わっ。ひぐっ、……ひたはんだ」
向かうのは、教会を掠めて通る大通りである。
教会で起きた事態に、慌てて向かう天使たちをはね躱しながら突き進む。
「はっはっはっ、喰らえ、天使共。【アローレイン】!」
「「ぎゃあああ!」」
自分たちに追走する形で空を舞うハルパスは機嫌良さげに撃ち込むと、教会近くで陽動するために離れていく。
それを確認し、俺は予定合流地点の最初に入って来た街外れまで向かう。
ライフルのスコープ越しに、怒り狂ったあのドミニオンの姿が見える。
それをあざ笑うように攻撃しているハルパス。
そして、そこへ何かを咥えたバイコーンがドミニオンに向けてハルパスがいる方向とは違う方から突っ込んでいく。
「全てのJKのためにーーーっ!!」
「近寄るな、不届き者がーーっ! 【破魔の雷光】!」
ドミニオンが強烈な電撃をバイコーンに放った。しかし、それが当たるとバイコーンとドミニオンを中心にかなり離れた場所にいた俺の所にも振動が届く威力の大爆発が起きた。見ると、キノコ雲が立っている。そんな仕様にした覚えはないのだが。
爆発が起きたのは何故か?
リリム着用済みという触れ込みの破魔無効が付与された悪魔用のスクール水着を角に巻き付けたバイコーンが、爆弾を咥えて突っ込んで行ったからである。
咥えていたのは、前述の呪殺弾頭のライフル弾と同じ作り方をしたロケットランチャーの弾頭である。込める物の体積が増えれば、魔法もそれだけ多く込められ強くなるようである。
煙が晴れるとそこには大きなクレーターだけが残り、誰も残ってはいなかった。
COMPの方にはDEAD状態の二体が帰還していた。
バイコーンは呪殺無効でハルパスも呪殺耐性があるから大丈夫だと思ったが、爆発の威力の方が耐えられなかったようだ。
その点は今後の改良点として覚えておこう。
そして、俺はそのままトラポートでギリシャへと転移し、こちらに向かって来る天使の残党の集団を置いて脱出した。
無事、俺たちは脱出できた。出来たのだが。
ギリシャに着いて早々に、転移地点の直ぐ側にいた天使狩りから帰還したばかりらしい皇帝ニキとゼウスにデメテルにこの姿を見られてしまった。
彼女を身体の前に抱きつかせてハーネスで固定し、バイクに跨ったままの姿を。
「……ほう。いいご身分だな、武器商人ニキ。
こっちは天使共と殺し合ってきたばかりなんだがなぁ?」
「ほおぉ、日本人にしてはなかなか大胆なプレイだな!
もっと、奥ゆかしいと思っていたんだが。ガッハッハッ」
「何だか、ハーベストな体勢ですわ!」
「~~~~~~~~~~~~~~~~~!!」
ばっちーーん!
真っ赤な顔の彼女の勢いの良い平手が俺の右頬に炸裂した。
後に、日本に帰り着く事になる彼女から聞き出した家族の話を頼りに彼は再びパリを目指し始めた。
後書きと設定解説
・主人公
名前:武器商人ニキ(森川仁)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・32歳
職業:ガイア連合技術班アイテム制作部
ステータス:レベル34・フィジカル型(体・速)
耐性:破魔無効・呪殺無効(装備)
スキル:アギラオ(敵単体・中威力の火炎属性攻撃)
精密射撃(敵単体・小威力の銃属性攻撃。クリティカル率高)
掃射(敵全体・小威力の銃属性攻撃)
トラポート(長距離転移が可能)
異文化交流(異文化の相手との交渉術)
物資調達(購入可能アイテムをどこからか得る技術)
薬草師(傷薬やディス~系薬品の作製技術)
アイテム作成(専門とする霊装道具の作製技術)
装備:レミントンM700(ギリシャ支部で提供された狙撃銃)
ベレッタ92(現地拾得したハンドガン)
専用フード付きコート(霊装防具。呪殺無効付与)
紫の布マスク(霊装防具。毒無効)
鋭敏のピアス(精神状態異常無効)
特製バックパック(盾にも使える頑丈な背負い袋霊装)
青の炎の燭台(エストマの効果のある杖状の結界アイテム)
スマホ型COMP(メシア教製。ガイアアプデ済み)
アイテム改造・修理用の工具・補充セット
詳細:
バイオハザード4の武器商人そっくりのなりきりコスプレ転生者
狩人ニキと同じ海外移動組で現在は欧州を活動地域にしている
元々は外資系の企業の技術者でメシア教の出資企業だと分かり合流
核が落ちる直前に欧州旅行に出掛けた家族を探している
・仲魔
名前:バイコーン
性別:オス
識別:妖獣バイコーン
ステータス:レベル16
耐性:電撃弱点・呪殺無効
スキル:ぶちかまし(敵単体・小~大威力の物理攻撃。
残りHPにより威力変化)
マハラギ(敵全体・小威力の火炎属性攻撃)
チャージ(使用後、次の物理攻撃の威力が2倍になる)
獣眼(攻撃の命中率が上がる)
詳細:
現地で天使から助けた馬の姿の悪魔で今は荷馬用悪魔
人間の女体を視姦して反応する感情のMAGが大好きな変態
名前:ハルパス
性別:男性
識別:堕天使ハルパス
ステータス:レベル27
耐性:銃弱点・破魔耐性・呪殺耐性
スキル:タルカジャ(味方全体・攻撃力を1段階上げる)
ラクカジャ(味方全体・防御力を1段階上げる)
ヒートウェイブ(敵全体・小威力の物理攻撃)
アローレイン(敵全体・中威力の銃属性攻撃)
銃ブースタ(銃属性攻撃のダメージを15%上昇する)
詳細:
ソロモン72柱の一柱で、血のように赤い目をした闇のように黒い鳩の姿で現れる
建築の能力を持ち、軍備や武器に満ちた砦や城塞を建造するという
天使狩りと血が踊る戦地に赴く事を条件に契約したウォーモンガー
・関係者
名前:皇帝ニキ
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)
詳細:
現地でゼウスに見込まれて『ガイア連合ギリシャ支部』の支部長にされた転生者
霧ケ峰リョクさん著『狂雷と一緒!』の主人公にご出演いただきました。
名前:清村雪菜
性別:女性
識別:異能者・25歳
ステータス:レベル3
耐性:破魔無効
スキル:ディア(味方単体・HP小回復)
宝探し(アイテムの捜索が得意になる)
詳細:
欧州にツアー旅行に来て巻き込まれた日本人女性
小柄で歳よりかなり若く見られるティーンのような容姿
天使に襲われ逃げ惑う間に覚醒した
・敵対者
【天使ドミニオン】
レベル50 耐性:電撃耐性・衝撃弱点・破魔無効・呪殺弱点
スキル:マハンマオン(敵全体・中確率で即死付与)
破魔の雷光(敵単体・中威力の電撃属性攻撃)
ディアラハン(味方単体・HP全回復)
リカーム(味方単体・死亡状態からHPを半減して回復する)
デクンダ(味方全体・能力減少効果を全て消す)
詳細:
天使のヒエラルキーにおいて、第4位「主天使」に数えられる中級天使
彼らの行動は神の意志の表れであり、その統治が世界に行き渡ることを望んでいる
今回は偶々、偶然に契約した神父がこうだったので彼としては運が悪かった
名前:ガナード神父
性別:男性
識別:異能者・40代
職業:メシア教過激派下級神父
ステータス:レベル16
耐性:破魔無効
スキル:マハンマ(敵全体・低確率で即死付与)
スラッシュ(敵単体・小威力の物理攻撃)
ディア(味方単体・HP小回復)
装備:メシア教製COMP(ロザリオ型)
詳細:
幸運にもドミニオンと契約できた狂信的なメシア教の神父
契約できた事以外は無能なので地方の物資集積地の田舎町に居た
霊的素質に優れ脳筋で狂信的な事以外は特筆する事のない凡人
村人を教会に集めていたのは天使の顕現に足りないマグネタイトを集めるため
ポストアポカリプスの移動は、やはり徒歩かバイクじゃないと。
もし、読んでくださった方がいるならありがとうございます。