【カオ転三次】『俺たち』閑話集   作:塵塚怪翁

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今回は、第3話の「女性」転生者のその後のお話

時系列としては、半終末に突入してしばらくした頃です。


 とある『女性』転生者のその後の顛末

 

 日本に核ミサイルが降って来る半終末の少し前のある日、クトゥルフの召喚もありいつにも増して忙しく書類の山の整理のために判子を押していたショタおじの所に一つの申請書類が届いた。

 

 

「……何々、『デモニカ運用計画試案』?

 『自衛隊任せでなく、ガイア連合独自でもデモニカ運用のノウハウを構築すべき』か。

 ………………………………う~~ん。

 これはまた、突拍子もない事を考えついたな。

 理論的に出来ない事はないが、自衛隊に任せてもいい内容だよなぁ」

 

 

 ペラペラと書類を見ていく内にショタおじは苦笑いを浮かべ、申請を出したグループの代表者の名前を見て大体の事情を察する事が出来た。

 

 

「ドクトルニキのあそこかぁ。

 彼、デモニカ制作に参加したスタッフの最古参の一人だからなぁ。

 確か彼のグループは今、転生者特典用デモニカの制作を担当していたっけ。

 自衛隊に協力している管轄は自衛隊ニキの所が担当だし、彼は下請けじゃ満足できないか。

 彼は変な所でプライドが高いし、デモニカに変なこだわりがあるしなぁ……。

 …………まあ、デモニカコアの数の部分で制御は出来るかな?

 自衛隊ニキや別の技術部の協力者も含めるなら許可、と。これでよし」

 

 

 考え込んでいたショタおじはそう判断すると、その申請書に少し修正を入れて判子を押すと机の処理済みの書類ボックスへと入れてしまった。そして、その後のあまりの多忙さにより、彼がこの事を思い出すのは半終末が来てしばらく経った後の事になる。

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

 時は経ち、半終末を過ぎてしばらく経った頃。

 

 

「それじゃあね、みんな。貴方たちの仇はきっと取るからね」

 

「そうだね。みんな、それじゃまた」

 

 

 奈良県の元は山村があった場所に建てられた慰霊碑に、花を手向けている二人の人の姿があった。

 

 腰に黄金の七支刀を携え、改造巫女服を着た黒髪のポニーテールの女性が石碑に向けて手を合わせて祈っている。

 

 彼女の名前は【熊野フェイ】。

 今から7年ほど前、彼女の家で祀る祭神のせいで身体が男性から女性へと変わり、それ以来、故郷を守るために祭神の宝刀を振るい続けて戦っていた転生者の女性である。

 

 彼女の隣には、身長2mはあろうかという右腕にドリルを装備した古めかしい潜水服のようなデザインのデモニカを着込んだ男性が立って、石碑に向かって黙祷を続けていた。

 

 彼の名前は【木出隆司(きいでたかし)】。

 7年前からずっとフェイの隣で専用のデモニカを着て戦闘や平時の生活で助け続け、彼女とは恋人の関係になっている男性である。

 

 彼ら二人が今立っている場所は、2年程前にある悪魔に滅ぼされた彼らの故郷である山村があった場所だった。

 

 

「二人とも、もういいかね?

 予定日は明日だ。準備の方に取り掛かってくれたまえ!」

 

「わかったわ、ドクトルニキ」

 

「ああ、博士」

 

 

 そんな石碑の前で祈る彼らに、頭が薄くなった白衣を着たゴーグルを付けている中年男性が大きく手を降ってこちらに来るようにと声を掛けた。

 

 彼の名は【ドクトルニキ】。

 

 山梨支部で旧来のデザインのデモニカを主に制作しているグループの一つを率いている技術者であり、今回の彼ら二人の敵討ちに全面的に協力する代わりに自分の実験にも協力するように持ちかけていた黒札の男性であった。

 

 そして三人は、周囲の廃屋を撤去して村の中央に作った広場にある大型トレーラーに向かって歩いて行った。

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

「さて、改めて今回の作戦の概要をおさらいするぞ。良いかね、二人とも?

 装備のチェックを受けながら聞いてくれたまえ」

 

「はい」「ええ」

 

 

 トレーナー内で着ていたデモニカのチェックを作業台で受けている隆司とその横で座ってドリンクを飲んでいるフェイに、ドクトルニキは計画を記録した書類を取り出して説明を始めた。

 

 

「今回の件は半終末となってすぐの頃、ここにあった君らの故郷が悪魔に襲われ壊滅したのが始まりになる。

 その際に関西支部からの応援で辛うじて助かった君らを含めた数人を除き、村人のほぼ全てが襲撃してきた悪魔に殺された。

 それから君らはその悪魔を自分の手で討ち果たすために協力者を探した結果、私達が全面的に協力する事となった。

 代わりに、君らは我々の試作したデモニカスーツの運用に協力すると契約した。

 ここまではいいかね?」

 

「ええ、そうよ」

 

「…………」

 

 

 当時の事を思い出してギリッと食いしばる様な表情で沈黙する彼の手を握り、フェイはドクトルニキの言葉に答えた。

 

 今のフェイの姿に変わった事件からフェイと隆司の二人は、故郷の村に派出所レベルの大きさの村の皆が避難できる終末用のシェルターを手に入れるべく、積極的にガイア連合からの異界攻略の依頼を引き受けて強くなるのと同時にシキガミを買うのも惜しんで資金を稼いでいた。

 

 しかし今から2年程前、半終末になり故郷の様子を一度見に行こうと村に帰った時に悲劇は起きた。

 

 山から降りてきた強大な悪魔によって、村の人々のほとんどはその悪魔に貪り食われる事態となった。それに抵抗したフェイはその悪魔によって重症を負い、隆司は彼女の父親や従姉の女性と共に祭神の異界にフェイを背負って逃げ込んで生き残る事が出来た。

 

 悪魔自体は自らを殺せる対象が近づいたのを勘付くと、関西支部の黒札達が到着する前に深い山の中へと姿を消した。その悪魔の正体は、隆司がその時着ていたデモニカのアナライズのデータで判明していた。

 

 その悪魔の姿を望遠で捉えた写真を引き伸ばしたものを、ドクトルニキはクリップに挟み掲げて彼らに見せた。

 そこには、身長が2mを越える一つ目と一本足の全身が黒い毛で覆われた人のような姿をしたナニカの姿が写っていた。

 

 

「その悪魔がこれだ。レベル29、【邪鬼イッポンダタラ】だ。

 ここの近くにある奈良県と和歌山県の県境にある果無山脈には、皿のような一つ目を持つ一本足の人喰いの妖怪の伝承がある。

 言い伝えでは、“果ての20日”と称される12月20日にのみ山に現れて人を襲うとされている。

 昨今は役所や報道で熊の被害を我々の働きで訴えさせて、登山者や山菜採りなどが山に行かない様にしていたのが今回の件では逆効果になったとも言えるな。

 腹を空かせた一本だたらが、この村に目をつけて襲ったのは不幸だとしか言いようがない」

 

「不幸の一言で片付けて欲しくないのだけど?」

 

 

 彼のその言葉に、その時に自分の中の『男』の部分が折れて消え去り隆司に縋り付いて『女』として結ばれた事を思い出して、その恥ずかしさを誤魔化す様にフェイはじろりと睨みつけた。

 それを、どこ吹く風と言わんばかりにドクトルニキはニヤリと笑って答える。

 

 

「だからこそ、我々の手で君の彼氏のデモニカは強化改造を施したし、君専用のアイテムの作成にも協力している。

 それに、一本だたらを見つけてここまで誘き出す“勢子”の役割はきっちりと果たさせてもらうとも」

 

「ええ、お願いするわ。

 それじゃ、明日に備えて車の方で休ませて貰うわ」

 

「君らのワンボックスは裏手に停めてあるから休みたまえ。

 周囲には悪魔除けの結界と封魔の鈴を仕掛けてあるから、夜間は大丈夫だ。

 明朝は6時から開始だ。いいかね?」

 

「分かったわ。また明日」

 

「デモニカを頼みます。失礼します」

 

 

 二人が出て行くのを見送り、ドクトルニキはここに詰めている研究員達に声を掛け自分の準備も始めた。

 

 

「よし、準備や調整の方はしっかりやっておきたまえ。

 各々、仮眠を取りつつ明日に備えるように!」

 

「「「うーっす」」」

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

 明けて、12月20日の早朝。

 

 

『……グオッ? ソウカ。ヤクジョウノヒガ、ギタヨウダナ。アア、ハラヘッタ』

 

 

 山奥の常人では踏み入れない場所にある苔むした祠にある異界の中で、一本だたらは昔の夢から目を覚ました。

 

 その祠は、麓の登山口から専用の崖の登攀器具を持ち込んだ上で人の足では4時間以上は掛かる奥深い場所にあり、深い森の木々に覆われ上空からは人工衛星やヘリにもそれを確認できない場所に隠されるように存在していた。

 

 かつて“猪笹王(いのささおう)”とも呼ばれた彼、人喰いの山々の主であった猪の化生は『丹誠』と称する一人の僧侶に破れて封印された。その僧との約定により、彼は“果ての20日”の一日だけはこの寝る場所しか無い狭い封印のための異界から解き放たれ、山々を巡り人を探すのだ。

 

 一本だたらの今の姿に変わったそれは、久々にあの僧との楽しい死闘の昔の夢を見たのはあの村で満腹になるまで人を喰えたからだろうと考えていた。

 あれは本当に美味かった。

 あの大量の苦鳴と絶望と恐怖のマグネタイトがブレンドされた人肉は、数百年の封印の間であれほどのご馳走は彼にとってなかなか無い代物だった。

 

 そういえば、自分に斬り掛かってきたあの中で一等に美味そうだったニンゲンの雌を喰いそこなったのは返す返すも残念だった。

 一本だたらは、グウっと鳴った腹の音と空腹感でそれを思い出した。

 

 また、あそこの人里に行けば今度こそ喰えるのだろうか?

 

 

『……クンクン? グホッ、ウマソウナニオイダ。

 アッチノホウダナ。アア、ハヤググイデェ』

 

 

 そう考えながら異界からゴソゴソと這い出して来た一本だたらは、今までにない潤沢なマグを内包した美味であろうニンゲンの多数の匂いを感じ取り喜びの声を上げると、かつてご馳走を振る舞われたあの村へ向けて大きく跳躍した。

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

「目標、発見。追跡を開始します。 

 どうやら、罠にかかったようです。一直線にここへ向かって来ています」

 

「よし、所詮は獣上がりの悪魔だな。外の彼らに声を掛けておくぞ」

 

 

 上空から一本だたらを監視しているのは、彼らお手製の一反もめん型を改造したドローン型の簡易シキガミである。

 

 性能は一反もめん型と大体同じであるが、これはバレーボール大の紙細工状の球体に加工されていて下半分の部分に高性能のカメラと指示用のマイク、それに破魔弾などの特殊弾頭を放つモデルガンを改造した機銃を1門装備している。また、制御面でも思考領域を拡張し決められた動作パターンの登録数も大幅に増やす事に成功していた。

 

 彼らが【ドローン・タレット】と称するそれが、8体ほど上空を旋回して今回は彼らの目と手足として活躍していた。

 モニターを通して一本だたらの動きを上空から監視している研究員の報告を聞き、インカムを付けたドクトルニキは外にいる二人に声を掛けた。

 

 

「準備はいいかね? 目標はこちらに向けて移動中とのことだ。

 方向は南南東からだ。1時間もしない内に接敵するぞ」

 

「この年でこれを着るのは恥ずかしいのだけど、とりあえず準備できているわ」

 

「“ビッグダディ・デルタ”、問題なし。何時でも行ける」

 

 

 トレーラーのすぐ横に設置された薄い煙を上げる七輪のような機械の側で、二人は待機していた。

 

 フェイの姿はと言うと、脇出しミニスカ巫女服を身にまとい右手に神功皇后の黄金の宝剣を持ち、左手には破魔弾を装填した自動拳銃型の改造モデルガンを持って手持ちぶさたそうに左の二の腕に嵌めた金色の腕輪を見ながら立っていた。

 その横には、身長2mを越える大きさの『バイオショック2』というゲームの主人公にそっくりのデモニカ【ビッグダディ・デルタ】を着込んだ隆司が周囲を見ながら立っていた。

 

 左耳に付けたインカムに向けて、不審げな表情のフェイは話しかけた。

 

 

「ドクトルニキ、本当にこんな機械でアレを誘き出す事が出来ると言うの?」

 

「問題ない。

 そいつは、悪魔を呼び寄せる『集魔の水』と呼ばれる霊薬を濃縮して香の状態にしたものだ。

 それを焚き上げていると、周囲の野良悪魔を誘い出せるのは検証済みだ。

 さらに、そいつには君の血を含ませてあるから、アレが君に執着しているならより効果的になるぞ」

 

「ドクトル!」

 

 

 モニターを監視していた研究員達が慌てたように告げた。

 

 

「何かね!?」

 

「村落の山側外周部に複数体の悪魔を確認しました!

 ……アナライズ完了。レベル6~8の【妖獣ショウジョウ】。

 銃耐性を確認! 数は確認できるだけで、十数体ほどになります!」

 

「他にも数体ほど別の悪魔が!

 これは、レベル11の【妖樹サンショウ】です。

 破魔無効があるため、ドローンの破魔弾では対処が難しいです!」

 

「ええい!

 悪魔が集まるのは想定内だったが、ドローンで対処出来ないのは不味いな。

 ドローンは引き続き、君らが操って連中を牽制しろ!

 君らのシキガミもトレーラー付近で迎撃だ!

 起きろ、オプティマス! お前もトレーラーを守れ!」

 

『了解。護衛指示を確認、起動します。【メガトンプレス】』

 

 

 ドクトルがそう指示を出すと、変形して支持肢を出すトレーラーから大型トラクタが切り離されて前に進み、全長5mはあろうかという人型のロボットに変形し立ち上がった。その巨体のシキガミは、そのまま跳び上がり数体のショウジョウを踏み潰した。

 そして、トレーラーから降りてきた数人の武装した女性型のシキガミ達がトレーラーの周囲でドローンと迎撃態勢になり射撃を開始した。

 

 その様子に、慌てたようにフェイが叫んだ。

 

 

「ちょっと! 本当に大丈夫なの?!」

 

「心配はいらん! 周りの雑魚はこちらで対処するから本命に集中したまえ。

 デルタは彼女のサポートとして雑魚の相手をするんだ!

 一本だたらは、彼女かオプティマスでないと危険だから気をつけたまえ!」

 

「分かった。フェイには近づけさせない!」

 

「よく言った! ほら、本命が来るぞ!」

 

 

 そう言った隆司はドリルアームを振りかざすと、周囲に来たショウジョウの一体に突き出して切り刻む。

 

 そうしている内にドンドンと重い何かが落下する音が響いて近づいて来たかと思うと、フェイと隆司の前に走り寄って来ていたショウジョウの一体を踏み潰して何かが落下して来た。そして、自分の前にいるフェイをじろりとその一つ目で見るとニヤリと大きな口を歪ませて笑う。

 

 

『…イダ! クイソコナッタオンナ! コンドコソ、クウ!

 ………ナニヲシテイル?』

 

「……スキル起動」

 

 

 一本だたらの問いを無視するようにショウジョウを一体斬り捨てたフェイは呟くと、右腕を真っ直ぐ横に伸ばし左腕は下に伸ばして目を瞑り左下を向くポーズを取った。

 そのポーズを取ると、どこからか『ヤンマーニ』と繰り返す歌声が響いてきた。

 

 熊野フェイ専用のスキル【ヤンマーニ】。

 

 彼女が今しているようなオサレポーズをする事で発動するスキルで、曲が鳴っている間は複合したバフスキルが彼女に掛かり原曲のモデルとなった女性の様に素早い動きと正確な命中力で敵に攻撃できる様になる。

 

 発想の原点は『処刑用BGMをスキルとして実用化出来ないか?』という変な物であったが、歌を起点として相手を変化させるスキルや『トランス状態になった巫女が身体のリミッターが外れ普段では出来ない優れた動きの神楽舞をした』という事例を元に、そこへ八幡神と並ぶ戦神の神功皇后の使徒をしている熊野フェイの協力の下に九州の神功皇后の高位分霊の元に赴き完成させたスキルであった。

 

 その効果は絶大で、被ダメージが少なくなる代わりに敵を多く引き付ける【覚悟の挑発】、味方一人の命中率と回避率が上昇する【スクカジャ】が最大の4段階、味方一人の攻撃力が上昇する【タルカジャ】が2段階のそれらの効果が曲が鳴っている間は続くというものである。

 

 そして、目を開けた彼女は一本だたらに斬り掛かった。

 

 

「皆んなの仇だ! 死ねっ、化け物!!」

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

 その数分後、曲が終わる少し前。

 彼女の敵討ちの戦いを、敢えて詳しく書き記す必要もない結果がそこにあった。

 

 

『…ゴボッ! …ナンデアタラネェンダ? …オレノホウガツヨイノニ?』

 

「……死ね」

 

『…アア、ハラヘッタナァ…』

 

 

 振り下ろされたフェイの七支刀が【物理激化】【戦神の加護】【パワーチャージ】【貫通の一撃】のスキルの乗った一撃となり、一本だたらを最後に真っ二つに叩き斬った。

 

 一本だたらより3レベルは低いとはいえ、これだけのスキルにより強化されて一から剣術も戦神手ずからに鍛えられた彼女に力任せに暴れるだけの怪物が勝てる道理はなく、一方的に手足を斬り飛ばされ全身を斬り刻まれて長い間この山々を脅かしていた一本だたらはマグネタイトの塵へと消えていった。

 

 

「ドクトル! ショウジョウは逃げたのを除き倒し終わりました!」

 

『【メガトンプレス】。報告、周囲の悪魔の掃討を確認』

 

「【アギ】! よし、こちらも倒せた! フェイ、大丈夫かっ!?」

 

 

 そして、曲が鳴り止んでスキルの反動による激しい体力の消耗で剣を杖のようにして膝をつくフェイの周りでは戦闘も終了し、心配した隆司が彼女に駆け寄った。

 

 

「…うん、大丈夫だよ。大丈夫。…でも、少しだけ泣かせて欲しいな」

 

「…ああ」

 

 

 ヘルメットを外した隆司は、フェイを抱きしめた。

 彼の胸で泣きじゃくる彼女の姿をモニター越しに眺めながら、満足そうな笑みを浮かべたドクトルニキは研究員に小声で告げた。

 

 

「ふむふむ、良いデータも取れて敵討ちも終わった。

 よし、彼女が泣いている間に撤収の準備をするぞ。静かに急ぎたまえ」

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

 半終末になり、さらに増えた書類の山の整理のために忙しく判子を押していたショタおじの所に一つの報告書類が届いた。

 

 

「次はと、…ああ、何々?

 『デモニカオプション制作報告書』?

 報告者は、…ドクトルニキ?

 ………………………ふ~~ん。

 ああ。前に出されたやつか、なるほど」

 

 

 ペラペラと早いスピードで、分厚い報告書類を読んでいくショタおじ。

 

 

「滞空、飛行が可能なデモニカ『ロケッティア』。

 水深1kmでも活動可能な硬式潜水服型デモニカ『ビッグダディ』。

 デモニカとリンクして使用可能なドローン型簡易シキガミ『ドローン・タレット』。

 周囲の悪魔を無作為に呼び寄せる『集魔の香』。

 まだ研究中の音楽で使用者の能力を向上させるスキル、と。

 ……なかなか面白いものを研究しているんだな、ドクトルニキ」

 

 

 うんうんと感心していた彼だが、ふと思い当たる事があり口に出してみた。

 

 

「でもさ、これって彼が目指している昔のデザインのデモニカの普及には役に立たないんじゃないか?

 デモニカ運用のノウハウの構築はどこに行ったんだろう?

 まあ、いいか。彼ならそのうち気づくだろうし。……おや?」

 

 

 ショタおじが読み終えた書類を片付けようとした時、ひらりと床に落ちたものがあった。

 彼がそれを拾うと、それは『結婚しました』と書かれた写真つきのハガキだった。

 

 

「ああ、故郷が悪魔に襲われていた彼女か。

 ドクトルニキの手を借りて仇討ちが成功したのか、それは良かった。

 そうか。結婚して生き残った家族と山梨で静かに暮らすのか。

 彼女の人生がもう悪魔に振り回される事がないように頑張らないとな」

 

 

 幸せそうな写真の中の彼女の笑みを見て頑張る気力が湧いたショタおじは、そのハガキを丁寧にしまうと次の書類に取り掛かる事にしたのだった。




後書きと設定解説


・主人公

名前:熊野フェイ(熊野武彦)
性別:男性→女性
識別:転生者(ガイア連合)・25歳
職業:ガイア連合デビルバスター
ステータス:レベル26・アタック型(力・速)
耐性:破魔無効・呪殺無効(装備)
スキル:貫通の一撃(敵単体・中威力の物理攻撃。
          反射を除く物理相性に通常ダメージを与える)
    なぎ払い(敵全体・中威力の物理攻撃)
    物理激化(物理攻撃のダメージが1.5倍になる)
    パワーチャージ
       (自身・使用後、次の物理攻撃の威力を2倍にする)
    食いしばり(HPが0になった時、1度だけHP1で復活する)
    勝利の息吹(戦闘終了時、自動的にHPが最大値の10%回復する)
    武道の心得(物理スキル使用時のHP消費量が半分になる)
    戦神の加護(クリティカル率が大きく上昇する)
装備:戦神七支刀(『神功皇后』の加護が付与された宝剣)
   改造モデルガン(破魔弾の入った自動拳銃型の霊装)
   改造ミニスカ巫女服(ガイア連合製防具霊装。回避強化を付与)
   小悪魔インナー(ガイアガチャ産霊装。魅了・洗脳無効)
   プレート・バンダナ(鉢金型の霊装。呪殺無効付与)
   ヤンマーニの腕輪(試験運用のために貸与された霊装)
詳細:
 第3話で『神功皇后』を祀る寂れた住吉系神社の跡取り息子だったTS異能者
 起源がはっきりしない代々伝わる退魔剣術『飛燕流』の後継者でもある
 神功皇后の女性専用の宝刀を持った為、むくつけき大男から美少女になった
 青みががかった黒髪をポニーテールにした出る所は出た鍛えたスタイルの容姿
 名前の由来は、本名はもう名乗れないのでゲームでよく使っていた名前を使用した
 7年の間にほぼ完全に心も女性化したが、TS化の事はまだ秘密にしている
 容姿の元ネタ:成人向け同人ゲー『戦乱のヘキサ』のフェイ

・関係者

名前:木出隆司(きいでたかし)
性別:男性
識別:異能者・25歳
職業:ガイア連合デビルバスター
ステータス:レベル8(成長限界)(デモニカ;レベル16)
耐性:破魔無効(デモニカ:物理耐性・氷結耐性・呪殺耐性) 
スキル:ドリルアーム(敵単体・1~4回の小威力の物理攻撃)
    アナライズ(名前・レベル・耐性が判る)
    エネミーソナー(周囲の悪魔の敵対反応を検知する)
    小気功(戦闘中、徐々にMPが微量回復する)
    水中行動(潜水服型のため水中行動が自在な機能)
    ※以上がデモニカ装備時の使用可能スキル
    アギ(敵単体・小威力の火炎属性攻撃)
    ハマ(敵単体・小威力の破魔属性攻撃。
       弱点を突いた時、確率で即死付与)
    ディア(味方単体・HP小回復)
装備:ビッグダディ・デルタ(専用デモニカ)    
詳細:
 武彦の友人で一緒に異界に臨んでいた氏子総代の息子
 メガネを掛け短く髪を刈り込んだ生真面目な容姿の男性
 7年間、フェイと共に行動し男女の仲になっている
 ただし、彼女が元は親友だった事はまだ知らない

名前:ドクトルニキ(松戸展男)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・50代
職業:ガイア連合技術部科学者
詳細:
 ガイア連合に所属するマッドサイエンティスト
 前世も現世も前職は発明家を自称する電化製品の修理技師
 ガイア連合を知り現世の全部をかなぐり捨てて突撃した
 天才ではあるがエドニキも引くほど行動がエキセントリック
 発明家を自称するだけあり時々突拍子もない閃きを得て暴走する
 オリジナルデザインのデモニカをこよなく愛する懐古主義派の領袖
 容姿は幼女戦記のマッド科学者によく似ている

名前:オプティマス
性別:男性
識別:大型トラクタ型のシキガミ
職業:ドクトルニキの専用シキガミ
ステータス:レベル25
耐性:物理耐性・電撃弱点・破魔耐性・呪殺無効
スキル:体当たり(敵単体・中威力の物理攻撃)
    メガトンプレス(敵全体・大威力の物理攻撃。命中率は低い)
    食いしばり(HPが0になった際、自動的に一度だけHP1で復帰する)
    三段の恵体(ステータスの体が15増加する)
    三分の活泉(最大HPが大きく上昇する)
    物理ブースタ(物理攻撃の威力が上昇する)
    かばう(味方単体・攻撃を受けた際に代わりにダメージを受ける)
    変形(大型トラクタと人型ロボへの変形機能)
    シキガミ契約のため主人以外からの精神状態異常無効
スキル(汎):食事・会話・車両運転
詳細:
 ドクトルニキの研究室であるトレーラーを牽引する大型トラクタ型のシキガミ
 技術部のロボットシキガミ制作班が作り出した車両型シキガミの発展形
 通常時はトレーラーを牽引する赤い大型のトラクタの姿をしている
 戦闘時はトレーラーとの接続を外して、人型ロボットに変形して戦う
 変形後の姿はアニメ「トランスフォーマー」のオプティマスプライム
 車種は初代コンボイ司令官と同じ「フレイトライナーCOE」

名前:有栖川ノイ
性別:女性
識別:転生者(ガイア連合)・2✗歳
職業:ガイア連合技術部アイテム開発技術者
詳細:
 ガイア連合山梨支部の技術班の一人で服飾品や装飾品が専門の技術者
 日本とドイツ人のハーフで金髪の美少女の容姿をした合法ロリ
 今回の「ヤンマーニ」の発案者で腕輪に付与したのは彼女
 この作品の5話で登場

・アイテム

【戦神七支刀】
この剣は戦後の焼却からも守り抜いた祭神の加護が詰まった家伝の宝剣
ダーク悪魔へのダメージ増加と【豊穣鎮懐】のスキルが付与されている
【豊穣鎮懐】は、逸話の通りに戦場に行っても子宝と安産が保証されるスキル
また、持ち手の“女性”は好きな時に妊娠でき男女の産み分けも出来るようになる
なお、この剣は祭神に選ばれた“女性”の持ち手にのみ装備できる

【ヤンマーニの腕輪】
スキル「ヤンマーニ」が付与されている極めて頑丈な腕輪
見た目はキラキラと輝くオサレポーズの女性像が彫刻された金色の腕輪
BGMの演奏機能と腕輪を回収するための呪術的なGPS機能あり
腕輪制作者は技術部の有栖川ノイ

【ヤンマーニ】
“処刑用BGM”のスキルカード化を考えた変な人の成功例の一つ
使用者は八幡神もしくは神功皇后の加護下の若い女性に限定されている
発動条件は露出の多い服で両手に武器(一つは銃器)を持ちオサレポーズをする事
効果は、「覚悟の挑発」「スクカジャ(4段階)」「タルカジャ(2段階)」
決められたオサレポーズを取るとBGMが流れて、BGMが終わると効果終了
BGMは大音量のままで調節できず、途中で止まらずに最後まで流れ続ける
原曲「nowhere」の曲の長さは、3分43秒
使用後は、過剰な体力の消耗による最大HPの25%を消費する
※この作品のオリジナルスキル

【ビッグダディ・デルタ】
海底活動を視野に入れたデモニカタイプ「ビッグダディ」の一つ
これは熊野フェイが木出隆司用に手に入れた専用デモニカを改造したもの
古めかしいデザインの潜水服のような極めて頑丈なデモニカ
MPを消費して回転する右腕に装備したドリルアームがメイン武装
ドリルアームは展開して右手を出すことも可能な仕組み
深海でも行動可能な装甲の厚さと水中でも素早く動ける可動性が売り
デザインはバイオショック2の主人公「実験体デルタ」の姿と同じ

【ドローン・タレット】
一反もめん型の簡易式神のデザインを変えたマイナーチェンジモデル
基本性能は物理耐性・火炎耐性・浮遊と従来のものと同じ
攻撃用スキルとして、「精密射撃」と「乱射」を付与されている
姿はバレーボール大の浮遊する上半分の半球状の紙細工と下半分の武装ラッチで構成
武装部分には主にビデオカメラと改造モデルガンを使用した破魔弾の機銃を装備
また、機銃を魔法石を投射するランチャーや荷物ラックに変更可能
制御は通常の簡易式神と同じく声掛けの指示がなければ決められた動作を行なう

・敵対者

【邪鬼イッポンダタラ】
レベル29 耐性:火炎無効・電撃弱点・破魔耐性
スキル:ぶちかまし(敵単体・小~大威力の物理攻撃。
          自身の残りHPが多いほど威力が上昇する)
    暴れまくり(敵複数・1~4回の小威力の物理攻撃)
    まるかじり(敵単体・中威力の物理攻撃。
          与えたダメージの分、HPが回復する)
    マハムド(敵全体・低確率で即死を付与する)
    タルカジャ(味方単体・攻撃力が1段階上昇する)
詳細:
 奈良県と和歌山県の県境の山中に潜むという伝承の人喰いの妖怪
 一つ目と一本足で跳びながら移動する毛むくじゃらの鬼の姿
 普段は住処の異界で眠っているが、12月20日の日だけは活動する
 その日は山中を動き回って見つけた人間を片端からむさぼり喰う
 熊野フェイの故郷を蹂躙し村の者を貪り食った彼女の仇

【妖樹サンショウ】
レベル11 耐性:火炎弱点・氷結耐性・破魔無効
スキル:バインドクロー(敵単体・小威力の物理攻撃。
            低確率で緊縛を付与する)
    アイスブレス(敵複数・1~4回の小威力の氷結属性攻撃)
    生命の泉(移動中、一定距離ごとにHPが微量回復する)
詳細:
 中国神話に登場する一本足で黒い体毛に覆われた山に棲む樹の怪異
 熟した瓜のような顔を持ち、爛々と光る眼、大きく鋭い盆のような口を持つ
 夜中に人里へ下りてきてしばしば人を襲う事もあるとされている
 今回はここの騒ぎに誘引されて山から降りてきた

【妖獣ショウジョウ】
レベル6~8 耐性:銃耐性・電撃弱点・衝撃弱点
スキル:突撃(敵単体・小威力の物理攻撃)
    奇襲(敵単体・小威力の物理攻撃。
       先制攻撃時、威力増加)
詳細:
 中国の古典書物に上げられている猿に似た人間大の怪異
 酒好きで山に潜み人間を襲う事もあるとされている
 これらの個体は日本猿の群れの幾つかが悪魔化したもの
 銃耐性があるため倒すのに少し厄介

「ヤンマーニ」がどういう戦い方をするのかは、アニメ「MADLAX」の1話を見てみよう。


読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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