【カオ転三次】『俺たち』閑話集   作:塵塚怪翁

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今回は、前話の転生者の続きのお話

時系列としては、半終末に突入してしばらくした頃です。


 とある地方派遣調査員転生者の日常その2

 

『“砂風呂逆レ◯プ!猛獣と化した幼き妖狐”

 彼女に救われたことにより娘でありながら思いを寄せるようになったI。

 だけど、彼女は豊満なシキガミに目を奪われて貧相な自分など見てくれない。

 最初はそれでいいかと思っていたが、とあるバカンスで開放的な気分から想いを爆発させた。

 彼女を砂風呂と称して浜辺へ誘い出して拘束し、ついに自分から襲いかかるのだった。

 夢中で腰を振り続けるI。

 しかしその時、物陰から彼女の恋人のAが現れて……』

 

「いや、あれはあかんやろ。何で『いけるっ!』と思うたんやろ?」

 

「でも、お話としてはとても面白いよ。タカヒサ。

 絵はきれいだし、『I』って子の心理描写もすごいし。

 実際、知り合いも面白いと言って読むんじゃないですか?」

 

「実際に調べたんやろうな。それで、知り合いって?」

 

「まどかです」

 

「ああ、あの子もクール振っているけど恋愛物は好きそうやな。

 あれの内容が父娘もので、おまけに実在の人物をそのままモデルにした“ナマモノ”なのを除けばやがな」

 

 

 昼間、捜索の末にやっと捕まえた本の作者であるまだ高校生の少女であった『ナマモノネキ』を、再度被害にあった宮城支部から文字通り飛んで来た『幼女ネキ』が実戦訓練用の施設に引きずって連行して行っていた。

 その焼却する前に見た押収した諸々の原稿の内容を思い出して語る弓削猟果の様子を見て、山梨支部内の自室で一緒に食事中のブラウニキはため息を付いた。

 

 前の事件から数週間後、ハム子ネキの隙を突いてタルタロスから逃げ帰ったブラウニキは、依頼を取り扱う部署の顔見知りである係長から新しい依頼を受けていた。

 ちなみに、以前のハム子ネキの件は貰うものを貰って手打ちが済んでいる。

 

 曰く、『またやらかしたナマモノネキの捕獲』依頼であった。

 

 以前、穏当な内容の同人ではネタが尽きた彼女は、別のジャンルの先駆けとして「とある神主の秘蔵の趣味コレクション」「とあるペルソナ幹部と女性の神主の密かな逢瀬」「あの鬼の女性事務の密かな趣味」などを描いて直接、関係者に絞められた事があった。

 

 ショタおじの地獄の修行諸々に懲りたのか二人とペルソナ関係者には手を出さなくなったが、山梨支部内に複数の隠れ家を用意し占術などの追跡を阻害するアイテムを手に入れて、他の人物を題材にしたものをちょくちょく出してはアングラで出版する知恵をつけた。

 

 今回は掲示板で見たノリそのままに出版し、相手は日本の東の果てにいるからと高を括っていたのだろうがそうはいかなかった。

 彼女は自分が探すだけでなく、調査や捜索に強い黒札に依頼を出して探し出した。

 

 そこでブラウニキを含めた捜索班は、印刷を請け負った人物や商品の配達業者を買収して棲家をある程度絞り込んで、付近の聞き込みや猟果のトラッキングのように魔法を使わない手段で痕跡を追跡し捕まえたのだった。

 

 隠蔽にかなり準備をしていただろうと推測できるだけに、突き止められて幼女ネキが目の前に来た時のその彼女の顔を見ていた連中は皆、合掌して念仏を唱えたという。

 

 ただ、実戦用施設から出てきて担架で医療班のいる棟に運ばれていったが、案の定、しばらくしてまたまたやらかしているのはもはや立派な“アレな黒札技術者”の一人である。

 

 ともかく、夕食も終わるとテレビを見始めた猟果をよそにブラウニキは立ち上がって出かける準備を始めた。

 

 

「タカヒサ、こんな時間にどこに行くんですか?」

 

「係長のやつが、また内密で依頼したい事がある言うてるんや。

 それで、これから聞きに行くんや」

 

「……ぶう。また、女の子を抱く依頼でも受けるんですか?

 この間も、茶髪のポニーテールの子と出掛けたと聞きましたけど?」

 

「おっとろしい事は言うなや。

 あのハム子ネキは、容姿は確かに可愛いけどな。

 ボクには地獄に連れて行く獄卒みたいなもんやで? おお怖」

 

 

 不機嫌そうに聞いて来る猟果に、本気で身震いして答えるブラウニキ。

 そんな彼女に教え諭すように着替えながら彼は答えた。

 

 

「ええか? リカとするみたいに自分が好きでやるものとは、依頼のそれは違うんや。

 極論やが言ってみれば、これはAV男優みたいなものや。

 前日までに、飲食物や嗜好品に睡眠なんかの体調に気をつけて無駄撃ちせん様に数日我慢して、事前にNGな物が何かなど行為の内容をすり合わせてからするんや。

 それにな、向こうからの印象や相性を良くするために服や装飾品や体臭に気を使ったり、体力をつけるためのトレーニングや霊能の儀式でもあるさかいその辺の調整も欠かしておらんのやぞ?」

 

「そういうものなんだ。

 そういえば、依頼の前はケッサイとかいうのいつもしているものね」

 

「まあ大抵は、女性側からの指名や条件の提示を事務側で絞り込んで依頼になって回ってくる。

 舐められない程度に丁寧に相手に接して、うちと向こうがウィンウィンにするのが理想や。

 種付けの依頼報酬は、ボクはクズのレンタル種馬を違うて今やかなりお高いしな。

 ボクが仕事で相手にするのは、リピーターがおる様な優良な評価の場所かこの間みたいなひと悶着ありそうな場所だけやで?

 そもそも、リカのとは仕事やなしお互い楽しんでするもんやから当然や」

 

「……そうなんだ。そうなのかぁ」

 

「可愛い反応、ありがとなリカ。

 ほな、ちょっと行ってくるわ。オウル、リカを見とってや」

 

『ホウ。(承知)』

 

「いってらっしゃい、タカヒサ」

 

 

 ニコニコと笑う猟果と見守るオウルに見送られ、ブラウニキは係長が指定した場所に向かった。

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

「久しぶりやな、カンユーニキ」

 

「応援はブラウニキか。相変わらず、地方へアレをしに行っているのか?」

 

「まあ、そこそこやな。奥さんは元気か?」

 

「二人目も臨月だからな。病院にいるよ。両親が付き添ってくれているから助かる。

 それで、そっちの子が今の恋人か?」

 

「……は、はじめまして、弓削猟果と言います。よろしくお願いします」

 

「初めまして、弓削さん。

 そうだ。今度、同じ年頃の子を預かっているから会ってみてくれないか?」

 

「は、はい。私なんかで良ければ!」

 

「おお?

 奥さんに愛をささやき続けてメシア教から改宗させた愛妻家がどうしたんや?」

 

「ただ、成り行きで預かっているだけだ。それより、仕事の話をするぞ」

 

 

 先日、もう夜になり夜勤の受け付けが詰めている事務所の応接室で、ブラウニキは係長からこう内容を聞いた。

 

『今回やってもらいたいのは、人の捜索だよ。

 彼女の名前は【清村雪菜】。

 半終末に入ってすぐの頃に、欧州で黒札の一人に保護された女性だ。

 日本に帰国してから山梨のガイア系企業に勤めていたんだがな。

 甲州市の方の取引先に、書類を直接届けるために外出して行方不明になった。

 彼女の持つ携帯の位置情報が焼山という廃集落から検知されたんだ。

 警察官が行ったが、廃集落すら発見できなかったそうだ。

 既に先発で別の黒札に見に行ってもらっている。

 山梨支部の近くに何かあると困るからな。ブラウニキも頼めないか?』

 

 その翌日、依頼を引き受けたブラウニキはオウルと猟果を連れて人通りのない舗装された車の通れる林道を通り、離れた場所から双眼鏡で覗くカンユーニキのいる車に合流した。

 富士山の北にある甲州市近くの山中に、かつて80年代までは人がいたらしい『焼山集落』という場所があった。

 ここが、彼女の携帯の反応のあった今回の依頼の場所だった。

 

 

「オウル、猟果。偵察を頼む。見つからないようにな」

 

「わかったわ、タカヒサ」

 

『ホウ。(了解)』

 

 

 普通のフクロウのように木々の間を飛びながら近づくオウルと、素早く林の中を身を隠しながら集落があるだろう場所に走り寄っていく制服姿の猟果を見送ったブラウニキは、双眼鏡で睨んだままのカンユーニキに話しかけた。

 ブラウニキも目を凝らしてその方向を見るが、ただの林道沿いの林にしか見えない。

 

 

「それで、ここに間違いないんやな?

 こんなボクらの本拠の近くに見つからん場所なんてあるんかいな」

 

「確かに、ここには廃集落が確認されていたんだ。

 廃墟探索を趣味にしている連中のホームページにも写真つきであったぞ。

 見つからなくなったのは、半終末に入ってからみたいだな。

 写真のうちの一枚に、八大龍王を祀っていたらしい祠の写真があった。

 祭神が消えていたのは前に確認してたんだが」

 

「それが確実なら、えらく上手に隠れていたもんやな。

 ショタおじやなんかの目をくぐり抜けてってのは相当なもんやで」

 

「だから、隠蔽に気を使っていたんだろうな。

 どこから流れてきたのか知らないがね。……おっと、動きがあったみたいだぞ」

 

「リカが見つかったみたいやな。

 ボクは行くから、バックアップは頼むで」

 

 

 山歩き用の服装にサバイバルベストを着込んだブラウニキは、双眼鏡から目を離しこちらを見るカンユーニキに声をかけるとそのまま林道を走って行った。

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

           

 

 

『いつのまに入り込みよった、小娘! そこになおれ!』

 

「わ、見つかったか。一旦、逃げるわよ」

 

『ホウ。(主との念話は通じず、退避を推奨)』

 

 

 ほぼ異界と化している廃集落の中で、廃屋に設置されていた魅了の術で複数の意識もなくぼんやりと座るだけの女性達の座敷牢の様子を見ていた猟果は女達の世話に来た着物を着た女性に見つかり逃げ出した。

 

 途中までは上手く行っていた。

 

 猟果が言われていた場所に近づくと森の風景が歪んで、空気がよどみ4つの廃屋のある廃集落規模の異界が目の前に出現した。

 

 背の高い木々や廃屋の近くに置かれたガラクタ、複数の違法改造された車やバイクなど身を隠すには十分なそれを使い、彼女は時々出歩いているN◯Kの古いドラマで見るような着物の女性の目を掻い潜って廃屋内に忍び込んでいた。

 

 そして、比較的まともな廃屋の中にあった座敷牢にいた4人の女性達と牢の外にまとめて置かれていた女性の服や持ち物を調べている内に、巡回に来ていた女性に見つかり逃げ出したのだ。 

 

 オウルが導く場所を目掛けて、壊れていた窓枠を飛び越えて猟果は走り出す。

 だが、ふと後ろを振り返ると、女性は頭と下半身を黒い蛇のそれに変えかなりの速度で彼女を追いかけて来ていた。

 

 

『待ちや、小娘!』

 

「このままだと追いつかれる!」

 

『ホウ。(対象のアナライズ完了。レベル7【邪龍ラミア】)』

 

「私よりレベルが下!? 倒せるなら、倒そう!」

 

『何事です!?』

 

「うわっ、増えた! 撤退、撤退!」

 

 

 その声を聞きつけた同じ様なラミアがさらに2体迫ってくるのを見た猟果は、ウェストポーチから逃走用の『くらましの玉』を連中の前に投げつけた。

 

 

「よし、今のうちだわ。【八百万針】!」

 

『『ギィッ!』』

 

 

 目が眩み身動きできない相手に、行きがけの駄賃代わりにと針状の短剣を敵全体に投擲する攻撃を加えると猟果はさらに走り出す。

 しかし、ここで足止めされていたのが拙かった。さらに、2体が猟果の前に回り込んできた。

 

 

『お前もかか様の贄にしてやる。大人しくしい!』

 

「くっ、まずい!」

 

『ホウ!(危険!)』

 

「…えっ?」

 

 

 前のラミア達に気を取られ思わず足踏みしていた猟果に、オウルが警告を発した。

 だが、間に合わず彼女の肩に人と同じ大きさの蛇の頭部が噛み付いた。

 

 

「あ、ああああっ!」

 

『多少の傷は死ななければ、かか様が治してくれる。そのまま押さえ込みなさい!』

 

『そっちのフクロウもどきも捕まえないと!』

 

「ボクの女に何をしているんや、化け物共」

 

 

 一体が噛み付いたまま、数体がかりで猟果たちを捕まえようとしたラミア達。

 そこへ林の方からサバイバルナイフが飛んで来て、猟果に噛み付いていたラミアの頭部に突き刺さった。

 

 

『ギィッギイィィ!』

 

『ホウ(リョウカ、こちらへ)』

 

「タカヒサ!」

 

 

 組み付いていたラミアを蹴り飛ばし、ナイフの飛んで来た方向に走る猟果。

 ラミア達がそちらを見ると、ペルソナを背に出現させ肩にオウルを乗せた怒りの表情で猟果を抱き寄せて睨むブラウニキが立っていた。

 

 

「蛇の化け物共がボクのもんに何してくれるんや。死なす」

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

「ひぃっ!」

 

『シャアアアッ。……何だ、この音は?』

 

『かか様、見てまいります』

 

 

 異界の一番奥にある祠の前で異界の主である【邪龍オロチ】が、一番新入りの女である清村雪菜を本来の全長5mはあろうかという黒い大蛇の姿で嬲り、その恐怖の感情のマグを堪能している時にそれは起こった。

 異界の外周、集落の入口に近い広場で爆発音のようなものがしたのだ。

 

 一番最初の娘であるラミアのリーダーが捕まえていた清村雪菜に再び魅了を掛けて大人しくさせて隅に置くと、そのままズルズルと様子を見に行くのをオロチは見送った。

 

 

『異界の隠蔽は完璧だ。南に巣食う恐ろしいモノの群れにも気づかれていない。

 このまま少しずつ 少しずつ力をつけたら、昔のように離れた場所の別の集落を襲うとしよう』

 

 

 そのオロチはその昔、徳川が世を治める前の時代に井戸端で姿が不気味だと言うだけで殺された集落を祟る蛇であった。

 集落に飢餓や流行り病に野盗などの災いを呼び寄せていたそれは、ある日、集落に呼ばれてきた僧侶により祠に閉じ込められた。

 

 数百年経って、半終末になり仏神の封印が解けて自由になったそれは、まず南にいる「恐ろしいもの」の気配から逃れるために全力で隠れた。

 林の中の隠蔽と異界維持のために動けぬ自分の代わりに娘を多数産んで、雑事を行なう娘達をたいそう気に入っていた。

 

 しかし、異界維持のためこれ以上娘を産めぬまでその身が衰えたと気づいた蛇は、集落の近くをうるさい音で騒ぎ鉄の馬に乗って走り回る男達を餌にし、異界を維持するため好みのマグの源として恐怖させ易い女を数人ほど攫った。

 

 これで自分の手足となる娘達が増え力ももっと付けられると喜んでいた蛇は、女たちが持つ携帯が衛星から位置が判るなど想像もしていなかった。

 

 だから、それが彼女の終わりの始まりだった。

 

 娘のラミアが出て行って十数分、隠蔽の結界維持のために集中して目を閉じていたオロチの足元にべチャリと何かが落ちる音がした。

 

 目を開けるとそこには、足元に這い寄ってくる緑色のスライムとオロチには見慣れない洋風の格好をした男が立っていた。

 視界の端で、左肩の服が破れている少女が先程まで嬲っていた女を連れ去ろうとしているのを見つけ鎌首をもたげたオロチに、男ことブラウニキがニコニコと話しかけてきた。

 

 

「おいおい、変わり果てた娘より攫ってきた女性の方が大切なんか? 薄情やなぁ」

 

『……何を言っている?』

 

「足元のスライムや、そのスライム。

 ボクらのところにはな、【溶魔の玉】っちゅう道具があってな。

 そいつは投げつけた悪魔を強制的にスライムにする効果があるんや。

 そいつ、お前の眷属の成れの果てや。気に入ってもらえたやろか?」

 

『? …………あ、あああっ! 貴様ぁ!』

 

 

 足元にいるスライムをじっと見ていたオロチは、そのスライムのマグに憶えがあるものを感じ取り気づくと怒りの表情のままブラウニキの方を見た。

 その表情に何の感慨も湧かないブラウニキは、猟果が清村雪菜を担いで離れた場所に退避していくのを確認するとカバンから取り出した石を数個、そのままオロチに向かって投げた。

 

 

「娘と仲良う、消えるがええ。【メギドストーン】や」

 

『何を……』

 

 

 投げられた石に込められた【メギド】が複数回、オロチに炸裂した。

 そこにあった祠、オロチ、スライムに成り果てたラミアは、地形が変わるほどの爆発の中に消えていった。

 異界が崩壊し、急速に元の廃墟の並ぶただの廃集落へと戻っていく様子を見ながら呟いた。

 

 

「まともに戦う気も起きへんわ。ボクらの近くに湧くなや、害獣」

 

 

 

 ーーーーーーーーーー             

 

 

 

「それで戻って来れて少しは反省したんか? 『オールドンマイ』ちゃん?」

 

「『オールマインド』です。完璧で優秀な私にふさわしい呼び名でしょう?」

 

「係長のやつがぼやいていたで。

 製品型番の重複や資料の円グラフの事はどう言い訳するんや?」

 

「それは確かにミスでしたが、もう既に是正済みです」

 

「そんなんやから、皆んなに『ポンコツかわいい』とか『ドントマインド』と言われるんやで?」

 

「私はポンコツではありません」

 

 

 あの事件から数日後、後始末をカンユーニキと終えたブラウニキは、以前、自分とトラブって飛ばされていたが自分で優秀さを示して受付業務へと戻ってきた新米受付嬢をからかっていた。

 そこへ、依頼の話をするために彼を呼び出していた係長がやって来た。

 

 

 

「その辺にしておいてくれ、ブラウニキ。君もそれくらいにして業務に戻りなさい」

 

「……失礼します」

 

 

 ボブカットの黒髪とビシッとスーツで決めていた彼女は、ムスッとした表情のまま応接室からお茶を乗せていたお盆を持って事務室の方に戻っていった。

 それを苦笑して見送ると、先の件について係長は話し出した。

 

 あの事件はその後、滞りなく処理されたそうだ。

 救助された清村雪菜を始めとした女性達も、記憶の処理や体力の回復も済み以前の生活に戻っているようである。

 猟果の方も傷は癒えて、痕も残らないように医療班に処置してもらっていた。

 

 例の異界の事であるが、この件の報告書を見た彼はポンと手を打って思い出していたようだからショタおじは既に気づいていたらしい。聞けば、占いでいずれ黒札の誰かが処理して致命的な事にはならないと判っていたそうだ。

 だから、アイテム代で足が出たが解決したブラウニキにも彼の「ご苦労さま」の一言があったそうだ。

 

 

「半終末になって、山梨に拠点を置く黒札は地方への遠征を嫌がるようになったんだ。

 もう既にほとんどの地方には、その地に根付いた俺らがいるから対処可能だというのもある。

 一番大きな理由は、『出先や移動中に終末に突入して帰れなくなったら困る』だ。

 ブラウニキみたいに、今まで地方への調査を担当していた調査員ですら渋るようになった。

 転移能力者が希少で、多方面で引っ張りだこな部分も関係しているけどな。

 だから、自前で転移での帰還が可能なブラウニキにはこれからもお願いしたい」

 

「まあ、ボクも好きでやっている事やしかまへんけどな。それで、他に用はないんか?」

 

「ああ、ちょうどブラウニキにぴったりの案件があってな。

 以前に未覚醒の黒札が受けた特別派遣依頼に、横入りした別の覚醒済みの黒札がいたんだが……」

 

 

 こうして、ブラウニキの仕事はまだまだ続くことになりそうだ。




後書きと設定解説

・主人公

名前:ブラウニキ(青上鷹久・あおがみたかひさ)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・28歳
職業:ガイア連合地方派遣調査員
ステータス:レベル27・マジック型(魔・速)
詳細:
 スキルと装備は前回と変化なし
 ハム子ネキに連れて行かれて少しレベルが上がった

・関係者

名前:ナマモノネキ(姫木愛琉・ひめぎめる)
性別:女性
識別:転生者(ガイア連合)・17歳
職業:高校生
装備:TP82カスタム(彼女専用に調節された霊装拳銃)
   弾丸各種(呪殺弾、破魔弾、強化弾、etc)
   同人誌作成用具(タブレット、画材など)
詳細:
 ガイア連合の漫画出版会社に出入りする同人作家の高校生
 高校卒業後はここに就職するつもりで山梨支部でアルバイト中
 ロシア系のハーフのために銀の長髪と青い目をした日本人
 眼鏡を掛けてお気に入りの白のコートをいつも着ている
 メルリーという名のペンネームで主にナマモノ同人作品を描いている
 ネタになるなら閃きの赴くままに描き、その都度、制裁されている
 タマヤ与太郎さん著「【カオ転三次】TS^2ようじょの終末対策」より出典

名前:弓削猟果(ゆげりょうか)
性別:女性
識別:異能者・16歳
職業:高校生/ガイア連合山梨支部所属員
ステータス:レベル11
詳細:
 ブラウニキが子飼いにしている現地民の美少女
 スキルなどのデータは前話を参照して下さい
 長期間、置いていかれてかなりお怒りだった

名前:オウル
性別:男性
識別:フクロウ型のシキガミ
ステータス:レベル24
詳細:
 オスの茶色の梟の姿をしているブラウニキの専用シキガミ
 スキルなどのデータは前話を参照して下さい
 主人に付き合ってレベルが上がった

名前:草壁係長
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・30代
職業:ガイア連合山梨支部総務部係長
詳細:
 山梨支部で受け付け事務の取りまとめ担当の係長をしている
 田舎の役場にでもいそうな眼鏡をした容姿の平凡な男性転生者
 一応覚醒して本名は別にあるが皆には「係長」と呼ばれている
 わりと毒舌な部分があるが真面目で善良な性格
 妻帯者で娘二人の名前は「皐月」と「芽衣」

名前:カンユーニキ(菅優・すがすぐる)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・30代
職業:ガイア連合地方派遣調査員
詳細:
 某むせるロボットアニメの小悪党にそっくりな転生者
 元探偵の経歴から全国を移動して調査依頼を熟している
 両親や家族と共に秋田から山梨支部に引っ越した
 一神教改宗済の元シスターの嫁が2人目の子供を妊娠中

名前:清村雪菜
性別:女性
識別:異能者・2X歳
ステータス:レベル3
耐性:破魔無効
スキル:ディア(味方単体・HP小回復)
    宝探し(アイテムの捜索が得意になる)
詳細:
 欧州にツアー旅行に来て巻き込まれた日本人女性
 小柄で歳よりかなり若く見られる中高生のような容姿
 天使に襲われ逃げ惑い武器商人ニキに救助された女性
 帰国後、彼の紹介で山梨のガイア系企業に再就職
 市外の企業に取引で出掛けて今回の件に巻き込まれた
 容姿は「サマーデイズ」の「清浦刹那」
 今作の1話目に登場

・アイテム

【溶魔の玉】
投げることで範囲内の悪魔を「外道スライム」にしてしまう薬品の玉
魔力相性のダメージと25%の確率でスライムにする効果がある
この効果は悪魔にのみ効果がある

【くらましの玉】
スタングレネードと同じく相手の目と耳を閃光と音で眩ませるアイテム
使用すると、ボス以外の戦闘から確実に逃亡する事が出来る

・敵対者

【邪龍ラミア】
レベル12 耐性:火炎弱点・氷結耐性・衝撃弱点
スキル:噛みつき(敵単体・小威力の物理攻撃)
    吸血(敵単体・小威力の万能属性HP吸収)
    セクシーダンス(敵全体・中確率で魅了を付与)
    人化(腰から下を蛇の尾ではなく人の両足に出来る)
詳細:
 この集落を統べるオロチが生み出した分身体のリーダー
 悪魔の姿になると下半身が蛇の形状に変化する
 異界と隠蔽の結界維持の為に動けない本体に代わり雑事を熟す
 主に餌の男やオロチ用の娘を攫うために誘惑・魅了をしている
 集落には他に未熟な数体の妹がいる

【邪龍ラミア】
レベル8 耐性:火炎弱点・氷結耐性・衝撃弱点
スキル:噛みつき(敵単体・小威力の物理攻撃)
    吸血(敵単体・小威力の万能属性HP吸収)
    人化(頭部と腰から下を蛇ではなく人の姿に出来る)
詳細:
 この集落を統べるオロチが生み出した分身体
 悪魔の姿になると頭部と下半身が蛇の形状に変化する
 異界と隠蔽の結界維持の為に動けない本体に代わり雑事を熟す

【邪龍オロチ】(ボス)
レベル24 耐性:火炎弱点・氷結耐性・破魔無効・呪殺無効
スキル:アイスブレス(敵複数・1~4回の小威力の氷結属性攻撃)
    フォッグブレス(敵全体・命中、回避率を2段階下げる)
    ディアラマ(味方単体・HP中回復)
    パララアイ(敵単体・中確率で緊縛を付与する)
    潜伏(自身・敵の攻撃が当たりにくくなる)
    ボス補正によりHPMP増大、破魔・呪殺無効、状態異常耐性
詳細:
 山梨県甲州市大和町の山中にある廃集落の祠に巣食う蛇神
 水辺に潜む黒い大蛇の姿で金色の目をしている
 元は封印されていた八大龍王神社だった廃祠を棲家にして潜んでいる
 半終末で目覚め集落に隠れ潜みマグを集めて徐々に力をつけていた
 現代のGPS機能付きの携帯電話を知らなかったのが見つかった原因

タマヤ与太郎さん、ネタの方をお借りしました。ありがとうございます。


読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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