【カオ転三次】『俺たち』閑話集   作:塵塚怪翁

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今回は、山梨第2支部で行なわれた技術部主催の展覧会のお話

時系列としては、半終末に突入してしばらくした頃です。


 「ガイアものづくりEXPO」開催

 

「今日の仕事は会場警備の仕事か。定時に家に帰れるだけでもありがたいがな」

 

 

 山梨第2支部で受け取った依頼書を見ながら、カンユーニキはつぶやいた。

 

 半終末になり各地に支部が出来たお陰で国内を移動することもほぼ無くなり、GPの上昇で戦闘能力に乏しい彼への調査依頼はほとんど無くなっていた。押しかけ嫁同然で来たラビアンにも1年ほど付き合う内に情が移り、彼女が宗派替えの呪的契約書と婚姻届を持ってきた事で結婚し二人の娘に恵まれている。

 

 今では、現地民も出入りする山梨第2支部の治安担当部署である警察にも似た警備会社の社員として働き、時々鍛えるために山梨の異界に潜っているのが彼の日常であった。

 

 そんな彼の今日の仕事は、今行なわれている技術部主催の総合展示会【ガイアものづくりEXPO】の警備であった。

 

 会場は、【超絶縦長会城 山梨ビッグサイト甲府城】。

 

 東京に出入りするのを非推奨とされた黒札達のために、代わりに第2支部近くに作られたお台場のアレにそっくりな多目的ホールである。ただ、その中央部から上に展望台になっている天守閣がついているのが違う点であった。半終末直前に完成した非常時の際に逃げ込むための頑丈な建物を建設する計画の産物だが、建物のデザインは掲示板の安価で決まったらしい。

 

 計画責任者は、「オリジナルのチェイテ城再現とマスコットの『メカショタオジ』が開発出来なかったのは残念だ』と述べていたと記録には残されている。

 

 

「しかし、何度見ても変な建物だな。変形してロボットになっても驚かないぞ」

 

 

 会場に着き改めて見上げてからそうつぶやいたカンユーニキは、関係者入口から中に入って行った。

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

「黒札と現地民いろいろいるな。まあ、ここに来れるだけの余裕とコネがないと来れないけどな」

 

 

 カンユーニキはその小悪党顔に似合わない背広の左腕に『警備』と書かれた黄色い腕章を付けると、見物と身内へのお土産の探索も兼ねてブラブラと展示場内を歩き出した。

 

 中はそれぞれの数十人ほどの技術者達が自分の研究物を発表するブース毎に分かれており、企業ブースが立ち並ぶ展示会のような様子になっていた。直に取り引きもするためか、担当者と商談をしている者達もあちこちに見える。本来なら大まかにジャンルによってエリア分けされるのだが、この技術部主催の見本市ではくじで順番を決めて早い順に場所を決めていいとなっているために薬屋の隣に車両がなどバラバラに配置され、関係者も見取り図がないと迷う混沌とした並びになっていた。

 

 来場者は黒札か山梨に住む金札や銀札の覚醒者、ここまで来れるだけのコネと余裕のある地方組織の関係者だけを想定しているとはいえ、なかなか多数の入場者で施設内は混沌としていた。

 

 警備ブースから方向も決めず歩いていると、まず彼はエドニキのブースの前を通りかかった。

 

 そこではケーズ内に様々な水筒やタンブラーが並べられ、それを真剣に見ていた裸土下座で有名な大赦支部の女性代表と魔女の里の女性が何個かそれを入手すると、ニヤリとしか形容の出来ない笑みを浮かべて歩いていくのを見かけた。

 不思議に思ったカンユーニキは、そこにいた全身甲冑の男のアルニキに話しかけた。

 

 

「よう、ご苦労さま。ここでは何を見せているんだい?」

 

「ああ、警備ご苦労さま。

 見ての通り、現代の各種水筒やタンブラーに入れたアガシオンを展示しているよ」

 

「従来の指輪や壺じゃダメなのか?」

 

「発注は引っ切り無しだからそうでもないけど、客層に合わせていろんな入れ物を作って販売したら結構人気かもしれないと思ったんだ。

 兄さんみたいに『オ◯ホ』に入れるのはどうかと思うけど。

 まあそうしたら、直に見に来た地方の現地組織の人が喜んで買っていくんだ」

 

「今の女性達もそうなのか?」

 

「うん。例の銀時ニキで有名な大赦の人と近くの魔女の里の人みたい。

 デザインにも気を使ったから、お洒落だったのかもしれないな」

 

「まあ、それかもしれないな。俺は他を見に行くよ」

 

「ごくろうさま」

 

 

 嬉しそうにそう語るアルニキに頷くと、カンユーニキは別のブースを見回るべく歩き出した。

 

 ちなみにこのタンブラー入りのアガシオンであるが、後にアガシオンは指輪や壺に入れるものという常識から不意を打てて対人や暗殺、それにスパイ活動に重宝されると判ったために量産が中止される事になったそうな。

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 次にカンユーニキが通りががったのは武器の並ぶブースだった。

 

 強化ガラスのケース内には所狭しと刀や剣などの刃物の武器が並んでおり、数人の剣士や侍っぽい連中が見回っていてブースの担当者らしい女性のシキガミに質問しているのが見えた。ブース主らしい褐色肌で白髪の男性【アーチャーニキ】にカンユーニキは話しかけた。

 

 

「やあ、どうも。何か問題はないかい?」

 

「ああ、警備か。いや何、我々もそれなりに腕が立つし大丈夫だ。

 それに、前衛で戦うような奴で問題児は彼らが絞めてくれるしな。ほら」

 

「……ん?」

 

 

 見ればどこぞの若手の黒札らしい男が、値切り交渉をしつこくしていたのを見かねたマントを着た老剣士に絞められていた。

 

 

「武器をそのように扱うのは作り手に無礼ですよ」

 

「痛ててて! 五月蝿えぇな、ジジィ! 何様だよ!」

 

「なかなか元気があるようです。一つ、我々と一戦交えましょうか」

 

「どれどれ、なかなか活きが良いようじゃねぇか」

 

「兄ちゃんとその連れのお前らも、ちいと顔を貸してくれ。な?」

 

 

 老剣士の言葉にその付近にいた男達がぞろぞろと現れると、若手の黒札の男と連れをズルズルと連れて行ってしまった。

 不思議に思ったカンユーニキは彼に尋ねた。

 

 

「彼らは一体?」

 

「ああ、彼らは修羅勢の連中さ。

 珍しい武器には目がないらしくてな、俺が作った作品を見に来てくれていたんだ」

 

「へえ。どんな物があるんだ?」

 

「最近はメガテンの“無銘の刀”の再現にも力を入れていたんだが、行き詰まって他のゲームの武器の再現にも挑戦していたんだ」

 

 

 アーチャーニキは展示物のそれらを指さしながら彼に説明した。

 

 

「あれらはスカイリムの【黒檀の剣】、【ドーンブレイカー】、【メエルーンズの短剣】だ。

 それぞれ効果もそれらしく再現してある。

 で、こっちの毒蛇の牙のような短剣が再現の過程で出来た【ヒュドラの牙】だ」

 

「ほう。結構、危険な代物では?」

 

「まあな。基本、これらは売るのは俺たち相手だけだな。

 だから、売る時は悪用しないように手続きが必要にしてある」

 

「その辺、しっかりしてくれて助かるよ」

 

 

 彼の言う手続きとは呪的契約書を使った売買契約の事である。

 珍しげに不思議な武器をしばらく楽しむと、カンユーニキは彼に告げた。

 

 

「おっと。長居しちまったな。そろそろ行くよ」

 

「展示会は定期的にしているからな。今度は時間のある時にまた見に来てくれ」

 

 

 アーチャーニキに挨拶すると、カンユーニキは別の場所へと歩き出した。

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 次にカンユーニキが通りががったのは、そこから少し離れた場所にある大きめのブースであった。

 

 様々な防具が列べられているが、その殆どは現代的な物か漫画やアニメに出てくるような物が多かった。

 女性用も多く露出が多い代物が列べられているのは、ブース主が少女のような容姿の女性であるのが関係しているようだ。

 カンユーニキはそのブース主、スケベ部に所属しガイアグループの女性用下着やランジェリーのブランド『ピクシー』で制作を担当している【有栖川ノイ】に話しかけた。

 

 

「やあ、どうも。問題は起きていないか?」

 

「ああ、ご苦労さん。特に問題は起きていないよ。

 ついでに、何か買っていくかい?」

 

「ここでは何を見せているんだ?」

 

「ここにあるのは霊装の防具が主だね。

 隣のブースは下着ブランドのピクシーの企業ブースだから、男は近づかない方がいいかもね」

 

 

 下着ブランドのピクシーと聞いて、カンユーニキはおもむろに柏手を打って彼女を拝んだ。

 それに慌てたノイは、彼を捕まえて問いただした。

 

 

「いきなり、何をしているんだい!?」

 

「俺の妻はそこのブランドにはお世話になっているんだ。

 おかげで、娘も二人出来たぜ」

 

「制作者冥利につきるね。夫婦仲が良くていいじゃないか。

 まあ、うちの製品の下着は必要に迫られて作られたようなもんだしね」

 

「……どういう事だ?」

 

 

 カンユーニキが聞くと、ノイはため息をついて話し始めた。

 

 

「そもそも遡れば、シキガミの制作に3Dプリンターが導入されたのが始まりだよ。

 その後は、男の連中が欲望に任せて“理想の俺の嫁シキガミ”に邁進してるのは知っていると思う。

 だけどね、よく考えてごらん?

 連中がその後にその嫁シキガミに着せる下着の事をまるで考えていなかったんだ」

 

「理想の嫁に目が眩んだ男に理性を求めるのは無理だと思うぞ。

 ソースは、理想が現実にいたシキガミじゃない今の嫁だ」

 

「あはは。それは良かったじゃないか。

 私が言いたいのは、欲望に任せて市販の下着じゃ無理なサイズの胸や腰を持った嫁を注文した事さ。

 さらに、そのサイズでも戦闘がこなせるように動きやすい物を作れってね。

 その無茶な注文を霊装化も含めて作ると、一揃いで6桁~9桁のお値段になるんだけどね」

 

「ひえっ」

 

 

 値段にドン引きしているカンユーニキに、値段なんてそんなものだと告げるノイ。

 

 

「通常のチタン合金の形状記憶合金じゃ強度が足りなくて、チタンをミスラル銀に変える方法が出来たのは僥倖だった。

 チタンも主な産出地がオーストラリアと北米というメシアンの縄張りで、残りは北欧なんで入手も困難だけどね。

 チタン合金の装甲材にするからってロボ部の連中が、探求ネキの金属樹で出来たものの大部分を持っていくのも値段の上がる理由の一つだよ」

 

「確かに胸のデカいのが好きな連中はいる。

 さすがに俺は持ち主の頭より大きい胸は無理だけどな」

 

「まあそんなところさ。

 さて防具だけど、女性ならこの半透明仕様の【衛士強化装備・レプリカ】がオススメだけど男かぁ。

 こんなのはどうだい?」

 

 

 彼女が指す方向を見ると男性用マネキンがあリ、そこには某龍の球で野菜人な格闘漫画の敵が着ているラバー製の防具があった。

 

 

「アンダーやグローブにブーツまで、本物そっくりに出来ているよ。

 上半身の【戦闘用ジャケット】には物理耐性も付与しているから、柔軟性も頑丈さも中々だ」

 

「隠密性は端から捨てているな、これ。

 もう少し、身を隠せるものとかはないか?」

 

「なら、こいつかな? 【隠密の外套】。

 欠点として、こいつ以外は全裸にならないといけないがどうだい?」

 

「それ、作ったやつは何を考えているんだ?」

 

「露出癖のある黒札の依頼で開発した品で、そいつが買う前にやらかして今はショタおじの懲罰特訓中だからね。

 売れ残っても困るし、買うなら今だよ」

 

「いらんよ。

 まあ、今度嫁と下着の方は買いに行くからそれで勘弁してくれ」

 

「見回り、しっかりね。今度は奥さんと来て」

 

 

 クスクス笑いながら外套を仕舞うノイに、カンユーニキはそう告げて別の場所に歩き出した。

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 それからしばらくトラブルもなく見て回る内にカンユーニキは顔見知りの相手が出しているブースがあるのを発見し、急いで行ってみるとそこには四国の魔女の里に行ったはずの【ソーサレスネキ】がいた。薬品の展示ブースらしいその中に彼が入って行くと、彼女の方も気が付いたようで相手をしていたお客をさっきエドニキのブースで見かけた魔女に任せると別の席で手招きを始めた。

 

 

「あら、いらっしゃい。カンユーニキ。久しぶりね」

 

「石和…じゃない、ソーサレスネキ。しばらくぶりだな。どうしてここに?」

 

「見ての通り、作った品を宣伝しに来たのよ。

 アガシオン作成技術の提供と私や一部の黒札なんかの繋がりだけだとアピールが足りないでしょ?」

 

「地方の組織がガイア連合にアピールするなら足りないかもしれないな。

 ジュネスの誘致は出来ていないんだろう?」

 

「そうなの。近くの大赦支部が強すぎて無理なのよ」

 

 

 ソーサレスネキはカンユーニキとは顔見知りで、山梨から魔女の里に行く送別会にも参加していた仲であった。

 

 彼女が行った四国の魔女の里は大赦の近くにあり互いに利用し敵対している組織であったが、例の裸土下座の件で銀時ニキ達が大赦に住み着きジュネスが誘致されて支部化すると一気に離されていた間柄である。ソーサレスネキとしてはいくつか他にあった魔女の里の中から選んだ場所だけに、住んでみると過ごし易い場所でもあったので少しでも良くしたいと考えていた。

 それで今回、こうして山梨まで友人の若手のホープであった魔女と一緒に来ていたのだと彼女は語った。

 

 

「今回持ってきたのは、魔女のサバトに関連する薬よ。

 もう少ししたら美波さ…ミナミィネキと商談が始まるから、それまで見ていって」

 

「……て、事は」

 

「そう。男女の夜に関する事よ。

 古くからある魔女の里だけに、作れなくなっていたレシピとか山のように隠されていたの。

 それらを再現して作るのは楽しかったわ。奥さんとの夜ももっと楽しめるようになるかもね?」

 

「見せてくれ。

 妻は最高だが、もっとお互いに楽しめるなら見ない訳にもいかん」

 

「それじゃ、これからね」

 

 

 カンユーニキが意気込んでカウンターの椅子に座ると、ニコニコとしながら足元のクーラーボックスから色々と取り出し始めた。

 

 

「まずは【魔女の軟膏】ね。

 簡単に言うと、悪魔と人間の組み合わせやレベル差のある者同士の交合の不具合も緩和する作用があるの。

 カンユーニキも奥さんとレベル差があり過ぎて、体力差やなんかで困ったことがあるでしょ?」

 

「……ああ。無いとは言えないな」

 

「これ、基本的には女性向けの薬でね。

 感じる快楽の鈍化や粘膜部の保護、かなり緩やかだけど体力の回復の効果があるわ。

 これ以上は詳しく言えないけど、他にも不具合に関する効能があるわ」

 

「……ううん。これは売りに出されるのか?」

 

「商談が纏まれば、ミナミィネキを通して販売する事になるわ。

 一般販売で買うのなら、それからにしてね」

 

「分かった。他にはあるか?」

 

 

 興味深そうに見る彼の前に、膏薬の入れ物の他に怪しげな色の瓶を取り出して説明を続けるソーサレスネキ。

 

 

「そうね。

 主に悪魔に対して効果を現す強烈な惚れ薬の【ラブゲッチュー】、ラブゲッチューの濃度を薄めて香の状態に加工したアロマボトル入りのアロマ薬【イビルアロマ】に、イビルアロマの研究開発の派生で生まれた男性用香水の【パフューム・D】くらいね。

 言っておくけど、ネーミングは里の魔女の仕業だからね」

 

「これらもミナミィネキに?」

 

「ええ。こういう品の扱いは彼女に任せるのが一番無難だしね」

 

「……そうか。あまり長居しても迷惑だろうから俺は行くよ」

 

 

 そう言って立ち上がり去っていくカンユーニキを見送り、その場に残してあった住所と注文の書かれたメモを胸元に仕舞うとその後姿に彼女はこう告げた。

 

 

「まいどあり、カンユーニキ」

 

 

 後にソーサレスネキから送られて来た薬とノイのブースで一緒に買った下着が、カンユーニキに3人目の子供をもたらしたと記しておこう。

 

 

 ーーーーーーーーーー

 

 

 一方、カンユーニキが会場を見回っていた頃、ドクトルニキの研究室ではショタおじを招いて研究成果の報告をしていた。

 

 

「……それで、これが【熱血脳波発生装置】かい?」

 

「うむ。

 以前報告した、デモニカの着用者が“勇敢な兵士”となるのを目的として作ったデモニカ用スキル【勇者の歌】。

 それをヘルメットへの外付け装置によって、使用できるようになるパーツだ。

 安全装置として、外部から専用のパスコードを入力すれば停止し外れる仕様になっている」

 

「効果の程は?」

 

「画面の彼らを見れば分かるだろう? ショタおじ」

 

 

 彼らが見つめる画面の中では、デモニカを着込んだ今まで覚醒訓練から落ち零れていた黒札達がショタおじの用意した異界の中で勇敢に戦っていた。本来なら戦いや痛みへの恐怖などで心が折れていたり、ショタおじの訓練に尻込みして軽いものでお茶を濁していた者などをデモニカを着て参加すれば覚醒できると集めたのが彼らであった。

 

 画面の中では、デモニカを着た彼らが今回のために用意した特別製の【妖鬼シキガミ】に向かってひたすらにモデルガンや長物で攻撃を繰り返していた。自爆持ちが混ざっているため時々致命傷を負うが、待機していた研究員達の回復魔法で治るとまた攻撃を繰り返す様子が見て取れた。

 

 

「う~~ん。ちょっと温いかな?」

 

「ショタおじの即効性のある特訓ほど厳しくなく、星霊神社での雑用と訓練のような軽いものでないならこれくらいがいい塩梅だと思うのだが。

 逃げたり挫けたりしない分、命の危険もある難易度にしているから完全な終末までには覚醒者は増えると思うぞ。

 今回のでデータを取り、どの程度覚醒できたかは結果を纏めて報告するとも」

 

「うん、分かった。で、本命の方は?」

 

 

 ショタおじが向けた視線の先にはもう一つのモニターがあった。

 

 そこにはデモニカのレベルが20に到達し、エキシビジョンマッチと称した最終試験として天使と戦うメタルマンの姿があった。改修が施され、モヒカン型の姿勢制御用頭部パーツと背部のロケットパックが増設されている【メタルマンスーツMk-2】が空中戦を繰り広げている様子が映し出されていた。

 

 

「……ふうん。この天使がそうなのか」

 

「実験は成功だったとも、ショタおじ。

 このレベル19の『天使アークエンジェル』が、召喚した時は50超えのドミニオンだったとは一部の者にしか判らないだろう。

 こうして、【悪魔の位階を無理やり引きずり下ろす術式】は理論的には完成した。

 後は、慎重に数をこなしてデータを増やして術式の穴を埋めるだけだな!

 何しろ、合体素材のスライムとガキはいくらでも増やせるからな!」

 

「だけど、くれぐれも慎重にね。何しろ、“合体先の制御が出来ない悪魔合体術式”の応用なんだから」

 

 

 悪魔合体とは、本来は2体ないし3体の契約した悪魔を混ぜ合わせてより強力な1体の悪魔を作り出すものである。

 しかし、その中には合体先が弱体化するものも含まれていて、これは悪魔を合体させるだけは出来るようになったドクトルニキがそれらを応用して理論づけた術式である。

 簡単に言えば、【契約していない悪魔を無理やり他の悪魔と混ぜて位階が下の悪魔に貶める】ものである。

 

 画面の中で手に持ったメギドと同じ効果を持つダイナマイトの【チャイカムTNT】を爆発させ、天使と共に吹き飛ぶメタルマンの姿を見ながらドクトルニキはこう言った。

 

 

「対高位神魔術式兵装【データドレイン】は、まもなく完成するだろう!

 その時は我々人間の大きな武器になるはずだとも!」

 




後書きと設定解説


・主人公

名前:カンユーニキ(菅優・すがすぐる)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・30代
職業:ガイア警備山梨支社社員
ステータス:レベル26・スピード型(速・体)
耐性:破魔無効・呪殺無効(装備)
スキル:精密射撃(敵単体・中威力の銃撃属性攻撃。
         クリティカル率が高い)
    掃射(敵全体・小威力の銃撃属性攻撃)
    アギ(敵単体・小威力の火炎属性攻撃)
    ムド(敵単体・低確率で即死を付与する)
    宝探し(アイテム捜索の成功率が上昇する)
    サバイバル(野外生活で効率よく生き抜ける技術)
    隠密行動(姿を隠して情報収集する技術)
    黒子の歩法(敵に攻撃されにくくなる)
装備:男性用スーツ(ガイア連合製防具霊装)
   呪殺無効の指輪
   魅了無効の結婚指輪
   封魔管(妖獣ガルム・レベル9)
   シグザウエルP229(ヤクザから拾得した横流し品)
   破魔弾およびFMJ弾多数
詳細:
 2話、11話に登場した男性転生者
 某むせるロボットアニメの小悪党にそっくりな転生者
 元探偵の経歴から全国を移動して調査依頼を熟している
 攻撃用のスキルは生来ではなく訓練で身につけたもの
 両親や家族と共に秋田から山梨支部に引っ越した
 一神教改宗済の元シスターの嫁と2人の娘がいる
 嫁がいるので以前の仲魔の夜魔は悪魔娼館に売却した
 文月と若林の二人を独り立ちできるまで保護するつもり
 今回は会場の警備の仕事のために参加した

・関係者

名前:アーチャーニキ
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・38歳
職業:ガイア連合山梨支部技術部所属刀匠
詳細:
 34話に登場した転生者
 ガイア連合山梨支部技術部に所属している刀匠
 刀剣などの武器の扱いもそれなりの腕である刀剣鍛冶師
 本物の刀匠の資格持ちで刀の作成と自作の試し切りが趣味
 仕事は真面目に熟し凡人なので正義の味方は御免被るという性格
 前世と今世の事はいろいろあったのか黙して語らない
 合流したのはかなり古参だが黒札は前衛が少なく刃物全般を取り扱っている
 嫁が増えすぎたため、ほとんど鍛冶場か寝室に籠っている生活
 今の目的はヒロインの姿のシキガミ嫁のコンプで新型も発注済み
 現在、セイバー、遠坂姉妹、岸波白野、藤村大河の姿のシキガミ嫁がいる
 容姿は日焼けサロンと毛染めでFateのアーチャーそのもの

【黒檀の剣】
両手持ちの大太刀の形状をした漆黒の刃を持つ長剣
刀身に死神のフォルマを素材に使う事でこの効果を得た
相手に与えた物理ダメージの10%で自身を回復する効果を持つ
この剣でとどめを刺す回数が増えるほど回復量も上昇する

【ドーンブレイカー】
刃の根本に白く輝く宝石が埋め込まれている片手用のブロードソード
太陽の権能を持つ神のフォルマを素材に組み込んでいる
与える物理ダメージに破魔属性の追加ダメージが出る効果を持つ
また、屍鬼・幽鬼・悪霊を攻撃対象にした場合、炎上させる効果も持つ

【メエルーンズの短剣】
独特な形状をした破壊神のフォルマを組み込んだ短剣型の武器霊装
刃に触れた相手に低確率で呪殺属性の即死を付与する効果を持つ

【ヒュドラの牙】
常に刀身から紫の強酸性の毒液が垂れる蛇の模様の柄をした短剣
攻撃命中時に高確率で猛毒状態を付与する効果がある
強酸性の高いダメージの猛毒のために毒に対する耐性を貫通する
また、毒状態の相手に低確率で呪殺属性の即死を付与する
ギリシャ神話のヒュドラの毒の再現研究からできた産物
ガチャに出されるのを運営が差し止めた危険品

名前:有栖川ノイ
性別:女性
識別:転生者(ガイア連合)・2✗歳
職業:ガイア連合技術部アイテム開発技術者
詳細:
 5話に登場した女性技術者の転生者
 山梨支部の技術部の一人で服飾品や装飾品が専門の技術者
 日本とドイツ人のハーフで金髪の美少女の容姿をした合法ロリ
 大学時代は前世からしていた希少金属材の理論研究をしていた
 前世も今世も研究職をしていたが、山梨でミナミィと友人になり弾けた
 彼女から仕事を貰う内に、そういうアイテムの開発は趣味になった
 技術者としてはショタオジにも名前を憶えられるレベルで優秀
 大学時代の研究を発展させてチタンをミスラル銀への変換理論を作った
 スケベ部が出資するガイアグループの女性下着ブランド「ピクシー」の一員
 専用シキガミはFallout4のエイダというロボット型のシキガミ
 助手兼恋人として水元輝という同じ大学出身の同棲中の彼がいる
 容姿は18禁PCゲーム「BALDR SKY」のノイに似ている

【衛士強化装備・レプリカ】
某あいとゆうきのおとぎばなしのゲームに登場するパイロットスーツを再現した物
エロいまま完全再現されているが、見た目に反し防御力と動きやすさはかなりのもの
上から着る専用のすぐに着脱が可能な隠蔽用のコートも付属している
原作の各種デザインのものも販売されている

【女性用下着型防具霊装】
チタン合金製の形状記憶合金ワイヤーを使用した女性用下着の防具霊装
スケベ部が出資するガイアグループの女性下着ブランド「ピクシー」の作品
彼女が理論構築し半終末で物理法則が緩んだお陰で成功したチタンミスラルを使用
空腹耐性のある「チタンコルセット」や洗脳無効の「小悪魔インナー」等がある
サイズに関してもAAAからプラスサイズまで各種取り揃えている

【戦闘用ジャケット】
某龍の球で野菜人な格闘漫画の敵が着込んでいた戦闘服そっくりの防具
ラバー製の上半身防具とアンダー、ブーツ、グローブがセットになっている
デザイン違いも含め一部の手甲、脚甲なども用意されている
上半身防具には物理耐性が付与され原作ほどではないが柔軟性も併せ持つ

【隠密の外套】
敵対した悪魔や周囲に視認されなくなるフード付きマント
「潜伏」の効果はあるが音や臭いは隠蔽できない
また、マント以外の服装は透明化出来ない注意点もある 
露出癖のある黒札の依頼で開発した品

名前:ソーサレスニキネキ(石和薫・いしわかおる)
性別:女性
識別:転生者(ガイア連合)・47歳
職業:四国魔女の里在住の黒札アイテム開発技術者
ステータス:レベル31
耐性:物理無効・衝撃耐性・破魔無効
スキル:悪魔変身(夜魔クナンサティー)
    事務知識(一般事務技術)
    一分の活泉(最大HPが上昇する)
    アイテム作成(魔女の里の関係品)
詳細:
 17話に登場した悪魔変身能力の転生者
 星霊神社で覚醒修行を受けた際に悪魔変身者となる
 デビルシフターの人に色々と相談して修行の結果、女性になった
 性格も変わり、女性的で仕事には几帳面な性格になった
 現在はアガシオン技術をもたらした四国の魔女の里にいる
 今回は自身の作品宣伝のため里の魔女と一緒に来た
 箒を持ったつば広の黒い帽子と扇情的な魔女服の女の姿
 容姿はDragons Crownの「ソーサレス」

【魔女の軟膏】
魔女がサバトの饗宴で用いたとされた様々な生薬を練り込んだ軟膏
興奮剤、催淫剤、刺激物質、性ホルモン剤などが配合されている
昔のレシピをガイア連合の技術で復活させた為、効果がかなり強い
説明書に指示された少量を身体の粘膜部分に塗り込んで使う
悪魔と人間、レベル差のある者同士の交合の不具合も緩和する作用がある

【ラブゲッチュー】
主に悪魔に対して効果を現す強烈な惚れ薬
悪魔に使うと、一瞬でその悪魔と仲魔の契約を交わすこともできる
特に非覚醒者に使うのは隷属を強いるのと同義なので禁止されている
また、ボスには効果がなく永続効果なので取り扱いには注意が必要

【イビルアロマ】
不気味な形状をしたアロマボトル入りのアロマ薬
ラブゲッチューの濃度を薄めて香の状態に加工したもの
中から放たれる蠱惑的な芳香は周囲の悪魔を友好的にする
効果の強さにより「魅惑」「蠱惑」「悩殺」と頭に付く

【パフューム・D】
交渉前に使うと相手に好印象を与えやすい香りの男性用香水
使用してから10分間、対話・威圧・挑発の成功率が上昇する
イビルアロマの研究開発の派生で生まれた

名前:ドクトルニキ(松戸展男)
性別:男性
識別:転生者(ガイア連合)・50代
職業:ガイア連合技術部科学者
詳細:
 ガイア連合に所属するマッドサイエンティスト
 前世も現世も前職は発明家を自称する電化製品の修理技師
 ガイア連合を知り現世の全部をかなぐり捨てて突撃した
 天才ではあるがエドニキも引くほど行動がエキセントリック
 発明家を自称するだけあり時々突拍子もない閃きを得て暴走する
 オリジナルデザインのデモニカをこよなく愛する懐古主義派の領袖
 容姿は幼女戦記のマッド科学者によく似ている

【メタルマンスーツMk-2】
ドクトルニキのチームが自身の研究用に作成した改造デモニカ
着用者のサポート・ナビAIとしてブレイク博士を完全再現
スキル検証用目的のスーツのため着用時にロックを外から制御可能
ドリンクボトルを繋いで着用したまま流動食を食べられる機能あり 
長期間の着用実験の為、着用者の排泄物を乾燥粉末にして廃棄する機能付き
スーツのデザインは某クソ映画の同名のものと同色の同じ仕様になった
飛行能力を付加するためにロケッティアのパーツを組み込んでいる
モヒカン型の制御用頭部パーツと背部のロケットパックが増設されている

【熱血脳波発生装置】
デモニカのヘルメットに外付け増設可能なオプションパーツ
後頭部に装着する事により「勇者の歌」を強制的に使用可能になる
極めて頑丈な容器を使っているので力任せに壊したり外すのは困難
外部から専用のパスコードを入力すれば停止し外れる仕様
内部の曲は作成者の趣味で「未来への咆哮」と「Alive A life」

【勇者の歌】
“処刑用BGM”のスキル化の派生で出来たデモニカ用スキル
デモニカの着用者が「勇敢な兵士」となるのを目的として作られた
ヘルメット内に常に低音量で響きこの歌を強制的に聞かせて効果を発揮する
アクティブスキル、対象:自身、MP消費スキル
BGM開始時、連動効果が発動
「BGM演奏中の間、自身を高揚状態にする」
“高揚”になっている間は以下の効果が発動
・物理命中率、物理回避率、クリティカル率、状態異常にする確率が上昇する
・被クリティカル率、状態異常になる確率が低下する
自身が生存中、自身は次の効果を発揮
「高揚のとき、緊縛・睡眠・混乱・恐怖・絶望を無効化し好戦的になる」
効果時間はデモニカ使用中の間は常にBGMが流れ続く仕様
コストはデモニカ使用者のMPを強制的に徴収し繰り返し使用する

【チャイカムTNT】
中華で発明されたらしいメギドと同効果を発揮する長方形の固形爆発物
とても手に入りにくいメギドストーンの代替品として開発再現された
他国では中華製兵器の名称・型番の前にしばしば「チャイカム」を付けて呼ぶ
中華製TNT爆薬モジュールがなぜこんな威力を持てたのかは誰も知らない
これはダイナマイトを弄り回した黒札技術者がレシピを再現したもの

・敵対者

【妖鬼シキガミ】
レベル5 耐性:物理耐性・火炎耐性・破魔無効・呪殺無効
スキル:挑発(敵単体・敵に狙われやすくなる。
       相手の攻撃力が上昇し、防御力を低下させる)
    見切り(攻撃の回避率を上昇させる)
    自爆(敵単体・中威力の万能属性攻撃。
       使用後、術者は死亡する)
    飛行(自在に空中を移動できる)
詳細:
 今回の大型実験のために大量生産された紙製の式神
 全員が漫画チックな白い足のない生意気な糞ガキ幽霊の姿をしている
 ひらひらと飛び回り常に半笑いで肩を竦めるなどの動作を行う

タンブラー入りアガシオン:
本家様AAスレまとめ「小ネタ しょうもねぇカオス転生小ネタ」より出典

探求ネキの金属樹:
緋咲虚徹さん著「【カオ転三次】終末を約束された世界で心のままに生きていく」より出典


読んでくださった方がいるならありがとうございます。
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